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旅立ち?…嫌です、引きこもります!

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「うし、とりあえずお前らは俺らと一緒に帰るか」

 状況確認が終わり、みんながのんびりし始めたタイミングで再び、爆弾を落とす変態。
 ……馬鹿なの?僕とミリアンヌの家はだ!なんで僕がこの男と一緒に帝国なんかに行かなきゃいけないんだ!断固拒否する!

「言っとくがお前に拒否権はないぞ?」
「はあ?めんどくさいからお断りしま~す」
「そうか、このままここにいれば他の国もお前らを訪ねてくるだろうなぁ。最悪、力ずくで連れていかれるかもな」
「……」
「いかがなさいますか、ヴィント様。私だけでも人間ごとき退けられますが」

 …人間ごとき?ミ、ミリアンヌちゃん?貴女、元公爵令嬢ですよね?どうしちゃったの!?

「私はヴィント様がいれば充分でございます」
「エスパー!?」
「ヴィント様のことでしたらわからないことなどございません」

 ヤンデレ化?

「ラブラブしてるとこ悪いがどうするんだ?ヴィント」

 名前呼び?……まずい、また変な動悸が!あとでミリアンヌに相談しよう。

「ふぅ、一緒に行きますよ。た・だ・し!帰るんじゃありません。ついていくだけです。それでもいい?テオ」
「……おう、いいぞ。(やばい、名前呼び。俺の嫁最高!)」
「団長?そのだらしない顔をどうにかなさい。気持ち悪いです」
「おい!俺、団長だぞ!?」

 あぁ、行きたくない…。一生引きこもってようと思ったのに。
 とりあえず、ミリアンヌに抱きつく。頭を撫でてくれる手が優しい。もう僕のメイドさん最高!

          ※

「おし、こっちは準備できたな。ヴィント、準備できたか?」
「やっぱ行きたくない……。引きこもってたい…」
「おいおい、そんなこと言うなよ。俺が一緒に行ってやるから。な?」
「別にいらない」
「よーし、しょうがないなぁ。俺が抱っこしてってやろう!」
「…ミリアンヌ。ん」
「はい、ヴィント様。失礼しますね」

 ミリアンヌの抱っこ最高。なんかいい匂いする。

「…俺とヒューは残る。お前らは転移石で先に帰ってろ」
「「「了解です!団長!」」」
「転移石ってなに?」
「なんだ、知らないのか?転移石ってのは予め設定してある場所に、魔力を通すことで一瞬で移動できるもんだ」
「ふ~ん、ちなみにどこに転移するの?」
「今回は森のすぐ外だな。帝都までは森から1日で行けるからな」

 結構近いのか、帝都って場所は。モンスターとか大丈夫なのかな。

「テオとヒューは先に転移してていいよ。僕とミリアンヌはあとから行くから」
「大丈夫か?」
「余裕。走れば30分で、飛べば15分で森の外まで行ける。多分」

 森の外まで行ったことないからわからんけど。まぁ、そんだけあれば大丈夫だよね。

「…おい、飛ぶってどういうことだ。まさか空を飛べるとか言わないよな?」
「…?飛べるけど?」
「……そうだよな、うん、魔王だもんな。うん、出来てもおかしくないよな。うん」

 めっちゃ自分に言い聞かせてる。魔王じゃなくても風属性があればできると思うんだけど。

「じゃあ、俺たちは外で待ってるわ。気をつけろよ」
「ん、大丈夫。行ってらっしゃい」
「…おう」

 次々に森の外へ転移していく。

「できるだけ早く来いよ?」

 そう言って最後まで残っていたテオも転移していった。

「あぁ~、僕らも行かなきゃ。めんどくさい」
「ふふ。できるだけはやく帰ってきましょうね、ヴィント様。私も二人でゆっくりしたいです」

 そう言って笑うミリアンヌ。可愛い。この世界はミリアンヌさえいればいいと思う。

「羽つくって、飛んでくけど血の量大丈夫?」
「大丈夫ですよ。ヴィント様」
「ん、よかった。そろそろ行こっか」

 あぁ~、ミリアンヌとのスローライフが…。めんどくさいけど頑張りますか!引きこもるために!
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