29 / 41
皇太子アルフレッド編
企み
しおりを挟む
その日、私は信頼できる侍従であるフランクと共にいた。
「フランク、お前は父上についてどう思う?」
私はフランクに尋ねた。
「皇帝陛下についてですか?・・・最低な男ですね。クズだと思います。」
フランクは少し考えこむ素振りを見せた後にそう言った。
「お前は本当に正直だな。まぁそういうところが気に入ったんだが。」
フランクは伯爵家の次男で、ずっと前から私の侍従としてよく働いてくれている。
こいつは正直な男だ。
相手が誰であろうとハッキリと物を言う。
フランクもまた、私と同じく父上に対して良い印象を抱いていない。
息子である私の前で堂々と父の悪口を言うのだ。
まぁ面白いから別に良いけどな。
「貴族たちの評判はどうなっている?」
「はい、低位貴族の中ではキャサリン様の言っていることを鵜呑みにして皇后陛下を悪く言っている者もいます。しかし高位貴族の大半は貴族令嬢時代の皇后陛下と親交があり、それを信じていません。そのため、高位貴族は皇帝陛下やキャサリン様を良く思っていない者が多いようです。」
「なるほどな。」
キャサリンが母上のことを悪く言っているのは知っていた。
それを父上も否定しないから、母上とほとんど関わったことのない低位貴族はキャサリンの言うことを信じきっている。
アイツら母上と話したこともないくせに・・・腹が立つ。
「・・・父上が死んだら次の皇帝は間違いなく私だ。」
ライドーン帝国で皇位を継ぐのは大体が長男だ。
それに私は正妻である皇后の子。
いくらプリシラが皇帝の寵愛を得ているとは言え次の皇帝が私だということに変わりはない。
アイツさえ・・・いなければ・・・。
私がこうしている今もシャーロットは父、キャサリン、プリシラによって苦しめられている。
何とかしてシャーロットを救ってやりたい。
シャーロットは私のたった一人の妹なのだから。
そのためなら、悪にだってなってやる。
「フランク、たしかラゼンプト王国には強力な毒薬があったな?それを取り寄せろ。」
私がそう言うと、フランクは驚いたような顔をした。
「毒・・・?殿下、一体何に使うのです?」
「・・・ゴミ掃除だ。」
「ゴミ掃除・・・?」
フランクは不思議そうにしていたが、結局その毒薬をラゼンプト王国から取り寄せてくれた。
これで準備は出来た。
父上。
いや、もうあいつは父でも何でも無い。
母上は苦しみの中死んでいったんだ。
母上はキャサリンに毒を盛られて死んだ。
もちろん皇帝はそれを知らない。
・・・母上がキャサリンに盛られた毒で、じっくりと殺してやる。
私はこの日、父帝の暗殺を決意した―
「フランク、お前は父上についてどう思う?」
私はフランクに尋ねた。
「皇帝陛下についてですか?・・・最低な男ですね。クズだと思います。」
フランクは少し考えこむ素振りを見せた後にそう言った。
「お前は本当に正直だな。まぁそういうところが気に入ったんだが。」
フランクは伯爵家の次男で、ずっと前から私の侍従としてよく働いてくれている。
こいつは正直な男だ。
相手が誰であろうとハッキリと物を言う。
フランクもまた、私と同じく父上に対して良い印象を抱いていない。
息子である私の前で堂々と父の悪口を言うのだ。
まぁ面白いから別に良いけどな。
「貴族たちの評判はどうなっている?」
「はい、低位貴族の中ではキャサリン様の言っていることを鵜呑みにして皇后陛下を悪く言っている者もいます。しかし高位貴族の大半は貴族令嬢時代の皇后陛下と親交があり、それを信じていません。そのため、高位貴族は皇帝陛下やキャサリン様を良く思っていない者が多いようです。」
「なるほどな。」
キャサリンが母上のことを悪く言っているのは知っていた。
それを父上も否定しないから、母上とほとんど関わったことのない低位貴族はキャサリンの言うことを信じきっている。
アイツら母上と話したこともないくせに・・・腹が立つ。
「・・・父上が死んだら次の皇帝は間違いなく私だ。」
ライドーン帝国で皇位を継ぐのは大体が長男だ。
それに私は正妻である皇后の子。
いくらプリシラが皇帝の寵愛を得ているとは言え次の皇帝が私だということに変わりはない。
アイツさえ・・・いなければ・・・。
私がこうしている今もシャーロットは父、キャサリン、プリシラによって苦しめられている。
何とかしてシャーロットを救ってやりたい。
シャーロットは私のたった一人の妹なのだから。
そのためなら、悪にだってなってやる。
「フランク、たしかラゼンプト王国には強力な毒薬があったな?それを取り寄せろ。」
私がそう言うと、フランクは驚いたような顔をした。
「毒・・・?殿下、一体何に使うのです?」
「・・・ゴミ掃除だ。」
「ゴミ掃除・・・?」
フランクは不思議そうにしていたが、結局その毒薬をラゼンプト王国から取り寄せてくれた。
これで準備は出来た。
父上。
いや、もうあいつは父でも何でも無い。
母上は苦しみの中死んでいったんだ。
母上はキャサリンに毒を盛られて死んだ。
もちろん皇帝はそれを知らない。
・・・母上がキャサリンに盛られた毒で、じっくりと殺してやる。
私はこの日、父帝の暗殺を決意した―
77
お気に入りに追加
3,435
あなたにおすすめの小説
別れたいようなので、別れることにします
天宮有
恋愛
伯爵令嬢のアリザは、両親が優秀な魔法使いという理由でルグド王子の婚約者になる。
魔法学園の入学前、ルグド王子は自分より優秀なアリザが嫌で「力を抑えろ」と命令していた。
命令のせいでアリザの成績は悪く、ルグドはクラスメイトに「アリザと別れたい」と何度も話している。
王子が婚約者でも別れてしまった方がいいと、アリザは考えるようになっていた。
私の大好きな彼氏はみんなに優しい
hayama_25
恋愛
柊先輩は私の自慢の彼氏だ。
柊先輩の好きなところは、誰にでも優しく出来るところ。
そして…
柊先輩の嫌いなところは、誰にでも優しくするところ。
ぽっちゃり令嬢に王子が夢中!
