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第一章 エリミア辺境王国編

29.再会して巻き込まれ

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行く手を阻む者がとりあえず消えたので4人は先を急ぐことにした。

中央塔まで辿り着くと、中央階段にて大賢者様及び各塔長の賢者様方が運ばれているのが階下に見えた。

「リーシェ…」

小さくフレイは呟き震える。視線の先、もうすぐ地上階グラウンドフロアに到達するであろう辺りにいる集団の中に、光沢あるグレイの賢者のローブに紅き花束を印し椅子にのせられ運ばれているリーシェライルの姿があった。
力無く椅子から落ちる腕が、もう一刻の猶予も無いことを物語っていた。

ニュールは先程の《14》の時間稼ぎが気にはなっていたが決断した。

「大賢者様を救いに行くぞ!!」

その言葉と共にフレイをひょいと抱えあげる。足元に魔力を展開し3層の吹抜けとなっている手すりの所から地上階へ一気に降下し、大賢者様を運ぶ一行の前へ向かう。
流石に前に立ちふさがるように出現した目立つ状況で隠蔽の魔力を展開してても効果は薄いのでそのまま隠蔽は使わず降り立った。
するとそれを予想していたように兵達が一瞬で周りを囲む。ニュールの嫌な予感が強くなった。

『連携した臨機応変な対応…』

ニュールの目の前に先程自己紹介してきた影が、エリミア兵の鎧を着て兵の一人として立っていた。
そして更に横からサランラキブが現れる。

「ごきげんよう。フレイリアル様」

逃げた獲物を再び見つけた時の歓喜の笑顔を向けてきた。

「この運命付けられた邂逅。重畳であります」

歪な笑みが次の標的となるニュールに向かう。

「これはこれは、フレイリアル様の守護者候補様。お初にお目にかかります。先程はどうやら私の守護者候補がお世話になったようで…回収しましたが使い物にならなくなっていて困りましたよ」

その言葉と同時に短剣を投げてきたが、結界で弾くまでもなくニュールは無言のまま素手で受け止めた。

「おやっ、忌々しくもあの御方が欲しただけあって此れぐらいじゃあ、何ともないですよね」

今度は魔力による攻撃を仕掛けてきたがそれも軽くいなした。
サランラキブは自分の守護者候補が痛めつけられたことが少し腹立たしくもあったようで、一寸した鬱憤ばらしの攻撃を仕掛けてきたようだった。
ニュールはそれを理解し少し甘い対応をしていた。子供だましな対応をされていると気づいたサランラキブだったが、ムッとした顔をするも怒りを増さず却って冷静になっていた。
そして笑みを浮かべて言う。

「いやっ、予想外の事柄が色々あり子供っぽいところを見せてしまいお恥ずかしい限りです。でも、そろそろ予定通り運ばせて頂きたいと思いますのでお許し下さい…」

慇懃無礼に礼をし、サランラキブは目の前の床に魔力を注いだ。そこには隠蔽魔力で隠されていたのか今まで見たことのない転移陣が青白く浮かび上がってきた。その正面玄関の両開きの扉の倍ぐらいの大きさの円形の陣は、徐々に輝きを増していった。
浮かび上がった陣の輝きが極限を迎えた時、突如その中に砂漠王蛇ミルロワサーペントが現れた。

「「「「「 !!!!! 」」」」」

そこにいた全員が今まで王城内では目にしたことが無い魔物に唖然とした。
境界壁が機能していないことで、壁外とここの転移陣を結ぶことが出来たようだ。
それでも、この大きさの陣で国境外と王城を結ぶ 回路パスを開くことが出来るのは賢者相当の実力である。

そしてニュールは、まるで因縁と言う名の運命がコイツに結び付けられているのかと思うぐらい遭遇率の高い砂漠王蛇に、驚きと共に辟易とした気分になった。

「陣を皆様が集まる直前に設置するのは大変でしたけど、驚いてもらえて遣った甲斐がありました。実証実験としても成功ですし、あの御方へのよい報告が増えます」

あの御方と口にしたサランラキブは狂気が宿る笑みを浮かべる。

「さあっ、僕が用意した舞台はこれからです。心して楽しんでください」

こんな状況下でニュールの後ろから出るに出られなくなっていたフレイリアルだったが、リーシェライルが兵達に囲まれた奥でぐったりと椅子にもたれ掛かり微動だにしない姿が目に入る。
それなのに手が届かない…その事にやきもきしていた。

