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新しい生活

薫の筆頭宮廷魔道士就任

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「エリアリアーナ君、二郎君、ちょっといいかい?」

「はい」


 場所は宮廷魔道士の部屋。書類仕事をしていた二郎とかおるであったが、筆頭宮廷魔道士のおっちゃんと、もう一人、ナンバー2の人に呼ばれて別室へ。


「最近どうかね?」

「仕事も慣れてきまして…」


 始めは当たりさわりのない話から。そして、


「それで本題なのじゃが、ワシもいい年じゃ。そろそろ筆頭宮廷魔道士の引退も考えている。こいつもそうじゃ。一緒に引退しようと考えている。そこで、次の筆頭宮廷魔道士を誰にするか2人で考えたんだが、エリアリアーナ君、君、やってくれんか? そして、二郎君、君、サポートしてやってはくれんか?」


 二郎とかおるはしばし相談して、


「分りました。その話、お受け致します」


 こうして、かおるが次期筆頭宮廷魔道士、二郎が次期宮廷魔道士副長となった。

 部屋に戻り、筆頭宮廷魔道士のおっちゃんはみなに話し始めた。


「ちょっと仕事を中断して聞いてくれ。今、筆頭宮廷魔道士をしているワシと、副長をやっているこいつは、老齢のため、引退を考えている。そこで、次期筆頭宮廷魔道士をエリアリアーナ君に、副長を二郎君にすることに決まった。今日から引き継ぎをするのでみな、そのように心得てくれ。以上だ」


 二郎とかおるは、今している仕事を片付け、引き継ぎの作業にうるるのであった。

 筆頭宮廷魔道士と副長、二郎とかおるは連れ立って、騎士団と近衛騎士団にそのことを説明してまわり、王に報告に行った。



 二郎とかおるは、引き継ぎのため、今決まっているシフトを一旦破棄し、新人の頃のように常時勤務で決まった曜日に休むスタイルをしばらく続けることになった。


     *


 宮廷魔道士のトップクラスの仕事は平でやっているときより多岐たきにわたった。まずは今る宮廷魔道士の実力の把握だ。得意な魔法、不得手ふえてな魔法、使える、使えない魔法に、総魔力量まで。これは先代が書類にまとめていてくれていたので、書類に書いているものを覚えるだけで済んだ。それから配下に地方の魔道士団を抱えているため、各魔道士団の実力の把握。これも書類に書いていることを覚える。そして、騎士団に近衛騎士団と合同でする定例会議。財務卿に提出する収支報告の書類作成、etc.etc.

 これらを全てやって、二郎とかおるは、特に不具合もなくやりげるのを見定めてから、


「あ、そう言えば、副長は筆頭宮廷魔道士が任命できて、王や騎士団たちには事後報告でよくってな。それからあと2、3人増やすこともできるぞ。それからな、まぁ推薦がほとんどだが、優秀な魔法使いを見つけたら、筆頭宮廷魔道士が、宮廷魔道士へ雇い入れることもできる。あと、まぁ、いざ有事になったら宮廷魔道士なんて後方でふんぞり返って指示だけ出していればよいことがほとんどじゃ。あとは任せたぞ。じゃぁな」


 そんな言葉を残し、筆頭宮廷魔道士のおっちゃんと副長は、引退していくのであった。


 後日、かおるの筆頭宮廷魔道士就任式。謁見えっけんの間には王や、貴族の重鎮が勢揃せいぞろいしていた。


「宮廷魔道士よ。これへ」


 その言葉でかおるを先頭に、その次に二郎、その後ろには宮廷魔道士全員が列を成して謁見えっけんの間へ入っていく。


「カオル・アソウよ」

「はい」


 かおるは一歩前へ出て、


「そなたを筆頭宮廷魔道士のにんを命じる」

「謹んでお受け致します」


 アバン王手すがら、かおるは筆頭宮廷魔道士を示すメダルを付けてもらう。


「これよりカオル・アソウが筆頭宮廷魔道士だ。皆の者、心得よ」

「「「「「はっ!」」」」」


 こうしてかおるの筆頭宮廷魔道士の就任式は終わるのであった。


 後日、麻宗あそう家主催で、かおるの筆頭宮廷魔道士就任と、二郎の副長就任を祝うパーティーが行なわれるのであった。

 出席者選定には、ミネルバとカッテリーナの活躍があったことをここに記しておく。


     *


「それで、仕事も一段落ひとだんらくしたし、ひらの頃のシフトよりは仕事多めだったり、二郎と一緒いっしょに休みなんてできなかったりするけど、またシフト制に戻って休みももらえるわー」


 王都麻宗あそう邸のリビング。麻宗あそう家の面々がみな集まっている。そうなのである。筆頭宮廷魔道士とはいえ、新人の指導などの用事がない時期は基本シフト制。結構休みがあったりするのであった。


「でも、私、真面目だから、地方の魔道士団の実力もこの目で見て把握はあくしておきたいのよねー。転移やゲートで一瞬で飛べるようにもなっておきたいし。しばらく忙しいけどごめんね」


 将来的には休みがもらえる方だが、仕事熱心なため、仕事を増やす二郎とかおるなのであった。
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