もふもふで始めるのんびり寄り道生活 ~便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
上 下
155 / 344
錬金術士だよ?

143.装備を作りましょう

しおりを挟む
 工房内の作業台にどんどんと置かれる琥珀と長靴。
 ……長靴の絵面がシュールだなぁ。

「ほんとにたくさん手に入れられたんだね」
「おう。投網の効果すげぇぞ」

 ルトが珍しくご機嫌な感じだ。これだけ目的のものをゲットできたんだから、気分良くなるのも当然だろうけど。

「モモのおかげだよ~。ありがと」
「どういたしまして~。これ使うね」

 リリにそう返しながら、琥珀を六つもらう。これでアクセサリーを作るんだ。
 まずは宝石強化から。強化布を用意して、琥珀を三つ置く。

「【強化スタート】!」

 ピカッと光った後にできたのは、一回り大きくなった琥珀。見た目もより綺麗になってる気がする。

「へぇ、そうやって強化すんのか。モンスター探しながら掲示板探ったけど、生産板でも宝石強化ってスキルはみつからなかったぞ」

 興味津々に琥珀を眺めていたルトが、ちらりと僕に視線を寄越した。なんだか『また普通じゃねぇことしてるんだろ?』って言われてる気がする。そんな変なことしてないのに。

「普通に師匠から教えてもらっただけだもん」
「んじゃ、教えられるのになんか条件があるんだろうな。友好度とかか?」
「職業レベルとスキルの練度も関係してるんじゃない?」

 リリが言うと、ルトが疑わしげな目で僕を見た。ちょっと目を逸らしちゃう。

「モモ、錬金術士のレベルいくつだ?」
「……5です」
「スキルは?」
「一応、錬金術二級になったよ……」

 上がったのはついさっきだけどね! レナードさんに宝石強化を教えてもらった時は、錬金術三級だったとか、言わない言えない。

 ――言わなくても察知されてる気がするけど。言ったところで五十歩百歩だとか思われそうだけど。

「びっみょーだな」
「うーん……確かに、友好度が影響してる可能性が高いかもね」

 微妙という中途半端な評価はちょっぴり悲しい。でも、それ以上にリリにまで、『スローライフプレイしてるのに、生産職レベルちょっと低め?』って思ってそうな目で見られるのに傷ついた。

 どーせ、僕は錬金術士より釣り師だし、農家だし、料理人だし、商人だよー。あと、そろそろ毛繕いのプロを名乗っても良い気がする! 開き直りだ!

「……店の商品も地道に自分で作るべきかなぁ」
「それで時間取られてたらつまらねぇだけだろ。それより、新アイテム開発とか、攻略中に便利アイテムを錬金するとか、意識した方がいいんじゃね?」
「なるほどー。一種類をたくさん作るより、新しいのを次々に作った方が経験値はもらえる気がするもんね」

 ルトのアドバイスに頷く。これからは心がけて行動してみよう。
 でも、普通に街探索してたら、錬金術を使わないといけない場面ってそうそうないんだよなぁ。これは、もっと積極的にバトルフィールドに出ろってことかな?

「モモのプレイスタイルはさておき。もう一個宝石強化するんでしょ?」

 リリが微笑み、強化布に琥珀を三つ置いた。

「やるよー。【強化スタート】!」

 先ほどと同じように琥珀の強化が無事終了した。
 何度も失敗して宝石強化スキルを覚えたから、失敗しないだろうと思ってても、強化する度に緊張しちゃう。だから、完成した強化琥珀を見てホッと息をついた。

「それで、アクセサリーは三種類だったよな?」
「うん。イヤリングとブレスレットとネックレスだよー」

 琥珀から作れるアクセサリーの中でも、強化琥珀を使って効果が上がるのは三つだけ。どれも木属性の攻撃力と耐性アップの上昇率は同じ。ステータスへの影響が違うんだ。

「イヤリングはモモがつけてるやつだよな」
「うん。幸運値が+10」
「ブレスレットは器用さ+10で、ネックレスは精神力+10なんだよね」

 僕がレナードさんから聞き取った情報を載せたメモを、リリが覗き込みながら悩ましげに首を傾げる。

「器用さはクリティカル率に影響するんだよな。精神力はデバフ耐性だし」
「生産する時も、器用さは重要だと思うよ」

 勧めてみたけど、僕も器用さはあんまり上げてない。アイテムの品質とか製作成功率に影響するのかな。

「俺、ほとんど生産職してねぇし」
「ルトは鍛冶士だったよね? 自分で武器作らないの?」
「鍛冶士として有名なNPCが第三の街にいるらしいから、そこで弟子入りしようと思ってる。だから、今は店売り品の見た目を変えるくらいにしか使ってないな」