百谷シカ
恋愛
伯爵令嬢イーリス・レントリヒは、王妃アレクサンドラの侍女として宮廷で働いている。
ぽっちゃりしていて特に美人でもないので、誰の寵愛も受けないかわりに敵もいない。
ところがある日、王妃付きのコックから賄いを都合してもらった際に、酒を拝借しにきた第二王子ヨハンに見初められてしまう。
「はぁ……可愛い。丸くて白くてぷにぷにしてて、食べちゃいたいよ」
芸術好きで戦争嫌いの平和主義者ヨハンは、イーリスの見た目から性格までとにかく大好き!
♡無欲なぽっちゃり令嬢が幸せを掴むシンデレラストーリー♡
====================================
(他ベリーズカフェ様・野いちご様、エブリスタ様に投稿)
婚約破棄の夜の余韻~婚約者を奪った妹の高笑いを聞いて姉は旅に出る~
岡暁舟
恋愛
第一王子アンカロンは婚約者である公爵令嬢アンナの妹アリシアを陰で溺愛していた。そして、そのことに気が付いたアンナは二人の関係を糾弾した。
「ばれてしまっては仕方がないですわね?????」
開き直るアリシアの姿を見て、アンナはこれ以上、自分には何もできないことを悟った。そして……何か目的を見つけたアンナはそのまま旅に出るのだった……。
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
どうして別れるのかと聞かれても。お気の毒な旦那さま、まさかとは思いますが、あなたのようなクズが女性に愛されると信じていらっしゃるのですか?
石河 翠
恋愛
主人公のモニカは、既婚者にばかり声をかけるはしたない女性として有名だ。愛人稼業をしているだとか、天然の毒婦だとか、聞こえてくるのは下品な噂ばかり。社交界での評判も地に落ちている。
ある日モニカは、溺愛のあまり茶会や夜会に妻を一切参加させないことで有名な愛妻家の男性に声をかける。おしどり夫婦の愛の巣に押しかけたモニカは、そこで虐げられている女性を発見する。
彼女が愛妻家として評判の男性の奥方だと気がついたモニカは、彼女を毎日お茶に誘うようになり……。
八方塞がりな状況で抵抗する力を失っていた孤独なヒロインと、彼女に手を差し伸べ広い世界に連れ出したしたたかな年下ヒーローのお話。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID24694748)をお借りしています。
完結 王族の醜聞がメシウマ過ぎる件
音爽(ネソウ)
恋愛
王太子は言う。
『お前みたいなつまらない女など要らない、だが優秀さはかってやろう。第二妃として存分に働けよ』
『ごめんなさぁい、貴女は私の代わりに公儀をやってねぇ。だってそれしか取り柄がないんだしぃ』
公務のほとんどを丸投げにする宣言をして、正妃になるはずのアンドレイナ・サンドリーニを蹴落とし正妃の座に就いたベネッタ・ルニッチは高笑いした。王太子は彼女を第二妃として迎えると宣言したのである。
もちろん、そんな事は罷りならないと王は反対したのだが、その言葉を退けて彼女は同意をしてしまう。
屈辱的なことを敢えて受け入れたアンドレイナの真意とは……
*表紙絵自作
妹と寝たんですか?エセ聖女ですよ?~妃の座を奪われかけた令嬢の反撃~
岡暁舟
恋愛
100年に一度の確率で、令嬢に宿るとされる、聖なる魂。これを授かった令嬢は聖女と認定され、無条件で時の皇帝と婚約することになる。そして、その魂を引き当てたのが、この私、エミリー・バレットである。
本来ならば、私が皇帝と婚約することになるのだが、どういうわけだか、偽物の聖女を名乗る不届き者がいるようだ。その名はジューン・バレット。私の妹である。
別にどうしても皇帝と婚約したかったわけではない。でも、妹に裏切られたと思うと、少し癪だった。そして、既に二人は一夜を過ごしてしまったそう!ジューンの笑顔と言ったら……ああ、憎たらしい!
そんなこんなで、いよいよ私に名誉挽回のチャンスが回ってきた。ここで私が聖女であることを証明すれば……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる