21 / 167
第二章 変わり始める互いの世界
王都邸新居の従者募集やら片付け
しおりを挟む
王都に戻った姉弟達。マイクはこう言った。
「あんな心安まる時間が過ごせるならもっと早くに皆で揃って訪れるべきであったな。アカツキ男爵、感謝する」
「とんでもありません、お兄様。でも、またスケジュールを合わせて行きたいものですね」
その後はその日の授業の準備に追われた。そして授業後、風呂も終わって夕食時、マイクからこんな質問が来た。
「そういえば、アカツキ男爵、部屋にこもって教材の準備をよくしているようだがどんな方法で準備をしているんだい?
文字が皆、判で押したように揃っていて、手書きに見えないのだが」
「それなら今度、作業を見てみますか?こちらの世界ではかなり特殊な方法で教材を作っているので面白いと思いますよ」
「そうか。なら、一度、見せてもらおう。シフォンやリサも来るか?」
「はい。前々から気になっていました。お邪魔させていただきます」
「何だか面白そうなので、私もついて行きますわ」
どうやら姉弟揃って教材作りの見学に来るらしい。
そのうちパソコン教室をするのもいいかも知れない。
*
次の日から、パラパラと従者希望者がやって来た。
教材の準備は1週間分先行していて余裕がある。
カンデラ家の執事がその都度応対し、面接日時を決めていった。
面接当日、面接に参加するのは悠生、ステファニア、シフォン、マイク、リサ、カンデラ家の執事、ユートピー、セバスチャンである。
面接は滞りなく進行し、ほとんどが採用となったが、たまに、素行の悪そうな者も混じっていたため、若干落とした。
そうして人員は続々と集まり、定員になったので締め切った。
面接が終わり、採用になった者の最初にすることは、屋敷の大掃除であった。
まずは異例だが、使用人の住居スペースとキッチン周りを先に掃除させることにした。
使用人の中には王都在住の者もいるが、地方から来て、宿暮らしの者もおり、まずは住める環境をとの悠生の配慮であった。
使用人のスペースが片付くと、続々とアカツキ邸に従者が住むようになり、全員住むようになったところで館内の他の部屋の大掃除が始まったのである。
それから2週間、大掃除はかかり、やっと全館人の住める状態となった。ここで、またお触れを出してもらうことにした。
「貴族街区、アカツキ男爵邸にてこれから騒音が発生するも、何事もない故、驚かぬように」
カンデラ子爵邸も、アカツキ男爵邸も近所である。
音に慣れている家の者もいるが、音が届かない、閑静な場所もあったため、改めて出してもらったのである。
当初、悠生の考えでは、カンデラ邸の発電機をアカツキ邸へ移すつもりでいたが、電気が便利なのでそのまま置いていてもらいたいとカンデラ家からの申し出があった。
それならと、スティーブ、ナンシー、シフォン、マイク、リサの部屋と、食堂にも配線工事をし、電気が使えるようにした。兄姉たちは自室で電気が使えると喜んでいた。
さて、カンデラ家の発電機が使えないことになったので、新たに発電機を購入した。
やはり、規模は同じで、100cc程のエンジン、燃料はプロパンガス4本並列繋ぎ、1ヶ月くらいの頻度でプロパンガスを交換してもらう手はずと、あと、充電用蓄電池とソーラーパネルも取り付けた。
夜に発電機を回すと騒音でうるさいからである。
配線場所は、拡大して、玄関、大広間、食堂、悠生の自室、悠生の執務室、ステファニアの部屋、二人の寝室、客間、使用人達の住居スペース。全館に配線をした。
電気足りるかな?
まぁ、ほぼ、使うのは昼間のパソコン作業と、夜はパソコンは使わずに照明メインだし、照明も、今は省エネになっているから問題ないか。
アカツキ邸の準備が着々と進む中、要望のあった教材作りをシフォン、マイク、リサに公開した。
便利な物もあるものだなぁと感心していたが、実際、何をやっていたかはあまり分かってはいなかったようだ。
アカツキ邸の配線が終わった頃、悠生とステファニアは引っ越しの準備をしていた。
日本のときと同じように、全部、物を土のう袋の魔法に詰め、アカツキ邸の自室で取り出して配置して、引っ越し作業終了。
悠生の部屋は3倍に広がり、執務室は別、個室も別。寝室はステファニアと一緒になった。ステファニアの部屋も3倍になった。部屋に荷物を置き終え、ステファニアの部屋を覗いてみた。
「やっと片付きました」
土のう袋の魔法のお陰で引っ越し作業は2~3日かかる所を半日くらいで終わってしまった。
便利すぎるだろう、土のう袋の魔法!
