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皇都到着!…戦闘開始みたいです
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「ヴィント、起きろ。着いたぞ」
「う?」
「お前全く起きないな」
いつの間にか皇都に着いていたらしい。街もきれいな夕焼け色に染まって…あれ?街中じゃない?
「ねぇ、テオ。ここどこ?」
「ん?ここは城んなかだな。今から俺は皇帝陛下のところに報告にいくから、お前たちはヒューと一緒に騎士団で待っててくれ」
「わかった」
僕たちがそんな会話をしている間に騎士団棟に着いた。騎士団棟というからなんというか四角い感じの建物だと思っていたが、実際はドーム型だった。
「珍しいか?真ん中で訓練ができるようになっててな、他の執務室や会議室から見えるようになってるんだ。ただ、宿舎は別だぞ。さすがに、一緒にすると夜中や休日に静かに過ごせなくなるからな」
なるほど。仕事をするならドーム型だと便利なのか。あとで見学できるかな?
「んじゃ、俺は行ってくるからいい子で留守番しとくんだぞ」
「僕はそんなこと言われる年じゃないよ」
「そうか?ヒュー、頼んだぞ」
「了解しました。団長」
テオが城の中へ入っていく。しかし、テオも大変だなぁ。皇帝陛下に会うなんて。僕だったら緊張で心臓止まるかも。
「では、行きましょうか。時間もあるので騎士団棟を案内します」
そう言って歩きはじめたヒューの後に続いて私たちも建物の中に入っていった。
※
なんだか見られてる。騎士団棟に入った僕たちは団員たちに遠目に見られ、こそこそとなにか言われていた。僕とミリアンヌが吸血鬼だと分かるからだろう。
「最後に中央にある訓練場に案内します」
最後に僕たちが訪れた訓練場はとても広かった。今も訓練している団員が大勢いる。
「ここは第一訓練場です。私たちが所属している第一騎士団の訓練場になっています。他にあと2つの騎士団があって、それぞれが訓練場と宿舎を持っています」
「へぇ、皇国は3つ騎士団があるんだねぇ。戦争が起きたときとか指揮権は誰が持つの?」
「テオ団長ですよ。非常時の騎士全体の指揮権は第一騎士団長が持つ決まりになっています」
つまり、テオは軍大将みたいな感じか。かなり権力があるような気がする。
「副団長!なぜここに吸血鬼などがいるのですか!」
僕たちが訓練場を見学していると団員であろう青年が大声で騒ぎはじめた。そのせいで今まで訓練していた団員たちも、この場に吸血鬼がいることに気づき、手が止まってしまっている。
「ロレンツ。この方たちは団長のお客様ですよ。口を慎みなさい」
ヒューが窘めてくれるが納得いかないようだ。忌々しげに僕たちを睨み付けてくる。僕たちなんもしてないんだけどなぁ。そこまで魔族とやらは嫌われているのか。今まで森の外に出なくて正解だったな。なんにしろ僕たちが敵じゃないと理解してもらわないとだね。
「えっと、ロレンツ君、でいいのかな?僕たちは吸血鬼だけど危害を加えるつもりも敵対する気もないから落ち着いてほしいな?」
「黙れ!魔族風情が。しかもお前は片目だけが深紅とは。どうせ吸血鬼どものなかでも出来損ないなのだろうな!」
そう言ったロレンツ君は最後にフンっと鼻をならすと僕のことをバカにしたような目で見下ろしてきた。
「ヴィント様。この愚か者はいかがなさいますか?始末しても?」
「なっ、貴様!この俺を始末だと!ふざけるな!」
「ヒュー。どうしたらいい?」
「貴女のお好きなように」
えぇ~、お好きなようにって言われても困るんだけどなぁ。
「ねぇ、ロレンツ君はどうしたいの?」
「ここから消えろ」
「それは無理」
「貴様!…ふん、なら俺と試合だ。俺自ら貴様を消してやる」
めんどくさぁ~。もう帰りたい。
「ヴィント様、私がこの者の相手を致しましょうか?」
「う~ん、いや、いいよ。僕の見た目は子供らしいし。僕に負けたら諦めつくでしょ」
「では、準備しましょうか。団の方から武器や防具を貸し出せますがどうしますか?」
「いらないよ。僕のサイズ無いだろうし」
僕がそう言うとヒューはそうでしたね、と言いながら近くにいた団員に審判を頼んでいた。にしても、まさか試合することになるとは。ロレンツ君はやる気満々のようだし、今さら引き下がれそうにもない。
「では、ロレンツ・ドーネス対ヴィント・アプリルの試合を始めます!なお、結界内では死亡することはありません。では…はじめ!」
審判の合図と同時に片手剣を持ったロレンツ君が走りはじめた。身体強化も使って、能力を上げているらしい。
「"命吹"」
無限収納から木刀を取り出す。この訓練場には結界が張ってあるらしく、なんと致命傷を受けても死ぬことはないらしい。怪我とか骨折とかはしちゃうみたいだけど。
と、そんなことを聞いて安心したけど念のため。相手を殺しちゃわないように木刀にしておいた。木刀といっても"狼鎖"と同じで神話級の武器だ。僕お手製。チートだね。
"命吹"は世界樹の枝からつくった木刀だ。ユグドラシルの枝は創造魔法で手に入りました。
「そんな木刀なんかで勝てるわけがないだろ!」
失礼だなぁ、僕の命吹は神話級だよ?ロレンツ君の剣じゃぁ簡単に折れるよ。
「う?」
「お前全く起きないな」
いつの間にか皇都に着いていたらしい。街もきれいな夕焼け色に染まって…あれ?街中じゃない?
