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31話 いろいろ絡みまくる狼くんズ
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綾野先輩と話し込んでいる子虎を横目に個室から速やかに出た。
ガラーっと浴室の扉が開いた音にビクッとして着替えも急いでいる訳じゃないけど、急ぎ足で着替える。
「向糸兄さま、Tシャツが前後逆ですよ~☆」
「……っ!」
子虎に冷やかされながらも最初に個室から出たのはオレだった。
大浴場と隣り合わせの個室だけど時間がまだ早いのか廊下で生徒とすれ違うことも無かった。それにしても隣に大浴場があるのに個室があるのは、生徒会や補佐役員が放課後の仕事量によって大浴場終了の時間まで間に合わない場合があるとかの理由だって子虎に聞いた。子虎ってどこで聞いて来るのか既に学園の事をよく知ってる。
個室の浴室なら部屋にあってもいいなって思うけど、さすがにマンションじゃないもんな。
廊下を右に曲がると自動販売機と休憩場がある。前に中川と遭遇したことを思い出し、間違えておしるこを選んじゃって会長に冷やかされたな……。
おしるこ美味しかったし……「向糸兄様ぁぁ、出るの早いですーーっ!!」
後方から子虎がオレの名前を呼んでるのが聞こえた。
「もう、そんな大声で……」
引き返そうとしたとき、中川の姿らしき人影が大浴場の方からチラっと捉えた気がしたけど、じろじろ見るわけにもいかなかったので子虎が来るのを壁側で待って、その後に綾野先輩も真っ赤にのばせた顔でやってきた。
それでなくても熱いのに、子虎はオレに絡みつく。
***
風呂から出たら見覚えのある顔が見えた。
てか、遠野……だっけか。
ところでどこから出てきた、アイツ?真上のプレートを見ると“個室浴室入口”。個室なんてあったのか……気づかなかった。
そう思っていたら、もう一人出てきた。ってことは個室から?
アイツら親しそうではあったと思ったけど、まさか二人で個室を使用してんのか?
「あ~さすがに三人で入浴は無謀だったかな……でも楽しかったね、体の擦り合いだったけど」
「向糸兄様、なんか髪が濡れていてセクシーですよっ」
「ちょ、子虎……また絡むっ」
……えっ? ナンだよ、今の会話。
つか三人連れ? 3プレイ??
「へぇ。大人しそうな見た目に反してすげぇな……遠野」
ブーブー
パーカーに入れておいたスマートフォンが振動した。
「チっ……兄貴かよ。またかよ何度も、暇人だな」
俺は歩きながらスマートフォンからの兄貴の飄々とした低い声に返事した。
「ナンだよ。慶史」
『相変わらず兄貴を名前呼びかよ、兄様と呼べ。可愛くな』
「死ね」
いつもの、年の離れた兄弟の挨拶だ。
ガラーっと浴室の扉が開いた音にビクッとして着替えも急いでいる訳じゃないけど、急ぎ足で着替える。
「向糸兄さま、Tシャツが前後逆ですよ~☆」
「……っ!」
子虎に冷やかされながらも最初に個室から出たのはオレだった。
大浴場と隣り合わせの個室だけど時間がまだ早いのか廊下で生徒とすれ違うことも無かった。それにしても隣に大浴場があるのに個室があるのは、生徒会や補佐役員が放課後の仕事量によって大浴場終了の時間まで間に合わない場合があるとかの理由だって子虎に聞いた。子虎ってどこで聞いて来るのか既に学園の事をよく知ってる。
個室の浴室なら部屋にあってもいいなって思うけど、さすがにマンションじゃないもんな。
廊下を右に曲がると自動販売機と休憩場がある。前に中川と遭遇したことを思い出し、間違えておしるこを選んじゃって会長に冷やかされたな……。
おしるこ美味しかったし……「向糸兄様ぁぁ、出るの早いですーーっ!!」
後方から子虎がオレの名前を呼んでるのが聞こえた。
「もう、そんな大声で……」
引き返そうとしたとき、中川の姿らしき人影が大浴場の方からチラっと捉えた気がしたけど、じろじろ見るわけにもいかなかったので子虎が来るのを壁側で待って、その後に綾野先輩も真っ赤にのばせた顔でやってきた。
それでなくても熱いのに、子虎はオレに絡みつく。
***
風呂から出たら見覚えのある顔が見えた。
てか、遠野……だっけか。
ところでどこから出てきた、アイツ?真上のプレートを見ると“個室浴室入口”。個室なんてあったのか……気づかなかった。
そう思っていたら、もう一人出てきた。ってことは個室から?
アイツら親しそうではあったと思ったけど、まさか二人で個室を使用してんのか?
「あ~さすがに三人で入浴は無謀だったかな……でも楽しかったね、体の擦り合いだったけど」
「向糸兄様、なんか髪が濡れていてセクシーですよっ」
「ちょ、子虎……また絡むっ」
……えっ? ナンだよ、今の会話。
つか三人連れ? 3プレイ??
「へぇ。大人しそうな見た目に反してすげぇな……遠野」
ブーブー
パーカーに入れておいたスマートフォンが振動した。
「チっ……兄貴かよ。またかよ何度も、暇人だな」
俺は歩きながらスマートフォンからの兄貴の飄々とした低い声に返事した。
「ナンだよ。慶史」
『相変わらず兄貴を名前呼びかよ、兄様と呼べ。可愛くな』
「死ね」
いつもの、年の離れた兄弟の挨拶だ。
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