それと、相も変わらず魔法のネーミングセンス、おかしいだろう!
そして、二人でお茶にしながら一時歓談をし、その後、悠生は、カンデラ邸の自分が使っていた荷物の何も無い部屋に戻った。
そこで、土のう袋の魔法を使い、新しいパソコン一式とプリンターを設置した。
日本の悠生がセッティングして、この国の言葉であるサーメイヤ語が使える仕様にしたものである。
アカウントも悠生やステファニアの他に、シフォン、マイク、リサ用に作ってある。
最後に、自分のアカウントで入って、今までの教材のデータを放り込んだ。これで兄姉がパソコンを使える環境は整った。使えるようになるかは知らないが…
パソコンの準備を終えた悠生は、アカツキ邸の自室に戻り、今日の授業の準備をする。
今日も授業だ。悠生には本当に休みがあまりなかったのであった。
「あんな心安まる時間が過ごせるならもっと早くに皆で揃って訪れるべきであったな。アカツキ男爵、感謝する」
「とんでもありません、お兄様。でも、またスケジュールを合わせて行きたいものですね」
その後はその日の授業の準備に追われた。そして授業後、風呂も終わって夕食時、マイクからこんな質問が来た。
「そういえば、アカツキ男爵、部屋にこもって教材の準備をよくしているようだがどんな方法で準備をしているんだい?
文字が皆、判で押したように揃っていて、手書きに見えないのだが」
「それなら今度、作業を見てみますか?こちらの世界ではかなり特殊な方法で教材を作っているので面白いと思いますよ」
「そうか。なら、一度、見せてもらおう。シフォンやリサも来るか?」
「はい。前々から気になっていました。お邪魔させていただきます」
「何だか面白そうなので、私もついて行きますわ」
どうやら姉弟揃って教材作りの見学に来るらしい。
そのうちパソコン教室をするのもいいかも知れない。
*
次の日から、パラパラと従者希望者がやって来た。
教材の準備は1週間分先行していて余裕がある。
カンデラ家の執事がその都度応対し、面接日時を決めていった。
面接当日、面接に参加するのは悠生、ステファニア、シフォン、マイク、リサ、カンデラ家の執事、ユートピー、セバスチャンである。
面接は滞りなく進行し、ほとんどが採用となったが、たまに、素行の悪そうな者も混じっていたため、若干落とした。
そうして人員は続々と集まり、定員になったので締め切った。
面接が終わり、採用になった者の最初にすることは、屋敷の大掃除であった。
まずは異例だが、使用人の住居スペースとキッチン周りを先に掃除させることにした。
使用人の中には王都在住の者もいるが、地方から来て、宿暮らしの者もおり、まずは住める環境をとの悠生の配慮であった。
使用人のスペースが片付くと、続々とアカツキ邸に従者が住むようになり、全員住むようになったところで館内の他の部屋の大掃除が始まったのである。
それから2週間、大掃除はかかり、やっと全館人の住める状態となった。ここで、またお触れを出してもらうことにした。
「貴族街区、アカツキ男爵邸にてこれから騒音が発生するも、何事もない故、驚かぬように」
カンデラ子爵邸も、アカツキ男爵邸も近所である。
音に慣れている家の者もいるが、音が届かない、閑静な場所もあったため、改めて出してもらったのである。
当初、悠生の考えでは、カンデラ邸の発電機をアカツキ邸へ移すつもりでいたが、電気が便利なのでそのまま置いていてもらいたいとカンデラ家からの申し出があった。
それならと、スティーブ、ナンシー、シフォン、マイク、リサの部屋と、食堂にも配線工事をし、電気が使えるようにした。兄姉たちは自室で電気が使えると喜んでいた。
さて、カンデラ家の発電機が使えないことになったので、新たに発電機を購入した。
やはり、規模は同じで、100cc程のエンジン、燃料はプロパンガス4本並列繋ぎ、1ヶ月くらいの頻度でプロパンガスを交換してもらう手はずと、あと、充電用蓄電池とソーラーパネルも取り付けた。
夜に発電機を回すと騒音でうるさいからである。
配線場所は、拡大して、玄関、大広間、食堂、悠生の自室、悠生の執務室、ステファニアの部屋、二人の寝室、客間、使用人達の住居スペース。全館に配線をした。
電気足りるかな?
