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0話-蔦風と出会う直前の
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「おいおい聞いたかよ。今度は元人間も来るらしいぜ?ただでさえ組織が弱くなってきてるっつーのにふざけんじゃねーぜ」
「そういう君も半分人間でしょうに」
先程からブツブツ言っているのは、火龍と人間の間に生まれた半妖。赤髪の少年。
「るせーな蝦蟇野郎。そういうお前はどうおもってんだよ」
蝦蟇。首から瓢箪を下げ、緑と黄色の長髪を一つにくくり、鳶色の着物を纏う飄々とした隈の目の男。
「俺はどうでもいいですかね。誰が来ようともどうせすぐ死ぬんだろうし。」
ここは異空間のなかにある路地裏。九人集える開けた場所である。すきま風が何処からか吹き込み、より一層異様な空気にさせた。冷たいコンクリートの壁。錆びた室外機。立て掛けある何かの資材であろう木の板。扉の前の小さな階段。
「僕は楽しみさ!フフッ、僕と同じ元人間!話が合いそうだ!」
顎に人差し指を添えて宙を眺める黒髪長髪の少年。階段の脇にいる半妖と蝦蟇の方に歩み寄る。
「ケッ!お前の性格知ったら元人間サンも逃げてくだろーよ」
黒髪の少年は半妖よりも背が低いので、常に見下されている。
「コラ!あんた、余計なこと言うんじゃないよ!」
そんな二人の会話にズイと入る女が一人。木の板の近くに腕を組んで立っている。
「そのなんでも突っかかっていく性格直せって何度も言ってるだろう?」
「るせーな、ほっとけ」
母親のように半妖を叱るその女は胸の前で髪を簪で巻き、着物のようなものを纏っている。
「ハッ!仲がいいこって。てめえは反抗期の男子高校生かよ?」
次に口を開いたのはドラム缶の上に座っているハーフアップの少年。
「んだと?ろくに戦えねぇお前が・・・・・・ゲッ!紬もいるのかよ!」
半妖が驚いたのはハーフアップの少年の横に立っている人間だ。頬に黒い五本の痣をもつ青年。その青年がニヤリと目を細め、ハーフアップの少年の肩に腕を回しながら半妖を見据える。
「あんまりうちの人いじめないでくれる?トカゲ野郎」
年の頃は十九。ちなみに肩に腕を回されている少年は引いている。
「キメーよ離しやがれ。んだよ『うちの人』って」
「えー?だって俺と契約してくれてるんだからうちの人でしょ?泣いちゃうよ俺」
腕を離すとニコニコしながら体を傾けハーフアップの少年に語りかける。
「う・・・・・・うる・・・・・・さい」
次に加わったのは室外機の前に立つ白い花の髪飾りを着けた純白の少女。ボソッと放つ言葉は確かにその場の全員に届く。
「そいつの言う通りだ。もうすぐ海が来るぞ。」
最後に壁にもたれた金髪の青年が『海が来る』と言った。
その瞬間、階段の脇にいる半妖と蝦蟇の間に一人現れた。フードを深く被り、階段の一番上に座っている。
海が来たのだ。
「よぉ。お前ら。なに話してんの?」
「そういう君も半分人間でしょうに」
先程からブツブツ言っているのは、火龍と人間の間に生まれた半妖。赤髪の少年。
「るせーな蝦蟇野郎。そういうお前はどうおもってんだよ」
蝦蟇。首から瓢箪を下げ、緑と黄色の長髪を一つにくくり、鳶色の着物を纏う飄々とした隈の目の男。
「俺はどうでもいいですかね。誰が来ようともどうせすぐ死ぬんだろうし。」
ここは異空間のなかにある路地裏。九人集える開けた場所である。すきま風が何処からか吹き込み、より一層異様な空気にさせた。冷たいコンクリートの壁。錆びた室外機。立て掛けある何かの資材であろう木の板。扉の前の小さな階段。
「僕は楽しみさ!フフッ、僕と同じ元人間!話が合いそうだ!」
顎に人差し指を添えて宙を眺める黒髪長髪の少年。階段の脇にいる半妖と蝦蟇の方に歩み寄る。
「ケッ!お前の性格知ったら元人間サンも逃げてくだろーよ」
黒髪の少年は半妖よりも背が低いので、常に見下されている。
「コラ!あんた、余計なこと言うんじゃないよ!」
そんな二人の会話にズイと入る女が一人。木の板の近くに腕を組んで立っている。
「そのなんでも突っかかっていく性格直せって何度も言ってるだろう?」
「るせーな、ほっとけ」
母親のように半妖を叱るその女は胸の前で髪を簪で巻き、着物のようなものを纏っている。
「ハッ!仲がいいこって。てめえは反抗期の男子高校生かよ?」
次に口を開いたのはドラム缶の上に座っているハーフアップの少年。
「んだと?ろくに戦えねぇお前が・・・・・・ゲッ!紬もいるのかよ!」
半妖が驚いたのはハーフアップの少年の横に立っている人間だ。頬に黒い五本の痣をもつ青年。その青年がニヤリと目を細め、ハーフアップの少年の肩に腕を回しながら半妖を見据える。
「あんまりうちの人いじめないでくれる?トカゲ野郎」
年の頃は十九。ちなみに肩に腕を回されている少年は引いている。
「キメーよ離しやがれ。んだよ『うちの人』って」
「えー?だって俺と契約してくれてるんだからうちの人でしょ?泣いちゃうよ俺」
腕を離すとニコニコしながら体を傾けハーフアップの少年に語りかける。
「う・・・・・・うる・・・・・・さい」
次に加わったのは室外機の前に立つ白い花の髪飾りを着けた純白の少女。ボソッと放つ言葉は確かにその場の全員に届く。
「そいつの言う通りだ。もうすぐ海が来るぞ。」
最後に壁にもたれた金髪の青年が『海が来る』と言った。
その瞬間、階段の脇にいる半妖と蝦蟇の間に一人現れた。フードを深く被り、階段の一番上に座っている。
海が来たのだ。
「よぉ。お前ら。なに話してんの?」
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