31 / 41
皇太子アルフレッド編
実行
しおりを挟む
(・・・毒を盛るならやはり晩餐の時しかない。)
私は皇帝を毒殺する計画を着々と進めていた。
皇帝は愚かだ。
キャサリンを信用しきっていて、食事の時は毒味すらさせていないのだ。
本人曰く「キャサリンが選んだ者たちが私に毒を盛るわけがない」らしい。
馬鹿なのか。
(・・・まぁ、好都合か。)
皇帝が馬鹿なおかげで簡単に殺せそうだ。
しかし私はあいつを楽に死なせるつもりなど無かった。
じっくりと苦しませてから殺してやろう、そう考えていたのだ。
母上は皇帝に冷遇され、最後は毒殺されたんだ。
それくらいは当然だ。
(そのためには・・・)
私は信用出来る部下を一人皇宮の厨房に送り込んだ。
「いいか、皇帝の食事に毎日毒を少量ずつ盛れ。」
「はい、分かりました、殿下。」
◇◆◇◆◇◆
それから皇帝はよく体調を崩すようになった。
毒が効いているのだろう。
まだ若々しかった見た目も少しずつ変化していった。
皇帝は無能なくせにプライドが高い。
何度も医者に診せることを拒否した。
愛するキャサリンとプリシラに無様な姿を晒したくなかったのだろう。
どこまでも馬鹿な男だ。
自分が毒を盛られているとは思ってもいないのだろう。
こんなのがこの国のトップなのか。
やはりこの男は皇帝の器ではない。
私は目の前で呑気に食事をしている皇帝を見てそう思った。
それから数年が経った。
皇帝の身体はもうボロボロだ。
このまま放っておいてももうすぐ死にそうだ。
わざわざ自分が手を下すまでも無い。
そう思っていた。
しかし―
「なんだと?」
私はフランクから聞いた話に眉をひそめた。
「皇帝陛下がシャーロット皇女殿下に暴力を振るったそうです。」
それを聞いた途端激しい怒りを覚えた。
皇帝はシャーロットにグラスを投げつけたらしい。
後に知ったことだが、シャーロットはどうやら皇帝だけではなく使用人達からも暴力を振られていたそうだ。
(あいつら・・・!)
私はその時激しく後悔した。
あの時皇帝をすぐに殺しておくべきだったと。
(ああ・・・すまない!シャーロット!そしてあのゴミは今すぐ殺す!)
私はすぐに部下に命じた。
「皇帝の今日の食事に今残っている毒を全て盛れ。」
それを聞いた部下は驚愕した。
「えっ!?そんなことしたら死んじゃいますよ!?」
「それでいいんだ。」
「・・・分かりました、殿下。」
部下は驚きながらも結局は私の命令に従った。
そしてついに・・・
「ぐああああああっ!!!」
皇帝は叫び声を上げて苦しみ始める。
「ウィル!?」
「お父様!?どうしたんですか!?」
キャサリンとプリシラは驚きながら皇帝に駆け寄った。
騎士たちが部屋に入ってくる。
「陛下!大丈夫ですか!?」
「大変だ!」
「緊急事態だ!」
「皇帝陛下が何者かによって毒を盛られた!!!」
私は皇帝を毒殺する計画を着々と進めていた。
皇帝は愚かだ。
キャサリンを信用しきっていて、食事の時は毒味すらさせていないのだ。
本人曰く「キャサリンが選んだ者たちが私に毒を盛るわけがない」らしい。
馬鹿なのか。
(・・・まぁ、好都合か。)
皇帝が馬鹿なおかげで簡単に殺せそうだ。
しかし私はあいつを楽に死なせるつもりなど無かった。
じっくりと苦しませてから殺してやろう、そう考えていたのだ。
母上は皇帝に冷遇され、最後は毒殺されたんだ。
それくらいは当然だ。
(そのためには・・・)
私は信用出来る部下を一人皇宮の厨房に送り込んだ。
「いいか、皇帝の食事に毎日毒を少量ずつ盛れ。」
「はい、分かりました、殿下。」
◇◆◇◆◇◆
それから皇帝はよく体調を崩すようになった。
毒が効いているのだろう。
まだ若々しかった見た目も少しずつ変化していった。
皇帝は無能なくせにプライドが高い。
何度も医者に診せることを拒否した。
愛するキャサリンとプリシラに無様な姿を晒したくなかったのだろう。
どこまでも馬鹿な男だ。
自分が毒を盛られているとは思ってもいないのだろう。
こんなのがこの国のトップなのか。
やはりこの男は皇帝の器ではない。
私は目の前で呑気に食事をしている皇帝を見てそう思った。
それから数年が経った。
皇帝の身体はもうボロボロだ。
このまま放っておいてももうすぐ死にそうだ。
わざわざ自分が手を下すまでも無い。
そう思っていた。
しかし―
「なんだと?」
私はフランクから聞いた話に眉をひそめた。
「皇帝陛下がシャーロット皇女殿下に暴力を振るったそうです。」
それを聞いた途端激しい怒りを覚えた。
皇帝はシャーロットにグラスを投げつけたらしい。
後に知ったことだが、シャーロットはどうやら皇帝だけではなく使用人達からも暴力を振られていたそうだ。
(あいつら・・・!)
