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皇太子アルフレッド編

企み

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その日、私は信頼できる侍従であるフランクと共にいた。


「フランク、お前は父上についてどう思う?」


私はフランクに尋ねた。


「皇帝陛下についてですか?・・・最低な男ですね。クズだと思います。」


フランクは少し考えこむ素振りを見せた後にそう言った。


「お前は本当に正直だな。まぁそういうところが気に入ったんだが。」


フランクは伯爵家の次男で、ずっと前から私の侍従としてよく働いてくれている。


こいつは正直な男だ。


相手が誰であろうとハッキリと物を言う。


フランクもまた、私と同じく父上に対して良い印象を抱いていない。


息子である私の前で堂々と父の悪口を言うのだ。


まぁ面白いから別に良いけどな。


「貴族たちの評判はどうなっている?」


「はい、低位貴族の中ではキャサリン様の言っていることを鵜呑みにして皇后陛下を悪く言っている者もいます。しかし高位貴族の大半は貴族令嬢時代の皇后陛下と親交があり、それを信じていません。そのため、高位貴族は皇帝陛下やキャサリン様を良く思っていない者が多いようです。」


「なるほどな。」


キャサリンが母上のことを悪く言っているのは知っていた。


それを父上も否定しないから、母上とほとんど関わったことのない低位貴族はキャサリンの言うことを信じきっている。


アイツら母上と話したこともないくせに・・・腹が立つ。


「・・・父上が死んだら次の皇帝は間違いなく私だ。」


ライドーン帝国で皇位を継ぐのは大体が長男だ。


それに私は正妻である皇后の子。


いくらプリシラが皇帝の寵愛を得ているとは言え次の皇帝が私だということに変わりはない。


アイツさえ・・・いなければ・・・。


私がこうしている今もシャーロットは父、キャサリン、プリシラによって苦しめられている。


何とかしてシャーロットを救ってやりたい。


シャーロットは私のたった一人の妹なのだから。


そのためなら、悪にだってなってやる。


「フランク、たしかラゼンプト王国には強力な毒薬があったな?それを取り寄せろ。」


私がそう言うと、フランクは驚いたような顔をした。


「毒・・・?殿下、一体何に使うのです?」


「・・・ゴミ掃除だ。」


「ゴミ掃除・・・?」


フランクは不思議そうにしていたが、結局その毒薬をラゼンプト王国から取り寄せてくれた。


これで準備は出来た。


父上。


いや、もうあいつは父でも何でも無い。


母上は苦しみの中死んでいったんだ。


母上はキャサリンに毒を盛られて死んだ。


もちろん皇帝はそれを知らない。


・・・母上がキャサリンに盛られた毒で、じっくりと殺してやる。


私はこの日、父帝の暗殺を決意した―


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