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皇女シャーロット編

壮絶な嫌がらせ

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そうして私は厨房に辿り着いた。


中に入ると、前と同じシェフと数人の使用人たちがいた。


彼らは私を見るなり侮蔑の眼差しを向けた。


やはり彼らの耳にも入っていたようだ。


その中の一人のシェフが私に近づいてきて言った。


「これはこれは皇女殿下。ここには何の御用で?」


目には私への敵意を隠しきれていない。


「こんにちは、料理長さん。お茶を飲みたくなって。」


「そうですか。それでは私にお任せください。」


そう言ってシェフはお茶を淹れ始める。


何のつもり?


今までそんなことをしてくれたことなんてなかったのに。


お茶を淹れ終わったシェフがカップを私の元へと持ってくる。


「どうぞ、皇女殿下。」


目の前に出されたものを見て私は驚愕した。


これは、人が飲むものじゃないわ・・・!


目の前のものはお茶とは言えない見た目をしている。


泥水に近かった。


ものすごいにおいがする。


シェフや使用人たちが不敵な笑みを浮かべている。


カップも古びたものが使われていた。


私は必死で笑顔を繕った。


「ありがとうございます。料理長さん。私はお茶を淹れるのが上手ではないので助かりましたわ。自室で飲ませていただきますね。」


そう言って私はカップを持って厨房を出た。


厨房を出た瞬間すぐに私は中身を捨て、カップも廃棄した。


今までよりも嫌がらせがひどいものになっている。


だが真の地獄はここからだった。


自室へ戻る最中、侍女たちに石を投げつけられた。


っ!


こめかみに当たり、血が流れる。


まだお父様から受けた傷が治っていないのに・・・。


侍女たちは私を悪女だと言って責め立てる。




更には衛兵に足を引っかけられた。


私は前に倒れ、そのまま頭をぶつけてしまった。


うっ・・・


衛兵はそんな私を見て嘲笑った。


「いい気味だな。」とでも言うように。


私は自力で立ち上がれないほどに傷ついてた。


このまま野垂れ死ぬのだろうか。


先ほど足を引っかけてきた衛兵が今度は倒れた私を蹴ろうと足を振り上げる。


うぅ・・・。あれをくらったらただでは済まないわね・・・。


だが体は動かない。


あぁ、こんなことになるならもっと昔に死んでおけばよかった。


お母様、ごめんなさい。


弱い私でごめんなさい。


今、そっちに行きます。


そう思い、私は目を閉じた。


その時だった。



「―何をしている?」


男性の声が聞こえた。


驚いて声の方に視線をやるとそこには端正な顔立ちの若い男性が立っていた。


誰、この人・・・?


すると衛兵が慌てたように礼をとった。


「こっ、これはアーク公爵令息様!」


アーク公爵令息ってもしかして―


あのプリシラが想いを寄せているって噂の公爵令息!?


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