腐男子★恋愛事情

42. ちょっと垣間見れたタカ先輩と白雪ちゃん

　どうやら修羅場の美人さんはお戻りになって部屋は静かになった。静寂すぎる。

　僕は頭すっぽり埋めてブランケットの中にかくれんぼ中だ。

「誉、聞いてたんだろ？」

「……誰？」

　ちょっと知りたくなった……タカ先輩の過去。

　ギシっとベッドが揺れてタカ先輩が隅に座った。傍にいるようで僕のブランケット越しの後頭部に手を触れる。

　僕はタカ先輩に嫉妬をする謂われはないのはわかってる。僕に愛をたっぷり注いでくれてるから。幸せを感じさせてくれるからだ。

　でも、僕は半分以上もタカ先輩の事を知らない。知ってるのは名前と学年組と、身長や体重は知らん。趣味は…何だろうな、案外運動とか音楽関係も好きだぞ、派手な色のパーカー着てるし私服も派手だ、言葉遣いも二面性あるし、俺様じゃないけど強引さはある、キレッキレかと思いきや爺くさくなるし、生徒会や後輩から慕われていて、顔はカッコいいし仕草もカッコイイけど、チワワには興味なくて、腐男子の僕を好きだと言うかなり変わってる優しくてエロい人。

「高等部２年の初め頃に、少し付き合ってた奴だ」

　だよね～！ だよね～！

　去年(※)は学園の王様、生徒会長だったタカ先輩だ。ブイブイ(死語だな)言わせてたんだろう。
　あの生徒会室の怪しい部屋で親衛隊の子達をたくさん囲って、その中で飛び切りの美人を頂いちゃったのだろう、言わずともわかっておるよ。

「ファン？」

「違う、同級生だった」

　えっ、同級生とは意外だ……そんな出会いは信じがたいぞ！？

　僕は少しだけ、ブランケットから顔をにょきっと出した。

「当時、俺は生徒会長で役職の忙しさや群がってくるファンとのいざこざもあり、２か月も持たないで別れたんだ」

　ファンとのいざこざの中身が気になるけど、凄くあっさりした付き合いで逆に拍子抜けだ。
　それじゃどうして今もタカ先輩のところに来るんだろうか？
　それもセフレとか言ってたぞ！ 生ゝしくセフレって。それで、セフレでいいってことは……。

「白雪ちゃんとはその後も、セフレだったの？」

「白雪……？あ、いや。あいつとは俺もあの頃はいい加減なこともあって自然消滅だよ」

　僕はブランケットから顔を完全に出して、そのあとの思考を考えた。


※任期について。この学園では前期は秋から春まで。
後期は春から秋までの意味と取って下さい。(大まか)