ほんの50メル先のリーシェが遠い。

『自分が踏み出さなきゃ近づけない!』

無意識にニュールの庇護下を抜け出し走り始めた。砂漠王蛇の対応と《14》率いる兵の対応で手一杯なニュールが対応出来ない位置まで一気にフレイリアルは駆け抜けた。
あとリーシェライルまで10メルと言う場所でサランラキブがフレイリアルの所に移動してきて進路を遮る。

「退いて下さい」

フレイリアルは静かに告げる。その言葉には今までに無い意志がこもっていた。

「退いてと言われて退いてあげられるほど僕は優しくないんです」

見下す微笑みを浮かべ続ける。

「貴女は、尊きあの御方へのお土産って言ったでしょ? 聞いてませんでした?」

自分勝手な理論を展開し無理やり捕まえようとする。
横目でそのやり取りを見ていたニュールはサランラキブへ攻撃の魔力を放つが、《14》に軽く魔力を当てられ逸らされてしまった。

「ニュール先~輩! こちらに集中してくださいよ~砂漠王蛇も僕も寂しいじゃないですか~」

兵を動かしながら的確に包囲捕縛しようとしている。

「あなたも捕縛依頼を3件ほど頂いてまして…お熱~い赤い姫様の所か、寒気~のする青い方の担ぐ姫様の所か、国か…どれがお好みですか?」

《14》はニュールに嫌なことを言ってくる。
その間も混乱を招いている砂漠王蛇の攻撃が、志向性を持っているかのようにニュールに集中している。更に《14》に陣形を操られた兵達は今までになく兵隊らしく動いている。

「……」

防御と回避で手一杯なニュールは口を結ぶしかなかった。
すると、近くで攻撃を弾く音と声がする。

「痒い所に手が届く連れ合いって欲しくないですか?」

モモハルムア達が背中を合わせるようにニュールの背後に現れた。

「これは…砂漠王蛇ですの? 初めて見ましたわ」

的確に防御の結界を繰り広げながらモモハルムアは興味深そうにソイツを見て言った。

「さぁ、さっさと片付けてしまいましょう!」

やけに前向きで積極的な言葉に、守りのみになっていたニュールは背中を押される。

「意気込みが違うな…頼りにしてるぞ! でも、油断はするな!」

二人は十分心強く頼もしくもあったので心からの笑みでニュールは答えてしまった。
すると、こんな状況なのにモモハルムアの瞳に蕩けるような甘さが浮かび上がり、真剣な面持ちをこちらに向けてきた。

「意気込み…と言うか、目標みたいなものが私の目の前に現れたので…手を伸ばして見ようと思ったのです…手に入れても良いですか?」

やけに具体的に攻めてくる。
ニュールの背中に別な意味でも冷たい汗が流れる。魔物蛇に睨まれた餌魔物…ならぬ、モモハルムアに見つめられたニュールである。

「…っと、とりあえず片付けないと…」

たじたじとなりながら矛先を変える努力をしてみた。何より、片付く前に片付けるぞ…と明確な殺意の籠る目を向けてくるフィーデスから逃れるためにも。

「…そうですね、まずフレイリアル様達を保護しなくては」

モモハルムアも横目で見たフレイの状況に不味さを感じて申し出てくれた。

「一瞬だけ持たせます。あの方達をお救いしてこの状況を根本から変えて頂かねば!」

「頼んだ!!」

任せられると判断したニュールは足元に魔力を広げ一瞬で飛んだ。
すると、砂漠王蛇は今までニュールに向きあっていた方への攻撃をやめ、場所を移したニュールへ向かって移動する。

「へぇ~志向性を持つ様に出来るようになったって本当だったんだ。サランラキブ様って以外とやるね…陣を敷く時間作ってあげた甲斐があるなぁ」

移動する砂漠王蛇を確認しながら呟いた。

「じゃあ、僕も少しまた協力しようかな…」

残ったモモハルムアとフィーデスを見やり呟いた。そして二人に告げる。

「僕は任務以外の無駄な殺生は嫌いだから少し遊んであげるよ。苦しくなれば騎士が飛んでくるでしょ?」

「モモハルムア様の騎士は私だ!」

ちょっと八つ当たりぎみに女騎士フィーデスは言葉を吐き捨て、ギリギリと歯を噛みしめた。

「…私の騎士…」

モモハルムアはその言葉に一瞬この場所を忘れ、紅潮する頬を両手で押さえていた。そしてフィーデスのニュールへの嫉妬の炎を極限まで燃やすのであった。


フレイリアルは妨害からから逃れつつリーシェライルに近寄ろうと努力していた。
妨害しているサランラキブは余裕で遊んでいるようだった。そして先程フレイリアルに吹き飛ばされた鬱憤を張らしたのか、状況を進めるための言葉による爆弾を投下した。

