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錬金術士だよ?
143.装備を作りましょう
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工房内の作業台にどんどんと置かれる琥珀と長靴。
……長靴の絵面がシュールだなぁ。
「ほんとにたくさん手に入れられたんだね」
「おう。投網の効果すげぇぞ」
ルトが珍しくご機嫌な感じだ。これだけ目的のものをゲットできたんだから、気分良くなるのも当然だろうけど。
「モモのおかげだよ~。ありがと」
「どういたしまして~。これ使うね」
リリにそう返しながら、琥珀を六つもらう。これでアクセサリーを作るんだ。
まずは宝石強化から。強化布を用意して、琥珀を三つ置く。
「【強化スタート】!」
ピカッと光った後にできたのは、一回り大きくなった琥珀。見た目もより綺麗になってる気がする。
「へぇ、そうやって強化すんのか。モンスター探しながら掲示板探ったけど、生産板でも宝石強化ってスキルはみつからなかったぞ」
興味津々に琥珀を眺めていたルトが、ちらりと僕に視線を寄越した。なんだか『また普通じゃねぇことしてるんだろ?』って言われてる気がする。そんな変なことしてないのに。
「普通に師匠から教えてもらっただけだもん」
「んじゃ、教えられるのになんか条件があるんだろうな。友好度とかか?」
「職業レベルとスキルの練度も関係してるんじゃない?」
リリが言うと、ルトが疑わしげな目で僕を見た。ちょっと目を逸らしちゃう。
「モモ、錬金術士のレベルいくつだ?」
「……5です」
「スキルは?」
「一応、錬金術二級になったよ……」
上がったのはついさっきだけどね! レナードさんに宝石強化を教えてもらった時は、錬金術三級だったとか、言わない言えない。
――言わなくても察知されてる気がするけど。言ったところで五十歩百歩だとか思われそうだけど。
「びっみょーだな」
「うーん……確かに、友好度が影響してる可能性が高いかもね」
微妙という中途半端な評価はちょっぴり悲しい。でも、それ以上にリリにまで、『スローライフプレイしてるのに、生産職レベルちょっと低め?』って思ってそうな目で見られるのに傷ついた。
どーせ、僕は錬金術士より釣り師だし、農家だし、料理人だし、商人だよー。あと、そろそろ毛繕いのプロを名乗っても良い気がする! 開き直りだ!
「……店の商品も地道に自分で作るべきかなぁ」
「それで時間取られてたらつまらねぇだけだろ。それより、新アイテム開発とか、攻略中に便利アイテムを錬金するとか、意識した方がいいんじゃね?」
「なるほどー。一種類をたくさん作るより、新しいのを次々に作った方が経験値はもらえる気がするもんね」
ルトのアドバイスに頷く。これからは心がけて行動してみよう。
でも、普通に街探索してたら、錬金術を使わないといけない場面ってそうそうないんだよなぁ。これは、もっと積極的にバトルフィールドに出ろってことかな?
「モモのプレイスタイルはさておき。もう一個宝石強化するんでしょ?」
リリが微笑み、強化布に琥珀を三つ置いた。
「やるよー。【強化スタート】!」
先ほどと同じように琥珀の強化が無事終了した。
何度も失敗して宝石強化スキルを覚えたから、失敗しないだろうと思ってても、強化する度に緊張しちゃう。だから、完成した強化琥珀を見てホッと息をついた。
「それで、アクセサリーは三種類だったよな?」
「うん。イヤリングとブレスレットとネックレスだよー」
琥珀から作れるアクセサリーの中でも、強化琥珀を使って効果が上がるのは三つだけ。どれも木属性の攻撃力と耐性アップの上昇率は同じ。ステータスへの影響が違うんだ。
「イヤリングはモモがつけてるやつだよな」
「うん。幸運値が+10」
「ブレスレットは器用さ+10で、ネックレスは精神力+10なんだよね」
僕がレナードさんから聞き取った情報を載せたメモを、リリが覗き込みながら悩ましげに首を傾げる。
「器用さはクリティカル率に影響するんだよな。精神力はデバフ耐性だし」
「生産する時も、器用さは重要だと思うよ」
勧めてみたけど、僕も器用さはあんまり上げてない。アイテムの品質とか製作成功率に影響するのかな。
「俺、ほとんど生産職してねぇし」
「ルトは鍛冶士だったよね? 自分で武器作らないの?」
「鍛冶士として有名なNPCが第三の街にいるらしいから、そこで弟子入りしようと思ってる。だから、今は店売り品の見た目を変えるくらいにしか使ってないな」
ルトが腰に下げた剣の柄を撫でながら肩をすくめた。
エリアボス倒して第三の街に行きたがってるのって、早く弟子入して自作の剣を使いたいからなのかもしれない。
「そうなんだ? リリは?」
「私は普通に裁縫士としてがんばってるよ。だから器用さは欲しいし、ブレスレットを作ってもらおうかな」
リリがにこりと微笑み言う。
確かに僕もたくさん洋服作ってもらってるもんね。リリの裁縫士としての活躍は聞く必要もなかったや。
「それじゃ、先にリリ用のブレスレットを作るね」
悩んでるルトを横目に、手際よく作業を進める。
錬金布に強化した琥珀とゴールドを置いて準備はオッケーだ。
「――【錬金スタート】!」
いつも通りの演出の後には、琥珀が散りばめられた金色のブレスレットが完成した。リリは白色と金色の装備だし、コーディネート的にもいいと思う。
「わぁ、素敵!」
「似合ってるよー」
早速装備したリリに拍手しながら褒める。我ながら良い出来です!
