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皇太子アルフレッド編

愚か者の末路

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少しして、キャサリンとプリシラの刑が確定した。


キャサリンは火炙りの刑、プリシラは修道院送りとなった。私からしたらそれでも生温いと思うが、一応母の復讐は成功したと言えるだろう。


――皇帝、キャサリン、プリシラ。


この三人は本当に生きる資格の無いクズ共だった。母上とシャーロットがコイツらにどれほど苦しめられたか。全てを知っている私は、三人をこの手で地獄へ送っても未だに腹の虫が収まらなかった。


私はそこで、キャサリンとプリシラと最後に会ったときのことを思い出した。


火炙りの刑が確定したキャサリンは耳をつんざくような声で泣き喚いた。


「イヤッ!イヤよッ!助けてよ!シャーロットと違ってあんなに優しくしてあげたじゃない!」


「暴れるな!陛下に何て口のきき方をするんだ!」


騎士たちに処刑場へ連れて行かれながらも大声でそう叫ぶキャサリン。とてもじゃないが一介の平民が、帝国の皇帝に取る態度ではない。しかし、そのときの私にとってはそんなこと気にもならなかった。


「――お前がその名を呼ぶな」


その汚らわしい口で可愛い妹の名を呼ばれたということが、不快でたまらなかった。


私の冷たい声にビクッとなったキャサリンが大人しくなった。と、思いきや今度は静かにポロポロと涙を流し始めた。


「お願いよ……助けて……私、まだ死にたくないの……」


「……死にたくないだと?」


キャサリンのその言葉が私をさらに苛つかせた。


「人を殺しておいて、何を言っているんだ!!!」


「ッ……」


「苦しみ抜いてから地獄へ行け」


「そんな……」


そしてキャサリンは騎士に引きずられるようにして連れて行かれた。最後の最後まで本当にうるさい女だった。


それからプリシラ。


二人の刑が確定したとき、プリシラの反応は母親であるキャサリンとは正反対のものだった。


「お兄様!」


「……私はお前の兄ではない」


二人が投獄されている牢屋へ再び行くと、そこにはやたらと嬉しそうなプリシラがいた。兄と呼ばれたのが非常に不快だったのでそれだけ返したが、プリシラはそんなもの気にもせずに言葉を続けた。


「またまた、そんなこと言っちゃって!お兄様、私を助けてくれたんでしょう?」


「……何を言っているんだ?」


「処刑じゃなくて修道院送りだなんて!やっぱり本当は私のことを妹だと思っていたのね!」


「……」


どうやらプリシラは何か誤解をしているようだ。


プリシラが送られる予定の修道院はそんな生温いものではない。この大帝国で最も規律が厳しいことで有名な場所なのだから。愚かなこの女はそれすら知らないようだ。


(……どこまでも頭がお花畑なんだな)


私はそんなプリシラに呆れ果てて、何も言わずに地下牢を出た。


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