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2 王女様にヒントをもらいました
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「シャーミィ様・・・! ラクンボ様のあの態度は聖女様に対してあり得ません! 国王に抗議しましょう!」
わたくしにそう言ってくれたのは、護衛騎士のゴーシュ。がっしりとした体格の美丈夫で、ツンツン跳ねた黒髪がワイルドです。実はラクンボ様に絡まれている時からずっと傍にいましたが、いくら無礼でも相手が王子では何も言えませんものね。
「聞いていたなら分かるでしょう、ゴーシュ。わたくし、やっとあの方と婚約破棄できそうなのですよ。このチャンスを逃すわけにはいきませんわ。国王様にはこのままでいてもらわないと」
「シャーミィ様・・・」
おいたわしい、と顔をしかめるゴーシュ。わたくしとしてはラッキーなんですけどね。
わたくしが聖女となったのは二年前です。まさかド田舎の伯爵令嬢が聖女認定されるなどと思ってもおらず、いきなりやってきた王家のお迎えに気絶してしまったのは恥ずかしい思い出ですけれど。
あの日から、毎日朝晩のお祈りに加え、昼は魔物の討伐や訓練。王家に嫁ぐための教育などによりわたくしの自由は無くなりました。逃げて隣国へ亡命しようかと思ったこともありましたが、この国にも見捨てられない人がいるんですよね。
王宮内の自室へ戻ると、王女付きの侍女がやってきました。王女様からのお茶のお誘いだそうです。急なことですが、王女様はおてんば、いえ、行動力のある方なので、こうしたお誘いが多いのです。わたくしは、侍女に案内されて王家の誇る薔薇の庭園にやってきました。
「シャーミィ! こっちよ!」
「イエンサ様、ごきげんよう」
笑顔で手を振ってくださるのは、王女のイエンサ・クシュフー様。ラクンボ様と同じ金髪碧眼ですが、あの方よりもよっぽどお可愛らしいです。
「座ってちょうだい。今日はイチゴのタルトがあるのよ。シャーミィはイチゴが好きでしょう?」
「まあ、覚えていてくださったのですね。嬉しいですわ、ありがとうございます」
イエンサ様はラクンボ様と違って、非常に優しくて聡明な方です。家臣の方々は、ラクンボ様と性別が逆ならよかったのにと嘆かれているとか。・・・あんなお馬鹿な王女も嫌ですけどね。
「・・・シャーミィ、ごめんなさい。お兄様が非常識な発言をしたと聞いたわ。シャーミィはこんなに素敵な女性なのに、私が何を言っても取り合ってもらえなくて・・・」
「イエンサ様。わたくしのことを褒めていただいて光栄ですわ。ですが、恋愛感情というものは、きっと理屈ではないのでしょうね。ラクンボ様はロデクシーナ様を新たな婚約者に迎えるそうですわ」
「あの馬鹿兄! ロデクシーナなんて、魔力が多いだけの脳みそお花畑女なのに! あんな甘やかされ放題の女が魔物の討伐なんてできるはずがないわ!」
そこはわたくしも同感です。一度しかお会いしたことはありませんが、ロデクシーナ様は多くの男性に傅かれており、何でも人にしてもらうことが当たり前、といった感じのお嬢様でした。魔物の討伐以前に、前線に同行することすら難しいと思います。
「・・・ファドミーレ様は、おそらくロデクシーナ様を聖女には選ばないと思います。次の聖女がどなたになるかは分かりませんが、ラクンボ様と上手くやっていける方だといいですね・・・」
私がそう言うと、イエンサ様がため息をつかれました。
「ロデクシーナが選ばれないなら、ひとまずは安心ね。それにしても、お兄様は見る目が無いわ。シャーミィはこんなに綺麗なのに」
「もったいないお言葉ですわ」
「本当のことよ。シルバーブロンドの髪はサラッサラだし、瞳はアメジストみたいで素敵だわ。まるで妖精さんみたいよ。あーあ、私が男だったらシャーミィと結婚してお兄様から王座を奪うのに」
「まあ、イエンサ様ったら」
