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第五章 流通革命
新人教育初日―配達業者の新人教育―前編
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バイク便の現場に行った次の日は完全なオフの日となった。そのオフの日。
「アントネラ、アカツキ邸にあってこの家に無い物がある気がするんだけど何かな?」
「テレビとBDレコーダが居間と各自室にあって、パソコンは各自室にあって… あ、ラジオじゃないですか?」
「そうか。じゃぁ、ラジオを買いに行こう」
汲広は馴染みの無線屋に行った。
「お客様、今日は何をお求めですか?」
「またオールモードの受信機が欲しくてね」
「これはまぁ、この前も同じような物を買っていったと思いますが無線、お好きなのですね」
「そうですね。好きですね。でも、よく私が前に買った物を覚えていますね」
「それは高価な物を度々買って頂いているので、お客様はもう当店では上得意様という認識でいますから」
汲広はオールモードの受信機2台と分配器を買って自宅に帰り、設置した。設置中、アントネラの部屋にはミニコンポがあるのに気付いた。
「アントネラ、ラジオはよく聞くのか?」
「はい。たまに。書類仕事の途中はテレビじゃ不向きですし、ながら聞きに向いているんです」
「それでミニコンポか。僕の買ってくる機器じゃぁステレオ放送は無理だからな」
「そうなんですよ。外国の短波放送を聞く分には機能が豊富で便利なんで、使い分けています」
アントネラの汲広が知らない趣味が聞けた。
アントネラの役に立っていると喜んでいる汲広であった。
*
次の日、木瀬運輸に出社する日である。
汲広とアントネラは実家で朝食を摂り、外へ出て恥ずかしくないように服装、身なりを整えて、バイク便の本拠地である木瀬運輸栄町集配センターに掃き出し窓の能力で向かった。
門で受付をして、掃き出し窓の能力でバイク便の建物へ向かう。
「岡塚夫妻、集合時間までまだ時間があるのに朝早いですね」
「できるだけこちらに慣れておきたくて」
「それは良い心がけですね」
対応してくれるのは、バイク便の疋田野和彦課長だ。
「まだ早いですが、これが制服です。出社したらこれに着替えていただきます。ロッカーにご案内します」
制服をもらって汲広は疋田野に、アントネラは女性事務員にロッカーまで案内してもらう。
細くてあまり物は入らなそうだが鍵付きで、まぁまぁのロッカーだ。
二人は着替えて建物の前に立つ。
「お早う御座います」
「お早う御座います」
パラパラと出社する人に頭を下げながら挨拶をしていく。
二人とも右利きだ。
右手に左手を添えて手はへその下辺り。接客業の基本姿勢らしい。
これから一緒に働く人の顔を覚えるのと、あと、基本姿勢に慣れる練習だ。集合時間ちょっと前になると、多くの人でごった返した。
二人は五階の朝礼をする部屋に向かった。
ちなみに、初顔合わせとオリエンテーションをするために集まったので、瞬達便のメンバーは今日だけ遅い集合時間だ。バイク便の面々はもう仕事に入っている。
配達員20名と、ナビゲーター20名、総勢40名。実際集まってみると、結構大所帯だ。
瞬達便のメンバーが一堂に会した。
疋田野課長と汲広とアントネラがメンバーの前に立つ。
疋田野課長が進行役だ。
「これから初の朝礼を行う。バイク便の課長で瞬達便も担当する疋田野和彦だ。よろしく頼む」
「瞬達便の主任の岡塚汲広だ」
「同じく瞬達便の主任で汲広の妻のアントネラです。よろしくお願いしますね」
次々と疋田野課長から訓示と連絡事項が伝えられる。
それが一段落して、汲広が、
「これから必要な能力の授与を行います」
メンバーがざわついた。能力の授与なんて普通じゃないからそれも仕方がない。
汲広とアントネラが手分けして、掃き出し窓の能力と土のう袋の能力、記憶に名前を付ける能力と名前の視覚化の能力と記憶を意識の外へ追いやる能力、念話の能力に地理の能力を授けていく。
これは配達員、ナビゲーター区別なくだ。
ナビゲーターは掃き出し窓の能力と土のう袋の能力は要らないのだが、何が行われるか分かった方が何事も取り組みやすいだろうと判断して区別なく能力を授けることにしたのだ。
全てのメンバーに能力を授けた後、疋田野課長は、
「能力の使い方は後ほど岡塚夫妻から受けてもらうことにして、10人ずつに分かれて場内の案内をする。業務で立ち入らないところも多いが、ここがどんなセンターか、皆、しっかりと覚えるように」