「ねぇ、テオ。ここどこ?」
「ん?ここは城んなかだな。今から俺は皇帝陛下のところに報告にいくから、お前たちはヒューと一緒に騎士団で待っててくれ」
「わかった」
僕たちがそんな会話をしている間に騎士団棟に着いた。騎士団棟というからなんというか四角い感じの建物だと思っていたが、実際はドーム型だった。
「珍しいか?真ん中で訓練ができるようになっててな、他の執務室や会議室から見えるようになってるんだ。ただ、宿舎は別だぞ。さすがに、一緒にすると夜中や休日に静かに過ごせなくなるからな」
なるほど。仕事をするならドーム型だと便利なのか。あとで見学できるかな?
「んじゃ、俺は行ってくるからいい子で留守番しとくんだぞ」
「僕はそんなこと言われる年じゃないよ」
「そうか?ヒュー、頼んだぞ」
「了解しました。団長」
テオが城の中へ入っていく。しかし、テオも大変だなぁ。皇帝陛下に会うなんて。僕だったら緊張で心臓止まるかも。
「では、行きましょうか。時間もあるので騎士団棟を案内します」
そう言って歩きはじめたヒューの後に続いて私たちも建物の中に入っていった。
※
なんだか見られてる。騎士団棟に入った僕たちは団員たちに遠目に見られ、こそこそとなにか言われていた。僕とミリアンヌが吸血鬼だと分かるからだろう。
「最後に中央にある訓練場に案内します」
最後に僕たちが訪れた訓練場はとても広かった。今も訓練している団員が大勢いる。
「ここは第一訓練場です。私たちが所属している第一騎士団の訓練場になっています。他にあと2つの騎士団があって、それぞれが訓練場と宿舎を持っています」
「へぇ、皇国は3つ騎士団があるんだねぇ。戦争が起きたときとか指揮権は誰が持つの?」
「テオ団長ですよ。非常時の騎士全体の指揮権は第一騎士団長が持つ決まりになっています」
つまり、テオは軍大将みたいな感じか。かなり権力があるような気がする。
「副団長!なぜここに吸血鬼などがいるのですか!」
僕たちが訓練場を見学していると団員であろう青年が大声で騒ぎはじめた。そのせいで今まで訓練していた団員たちも、この場に吸血鬼がいることに気づき、手が止まってしまっている。
「ロレンツ。この方たちは団長のお客様ですよ。口を慎みなさい」
ヒューが窘めてくれるが納得いかないようだ。忌々しげに僕たちを睨み付けてくる。僕たちなんもしてないんだけどなぁ。そこまで魔族とやらは嫌われているのか。今まで森の外に出なくて正解だったな。なんにしろ僕たちが敵じゃないと理解してもらわないとだね。
「えっと、ロレンツ君、でいいのかな?僕たちは吸血鬼だけど危害を加えるつもりも敵対する気もないから落ち着いてほしいな?」
「黙れ!魔族風情が。しかもお前は片目だけが深紅とは。どうせ吸血鬼どものなかでも出来損ないなのだろうな!」
そう言ったロレンツ君は最後にフンっと鼻をならすと僕のことをバカにしたような目で見下ろしてきた。
「ヴィント様。この愚か者はいかがなさいますか?始末しても?」
「なっ、貴様!この俺を始末だと!ふざけるな!」
「ヒュー。どうしたらいい?」
「貴女のお好きなように」
えぇ~、お好きなようにって言われても困るんだけどなぁ。
「ねぇ、ロレンツ君はどうしたいの?」
「ここから消えろ」
「それは無理」
「貴様!…ふん、なら俺と試合だ。俺自ら貴様を消してやる」
めんどくさぁ~。もう帰りたい。
「ヴィント様、私がこの者の相手を致しましょうか?」
「う~ん、いや、いいよ。僕の見た目は子供らしいし。僕に負けたら諦めつくでしょ」
「では、準備しましょうか。団の方から武器や防具を貸し出せますがどうしますか?」
「いらないよ。僕のサイズ無いだろうし」
僕がそう言うとヒューはそうでしたね、と言いながら近くにいた団員に審判を頼んでいた。にしても、まさか試合することになるとは。ロレンツ君はやる気満々のようだし、今さら引き下がれそうにもない。
「では、ロレンツ・ドーネス対ヴィント・アプリルの試合を始めます!なお、結界内では死亡することはありません。では…はじめ!」
審判の合図と同時に片手剣を持ったロレンツ君が走りはじめた。身体強化も使って、能力を上げているらしい。
「"命吹"」
無限収納から木刀を取り出す。この訓練場には結界が張ってあるらしく、なんと致命傷を受けても死ぬことはないらしい。怪我とか骨折とかはしちゃうみたいだけど。
と、そんなことを聞いて安心したけど念のため。相手を殺しちゃわないように木刀にしておいた。木刀といっても"狼鎖"と同じで神話級の武器だ。僕お手製。チートだね。
"命吹"は世界樹の枝からつくった木刀だ。ユグドラシルの枝は創造魔法で手に入りました。
「そんな木刀なんかで勝てるわけがないだろ!」
失礼だなぁ、僕の命吹は神話級だよ?ロレンツ君の剣じゃぁ簡単に折れるよ。
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