うふふと二人で笑い合っていましたが――男、だったら。
・・・わたくしはイエンサ様の言葉で、とても良いことを思いついてしまいました。
わたくしにそう言ってくれたのは、護衛騎士のゴーシュ。がっしりとした体格の美丈夫で、ツンツン跳ねた黒髪がワイルドです。実はラクンボ様に絡まれている時からずっと傍にいましたが、いくら無礼でも相手が王子では何も言えませんものね。
「聞いていたなら分かるでしょう、ゴーシュ。わたくし、やっとあの方と婚約破棄できそうなのですよ。このチャンスを逃すわけにはいきませんわ。国王様にはこのままでいてもらわないと」
「シャーミィ様・・・」
おいたわしい、と顔をしかめるゴーシュ。わたくしとしてはラッキーなんですけどね。
わたくしが聖女となったのは二年前です。まさかド田舎の伯爵令嬢が聖女認定されるなどと思ってもおらず、いきなりやってきた王家のお迎えに気絶してしまったのは恥ずかしい思い出ですけれど。
あの日から、毎日朝晩のお祈りに加え、昼は魔物の討伐や訓練。王家に嫁ぐための教育などによりわたくしの自由は無くなりました。逃げて隣国へ亡命しようかと思ったこともありましたが、この国にも見捨てられない人がいるんですよね。
王宮内の自室へ戻ると、王女付きの侍女がやってきました。王女様からのお茶のお誘いだそうです。急なことですが、王女様はおてんば、いえ、行動力のある方なので、こうしたお誘いが多いのです。わたくしは、侍女に案内されて王家の誇る薔薇の庭園にやってきました。
「シャーミィ! こっちよ!」
「イエンサ様、ごきげんよう」
笑顔で手を振ってくださるのは、王女のイエンサ・クシュフー様。ラクンボ様と同じ金髪碧眼ですが、あの方よりもよっぽどお可愛らしいです。
「座ってちょうだい。今日はイチゴのタルトがあるのよ。シャーミィはイチゴが好きでしょう?」
「まあ、覚えていてくださったのですね。嬉しいですわ、ありがとうございます」
イエンサ様はラクンボ様と違って、非常に優しくて聡明な方です。家臣の方々は、ラクンボ様と性別が逆ならよかったのにと嘆かれているとか。・・・あんなお馬鹿な王女も嫌ですけどね。
「・・・シャーミィ、ごめんなさい。お兄様が非常識な発言をしたと聞いたわ。シャーミィはこんなに素敵な女性なのに、私が何を言っても取り合ってもらえなくて・・・」
「イエンサ様。わたくしのことを褒めていただいて光栄ですわ。ですが、恋愛感情というものは、きっと理屈ではないのでしょうね。ラクンボ様はロデクシーナ様を新たな婚約者に迎えるそうですわ」
「あの馬鹿兄! ロデクシーナなんて、魔力が多いだけの脳みそお花畑女なのに! あんな甘やかされ放題の女が魔物の討伐なんてできるはずがないわ!」
そこはわたくしも同感です。一度しかお会いしたことはありませんが、ロデクシーナ様は多くの男性に傅かれており、何でも人にしてもらうことが当たり前、といった感じのお嬢様でした。魔物の討伐以前に、前線に同行することすら難しいと思います。
「・・・ファドミーレ様は、おそらくロデクシーナ様を聖女には選ばないと思います。次の聖女がどなたになるかは分かりませんが、ラクンボ様と上手くやっていける方だといいですね・・・」
私がそう言うと、イエンサ様がため息をつかれました。
「ロデクシーナが選ばれないなら、ひとまずは安心ね。それにしても、お兄様は見る目が無いわ。シャーミィはこんなに綺麗なのに」
「もったいないお言葉ですわ」
「本当のことよ。シルバーブロンドの髪はサラッサラだし、瞳はアメジストみたいで素敵だわ。まるで妖精さんみたいよ。あーあ、私が男だったらシャーミィと結婚してお兄様から王座を奪うのに」
「まあ、イエンサ様ったら」
うふふと二人で笑い合っていましたが――男、だったら。
・・・わたくしはイエンサ様の言葉で、とても良いことを思いついてしまいました。
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