私はその時激しく後悔した。
あの時皇帝をすぐに殺しておくべきだったと。
(ああ・・・すまない!シャーロット!そしてあのゴミは今すぐ殺す!)
私はすぐに部下に命じた。
「皇帝の今日の食事に今残っている毒を全て盛れ。」
それを聞いた部下は驚愕した。
「えっ!?そんなことしたら死んじゃいますよ!?」
「それでいいんだ。」
「・・・分かりました、殿下。」
部下は驚きながらも結局は私の命令に従った。
そしてついに・・・
「ぐああああああっ!!!」
皇帝は叫び声を上げて苦しみ始める。
「ウィル!?」
「お父様!?どうしたんですか!?」
キャサリンとプリシラは驚きながら皇帝に駆け寄った。
騎士たちが部屋に入ってくる。
「陛下!大丈夫ですか!?」
「大変だ!」
「緊急事態だ!」
「皇帝陛下が何者かによって毒を盛られた!!!」
94
お気に入りに追加
3,435
あなたにおすすめの小説
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
別れたいようなので、別れることにします
天宮有
恋愛
伯爵令嬢のアリザは、両親が優秀な魔法使いという理由でルグド王子の婚約者になる。
魔法学園の入学前、ルグド王子は自分より優秀なアリザが嫌で「力を抑えろ」と命令していた。
命令のせいでアリザの成績は悪く、ルグドはクラスメイトに「アリザと別れたい」と何度も話している。
王子が婚約者でも別れてしまった方がいいと、アリザは考えるようになっていた。
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~
岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。
本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。
別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい!
そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。
どうして別れるのかと聞かれても。お気の毒な旦那さま、まさかとは思いますが、あなたのようなクズが女性に愛されると信じていらっしゃるのですか?
石河 翠
恋愛
主人公のモニカは、既婚者にばかり声をかけるはしたない女性として有名だ。愛人稼業をしているだとか、天然の毒婦だとか、聞こえてくるのは下品な噂ばかり。社交界での評判も地に落ちている。
ある日モニカは、溺愛のあまり茶会や夜会に妻を一切参加させないことで有名な愛妻家の男性に声をかける。おしどり夫婦の愛の巣に押しかけたモニカは、そこで虐げられている女性を発見する。
彼女が愛妻家として評判の男性の奥方だと気がついたモニカは、彼女を毎日お茶に誘うようになり……。
八方塞がりな状況で抵抗する力を失っていた孤独なヒロインと、彼女に手を差し伸べ広い世界に連れ出したしたたかな年下ヒーローのお話。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID24694748)をお借りしています。
戦いから帰ってきた騎士なら、愛人を持ってもいいとでも?
新野乃花(大舟)
恋愛
健気に、一途に、戦いに向かった騎士であるトリガーの事を待ち続けていたフローラル。彼女はトリガーの婚約者として、この上ないほどの思いを抱きながらその帰りを願っていた。そしてそんなある日の事、戦いを終えたトリガーはフローラルのもとに帰還する。その時、その隣に親密そうな関係の一人の女性を伴って…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる