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狙われるザッパムーン星
能力100%を目指したのだが…
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いつもの様に放課後も授業を受け、それが終わって一般棟へ行くためにエトワール学園の研究棟の廊下を歩くエミール家一家。気が抜けたそのとき、
「さて、国家元首全員を集めての会議も終わったことだし、あれに取りかかろうか」
そう、思い出して独り言をこぼすエミールに、
「あれとは何ですの?エミール様」
そう尋ねるヘクディー。
「あぁ。みんなには言っていなかったか。まずはメティスシステムを全て復活させて、それから余裕があれば他の通信インフラも全て…のどれだけできるか分からないが、とにかくできるだけ復活させたいんだ」
ザッパムーン星のスーパーコンピューターシステム群であるメティスシステム。それが使えれば戦局を見極めるのに大いに役立つであろう。そう。使えれば。
実際のところ、メティスシステムはスーパーコンピューターシステム群。システム群なのである。全てが稼働状態のときにその真価を発揮する。しかし、今現在、稼働しているスーパーコンピューターは、プランティニカ王国とファクトリニス王国にあるものだけに限られている。(第188部分、第5章『勉強とこの世界の把握』の『試験の予約と謎の女性僧侶』参照)。
したがって、ニムテズ大陸、バーハーグト大陸、シンドーフ大陸のメティスシステムが止まっており、メティスシステムの3割も稼働していないのが今の状態であった。
「メティスシステムは実は現在、3割も力を出せていないんだ。メティスシステムだけでも全部稼働させたい」
「そういうことですのね。分かりました。ここは家族全員で事に当たりましょう」
そう返答するヘクディーであったが、エミールは戸惑い、
「何も全員で当たることは無いだろう。それぞれやりたいことも、やらなければならないこともあるだろうに…。1人2人手伝ってくれれば…」
すると、アボシーは、
「いいえ、情報を甘く見てはいけません。どんな極悪兵器を使えたとしても当たらなければ何の効果もありません。兵力も大事ですが情報を甘く見てはいけません。情報収集と分析、それを担う設備を持っていながら整備を怠り、使えない状態で戦いに挑めば守れるものも守れません!今の最重要課題でしょう!」
言っていることの方向性は正しいのだろうが、その表現は…。と、残念に思いながら、エミールは家族全員の顔を見ると、全員やる気の顔をしている。ここはやる気をそぐのは愚策だと思い直したエミールは、
「分かった。全員でやろう。但し、抜けなければならないときは、ちゃんとやるべき事をやること。それでいいね?」
「「「「「「イエス!マム!」」」」」」
『マムじゃなくてお父さんだよ?』 変なテンションになったエミール家一家であったが、分かってくれたのならそれでいいかと思うエミールであった。
そこで話しは終わりではなかった。エーレンフリートが「あっ」とつぶやいて、
「お父様お父様。成功するかは分かりませんが、こんな術式を思いついたのですが…」
エミールに見せた、投影の魔法を使っての魔法術式の概略図。…地球ではフローチャートと言うそれを家族全員がのぞき込み、
「エーレンフリート、今その話題をブッ込んできたということは、細部まで詰めているということかい?」
「はい。僕なりに実現可能なところまで詰めてはいますが、何分試したことがありませんで…」
すると、エミールは黒い笑顔を浮かべて、
「ふっふっふっ。コレの場合、アイデアが出ただけでも立派なものだよ。それに、具体的に細部まで設計できているなら、それを見て間違いを発見できるし。なに、皆協力してくれるさ!家族だろ?」
「「「「「「イエス!イエス!マム!」」」」」」
変なテンションは、とうとうエミールにまで感染し、エミール家全員が変なテンションでヤル気になり、
「そうと決まったらまずは学食へ行くぞ!今日は長くなりそうだ。皆、それを考慮してちゃんと1食分食べろよ!」
「「「「「「イエス!、イエス!イエス!マム!」」」」」」
そうして意気揚々と学食へ向かい、自分たちの1年A組の教室で、エーレンフリートの術式を皆で詰め、細かくモジュールに分解して家族で実験を重ね、またそれをつなぎ合わせて実験を重ね、実に8時間。そうしてエーレンフリートが思い描いた術式が完成するのであった。
「エーレンフリート、コレ単体で強力じゃね?」
話し方の壊れたエミールに、
「…そうかも知れません」
申し訳なさげに答えるエーレンフリート。
