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番外編

フォリア・エヴィル(本編12~14話)1

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 ――――リーン ゴーン…………――――どこかで、祝福の鐘が鳴っている(気のせい)――――
 第一騎士団所属 エヴィル伯爵家次男フォリア・エヴィルは今日、運命の人と出会った――――

 その日も、いつもと変わらない日だと思っていた。同じ第一騎士団の団員たちと訓練し、ご飯を食べ、書類整備だのなんだのと、変わらない日だと思っていたのだ。

 ――――第一騎士団団長 レイノート・ライフォエンが、美しい女性を訓練場に連れてくるまでは。

 遠目からでもわかる、あの神々しい容姿。宝石のように輝いて見える。黒髪であるから、召喚された女性の内、どちらかだろうとはわかった。そのときは女神だとは思わなかったが。副団長のオヴェラルト・キリシュタインが驚いてすっ飛んでいく。

「……はあ!?え、女神様と手合わせ!?って、木刀持ってる!?なんでそうなった!?」

 オヴェラルトの叫びに、ざわり、と空気が揺れる。どうやら、女神とレイノートの手合わせのために訓練場に来たようだ。確かに、二人の手には、魔法で強化された木刀があった。本当になんでそうなったんだ?誰もが首をかしげる。

「お願いしたら受けていただけた」
「いや、それはわかるけど、いや、そうなんだけど!え、女神様!こいつ化け物ですけど大丈夫ですか!?」
「失礼な。否定はしまいが」

 そんな二人のやりとりに、女神はおかしそうにクスリと笑った。本当に、美しい女性である。漆黒の髪に瞳。透き通るような白い肌に、ピンク色の唇が弧を描いた。

「あら、お揃いですね。私も日本では化け物って言われてたんですよ」
「……嘘だろ……!?」

 オヴェラルトが愕然とした表情をしている。正直、フォリアだけでなく全員が思ったことだろう。ぜんっぜん、そうは見えない、と。むしろ、血なんて苦手そうで、戦えると言われても信じることは難しい。ポキッと折れてしまいそうな、儚げな容姿をしているから余計だ。二人の会話は続いていたが、フォリアの視線は女神に釘付けだった。ただ佇んでいるだけなのに、女神は、微笑んでさえいるものの、うっすらと威圧感のようなものを醸し出している。ぞくり、とフォリアの背筋に戦慄が走る。見ていれば、次第に女神とレイノートの二人を取り巻く空気は、殺伐としたものになっていた。
 その後直ぐに始まった手合わせは、果たして手合わせと言えただろうか。最初は軽い打ち合いで本気ではなさそうだったのに、何度目かの打ち合いの後、女神の足下でパシャリと水が跳ねてから、徐々に苛烈さを増していく。フォリアは、ずっと女神だけを見続けていた。女神だけしか見えていなかった。あのレイノートは、オヴェラルトが言ったように化け物だ。騎士団内で№2の実力の持ち主で、彼に勝ち越している人間など総長だけである。それなのに、あの女神は。

「……素晴らしい……」

 己の奥深くに眠っていた本能が目覚め、主君だと、仕えるべき主だと、叫んでいる。白蛇族と人間のハーフであるフォリアに、獣性とやらは薄いと思っていたが、そうじゃないらしい。そこまで思える人に、出会えていなかっただけなのだ。
 あのレイノートと、互角の戦いを繰り広げている。なんと強く、美しいのか。あの水は魔法?いや、女神特有の力だろうか。なんでもいい。とにかく、水と踊っているような戦い方に、フォリアは見惚れた。フォリアの瞳はどろりとした熱を孕み、見る人が見れば、あ、こいつ恋してるな、と一発でわかるほどだった。
 途中で、手合わせの苛烈さにやばいと感じたオヴェラルトが、総長であるレイトラルを呼びに行かせ、更には第一王子殿下シリウス、側近のセイランまで一緒に連れて帰ってきているとは、全く気づいていなかった。
 そんな夢見心地のフォリアを現実に戻したのは、両者の木刀がバキッと折れる音だった。苛烈すぎて、強化を施された木刀も耐えきれなかったらしい。唐突に終わってしまい、もっと見たかったと残念な気持ちである。その後も、レイノートやレイトラル、シリウスたちと話す女神を見ていれば、シリウスが彼女のことを瑞姫と名前で呼んでいるのを聞いた。

「……ミズキ、様……」

 呼んで、ぱっ、と口元を抑える。無意識だった。ドクドク、と心臓が早鐘を打っている。体が熱く、はあ、と吐いた息は熱がこもっていた。これはまずい。フォリアは必死に熱をおさめる。ぶんぶん、と頭を振って熱を追い出した。そうして、ようやく周囲の状況を読めるようになり、片付けている団員たちが目に入る。折れた木刀は、まだ女神の手にあった。きらり、とフォリアの目が光る。近づくチャンス。いつものようにと心がけ(この時点でもういつものようにじゃない)、女神に近づく。

「女神様、木刀をこちらに」
「え、あ。そうだった、木刀壊してごめんなさいっ」
「いえ。木刀であれば、いくらでもありますのでお気になさらず。大きい怪我がなく、なによりでございます」

