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もう一緒にいられない

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 じ~さんはいつものように言いました。
「もう、羊の姿なんてやめたら?」
 みーちゃんは言います。
「だから、私はかわいい羊さんでいたいの。じ~さんは分からず屋だな」
 珍しくムッとしています。
 珍しくムッとしたのは、じ~さんもでした。
「分からず屋なのは、みーちゃんだよ! 僕のこと、信用してないの? 僕はみーちゃんの本当の姿を見たって、ちっともこわがらないんだから。ほら、脱ぎなよ!」
 じ~さんは羊の皮を引っ張ります。
「きゃー! やめてよぅ、やめて!」
 みーちゃんは必死に抵抗します。
「やめないもん!」
 グイグイと羊の皮は引っ張られ、ついに狼の耳が出ました。両者の手は、互いに、いや、みーちゃんの方が必死に引っ張っています。
「いやだ、いや。やめてよ、お願い! じ~さんには見られたくないの!」
 泣き叫んだ声に、じーさんは止まりました。
「どういう意味?」
 みーちゃんは両目からポロポロと大きな雫をこぼしていました。
 ヒックヒック音を堪えながら、狼の耳をしまい、ていねいに羊の皮を整えます。
「じ~さんとずっと一緒にいたいと思ってしまっていたの。私、いつの間にか……じ~さんのことが……」
 しゃっくりが言葉を邪魔しました。
 俯いたみーちゃんは言います。
「もう、一緒にいられないね。……ばいばい」
 みーちゃんは走り出しました。
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