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番外編
3 真相 フィリクス視点
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叔父から聞いた話は衝撃的なものだった。
何と母が亡くなったのは他殺かもしれないということだ。
そして、その犯人が……
「父上……だと……?」
「殿下には信じたくない話かと思いますが……」
私は父上のことがあまり好きではない。
可愛がってもらった記憶も無いし、母上を蔑ろにしていた人でもあったから。
父が母を好いてはいないということには、薄々気付いていた。
母上は人から嫌われるようなことをする方ではないので、理由は分からなかったが。
だけど、殺害するだなんて……
「……」
「殿下は、側妃アンジェラ様のことをご存知ですか?」
「……アンジェリカ王女の母親……である方でしたよね」
「その通りです」
叔父は全てを話してくれた。
父と側妃アンジェラの出会い、そして側室となるにいたるまで全て。
「そんなことが……あったのか……」
「はい……殿下に申し上げるかとても悩みました」
「いいえ……話してくださってありがとうございます……おかげで状況を理解出来ました」
叔父は本当に申し訳なさそうな顔をしていた。
子供に言うようなことではないと思っているのだろう。
しかし、私にとってはむしろありがたかった。
(だから母上をずっと無視していたのか……)
母上は真実の愛とかいうくだらない茶番に人生を壊されたのだ。
名門公爵家の令嬢であり、誰よりも強く優しかった母。
このような死に方をしていい人ではなかった。
怒りを抑えるので精一杯だった。
「叔父上、今度一緒に母上の墓参りにでも行きましょう」
「ええ、そうですね……」
叔父を帰した後、私は一人になった部屋でギュッと拳を握り締めた。
父親に対する憎しみが爆発しそうになったが、ひとまず事実確認が必要だ。
私は叔父や騎士団長の手を借りて、あの事件の真相についてを徹底的に調べ上げた。
そして分かったのは、とんでもない事実だった。
父親がこれまで行ってきた所業と、血の繋がった妹の醜い本性がズラリと書かれていた。
いくら母上と側妃の仲が悪かったからといって生まれた子供に罪はない。
だからこそ、最初は妹だけは助けてやろうと思っていた。
しかし、そんな考えも報告書を見て一変した。
(父上……いや、あいつはもう父親でも何でもない……)
もちろんアンジェリカもだ。
あんなやつらと血が繋がっているというだけで吐き気がするほどだった。
(アイツらは絶対に……私がこの手で地獄に堕とす……!)
二度と大事なものを奪われてたまるか。
もう誰も傷付けさせはしない。
アイツらの思い通りにはさせない。
――この日、私は二人に対する復讐を誓った。
何と母が亡くなったのは他殺かもしれないということだ。
そして、その犯人が……
「父上……だと……?」
「殿下には信じたくない話かと思いますが……」
私は父上のことがあまり好きではない。
可愛がってもらった記憶も無いし、母上を蔑ろにしていた人でもあったから。
父が母を好いてはいないということには、薄々気付いていた。
母上は人から嫌われるようなことをする方ではないので、理由は分からなかったが。
だけど、殺害するだなんて……
「……」
「殿下は、側妃アンジェラ様のことをご存知ですか?」
「……アンジェリカ王女の母親……である方でしたよね」
「その通りです」
叔父は全てを話してくれた。
父と側妃アンジェラの出会い、そして側室となるにいたるまで全て。
「そんなことが……あったのか……」
「はい……殿下に申し上げるかとても悩みました」
「いいえ……話してくださってありがとうございます……おかげで状況を理解出来ました」
叔父は本当に申し訳なさそうな顔をしていた。
子供に言うようなことではないと思っているのだろう。
しかし、私にとってはむしろありがたかった。
(だから母上をずっと無視していたのか……)
母上は真実の愛とかいうくだらない茶番に人生を壊されたのだ。
名門公爵家の令嬢であり、誰よりも強く優しかった母。
このような死に方をしていい人ではなかった。
怒りを抑えるので精一杯だった。
「叔父上、今度一緒に母上の墓参りにでも行きましょう」
「ええ、そうですね……」
叔父を帰した後、私は一人になった部屋でギュッと拳を握り締めた。
父親に対する憎しみが爆発しそうになったが、ひとまず事実確認が必要だ。
私は叔父や騎士団長の手を借りて、あの事件の真相についてを徹底的に調べ上げた。
そして分かったのは、とんでもない事実だった。
父親がこれまで行ってきた所業と、血の繋がった妹の醜い本性がズラリと書かれていた。
いくら母上と側妃の仲が悪かったからといって生まれた子供に罪はない。
だからこそ、最初は妹だけは助けてやろうと思っていた。
しかし、そんな考えも報告書を見て一変した。
(父上……いや、あいつはもう父親でも何でもない……)
もちろんアンジェリカもだ。
あんなやつらと血が繋がっているというだけで吐き気がするほどだった。
(アイツらは絶対に……私がこの手で地獄に堕とす……!)
二度と大事なものを奪われてたまるか。
もう誰も傷付けさせはしない。
アイツらの思い通りにはさせない。
――この日、私は二人に対する復讐を誓った。
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