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21話 2メートルを保って絶対に近寄らないでください

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「遠野、明日からで良いので会長補佐として俺の部屋に越してくる事、これは補佐への仕事に対する命だからな」

「今なんて……」

「2メートル離れるのは良いとして挙動不審なんだよ。これは責任を持って慣らせるしかないかと思ったんだ、わかったな」

 わかったなって……突然、急にそんなこと!

「無理ですよ……!ほ、補佐としての執務は従事しますが、会長と同室はやりすぎだと思いますけど!」

 じりじりと会長はオレの方に近づいてくる。その際にオレは2メートル離れる……この距離がギリで蕁麻疹が出ないでいるのに。

「ホラな? こんなんじゃ執務どころか会話もままならないだろ。しかしお前……赤面症っていうのか、ソレ。俺以外だとそうでもないのにな……俺に意識してるってことかよ」

 顔なんて関係なく嫌な性格だ。いじめっこ典型の思考のアレだ………この御曹司はくだらない子供だと思おう。

「会長センパイ! そんなに向糸兄さまを困らせないでください、お願いします。大切なことは何回も相談して話をスムーズに進めてほしいです……ムイト…兄さまが学園辞めちゃったら僕、困りますっ!」

「こ、とら……」

 まだ綾野先輩と別室に行っていなかったのか、まさか子虎が賛同してくれるとは思わなかった。でも、生徒会長に意見を言うのは大丈夫かな、お子様な生徒会長だから。

 顔色を窺うと、小椋会長はフッと軽く子虎に向いて笑みを浮かべている。

 「辞めるって大袈裟だな。それにお前、ふにゃふにゃしてるかと思えば割と骨があるようだ。確かに、補佐とのことは相談は大切だよ。しかし遠野の問題はまた別だろう。荒療治だと思うが俺だって遠野の事を考えて発言してるんだ、だから口を出して欲しくない」

「うっ……そうは見えないけど、だって向糸兄さま泣きそうだよ」

 ふわりと子虎に抱き寄せられたのにはちょっと驚いて、オレは子虎に心配させていることに気が付いた。

 恥ずかしいと思って、でも嬉しくてオレも子虎の頭部をふわりと触った。

「ありがとう、子虎。小椋会長とは話し合うのは大事だよね……」

 それにオレも克服していかなくちゃ……消極的な態度じゃ周囲にも迷惑が掛かると思わないと。


「俺と面と向かって話せることが出来るならな、考えてやる。つか、お前ら従兄弟か知らんが百合に見えるから離れろ」


「百合じゃないです! 僕は男ですからっ」

「ハッ ように見えないがな」


 今日の子虎は生徒会長に突っかかって行くなぁ……元気が良いけど心配だよ。

 それに……意地悪なくせに不意に正論を言うので、この俺様生徒会長からは何を言っても今は逃げ出せないと腹をくくるしかなかった……ま、負けないから、な。


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