 ルトが腰に下げた剣の柄を撫でながら肩をすくめた。
 エリアボス倒して第三の街に行きたがってるのって、早く弟子入して自作の剣を使いたいからなのかもしれない。

「そうなんだ? リリは?」
「私は普通に裁縫士としてがんばってるよ。だから器用さは欲しいし、ブレスレットを作ってもらおうかな」

 リリがにこりと微笑み言う。
 確かに僕もたくさん洋服作ってもらってるもんね。リリの裁縫士としての活躍は聞く必要もなかったや。

「それじゃ、先にリリ用のブレスレットを作るね」

 悩んでるルトを横目に、手際よく作業を進める。
 錬金布に強化した琥珀とゴールドを置いて準備はオッケーだ。

「――【錬金スタート】!」

 いつも通りの演出の後には、琥珀が散りばめられた金色のブレスレットが完成した。リリは白色と金色の装備だし、コーディネート的にもいいと思う。

「わぁ、素敵!」
「似合ってるよー」

 早速装備したリリに拍手しながら褒める。我ながら良い出来です!

しおりを挟む
感想 1,402

あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

ヒロインは修道院に行った

菜花
ファンタジー
乙女ゲームに転生した。でも他の転生者が既に攻略キャラを攻略済みのようだった……。カクヨム様でも投稿中。

大好きなおねえさまが死んだ

Ruhuna
ファンタジー
大好きなエステルおねえさまが死んでしまった まだ18歳という若さで

神様に嫌われた神官でしたが、高位神に愛されました

土広真丘
ファンタジー
神と交信する力を持つ者が生まれる国、ミレニアム帝国。 神官としての力が弱いアマーリエは、両親から疎まれていた。 追い討ちをかけるように神にも拒絶され、両親は妹のみを溺愛し、妹の婚約者には無能と罵倒される日々。 居場所も立場もない中、アマーリエが出会ったのは、紅蓮の炎を操る青年だった。 小説家になろうでも公開しています。 2025年1月18日、内容を一部修正しました。

異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし
ファンタジー
銀行に勤めるそこそこ頭はイイところ以外に取り柄のない23歳青山 零 は突如、自称神からの死亡宣言を受けた。そして気がついたら異世界。 異世界ではまるで別人のような体になった零だが、その体には類い稀なる才能が隠されていて....

【完結】VRMMOでチュートリアルを2回やった生産職のボクは最強になりました

鳥山正人
ファンタジー
フルダイブ型VRMMOゲームの『スペードのクイーン』のオープンベータ版が終わり、正式リリースされる事になったので早速やってみたら、いきなりのサーバーダウン。 だけどボクだけ知らずにそのままチュートリアルをやっていた。 チュートリアルが終わってさぁ冒険の始まり。と思ったらもう一度チュートリアルから開始。 2度目のチュートリアルでも同じようにクリアしたら隠し要素を発見。 そこから怒涛の快進撃で最強になりました。 鍛冶、錬金で主人公がまったり最強になるお話です。 ※この作品は「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過した【第1章完結】デスペナのないVRMMOで〜をブラッシュアップして、続きの物語を描いた作品です。 その事を理解していただきお読みいただければ幸いです。

転生貴族可愛い弟妹連れて開墾します!~弟妹は俺が育てる!~

桜月雪兎
ファンタジー
祖父に勘当された叔父の襲撃を受け、カイト・ランドール伯爵令息は幼い弟妹と幾人かの使用人たちを連れて領地の奥にある魔の森の隠れ家に逃げ込んだ。 両親は殺され、屋敷と人の住まう領地を乗っ取られてしまった。 しかし、カイトには前世の記憶が残っており、それを活用して魔の森の開墾をすることにした。 幼い弟妹をしっかりと育て、ランドール伯爵家を取り戻すために。

奪われ系令嬢になるのはごめんなので逃げて幸せになるぞ!

よもぎ
ファンタジー
とある伯爵家の令嬢アリサは転生者である。薄々察していたヤバい未来が現実になる前に逃げおおせ、好き勝手生きる決意をキメていた彼女は家を追放されても想定通りという顔で旅立つのだった。

処理中です...