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新しい生活

王女様方を引き取る

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 次の日、二郎じろうかおるが登城すると、筆頭宮廷魔道士のおっちゃんから声をかけられた。


「二郎君、行き遅れの2人の王女をもらうんだってな。婚約式の話があるそうで、今日も仕事終わりに王に会いに行ってくれ」

「へ?婚約式?お付き合いから始めるんじゃないんですか?」

「わしにその辺は分らんさ。とりあえず、今日の終わり、王様に会う。よろしく頼むぞ」


 どうやらお付き合いをほとんどせずに婚約まで進むようだ。気が早いって…と愚痴る二郎じろうかおるであった。



 仕事終わりに王と会った。一緒に当事者のミネルバ王女様とカッテリーナお嬢様もいた。


「二郎君、早速だが、ミネルバとカッテリーナは二人に預けるから君らの屋敷に住まわせてやってくれ。一緒に住んでいたらそのうちに人となりも分るだろう」


 いきなりの爆弾発言!王女だというのにこの扱い、いいのだろうかこれで!二郎じろうかおるはめまいを起こしそうなショックを立て直し、


「それではお部屋の準備をしなくては…」

「お前たちの使用人には今朝、伝えてある。準備も整っていると連絡を受けている。荷物も運び終わっている。構わん。今日引き取ってくれ」

「そんな物みたいに…。お姫様はそれで構わないんですか?」


 二郎はショックを受けた心を立て直し、何とか返事を返した。


「「相手は二郎さんしか考えられません。どうぞよろしくお願いします」」


 王女様方もそれでいいそうな。ユニゾンで返答が帰って来た。本人が良いと言っているからいいのだろうか?王女の扱いってこれでいいのか?いろいろ疑問が頭の中を駆けめぐっているがどうも一緒に住むのは決定事項らしい。仕方がない。連れて帰るか。


「二郎君、かおる君。それで、婚約式の話なんだが…」


 二郎とかおるが混乱している間にどんどん話が進む。王女様方も自分の晴れの舞台。二郎とかおるがついて行けぬ間にいろいろと意見を言い、それが通る。王と2人の王女とで、どんどん話が煮詰まっていく。


「まぁ、大体こんなものだな。二人ともご苦労だった。後の話は動き出してからでいいだろう。ご苦労であった。もう帰っていいぞ」

「王様、それでは今日は帰らせていただきます」

「王様とか堅苦しいことは公の場だけに致せ。身内だけのときはお義父さんでいいぞ」

「はぁ、分りました。それでは失礼します」

「それではまたな」


 二郎を先頭に、かおる、ミネルバ、カッテリーナと続き、王城の建物を出て、キャンピングカーに乗り込む。


「あぁ、ドッと疲れた」

「ああもトントン拍子に話が進むとは… もう私たちの手の届かないところまで話が進みましたね」


 ミネルバもカッテリーナも乗っているのに本音の出る二郎とかおる


「王女様方、準備はできましたね?それでは麻宗邸に帰りますよ」

「「準備はできております。早く参りましょう」」


 またもユニゾンで返答が帰って来た。もういいや。なるようになるさ。あきらめて家路につく二郎とかおるであった。


「お帰りなさいませ旦那様、奥様。お初にお目にかかりますミネルバ女王様、カッテリーナ王女様」

「おかえりお父さん、お母さん」

「お帰りなさいませお父さん、お母さん。それで、その2人の女性は?」

「説明するから応接間へ行こうか」


 二郎とかおるは説明のため花菜香はなか風雅ふうがと共に応接間へ行った。


「こちらのお2人はミネルバ女王様とカッテリーナ王女様。前に話したお義母さんになるかも知れない人だ。呼び方はとりあえずお姉さんでね。こちらは長女の花菜香はなかと長男の風雅ふうが。みんな仲良くやってくれ」

「ミネルバです。仲良くして下さい」

「カッテリーナです。みんなで仲良くしましょ」

「長女の花菜香はなかです。よろしくお願いします」

「長男の風雅ふうがです。よろしくお願いします」


 自己紹介も終わり、まずは夕食をという話になり、食堂へ。


「食べたことのない料理ですわ。でも、食べてみると美味しいですわね」

「これなんか、宮廷料理よりも美味しいんじゃないの?」


 麻宗家4人は地球の日本育ちのため、食事は日本で食べられているものを作るようにかおるが料理長に時々調理法を伝えていた。そのせいで、こちらの人間にとっては珍しい料理になっているのだそうな。


「お2人はもう王城で職に就いていると思いますが、何をなさっていますか?」

「「花嫁修業ですわ」」


 またユニゾンで返答された。


「それでは政務には…」

「「関わっておりませんわ」」


 仕事に就いていないとは思わなかった二郎とかおるはポカンとした。


「それでは我が屋敷で日中は何をなさいますか?」

「「お裁縫とか編み物とかダンスの練習とかいくらでもやることはありますわ」」


 そっか。そんな風にして城で過ごしていたのかと思う二郎とかおるであったが、


「それではその合間に子供2人と遊んでやってくれませんか?」

「「分りましたわ」」

「私たちもこの家に早く馴染なじみたいですもの」

「望むところですわ」


 こうして王女2人を加えて、麻宗家のデコボコな生活がスタートするのであった。
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