エーレンフリートが考えた魔法は、精神世界の実時間の止まる性質を現実世界で起こし、なおかつそこで行なわれた物理的な作用は現実世界の時を再度動かしても有効にするというとても強力な時間操作魔法であった。
この魔法を使うとどうなるかというと、時間を停止させた状態で物を動かすと、通常は実時間ではほぼ0の時間で力がかかるものだから、ちょっと触れただけでも物が壊れるのだが、それが起こらずに、実時間を再度動かしても物は停止中に動かしたときの位置のまま。
つまり、今回の例で言えば、コンピューターを修理しようとしていろいろと触っても物は壊れず、1分にも満たない実時間で多くの、というより膨大な作業ができ(それは術者のさじ加減)、あっという間に修理が完了するというものであった。
「ふっふっふっ。この魔法があればメティスシステムだけとは言わず、全ての通信インフラを再起動できるな!」
「やったな!エーレンフリート!」
「天才ですわ!エーレンフリート!」
「英雄だな!エーレンフリート!」
実際に偉大な魔法なのだが、妙なテンションで微妙な褒め方をされるエーレンフリート。
しかし、実際この魔法は本当に偉大で、余裕を持って予定を組んで実時間1週間、実労時間3年、実際は時間を止めながら休憩や睡眠を摂ったから… 計算したくもない。
…ともかく、実時間にして1週間にてザッパムーン星の全情報インフラ(端末を含む)を、見事復活させたエミール家一家であった。
折角“情報通信機器の理論と設計”の授業を受けているのに何故復活に留めたかって?
地球のコンピュータに関わっている者の一部のグループに“ソフトウエアが枯れる”という表現がある。
これは何も古いソフトウエアで今に合っていないから新しいものを使おうぜ!という意味ではなく、多く者に使われ、修正され、より信頼性の高いソフトウエアを指す表現である。
まぁ、修正された部分は枯れ具合が薄かったり、“動かしたときに正しい答えを出してくれた”のと、“ソフトウエアの設計に矛盾が無い”とは必ずしもイコールではないというプログラムに関わる者のジレンマがあるのだが…。
とにもかくにもこれでザッパムーン星の全情報インフラが復活した。
「今は防衛に全力を注がなくてはいけないから今は無理だけれど、戦争が終わったら、ザッパムーン星の情報革命が起きて、地球にあったあんなサイトが…」
「こんなサイトも…」
「あれもできたりして…」
「「「「「「ふっふっふっふっふっふっ…」」」」」」
そっちがメインじゃないよね?
全員で暗い笑みを浮かべるエミール家一家なのであった。
「さて、国家元首全員を集めての会議も終わったことだし、あれに取りかかろうか」
そう、思い出して独り言をこぼすエミールに、
「あれとは何ですの?エミール様」
そう尋ねるヘクディー。
「あぁ。みんなには言っていなかったか。まずはメティスシステムを全て復活させて、それから余裕があれば他の通信インフラも全て…のどれだけできるか分からないが、とにかくできるだけ復活させたいんだ」
ザッパムーン星のスーパーコンピューターシステム群であるメティスシステム。それが使えれば戦局を見極めるのに大いに役立つであろう。そう。使えれば。
実際のところ、メティスシステムはスーパーコンピューターシステム群。システム群なのである。全てが稼働状態のときにその真価を発揮する。しかし、今現在、稼働しているスーパーコンピューターは、プランティニカ王国とファクトリニス王国にあるものだけに限られている。(第188部分、第5章『勉強とこの世界の把握』の『試験の予約と謎の女性僧侶』参照)。
したがって、ニムテズ大陸、バーハーグト大陸、シンドーフ大陸のメティスシステムが止まっており、メティスシステムの3割も稼働していないのが今の状態であった。
「メティスシステムは実は現在、3割も力を出せていないんだ。メティスシステムだけでも全部稼働させたい」
「そういうことですのね。分かりました。ここは家族全員で事に当たりましょう」
そう返答するヘクディーであったが、エミールは戸惑い、
「何も全員で当たることは無いだろう。それぞれやりたいことも、やらなければならないこともあるだろうに…。1人2人手伝ってくれれば…」
すると、アボシーは、
「いいえ、情報を甘く見てはいけません。どんな極悪兵器を使えたとしても当たらなければ何の効果もありません。兵力も大事ですが情報を甘く見てはいけません。情報収集と分析、それを担う設備を持っていながら整備を怠り、使えない状態で戦いに挑めば守れるものも守れません!今の最重要課題でしょう!」
言っていることの方向性は正しいのだろうが、その表現は…。と、残念に思いながら、エミールは家族全員の顔を見ると、全員やる気の顔をしている。ここはやる気をそぐのは愚策だと思い直したエミールは、
