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28話 ベッドドン
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両腕に抱える小椋会長ファンのプレゼントは小椋さんの寝室の前に……それは邪魔だよなと思って、共同リビングのソファの上に滑り落とした。
人形の頭にかぶってるパンツが気になってしまう……だけど触れる気にはなれない。後は小椋さんが何とかするだろうと、オレは自分の寝室に入ることにした。
さっき教えてもらった風呂に行って来ようと思って、ダンボールの中にある風呂道具を取り出したけどタオルが見当たらない。
そういえば、ベッドの上にダンボールから取り出したままに片付けてない衣服や小物類が無造作に置いてあってその中に重なっていた。
「まずはこれを片付けるか……」
その時、ふと目にしたモノを見て戦慄が走った。
だって有り得ない、なんでこんなところに……だけど見覚えのあるパンダのキーホルダーがベッドの上に鎮座している。オレは少し汗ばむ手を握り締めてパンダのキーホールダーを取ろうとした時、何かに躓いて脚のスネを打ち付けるとその痛さに思わず屈み込んだら、傍にあった風呂道具の洗面器などを転がしてしまった。
この騒音がリビングにも届いたのか、小椋さんはオレの部屋から顔を出して不機嫌な声を掛ける。
「おい、静かに片づけられないのか……?」
「……ご…」
恥ずかしいというか、スネを思いっきり打ち付けたので声も出ずに悶絶した俺は脚を抱えて堪えていた。
小椋さんは呆れて戻ったのかと思ったのに、オレの傍に来て「ホラ、立て」と抑揚のない声だけど少しは心配してくれるような素振りをしてくれた。
オレは顔を俯きながらも小椋さんの手が見えて、差し伸べてくれているのがわかってスネから手を離して立ち上がろうとしたら、その足がバランスを崩して背中から仰向きでベッドに倒れ込んでしまった。
俺の馬鹿……ドジすぎるだろ。
今度こそ小椋さんは呆れて部屋から出て行くだろうと思ったら、両腕が伸びてきてベッドのシーツにその両手を置き、オレは挟まれた状態になった。
すぐ視線の上には覆いかぶさっている小椋さんの顔がある!
……え!?
こ、これって壁ドンのような…ベッド上だからベッドドン?
急に思考が変な方向に向いてる……。
ま、まずは咄嗟に目を瞑った。そしたら目前の顔は見えない。
もう嫌だ! なんだよ……心臓が飛び出そうな……呼吸だって追い付かない。
「なんだかんだ言って、お前、俺を誘ってるんじゃないのか?」
はぁーーー!?
その言い草にバチッと目を開けた。聞き捨てならなかったからだ。
違うと言いたいが、いつの間にか鼻頭まで近づけて来ている小椋さんの真顔。こんなに近いとピントが合わず見えないけど……近いってもんじゃない、動けば唇が触れるんじゃないかって距離だ。
「フッ。俺だってな、好みがあるんだよ。もし、俺をその気にさせたいなら頑張るんだな」
「……ッ」
ぐぅの音もでないってこういう事を言うのかな……。
おモテになる生徒会長さんは、どんなに自意識過剰なんだよ!?
人形の頭にかぶってるパンツが気になってしまう……だけど触れる気にはなれない。後は小椋さんが何とかするだろうと、オレは自分の寝室に入ることにした。
さっき教えてもらった風呂に行って来ようと思って、ダンボールの中にある風呂道具を取り出したけどタオルが見当たらない。
そういえば、ベッドの上にダンボールから取り出したままに片付けてない衣服や小物類が無造作に置いてあってその中に重なっていた。
「まずはこれを片付けるか……」
その時、ふと目にしたモノを見て戦慄が走った。
だって有り得ない、なんでこんなところに……だけど見覚えのあるパンダのキーホルダーがベッドの上に鎮座している。オレは少し汗ばむ手を握り締めてパンダのキーホールダーを取ろうとした時、何かに躓いて脚のスネを打ち付けるとその痛さに思わず屈み込んだら、傍にあった風呂道具の洗面器などを転がしてしまった。
この騒音がリビングにも届いたのか、小椋さんはオレの部屋から顔を出して不機嫌な声を掛ける。
「おい、静かに片づけられないのか……?」
「……ご…」
恥ずかしいというか、スネを思いっきり打ち付けたので声も出ずに悶絶した俺は脚を抱えて堪えていた。
小椋さんは呆れて戻ったのかと思ったのに、オレの傍に来て「ホラ、立て」と抑揚のない声だけど少しは心配してくれるような素振りをしてくれた。
オレは顔を俯きながらも小椋さんの手が見えて、差し伸べてくれているのがわかってスネから手を離して立ち上がろうとしたら、その足がバランスを崩して背中から仰向きでベッドに倒れ込んでしまった。
俺の馬鹿……ドジすぎるだろ。
今度こそ小椋さんは呆れて部屋から出て行くだろうと思ったら、両腕が伸びてきてベッドのシーツにその両手を置き、オレは挟まれた状態になった。
すぐ視線の上には覆いかぶさっている小椋さんの顔がある!
……え!?
こ、これって壁ドンのような…ベッド上だからベッドドン?
急に思考が変な方向に向いてる……。
ま、まずは咄嗟に目を瞑った。そしたら目前の顔は見えない。
もう嫌だ! なんだよ……心臓が飛び出そうな……呼吸だって追い付かない。
「なんだかんだ言って、お前、俺を誘ってるんじゃないのか?」
はぁーーー!?
その言い草にバチッと目を開けた。聞き捨てならなかったからだ。
違うと言いたいが、いつの間にか鼻頭まで近づけて来ている小椋さんの真顔。こんなに近いとピントが合わず見えないけど……近いってもんじゃない、動けば唇が触れるんじゃないかって距離だ。
「フッ。俺だってな、好みがあるんだよ。もし、俺をその気にさせたいなら頑張るんだな」
「……ッ」
ぐぅの音もでないってこういう事を言うのかな……。
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