 女神とついでにレイノートの持っていた折れた木刀を回収し、一礼して何事もなく立ち去ることができた。
 木刀を廃棄するため、裏に回ったフォリアは崩れ落ちそうになった。しかし、誰が来るかわからないこんなところで、膝をつくわけにも行かない。根性で立っていた。

(かわいらしい……っ遠目でも美しいと思ったが、近くで見るとより一層美しい、いや、神々しい……!さすが女神様。あぁ、お声も可愛らしいし、はにかむ笑顔も……。戦闘中は別人のようだが、それもまたよし。あのギラギラした獲物を捕らえるような瞳に見られたい……。普段はほんわかとした方なのだろうな。……はっ。そうか、これがギャップというやつか)

 以前、同僚がギャップがある方がいい、と言っており、そのときはなんだそれと思っていたが、今ならわかる。ギャップ、いい……!木刀を片付け、フォリアが表に戻ってきたときには、レイトラルたちはすでに立ち去った後だった。女神もいないかと思ったが、隅の方にちょこんと座っているのが見えて、危うくガッツポーズをとるところだった。危ない。
 それから、ミズキを視界に入れつつ(無意識)、訓練を熟す。一度目があったときは、歓喜の声を上げるところだった。このとき、それ(キラキラエフェクト(幻覚)と、嬉しそうな笑顔)が表情に出てるとは思ってない。途中でシェリタウザいのに絡まれたが、いつものことなので当然無視。
 フォリアにとって幸せの時間は、あっという間に終わりを告げる。訓練終了である。
 声をかけたいが、なんと声をかけていいのかもわからず、そも、自分から声をかけていいのか(木刀の件は仕事の内だったから声をかけることができただけ)。そう悩んでいれば、なんと、女神の方から声をかけてきたではないか。しかも、名前を呼ばれた。これだけでも天に昇れそうである。しかし、声をかけてくれたはいいが、じーっと見られ、落ち着かない。それを耐え、きれなかったので、こちらから呼びかけてみれば、なんと。

「うーん。……ストレートに聞きますね。私に仕えたいのですか?」
「!?な、……えっ」

 隠していたのになぜわかった、といつもの冷静さを失い動揺して言葉を失ってしまった。もしかして、その思いが顔に出ていたのか?と、恥ずかしさがこみ上げてきて、顔が熱くなる。すると、何故か女神も顔を赤くし、それを隠すように頬に手を当てた。(あ、かわいい)どうやら、精霊に聞いたようだった。なるほど、と熱がすっと引いた。よかった、心が読まれているわけじゃなくて。読まれていたら大惨事である。主にフォリアが。

「いえ、しかし、その……。私は、……誰かから聞いているかと思いますが、白蛇とのハーフでして。確かにお仕えしたいとは思っておりますが、私では分不相応だと」

(あぁ、この方は精霊が見えるし、声も聞こえる方なのか……。素晴らしい。だが……そう、自分では分不相応だ)

「その、仕えたい、というのは、護衛と違うんですか?」
「え?あ、いえ。護衛も含みますが、私はその、貴女に尽くしたいのです。貴女を主君とし、お仕えさせていただきたい」
「騎士団、はどうするんですか?」
「もしお仕えさせていただけるのならば、辞する所存です。ですが、……先ほども言いましたが、私では……」

(なん、だ?……女神様は、何をお考えで……?)

「女神様。ご歓談中失礼しますよ」

 そんな二人の間に割って入ってきたのは、シェリタであった。思わずフォリアは舌打ちが出そうになり、慌てて飲み込む。ニヤニヤと気持ち悪い笑顔を浮かべ、いつものように大げさなジェスチャー付きで、フォリアが如何に女神に相応しくないか語り始めた。白蛇族が人間にとってどうたらこうたらと。ちらり、と女神に視線を向ければ。

(……女神様が……笑っておられない……。むしろ、瞳が冷え切っている……。嫌悪、か?)

 さきほどまで、ふんわりした雰囲気だったのに。シェリタの話が終わって、女神がどうするのか。

「もしかして、フォリアさん危惧してるのそれ?毒?」
「毒もありますが、私がお側にいては、女神様の評価にも響きますので」

 シェリタの話は、全面的に肯定するしかない。納得はしてない。してない、が。女神は、シェリタに、じゃあ誰がいいか聞いた。そしたら、シェリタは自分を売り込んできた。まあ、そうなるだろう。彼はフォリアのことが嫌いだからだ。フォリアはいちいち絡んできてウザいな、くらいにしか思ってない。無関心である。次期副団長、と自分で言っているから驚いたのだろう、少し目を丸くして女神はフォリアを見上げた。え、これが?と言っているようだったので、間違ってはないと曖昧に答えておく。すると、女神は眉間にしわを寄せてシェリタに視線を戻した(あ、のことを見ていて欲しいのに)。