「分かった。全員でやろう。但し、抜けなければならないときは、ちゃんとやるべき事をやること。それでいいね?」
「「「「「「イエス!マム!」」」」」」
『マムじゃなくてお父さんだよ?』 変なテンションになったエミール家一家であったが、分かってくれたのならそれでいいかと思うエミールであった。
そこで話しは終わりではなかった。エーレンフリートが「あっ」とつぶやいて、
「お父様お父様。成功するかは分かりませんが、こんな術式を思いついたのですが…」
エミールに見せた、投影の魔法を使っての魔法術式の概略図。…地球ではフローチャートと言うそれを家族全員がのぞき込み、
「エーレンフリート、今その話題をブッ込んできたということは、細部まで詰めているということかい?」
「はい。僕なりに実現可能なところまで詰めてはいますが、何分試したことがありませんで…」
すると、エミールは黒い笑顔を浮かべて、
「ふっふっふっ。コレの場合、アイデアが出ただけでも立派なものだよ。それに、具体的に細部まで設計できているなら、それを見て間違いを発見できるし。なに、皆協力してくれるさ!家族だろ?」
「「「「「「イエス!イエス!マム!」」」」」」
変なテンションは、とうとうエミールにまで感染し、エミール家全員が変なテンションでヤル気になり、
「そうと決まったらまずは学食へ行くぞ!今日は長くなりそうだ。皆、それを考慮してちゃんと1食分食べろよ!」
「「「「「「イエス!、イエス!イエス!マム!」」」」」」
そうして意気揚々と学食へ向かい、自分たちの1年A組の教室で、エーレンフリートの術式を皆で詰め、細かくモジュールに分解して家族で実験を重ね、またそれをつなぎ合わせて実験を重ね、実に8時間。そうしてエーレンフリートが思い描いた術式が完成するのであった。
「エーレンフリート、コレ単体で強力じゃね?」
話し方の壊れたエミールに、
「…そうかも知れません」
申し訳なさげに答えるエーレンフリート。
エーレンフリートが考えた魔法は、精神世界の実時間の止まる性質を現実世界で起こし、なおかつそこで行なわれた物理的な作用は現実世界の時を再度動かしても有効にするというとても強力な時間操作魔法であった。
この魔法を使うとどうなるかというと、時間を停止させた状態で物を動かすと、通常は実時間ではほぼ0の時間で力がかかるものだから、ちょっと触れただけでも物が壊れるのだが、それが起こらずに、実時間を再度動かしても物は停止中に動かしたときの位置のまま。
つまり、今回の例で言えば、コンピューターを修理しようとしていろいろと触っても物は壊れず、1分にも満たない実時間で多くの、というより膨大な作業ができ(それは術者のさじ加減)、あっという間に修理が完了するというものであった。
「ふっふっふっ。この魔法があればメティスシステムだけとは言わず、全ての通信インフラを再起動できるな!」
「やったな!エーレンフリート!」
「天才ですわ!エーレンフリート!」
「英雄だな!エーレンフリート!」
実際に偉大な魔法なのだが、妙なテンションで微妙な褒め方をされるエーレンフリート。
しかし、実際この魔法は本当に偉大で、余裕を持って予定を組んで実時間1週間、実労時間3年、実際は時間を止めながら休憩や睡眠を摂ったから… 計算したくもない。
…ともかく、実時間にして1週間にてザッパムーン星の全情報インフラ(端末を含む)を、見事復活させたエミール家一家であった。
折角“情報通信機器の理論と設計”の授業を受けているのに何故復活に留めたかって?
地球のコンピュータに関わっている者の一部のグループに“ソフトウエアが枯れる”という表現がある。
これは何も古いソフトウエアで今に合っていないから新しいものを使おうぜ!という意味ではなく、多く者に使われ、修正され、より信頼性の高いソフトウエアを指す表現である。
まぁ、修正された部分は枯れ具合が薄かったり、“動かしたときに正しい答えを出してくれた”のと、“ソフトウエアの設計に矛盾が無い”とは必ずしもイコールではないというプログラムに関わる者のジレンマがあるのだが…。
とにもかくにもこれでザッパムーン星の全情報インフラが復活した。
「今は防衛に全力を注がなくてはいけないから今は無理だけれど、戦争が終わったら、ザッパムーン星の情報革命が起きて、地球にあったあんなサイトが…」
「こんなサイトも…」
「あれもできたりして…」
「「「「「「ふっふっふっふっふっふっ…」」」」」」
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