「さあ、兵の皆様。早急に大賢者様を保護移送せねば王命に背く事になりますぞ」

兵達は砂漠王蛇の出現やニュール達の戦いで戸惑っているところに、フレイリアルまで駆け寄ってきたので大賢者様ご一行は混乱状態で停止していた。だがサランラキブの声掛けに我に帰った兵達が、自分達の行動を見直した結果…列が動き出した。

「リーシェ!」

我慢していたが、もう耐えられなかった。フレイは離れて行く鮮烈な赤に飾られているリーシェライルに泣きながら呼び掛け叫んだが列は進んでいく。
サランラキブは心から楽しそうに言う。

「検証です。このまま塔の外に連れ出した時の結果も、詳しく観察してあの御方への報告に是非加えましょう」

だが、進み始めた列がまた止まる。
サランラキブはその状態を訝しむ。

「ニュール!」

涙をぼろぼろ流したフレイリアルが叫ぶと同時に攻撃が飛んでくる。それと同時に叫んだフレイリアルごと後ろへ吹き飛んだかのように見えた。吹き飛んだ先にはフレイを小脇に抱えたニュールが立っていた。

「子供の喧嘩や、からかい遊びに口を挟む気は無いんですが…坊っちゃんはチョットおいたが過ぎるんじゃなですかね」

本気で泣いているフレイを見て、泣かせたサランラキブに憤懣遣る方無い気分のニュールだったが、なぜそこまでの自分が怒っているのか分からなかった。
それは所謂「家の子に何すんジャ!!」と言う気分なのだが、ニュールは自分が父親気分であることには気づかなかった。

状況を変化させられ苦言を呈されたサランラキブはムッとした表情で言う。

「貴方、やっぱり邪魔ですね!」

そしてニュールに攻撃を仕掛けてくる。
影ほどでは無いが魔石の特性を生かした攻撃を繰り出してくるので簡単にはその場を抜けさせてはくれない。
一瞬の攻撃のやり取りを唖然として見守る兵達。

その中で遠くから漏れ聞こえてくる声。

「フレイ…近くにいて…」

意識を失っていると思われた大賢者リーシェライルから届く弱々しい最期の望みのような声だった。

聞こえた瞬間フレイは行く手を阻むもの全てを吹き飛ばすような魔力を纏った。
そして声の方へ歩いて行く。
静かに歩み来るフレイリアルを止めようとした兵は、吹き飛ばされるものも有れば崩折れる者もあった。次第に止めるものもなくなり自然とそこへ至る道が開いた。

「リーシェ……」

辿り着いた先のリーシェライルは、紅く彩られたローブを身に纏い椅子にもたれ掛かったまま動かない。

頭に血が上るような熱と共にフレイリアルのなかに流れ込んで行く魔力が量を増した。

そして、その膨大な魔力が感情に従い怒りの波を作り、押さえていた何かと共に溢れだしそうになる。それを塞き止める自制と言う名の堤防が決壊してしまえば取り返しがつかないことは判ったが、もう自分では止められそうも無かった。

その時、遠くから砂漠王蛇の魔力による攻撃が届くが目の前で結界を展開し守ってくれる者がいた。

「大賢者様を青の間に連れていくんだろ。4階…3層までは運んでやる。後はお前が頑張れ!」

フレイは全てを捨て去りたい気持ちから解放され、当初の目的を思い出す。

『リーシェを助ける!』

「ニュール、ありがとう…」

フレイへの返事に、ニカッと笑って親指まで立てて答える自分に気付いたニュールは久々に思う。

『うわっヤバ! オレ、オッサンソノモノ!! …オレは見た目47歳だけど本当に26歳なのに~』

心の中の思いが虚しく自分の中に広がった。
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