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「リモーネ嬢!聞いてくれ!」

「リモーネ嬢、ちょっといいかな・・・」

「リモーネ嬢、相談があるんだ」

・・・・・正直に言う。鬱陶しい。
なぜかあれから、ルーポ様に懐かれた。所々で待ち伏せされて、話を聞かされる。
手土産もくれるし、最初はまあ微笑ましく相談に乗ってあげていたのだが、こうも連日押しかけられるとさすがにウザい。

そして更に私を悩ませる存在があった。
ルーポ様が私に声をかけてくる時、決まって同じ女性が物陰から覗いているのだ。
小柄でふわふわの茶色の髪が子リスのようなのだが、じぃ~っと値踏みするような目で見られているのでちょっと怖い。何なんだ・・・。

ある日、子リスちゃんがルーポ様のいない隙を狙って私に声をかけてきた。

「あっ!あのっ!私は、エイミー・サクバスと申します。少しだけ、お時間よろしいでしょうか?」

緊張して震える彼女を見ていると怖かった印象が薄れてきた。言いたいことがあるならはっきり言ってもらった方がいい。私たちは中庭のガセポへ向かった。

「あ、あの・・・リモーネ様は、ルーポ様のこと、どう思っていらっしゃいますか?」
「え・・・」

ぶっちゃけウザいです、と言っていいものだろうか。そもそも、私は彼女とルーポ様の関係を知らない。下手なことを言うのはやめた方がいいだろう。

「どんか、いえ、周りの言動をスルーできる、強靭な精神の持ち主だと思いますよ」

一応無理やり褒めておく。お菓子くれる以外に、あの人のいいところってあんまり思いつかないけど。あ、人材獲得に貪欲なところは好感持てるかも。

私の回答はエイミー嬢のお気に召さなかったのか、眉間にシワを寄せて考え込まれてしまった。

「・・・リモーネ様はルーポ様をお慕いしているわけではありませんの?」

ふあ―――っっっ!?何その爆弾発言!!何でそんな誤解するの!?

「ま、全く慕っておりません!ええ、本当に、爪の先ほども!!」
「え・・・でも、最近よくお二人でいらっしゃるし・・・。ルーポ様が連日同じ方のところへ通われるのは珍しいので、噂になっておりますが・・・」
「噂!?」

確かに連日押しかけられてるし、手土産に毎回お菓子と花を持ってこられる。
あ、これ、はたから見たらアプローチかけられてるようにしか見えん!
やっちゃった。・・・結局のところ私も超鈍感仲間だった。

「ルーポ様にはただ相談をされていただけです。親しくなりたい女性がいると」
「え・・・・」

私が弁明すると、エイミー嬢がショックを受けたようによろめいた。だ、大丈夫?

「わ、私っ、リモーネ様なら、ルーポ様のお相手として認められると思っておりましたのにっ!他に意中の方がいるなんてっ!」

取り乱したように叫ぶエイミー嬢だが、勝手に私を巻き込まないでほしい。
ここはきっちり釘を刺しとこ。

「エイミーさん。勘違いさせてしまったのなら申し訳ありませんが、私とルーポ様の間に恋愛感情は微塵もありません。彼の意中の方もおそらく彼に好意は持っていないようなので、言いたいことがあるなら直接ルーポ様にぶつかった方がいいですよ」
「あ・・・わたし・・・っ!」

自分の行いを反省したのかエイミー嬢がペコリと頭を下げた。

「勝手に勘違いして、不愉快な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした・・・!」
「いえいえ、私も誤解させてしまってごめんなさいね?ルーポ様によろしく」

素直に謝罪できる子は好きですよ。
でもあなたはルーポ様みたいなストーカーにはならないでね?
私は心から願った。


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