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もふもふいっぱい?

181.仲良くなる方法はいろいろあるね

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 浄化といえばユキマル。ということで召喚です。自分でも浄化できるように、いつかスキルを覚えたいなぁ。

「【召喚】ユキマル!」
「ぴぅ!」

 現れたユキマルが『寒いっ!』とプルプル震えた。端の方から氷のように固まっていってるように見えるのは――気のせいじゃないね!?

「これあげる!」

 ユキマルにほかほかシールをくっつける。途端に元の姿を取り戻したから良かったぁ。このアイテムは効果絶大だ。

「ぴぅ」
「お礼はいらないよ。それより、また浄化をお願いしていい?」
「ぴぅ!」

 任せて、と跳ねたユキマルが、光りながら狂雪獣マッディネージュの方へ転がっていった。
 ……そんな進み方するの? 雪深いから、跳ねて進むのは難しそうだとは思ったけど、また僕が飛んで連れて行っても良かったんだよ?

「ギュオッ」

 転がり近づくユキマルに対して、狂雪獣マッディネージュが爪を向ける。攻撃を躊躇っているみたいで勢いはないけど、ユキマルに当たったら結構ダメージがありそう。

「危なっ――」
「ぴっ!?」

 警告をしようとしたところで、ユキマルが跳ねて方向転換した。ユキマルの近く、スレスレの雪原に爪が突き刺さる。
 そのことに怯えつつも、ユキマルは光ったまま狂雪獣マッディネージュの前足に触れた。

「ナイス! よく回避できたねー」
「ぴーぅ」

 誇らしげに鳴くユキマルと、その近くできょとんとした表情で佇む狂雪獣マッディネージュを眺める。

 狂雪獣マッディネージュの体色が、濃灰から白銀色に変わっていった。これは、浄化成功かな? よし、鑑定だー。

「――うんうん。バッチリ浄化できてる。君は銀雪狐シルネジューロっていうんだね」

 鑑定結果を見て頷く。
 銀雪狐シルネジューロは白銀色の大きな狐だった。寒い中で生きているだけあって、もっふもふだぞー。顔も賢そうで可愛いし、ファンができそう。

「キュオ」
「もう攻撃してこない? えっと、テイムできるかなー?」

 魅了状態でも、岩砕熊ロクラッシュベアのように確実にテイムできるわけではないようなので、ちょっぴり躊躇っちゃう。
 まぁ、できなかったら、フードで友好度上げればいいんだけど。銀雪狐シルネジューロはなにが好物かな?

 ――なんてことを考えてたら、銀雪狐シルネジューロが近づいてきた。
 ふんふん、と匂いを嗅がれるので、首を傾げる。僕、なんかおかしな匂いでもする?

「キュオ?」
「え、同族じゃないよ。うん、子どもの銀雪狐シルネジューロでもないけど――あ!」

 銀雪狐シルネジューロからぼんやりと伝わってくる意思に答えてたら、ふと自分の格好を思い出した。

 僕、今は子狐みたいな防寒具着てるんだった! そのせいで、銀雪狐シルネジューロは僕を同族の子どもなのかも、って考えてるみたい。でも、匂いが違うし、混乱させちゃってる。

 とりあえず、一旦防寒具を脱いでみる。幸い、銀雪狐シルネジューロは吹雪を解除してくれてて、寒さが和らいでるし、ほかほかシールだけでなんとかなりそうだから。

「キュア!?」
「え、皮剥いでないよっ! 今まで服を着てただけ!」

 とんでもない誤解をされちゃって、『大丈夫!?』と心配された。服っていう概念、伝わらない?
 ペロペロと舐められるのを、甘んじて受け入れる。案外気持ちいい。ベトベトになるわけでもないし、マッサージされてる感じ。

「――僕は天兎アンジュラパなんだよー」
「キュオ」

 銀雪狐シルネジューロは『あ、知ってる』と言って頷いた。天兎アンジュラパは霊峰に住んでる仲間っていう認識らしい。
 もともと、銀雪狐シルネジューロは霊峰の上層部に生息してて、あまり人の前には現れないんだって。だから、資料に載ってなかったんだね。

「とりあえず、テイム試してみようかな」

 なんとなく友好度が高い気がするので、テイムスキルを使ってみる。
 銀雪狐シルネジューロの周囲をパァと光が走った。

〈野生の銀雪狐シルネジューロをテイムしました〉

「やったー! 新しいお友だち!」

 成功したことを喜び、銀雪狐シルネジューロに抱きつく。驚きのもっふもふ具合! 気持ちいいよ~。

 これまでと同じように名前を考えて、悩んだ末に『オギン』にした。銀色だからっていう安直さ。お色気担当ではないんだよ?

 モンスター空間(草原)はオギンに適した環境じゃないみたいだから、入れないことを選択。早く違うモンスター空間を手に入れたいなぁ、と思いながらオギンが消えるのを見送った。

〈レアモンスターを五種テイムしました。その功績により、称号【希少種集め】が贈られます〉

 称号!? なんか久しぶりな気がする~。
 他のプレイヤーたちはどれくらいの数の称号を入手してるのかな?

 そんなことを考えながら、称号の詳細を確認。
 称号【希少種集め】の効果は『出現頻度の低いモンスターと出会いやすくなる』だった。

「……さらにレアモンスターばっかりの集団にしようとしてる?」

 レアがレアじゃなくなる気がするんだけど。レアとは?

 でも、きっとありがたいことなんだろうな。たぶん。
 とりあえずそう思っておくことにして「うん」と頷く。

「あとは報告したらミッションクリアだねぇ」

 そうとなれば、街に帰ろう――と転移スキルを使う前に、再びアナウンスが聞こえてくる。

〈モンスターを六体テイムし、テイマー職レベル0で保有可能なモンスターの最大数に達しました。詳細は追加されたヘルプをご確認ください〉

「ふぁっ!?」

 なんですと?
 言われた通りヘルプを確認してみる。

 テイマーは職業レベルによって、保有できるモンスターの数が変わるらしい。テイマーの職に就いてない人は、テイマー職レベル0としてモンスターを六体保有できるんだって。

 他のモンスターをテイムしたい場合は、職業レベルを上げるか、既にテイムしてるモンスターとお別れ――システムメニューのフレンドモンスター欄に『お別れ』という選択肢があった――する必要がある。

「いやいや、せっかく仲良くなれた子とお別れするとかムリー!」

 ということは、次にモンスターをテイムしたい場合は、テイマーの職に就かないといけないってことだ。

 テイマーになるために必要なミッションは、あとは『サブリングを入手する』ことだけ。
 現在、イベント交換用ドロップアイテムは千五百個ほど集まってるから、もうちょっと頑張らないとね。

「早くテイマーになって、街でもみんなと遊ぶぞー」

 俄然やる気が出てきた。僕ならできる、やってやるぞー!

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