異世界マゼマゼ奮闘記

ぷい16

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第五章 流通革命

新人教育初日―配達業者の新人教育―前編

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 バイク便の現場に行った次の日は完全なオフの日となった。そのオフの日。


「アントネラ、アカツキ邸にあってこの家にい物がある気がするんだけど何かな?」

「テレビとBDレコーダが居間と各自室にあって、パソコンは各自室にあって… あ、ラジオじゃないですか?」

「そうか。じゃぁ、ラジオを買いに行こう」


 汲広くみひろ馴染なじみの無線屋に行った。


「お客様、今日は何をお求めですか?」

「またオールモードの受信機が欲しくてね」

「これはまぁ、この前も同じような物を買っていったと思いますが無線、お好きなのですね」

「そうですね。好きですね。でも、よく私が前に買った物を覚えていますね」

「それは高価な物を度々たびたび買っていただいているので、お客様はもう当店では上得意様という認識でいますから」


 汲広くみひろはオールモードの受信機2台と分配器を買って自宅に帰り、設置した。設置中、アントネラの部屋にはミニコンポがあるのに気付いた。


「アントネラ、ラジオはよく聞くのか?」

「はい。たまに。書類仕事の途中はテレビじゃ不向きですし、ながら聞きに向いているんです」

「それでミニコンポか。僕の買ってくる機器じゃぁステレオ放送は無理だからな」

「そうなんですよ。外国の短波放送を聞く分には機能が豊富で便利なんで、使い分けています」


 アントネラの汲広くみひろが知らない趣味が聞けた。

 アントネラの役に立っていると喜んでいる汲広くみひろであった。


     *


 次の日、木瀬運輸に出社する日である。

 汲広くみひろとアントネラは実家で朝食をり、外へ出てずかしくないように服装、身なりを整えて、バイク便の本拠地である木瀬運輸栄町集配センターに掃き出し窓の能力で向かった。

 門で受付をして、掃き出し窓の能力でバイク便の建物へ向かう。


「岡塚夫妻、集合時間までまだ時間があるのに朝早いですね」

「できるだけこちらにれておきたくて」

「それは良い心がけですね」


 対応してくれるのは、バイク便の疋田野ひきだの和彦かずひこ課長だ。


「まだ早いですが、これが制服です。出社したらこれに着替えていただきます。ロッカーにご案内します」


 制服をもらって汲広くみひろ疋田野ひきだのに、アントネラは女性事務員にロッカーまで案内してもらう。

 細くてあまり物は入らなそうだがかぎ付きで、まぁまぁのロッカーだ。

 二人は着替えて建物の前に立つ。


「お早う御座います」

「お早う御座います」


 パラパラと出社する人に頭を下げながら挨拶あいさつをしていく。

 二人とも右利みぎききだ。

 右手に左手をえて手はへその下あたり。接客業の基本姿勢らしい。

 これから一緒に働く人の顔を覚えるのと、あと、基本姿勢に慣れる練習だ。集合時間ちょっと前になると、多くの人でごったがえした。

 二人は五階の朝礼をする部屋に向かった。

 ちなみに、初顔合わせとオリエンテーションをするために集まったので、瞬達便しゅんたつびんのメンバーは今日だけ遅い集合時間だ。バイク便の面々はもう仕事に入っている。


 配達員20名と、ナビゲーター20名、総勢40名。実際集まってみると、結構大所帯おおじょたいだ。

 瞬達便しゅんたつびんのメンバーが一堂いちどうかいした。

 疋田野ひきだの課長と汲広くみひろとアントネラがメンバーの前に立つ。

 疋田野ひきだの課長が進行役だ。


「これから初の朝礼を行う。バイク便の課長で瞬達便しゅんたつびんも担当する疋田野ひきだの和彦かずひこだ。よろしく頼む」

瞬達便しゅんたつびんの主任の岡塚おかつか汲広くみひろだ」

「同じく瞬達便しゅんたつびんの主任で汲広くみひろの妻のアントネラです。よろしくお願いしますね」


 次々と疋田野ひきだの課長から訓示くんじと連絡事項が伝えられる。

 それが一段落いちだんらくして、汲広くみひろが、


「これから必要な能力の授与を行います」


 メンバーがざわついた。能力の授与なんて普通じゃないからそれも仕方がない。


 汲広くみひろとアントネラが手分けして、掃き出し窓の能力と土のう袋の能力、記憶に名前を付ける能力と名前の視覚化の能力と記憶を意識の外へ追いやる能力、念話の能力に地理の能力をさずけていく。

 これは配達員、ナビゲーター区別なくだ。

 ナビゲーターは掃き出し窓の能力と土のう袋の能力はらないのだが、何が行われるか分かった方が何事も取り組みやすいだろうと判断して区別なく能力を授けることにしたのだ。

 全てのメンバーに能力を授けた後、疋田野ひきだの課長は、


「能力の使い方は後ほど岡塚夫妻から受けてもらうことにして、10人ずつに分かれて場内の案内をする。業務で立ち入らないところも多いが、ここがどんなセンターか、みな、しっかりと覚えるように」


 汲広くみひろとアントネラも、場内の案内をまだ受けていない。

 メンバーに交ざって城内をめぐるのであった。
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