「安心してください。私は、貴方を護衛になど絶対に選びはしません」

 力強い否定の言葉を放った。当然、シェリタは絶句する。選ばれて当然だと思っていたからだ。

「なぜです!?そいつは女神様にとって害にしかなりませんよ!?」

 その叫びに、女神はふん、と鼻で笑う。そしてフォリアを見て、血をくれと言った。ちょっと何言ってるかわからないな。驚きのあまり思考も止まったため、一瞬の動作が遅れた。ガシッと手をつかまれ、甲に傷がつくまで一瞬である。慌てて引き剥がそうにも、女神の不思議な水の力で押さえつけられ、まさか暴力を振るうわけにも行かず。こら、動かない、と柔らかな声で上目遣いに言われれば動きを止めるしかなくない?声を上げようにも、黙って見ていろと目で黙らされ、伏せられる。それは、とても扇情的に映る光景だった。傷口に瑞姫の唇が触れた瞬間、ゾクリと体が震え、ぺろり、となめられた感覚はたまったものではない。赤く染まる顔を隠すように逆の手で覆うくらいしかできず、しかし、そこから目が離せない。

(め、めがみ、様が……お、れの血を……舐め、な……)

「女神様!そいつの血は毒が含まれているのですよ!?何をなさっているのです!」

 シェリタの叫びに、はっ、とフォリアは正気に戻った。女神を見れば、手は握っているものの、唇は離れているし、いつのまにか水の拘束も解けていた。そんなシェリタの叫びに、女神は普通に、毒が効かない体質だと証明して見せた、と言う。そんな都合のいいことがあるのか、と動揺も隠せず、震える声で本当か確認すれば、少しいたずら気な笑顔を見せて頷いてくれた。具合が悪いようにも、嘘をついているようにも見えず、フォリアは呆然とする。トリカブトですら効かないから、それより弱い毒などジュースのようなもの、という女神に、毒はジュースと言いません、とすかさず突っ込んだ。
 そして、白蛇族のことも問題ないと言い切った。むしろ、蛇は好きだから側に、とまで。女神の世界では、白蛇は神聖視されている生き物で、とても縁起のいい生き物らしい。

(こんな……、こんな、都合がいいことなんて……、あって、いいのか……?私は……俺は……、女神様の側を、望んでもいい、と……?)

 女神は、白蛇を侮辱されたことに怒りを感じているようだ。本当に、蛇が好きなのだろう。シェリタを睨み付ける女神からは、殺気すら漂っている。

「一度目は知らなかったから、と言うことで場を納めます。しかし、二度目はありません。次、私の前で白蛇を侮辱、もしくはそれが耳に入れば、ぶっ飛ばしに行きますので間違いのないよう」

 ぴしゃりと言い放つ女神がかっこいい。オヴェラルトに声をかけた女神は、手をつないだままフォリアを連れてレイノートの執務室に入った。レイノートに手をつないでいることを指摘され、ぱっと離されてしまった。悲しい。
 先ほど起きたことを簡潔に説明し、シェリタのことで謝罪するレイノートの言葉を聞き流し、シェリタの話題を聞き流した。その間、ずっと恍惚とした眼差しでフォリアは女神を見ていた。端から見たら、めちゃくちゃ危ないやつである。

「……フォリア、お前、女神様を主君と決めたのか」
「!……はい。この方にお仕えしたい。強く、惹かれるのです」

 一部の亜人族は、主君を定めると一生側に仕え、その主君以外の命令は全く聞かない性質を持っている。この先、レイノートの言うことを聞けるか自信がない。獣性の性を理解しているレイノートは、なるほど、と苦笑いで頷いた。

「女神様、亜人族の……まあ、一部ですが、主君を定める性質は理解しておられますか」
「あ、はい。一生側に仕え、主君以外の命令は全く、きかな……あー!フォリアさんの仕えたい云々はそういうこと……!」
「ご理解いただけて何よりです。白蛇族の私ですが、どうか仕えさせていただきたく」

 ここぞ、とフォリアは押していく。どうしても、側にいたいのだ。白蛇族だからと遠慮していたが、しなくていいと女神は言ってくれたのだ。少し驚いていた女神だが、うーん、と考えた後に、頷いてくれた。

「……まあ、いいですよ。えっと、許します」
「!はい!ありがとうございます、女神様!」

 フォリアは歓喜一色である。そこへ、レイノートが主従契約を結べば?と言う。フォリアは驚いた。
 主従契約を結ぶ?と女神は首をかしげた。そんな女神に、レイノートが説明すると、聞いている内に女神は乗り気になったのか、最終的にしてもいいと言ってくれた。しかし、そこに待ったがかけられる。する前に、両親に報告すべきだと。正論である。お預けを食らった気分だがこれは仕方がない。明日朝一で報告しに行こうと決めた。
 そんなフォリアを見て女神は思うところがあったのか、とんでもない代物をその場で創造。仮の証拠だと、青いリボンまでつけてフォリアへ授けてくれた。感極まりすぎて泣くかと思った。とりあえずこれは宝にしよう。仰々しく跪き、両手で恭しく受け取ったのだった。

~~*~~

おかしい。フォリアこんな性格じゃなかったのに。なんでこうなったんだろう?
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