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皇女シャーロット編

プロポーズ

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「シャーロット殿下、よろしければ私と一曲踊りませんか?」


アーク公爵令息にダンスに誘われた私は快くその申し出を引き受けた。


「はい、喜んで。」


アーク公爵令息が差し出した手を取り、ホールの中央に向かっていく。


音楽に合わせて私とアーク公爵令息がステップを踏む。


貴族たちがほぅっと感嘆する。


「素敵!お似合いの二人ですわ!」


「アーク公爵令息のシャーロット殿下を見る目は本当に優しいですわね。」


「綺麗・・・。」


貴族たちに言われて顔が赤くなる。


そんな私をアーク公爵令息は優しく微笑みながら見つめている。


「注目されているようですね。」


「まぁ皇女と公爵令息のダンスですからね。」


アーク公爵令息はプリシラが癇癪を起こすためプリシラ以外とは踊ったことがなかったらしい。


「殿下、前に私が言った言葉を覚えていますか。」


「前に・・・?」


「私が前に皇女殿下を救い出すと言ったことです。」


あ!


『もう少し・・・もう少しだけ待っていてください・・・。きっとあなたを救い出してみせますから・・・。』


あれのことか。


「約束を果たせるときが来たようです。」


「・・・?」


その時に音楽が止み、ダンスが終わった。


そしてアーク公爵令息は私の前に跪いた。


!?!?!?


突然のことで困惑する。


「ア、アーク公爵令息様!?」


周りの貴族もザワザワとし始めた。


「初めて見た時からあなたを慕っておりました。どうか私と結婚してください。」


!?!?!?!?!?


令嬢たちがキャー!!!と歓声をあげた。


「わ、私でよければ・・・。」


私は高鳴る胸を抑えながら返事をした。


私の返事を聞いたアーク公爵令息が私をぎゅっと抱きしめた。


そして会場中が盛り上がった。


「おめでとうございます!アーク公子!シャーロット皇女殿下!」


「どうかお幸せになられてください!」


「舞踏会でプロポーズだなんて素敵ですわ!」


みんなが私たちを祝福してくれるのが信じられない。


アーク公爵令息がゆっくりと体を離した。


そして優しい瞳で私を見つめる。


その時、玉座に座っていたお兄様と目が合った。


お兄様は何故か不満そうな顔をしていた。


私が幸せになるのが不快なのかしらね。


「あの、アーク公爵令息様・・・」


「私のことはフレデリックとお呼びください。」


「・・・フレデリック様・・・。」


「・・・シャーロット・・・。」


虐げられていた頃は思いもしなかった。


私がこんなにも幸せになれるなんて。







その日はお母様が亡くなってから私の中で最も幸せな日となった。


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