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錬金術士だよ?
121.夜釣りも楽しいよ
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サウス街道で手に入れられる状態異常耐性を無事すべて取得して、それなりにレベリングできたところで解散。
ムギたち三人は次回のログインで資材運びをして、異世界の住人の冒険者に最初のエリアボスクリアを手伝ってもらうんだって。その時に転移スキルをゲットできるようがんばる、とは言ってたけど、どうなるだろうね?
ルトたちでも結構大変だったみたいだから、何度か挑戦しないと無理かも。そのことで相談を受けることがあったら、僕も協力しようかな。羽を授けるレアアイテム、売っちゃうぞ。
「うーん……もう夜かぁ」
明かりで照らされる街中は、昼とは印象が違って、ちょっと幻想的だ。こういう雰囲気も好きだよー。
そういえば、今の時間帯はヤナが本領発揮できるんだよね。バトルがんばってるかな? ちゃんと闇マント作ってもらえたかなぁ?
気になったので連絡してみる。返事が来るまで何してよう?
「あ、夜の釣りってしたことないや」
ふと思い立って、即行動する。
海エリアも一応バトルフィールドだけど、そこで魚介類以外のモンスターに遭ったことはないし、大丈夫でしょ。……たぶん。ピアとスラリンも呼ぶし。
錬金術で作った明かりを持って、西の浜辺をてくてく歩く。月が海に映ってて綺麗! 釣りしてなくても、散歩だけでも良い気分だ。でも、ここまで来たからには、なにか釣って晩ご飯にしたいな。
「なにが釣れるかなー」
前に見つけた川エリアはちょっと遠いし、今は浜辺に他のプレイヤーがいないみたいだから、ここでピアたちを召喚する。
「――【召喚】スラリン、ピア」
「きゅ!」
現れて海を見た途端、スラリンは役割を理解したみたいだ。僕がなにも言わずとも、『おまかせください!』と気合いを入れてる。
ピアは『なにここー。変な匂いと音がするー』という感じだったけど、楽しそうに波と戯れ始めた。
最初からピアに漁の手伝いしてほしいなんて考えてなかったから、好きにしてくれていいよ。
「スラリン、たくさんお魚獲ろうねー」
「きゅい!」
返事をしたスラリンがいつも通り体を使って漁を始めるのを見ながら、僕も釣り竿を振る。
「ふっふっふー、釣り餌の改良だって忘れてないんだぞー」
誰も聞いてないことは分かってるけど、つい自慢したくなった。僕は釣り人としてのランクアップも狙ってるから、日々新しい釣り餌の開発をしてるんだよ。
今回使うのは【えびえびすぺしゃる】。名前そのままに、桜小海老をたくさん使った餌だ。痺海月を混ぜてあるから、麻痺効果があるはず。
名前は自分で付けたんだー。……え、ダサい?
「それゆけ、えびえびー」
ぽーいと投げる。あとはしばらく待つだけ。釣りもだいぶ上手くなった気がする。
「――お、早速きた」
ぐいぐいと引かれて、釣り糸を巻き上げる。
今回は釣りのために、黄金のブレスレットを装備してるんだ。釣りって、物理攻撃力が反映されるらしいんだよ。攻撃力+20の効果で、面白いくらい軽い感じで釣り糸を巻けちゃう。楽しい!
ルトに知られたら、「バトルで使えよ!」って怒られちゃいそう。でも、僕、物理攻撃系のスキル少ないしー、絶対釣りで使った方が効果的だよねー。
「釣れた! 【闇烏賊】? 悪魔なの?」
餌に食いついていたのは、黒色のイカっぽいモンスターだった。デビルって、悪魔を意味してるよね? 確かに足がたくさんある生き物は、地球外生命体っぽさはあるけど。外国だと、タコがデビルっぽい名前を付けられてることがあるんだっけ。
「黒色のイカって美味しいのかなー? 鑑定では食べられるって出てるけど」
はじまりの街で食べたことないぞ。
気になりながらも、食用可能ってことは問題ないだろう、と考えてアイテムボックスに収納する。
イカ料理ってなにが美味しいかな。僕はいかそうめんとか、寿司で食べるのが好き。たまにはイカ飯もいい。……あ、お腹が空いてきたぞ。
ちょうどよくスラリンが魚介類を大量に吐き出したので、それを回収して今日はもうホームに帰ろうと思う。イカ食べるんだー、るんるん。
「あ、ヤナから返事来てた」
通知を確認。
ふむふむ――ヤナ、無事に闇マントをゲットできたみたい。僕があげた耐衝撃効果のアクセサリーで戦いやすくなったから、今はレベリングをがんばってるんだって。
改めてお礼を言われたから、『手助けが必要だったら声をかけてねー』と返事をしておく。僕は先輩だから、協力してあげるんだ!
「きゅ?」
「後輩くんからの連絡を確認してただけだよー」
どうしたの、と言いたげに体を傾けてるスラリンに答えて、残っていた獲物を収納する。今日も大漁だ。ほぼスラリンのおかげだけど。魚のから揚げも食べたいな。
「――あれ? ピアはどこ?」
そろそろ召喚可能時間が切れるなぁ、と思ったところで、ピアの姿が見えないことに気づいた。明かりが届く範囲にいないみたい。
もう、どこに行ったの……。
ピアは好奇心のままに動き回るから心配になっちゃう。強いから、並大抵のことじゃダメージを負わないだろうってわかってるけど。
「ピアー! 帰るよー。もうお家に入ってー」
呼びかけたら、暗いところから影が近づいてくる気がした。ピアかな。でも、なんだか大きくて、歪に見えるような?
ムギたち三人は次回のログインで資材運びをして、異世界の住人の冒険者に最初のエリアボスクリアを手伝ってもらうんだって。その時に転移スキルをゲットできるようがんばる、とは言ってたけど、どうなるだろうね?
ルトたちでも結構大変だったみたいだから、何度か挑戦しないと無理かも。そのことで相談を受けることがあったら、僕も協力しようかな。羽を授けるレアアイテム、売っちゃうぞ。
「うーん……もう夜かぁ」
明かりで照らされる街中は、昼とは印象が違って、ちょっと幻想的だ。こういう雰囲気も好きだよー。
そういえば、今の時間帯はヤナが本領発揮できるんだよね。バトルがんばってるかな? ちゃんと闇マント作ってもらえたかなぁ?
気になったので連絡してみる。返事が来るまで何してよう?
「あ、夜の釣りってしたことないや」
ふと思い立って、即行動する。
海エリアも一応バトルフィールドだけど、そこで魚介類以外のモンスターに遭ったことはないし、大丈夫でしょ。……たぶん。ピアとスラリンも呼ぶし。
錬金術で作った明かりを持って、西の浜辺をてくてく歩く。月が海に映ってて綺麗! 釣りしてなくても、散歩だけでも良い気分だ。でも、ここまで来たからには、なにか釣って晩ご飯にしたいな。
「なにが釣れるかなー」
前に見つけた川エリアはちょっと遠いし、今は浜辺に他のプレイヤーがいないみたいだから、ここでピアたちを召喚する。
「――【召喚】スラリン、ピア」
「きゅ!」
現れて海を見た途端、スラリンは役割を理解したみたいだ。僕がなにも言わずとも、『おまかせください!』と気合いを入れてる。
ピアは『なにここー。変な匂いと音がするー』という感じだったけど、楽しそうに波と戯れ始めた。
最初からピアに漁の手伝いしてほしいなんて考えてなかったから、好きにしてくれていいよ。
「スラリン、たくさんお魚獲ろうねー」
「きゅい!」
返事をしたスラリンがいつも通り体を使って漁を始めるのを見ながら、僕も釣り竿を振る。
「ふっふっふー、釣り餌の改良だって忘れてないんだぞー」
誰も聞いてないことは分かってるけど、つい自慢したくなった。僕は釣り人としてのランクアップも狙ってるから、日々新しい釣り餌の開発をしてるんだよ。
今回使うのは【えびえびすぺしゃる】。名前そのままに、桜小海老をたくさん使った餌だ。痺海月を混ぜてあるから、麻痺効果があるはず。
名前は自分で付けたんだー。……え、ダサい?
「それゆけ、えびえびー」
ぽーいと投げる。あとはしばらく待つだけ。釣りもだいぶ上手くなった気がする。
「――お、早速きた」
ぐいぐいと引かれて、釣り糸を巻き上げる。
今回は釣りのために、黄金のブレスレットを装備してるんだ。釣りって、物理攻撃力が反映されるらしいんだよ。攻撃力+20の効果で、面白いくらい軽い感じで釣り糸を巻けちゃう。楽しい!
ルトに知られたら、「バトルで使えよ!」って怒られちゃいそう。でも、僕、物理攻撃系のスキル少ないしー、絶対釣りで使った方が効果的だよねー。
「釣れた! 【闇烏賊】? 悪魔なの?」
餌に食いついていたのは、黒色のイカっぽいモンスターだった。デビルって、悪魔を意味してるよね? 確かに足がたくさんある生き物は、地球外生命体っぽさはあるけど。外国だと、タコがデビルっぽい名前を付けられてることがあるんだっけ。
「黒色のイカって美味しいのかなー? 鑑定では食べられるって出てるけど」
はじまりの街で食べたことないぞ。
気になりながらも、食用可能ってことは問題ないだろう、と考えてアイテムボックスに収納する。
イカ料理ってなにが美味しいかな。僕はいかそうめんとか、寿司で食べるのが好き。たまにはイカ飯もいい。……あ、お腹が空いてきたぞ。
ちょうどよくスラリンが魚介類を大量に吐き出したので、それを回収して今日はもうホームに帰ろうと思う。イカ食べるんだー、るんるん。
「あ、ヤナから返事来てた」
通知を確認。
ふむふむ――ヤナ、無事に闇マントをゲットできたみたい。僕があげた耐衝撃効果のアクセサリーで戦いやすくなったから、今はレベリングをがんばってるんだって。
改めてお礼を言われたから、『手助けが必要だったら声をかけてねー』と返事をしておく。僕は先輩だから、協力してあげるんだ!
「きゅ?」
「後輩くんからの連絡を確認してただけだよー」
どうしたの、と言いたげに体を傾けてるスラリンに答えて、残っていた獲物を収納する。今日も大漁だ。ほぼスラリンのおかげだけど。魚のから揚げも食べたいな。
「――あれ? ピアはどこ?」
そろそろ召喚可能時間が切れるなぁ、と思ったところで、ピアの姿が見えないことに気づいた。明かりが届く範囲にいないみたい。
もう、どこに行ったの……。
ピアは好奇心のままに動き回るから心配になっちゃう。強いから、並大抵のことじゃダメージを負わないだろうってわかってるけど。
「ピアー! 帰るよー。もうお家に入ってー」
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