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ネコとオセロと学校と

27匹目 『2日ぶりに猫宮がネコなのだがどうすれば良いだろう?』

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「……んで、なんでお前、家に居座ろうとしてるんだ? 鍵取りにきただけだぞ座り込むなよ。おいなんでまたネコミミ付けやがったどっから出したそれ」

「……にゃん」

「だから誤魔化そうとすんな! なんで一昨日日曜日と似た感じになってんだお前!?」


さて、帰宅。

……したは良いものの、この幼馴染はやはりいつも通りだった。雨晒しやら熱やら経て少しぐらい反省したかと思ったのだが、全然関係無かった。

何処からともなく取り出したネコミミを再度付けた猫宮の姿は、日曜日の記憶をフラッシュバック。はもう回避したい俺は、強引に猫宮を引いて玄関口へ向かう。


「にゃぁぁぁぁ! け、けんと、わたし病人なんだよ、にゃぁ! お、追い返さないでぇぇぇ……」

「だぁれが病人だ! アホ出来るくらいだろお前もう完治してるだろ!」

「や、やぁぁぁ……!」


無駄に足掻きを敢行する猫宮に負けじと、強引に……やると骨が折れそうなので極力優しく家を出ようとするが、一向に立ち上がろうとしない猫宮は押せど引けども動かない。

……ああもう、仕方ねえか……


とうとう根負け、と言うかより効果的に追い返せる方法を画策した俺は、一旦、手を離した。


「はにゃっ!? ……きゅ、急に離さないでよぉぉ……にゃぁ…」

「うるせえ自業自得だ。晩飯だけ食わせてやるから、食ったら帰んぞバカ」

「ね、ネコだよ……って、ほ、ほんと!?」

「思いっきり頭ぶつけたのに元気だなお前!」


勢い余って床に打ち付けた頭をさする猫宮に、即興で思い浮かんだ妥協案を伝える。

もう少し粘れば、とかそう言うアイデアは無しだ。こいつは思いの外押しが強く、俺に対しては強情だ。

だがこうして、こいつにとって悪くない案を提示すればーーこの通り、眼を輝かせてネコミミをぴこぴこ動かす。原理は不明。


「……ちょろい」

「犬斗?」

「や、なんでもねえ。……それじゃあまあ、手洗って待っとけ」

「うん、分かった、にゃっ!!」


ぼそりと呟いた心からの声は誤魔化し、キッチンに向かうのだった。


……あれ? これ俺上手いことこいつの思惑にハマってね?

嬉しそう。それ以外の感情が読み取れない猫宮の顔を見て、そんな疑いを持ちながら。


◆◇◆


「……ん、あいつらか」

「にゃ? 犬斗、今ご飯中!」


晩飯の焼き魚を二人、貪る最中の事。

藤夜と草場の二人が、照らし合わせたようにグループNYAINにメッセージを入れてきて、それに眼を移した俺を、猫宮が咎める。

普段からロクでもない事しかやらん奴に注意されるのは微妙に癪だが。非はこっちにあるから仕方ない、従おう。


「ああ、分かってるよ。晩飯の前に連絡しとくべきだったか……そーいや、家帰ってからの連絡も忘れてたな」

「むうう……犬斗、誰なの? にゃ」


……な、なんだこいつ、不機嫌だなおい

声色が暗い猫宮だが、まあ隠す理由も無いだろう。俺は、の事を諸々伝えた。勿論、藤夜の好きな相手は秘密だが。

ーーしかし。

「……ふ、ふぅん……そ、そうなんだ。……やっぱり犬斗、わたしより藤夜さんの方が……」

「いやいやいやいや、何を脈絡も無く。あいつは単なる相談相手だ。お前の方が優先だが」

「……にへへ。そうなんだ。……犬斗、好き!」


……うむ、やはりこいつは分からんな。


ころころと表情を変える猫宮を見て、そう確信した。

何も変な事は言っていない筈なんだがな? 猫宮のツボは、意味不明だ。


「……ま、良いや。早く晩飯食え。家に送るのも、遅すぎると危ねえしな」

「うん! にゃぁ、へへ」

「なんだそりゃ」


そうして俺たちは、再度、食事に戻るのだった。



ーーその頃。


◆◇◆


~『藤夜の告白成功させ隊』 NYAINグループにて~


[もー! なんであいつ出ないのよぉ!]

[ふむ、この時間帯だと咲森氏は夕食の時間帯ですかなw 推測ですがww 多分、猫宮たんとご一緒に食べているのではと予想しますぞw


[…ねえ、その“たん”って言うの、なんとかならないの? 不快]

[オウフw 流石藤夜たん手厳しいww]

[だから辞めなさいって!!]


~とある、SNS上での一幕~
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