汲広とアントネラも、場内の案内をまだ受けていない。
メンバーに交ざって城内を巡るのであった。
「アントネラ、アカツキ邸にあってこの家に無い物がある気がするんだけど何かな?」
「テレビとBDレコーダが居間と各自室にあって、パソコンは各自室にあって… あ、ラジオじゃないですか?」
「そうか。じゃぁ、ラジオを買いに行こう」
汲広は馴染みの無線屋に行った。
「お客様、今日は何をお求めですか?」
「またオールモードの受信機が欲しくてね」
「これはまぁ、この前も同じような物を買っていったと思いますが無線、お好きなのですね」
「そうですね。好きですね。でも、よく私が前に買った物を覚えていますね」
「それは高価な物を度々買って頂いているので、お客様はもう当店では上得意様という認識でいますから」
汲広はオールモードの受信機2台と分配器を買って自宅に帰り、設置した。設置中、アントネラの部屋にはミニコンポがあるのに気付いた。
「アントネラ、ラジオはよく聞くのか?」
「はい。たまに。書類仕事の途中はテレビじゃ不向きですし、ながら聞きに向いているんです」
「それでミニコンポか。僕の買ってくる機器じゃぁステレオ放送は無理だからな」
「そうなんですよ。外国の短波放送を聞く分には機能が豊富で便利なんで、使い分けています」
アントネラの汲広が知らない趣味が聞けた。
アントネラの役に立っていると喜んでいる汲広であった。
*
次の日、木瀬運輸に出社する日である。
汲広とアントネラは実家で朝食を摂り、外へ出て恥ずかしくないように服装、身なりを整えて、バイク便の本拠地である木瀬運輸栄町集配センターに掃き出し窓の能力で向かった。
門で受付をして、掃き出し窓の能力でバイク便の建物へ向かう。
「岡塚夫妻、集合時間までまだ時間があるのに朝早いですね」
「できるだけこちらに慣れておきたくて」
「それは良い心がけですね」
対応してくれるのは、バイク便の疋田野和彦課長だ。
「まだ早いですが、これが制服です。出社したらこれに着替えていただきます。ロッカーにご案内します」
制服をもらって汲広は疋田野に、アントネラは女性事務員にロッカーまで案内してもらう。
細くてあまり物は入らなそうだが鍵付きで、まぁまぁのロッカーだ。
二人は着替えて建物の前に立つ。
「お早う御座います」
「お早う御座います」
パラパラと出社する人に頭を下げながら挨拶をしていく。
二人とも右利きだ。
右手に左手を添えて手はへその下辺り。接客業の基本姿勢らしい。
これから一緒に働く人の顔を覚えるのと、あと、基本姿勢に慣れる練習だ。集合時間ちょっと前になると、多くの人でごった返した。
二人は五階の朝礼をする部屋に向かった。
ちなみに、初顔合わせとオリエンテーションをするために集まったので、瞬達便のメンバーは今日だけ遅い集合時間だ。バイク便の面々はもう仕事に入っている。
配達員20名と、ナビゲーター20名、総勢40名。実際集まってみると、結構大所帯だ。
瞬達便のメンバーが一堂に会した。
疋田野課長と汲広とアントネラがメンバーの前に立つ。
疋田野課長が進行役だ。
「これから初の朝礼を行う。バイク便の課長で瞬達便も担当する疋田野和彦だ。よろしく頼む」
「瞬達便の主任の岡塚汲広だ」
「同じく瞬達便の主任で汲広の妻のアントネラです。よろしくお願いしますね」
次々と疋田野課長から訓示と連絡事項が伝えられる。
それが一段落して、汲広が、
「これから必要な能力の授与を行います」
メンバーがざわついた。能力の授与なんて普通じゃないからそれも仕方がない。
汲広とアントネラが手分けして、掃き出し窓の能力と土のう袋の能力、記憶に名前を付ける能力と名前の視覚化の能力と記憶を意識の外へ追いやる能力、念話の能力に地理の能力を授けていく。
これは配達員、ナビゲーター区別なくだ。
ナビゲーターは掃き出し窓の能力と土のう袋の能力は要らないのだが、何が行われるか分かった方が何事も取り組みやすいだろうと判断して区別なく能力を授けることにしたのだ。
全てのメンバーに能力を授けた後、疋田野課長は、
「能力の使い方は後ほど岡塚夫妻から受けてもらうことにして、10人ずつに分かれて場内の案内をする。業務で立ち入らないところも多いが、ここがどんなセンターか、皆、しっかりと覚えるように」
汲広とアントネラも、場内の案内をまだ受けていない。
メンバーに交ざって城内を巡るのであった。
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