……長靴の絵面がシュールだなぁ。
「ほんとにたくさん手に入れられたんだね」
「おう。投網の効果すげぇぞ」
ルトが珍しくご機嫌な感じだ。これだけ目的のものをゲットできたんだから、気分良くなるのも当然だろうけど。
「モモのおかげだよ~。ありがと」
「どういたしまして~。これ使うね」
リリにそう返しながら、琥珀を六つもらう。これでアクセサリーを作るんだ。
まずは宝石強化から。強化布を用意して、琥珀を三つ置く。
「【強化スタート】!」
ピカッと光った後にできたのは、一回り大きくなった琥珀。見た目もより綺麗になってる気がする。
「へぇ、そうやって強化すんのか。モンスター探しながら掲示板探ったけど、生産板でも宝石強化ってスキルはみつからなかったぞ」
興味津々に琥珀を眺めていたルトが、ちらりと僕に視線を寄越した。なんだか『また普通じゃねぇことしてるんだろ?』って言われてる気がする。そんな変なことしてないのに。
「普通に師匠から教えてもらっただけだもん」
「んじゃ、教えられるのになんか条件があるんだろうな。友好度とかか?」
「職業レベルとスキルの練度も関係してるんじゃない?」
リリが言うと、ルトが疑わしげな目で僕を見た。ちょっと目を逸らしちゃう。
「モモ、錬金術士のレベルいくつだ?」
「……5です」
「スキルは?」
「一応、錬金術二級になったよ……」
上がったのはついさっきだけどね! レナードさんに宝石強化を教えてもらった時は、錬金術三級だったとか、言わない言えない。
――言わなくても察知されてる気がするけど。言ったところで五十歩百歩だとか思われそうだけど。
「びっみょーだな」
「うーん……確かに、友好度が影響してる可能性が高いかもね」
微妙という中途半端な評価はちょっぴり悲しい。でも、それ以上にリリにまで、『スローライフプレイしてるのに、生産職レベルちょっと低め?』って思ってそうな目で見られるのに傷ついた。
どーせ、僕は錬金術士より釣り師だし、農家だし、料理人だし、商人だよー。あと、そろそろ毛繕いのプロを名乗っても良い気がする! 開き直りだ!
「……店の商品も地道に自分で作るべきかなぁ」
「それで時間取られてたらつまらねぇだけだろ。それより、新アイテム開発とか、攻略中に便利アイテムを錬金するとか、意識した方がいいんじゃね?」
「なるほどー。一種類をたくさん作るより、新しいのを次々に作った方が経験値はもらえる気がするもんね」
ルトのアドバイスに頷く。これからは心がけて行動してみよう。
でも、普通に街探索してたら、錬金術を使わないといけない場面ってそうそうないんだよなぁ。これは、もっと積極的にバトルフィールドに出ろってことかな?
「モモのプレイスタイルはさておき。もう一個宝石強化するんでしょ?」
リリが微笑み、強化布に琥珀を三つ置いた。
「やるよー。【強化スタート】!」
先ほどと同じように琥珀の強化が無事終了した。
何度も失敗して宝石強化スキルを覚えたから、失敗しないだろうと思ってても、強化する度に緊張しちゃう。だから、完成した強化琥珀を見てホッと息をついた。
「それで、アクセサリーは三種類だったよな?」
「うん。イヤリングとブレスレットとネックレスだよー」
琥珀から作れるアクセサリーの中でも、強化琥珀を使って効果が上がるのは三つだけ。どれも木属性の攻撃力と耐性アップの上昇率は同じ。ステータスへの影響が違うんだ。
「イヤリングはモモがつけてるやつだよな」
「うん。幸運値が+10」
「ブレスレットは器用さ+10で、ネックレスは精神力+10なんだよね」
僕がレナードさんから聞き取った情報を載せたメモを、リリが覗き込みながら悩ましげに首を傾げる。
「器用さはクリティカル率に影響するんだよな。精神力はデバフ耐性だし」
「生産する時も、器用さは重要だと思うよ」
勧めてみたけど、僕も器用さはあんまり上げてない。アイテムの品質とか製作成功率に影響するのかな。
「俺、ほとんど生産職してねぇし」
「ルトは鍛冶士だったよね? 自分で武器作らないの?」
「鍛冶士として有名なNPCが第三の街にいるらしいから、そこで弟子入りしようと思ってる。だから、今は店売り品の見た目を変えるくらいにしか使ってないな」
ルトが腰に下げた剣の柄を撫でながら肩をすくめた。
エリアボス倒して第三の街に行きたがってるのって、早く弟子入して自作の剣を使いたいからなのかもしれない。
「そうなんだ? リリは?」
「私は普通に裁縫士としてがんばってるよ。だから器用さは欲しいし、ブレスレットを作ってもらおうかな」
リリがにこりと微笑み言う。
確かに僕もたくさん洋服作ってもらってるもんね。リリの裁縫士としての活躍は聞く必要もなかったや。
「それじゃ、先にリリ用のブレスレットを作るね」
悩んでるルトを横目に、手際よく作業を進める。
錬金布に強化した琥珀とゴールドを置いて準備はオッケーだ。
「――【錬金スタート】!」
いつも通りの演出の後には、琥珀が散りばめられた金色のブレスレットが完成した。リリは白色と金色の装備だし、コーディネート的にもいいと思う。
「わぁ、素敵!」
「似合ってるよー」
早速装備したリリに拍手しながら褒める。我ながら良い出来です!
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