まぁ、ほぼ、使うのは昼間のパソコン作業と、夜はパソコンは使わずに照明メインだし、照明も、今は省エネになっているから問題ないか。
アカツキ邸の準備が着々と進む中、要望のあった教材作りをシフォン、マイク、リサに公開した。
便利な物もあるものだなぁと感心していたが、実際、何をやっていたかはあまり分かってはいなかったようだ。
アカツキ邸の配線が終わった頃、悠生とステファニアは引っ越しの準備をしていた。
日本のときと同じように、全部、物を土のう袋の魔法に詰め、アカツキ邸の自室で取り出して配置して、引っ越し作業終了。
悠生の部屋は3倍に広がり、執務室は別、個室も別。寝室はステファニアと一緒になった。ステファニアの部屋も3倍になった。部屋に荷物を置き終え、ステファニアの部屋を覗いてみた。
「やっと片付きました」
土のう袋の魔法のお陰で引っ越し作業は2~3日かかる所を半日くらいで終わってしまった。
便利すぎるだろう、土のう袋の魔法!
それと、相も変わらず魔法のネーミングセンス、おかしいだろう!
そして、二人でお茶にしながら一時歓談をし、その後、悠生は、カンデラ邸の自分が使っていた荷物の何も無い部屋に戻った。
そこで、土のう袋の魔法を使い、新しいパソコン一式とプリンターを設置した。
日本の悠生がセッティングして、この国の言葉であるサーメイヤ語が使える仕様にしたものである。
アカウントも悠生やステファニアの他に、シフォン、マイク、リサ用に作ってある。
最後に、自分のアカウントで入って、今までの教材のデータを放り込んだ。これで兄姉がパソコンを使える環境は整った。使えるようになるかは知らないが…
パソコンの準備を終えた悠生は、アカツキ邸の自室に戻り、今日の授業の準備をする。
今日も授業だ。悠生には本当に休みがあまりなかったのであった。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
異世界でのんびり暮らしてみることにしました
松石 愛弓
ファンタジー
アラサーの社畜OL 湊 瑠香(みなと るか)は、過労で倒れている時に、露店で買った怪しげな花に導かれ異世界に。忙しく辛かった過去を忘れ、異世界でのんびり楽しく暮らしてみることに。優しい人々や可愛い生物との出会い、不思議な植物、コメディ風に突っ込んだり突っ込まれたり。徐々にコメディ路線になっていく予定です。お話の展開など納得のいかないところがあるかもしれませんが、書くことが未熟者の作者ゆえ見逃していただけると助かります。他サイトにも投稿しています。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
悠々自適な転生冒険者ライフ ~実力がバレると面倒だから周りのみんなにはナイショです~
こばやん2号
ファンタジー
とある大学に通う22歳の大学生である日比野秋雨は、通学途中にある工事現場の事故に巻き込まれてあっけなく死んでしまう。
それを不憫に思った女神が、異世界で生き返る権利と異世界転生定番のチート能力を与えてくれた。
かつて生きていた世界で趣味で読んでいた小説の知識から、自分の実力がバレてしまうと面倒事に巻き込まれると思った彼は、自身の実力を隠したまま自由気ままな冒険者をすることにした。
果たして彼の二度目の人生はうまくいくのか? そして彼は自分の実力を隠したまま平和な異世界生活をおくれるのか!?
※この作品はアルファポリス、小説家になろうの両サイトで同時配信しております。
神の使いでのんびり異世界旅行〜チート能力は、あくまで自由に生きる為に〜
和玄
ファンタジー
連日遅くまで働いていた男は、転倒事故によりあっけなくその一生を終えた。しかし死後、ある女神からの誘いで使徒として異世界で旅をすることになる。
与えられたのは並外れた身体能力を備えた体と、卓越した魔法の才能。
だが骨の髄まで小市民である彼は思った。とにかく自由を第一に異世界を楽しもうと。
地道に進む予定です。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
【完結】【勇者】の称号が無かった美少年は王宮を追放されたのでのんびり異世界を謳歌する
雪雪ノ雪
ファンタジー
ある日、突然学校にいた人全員が【勇者】として召喚された。
その召喚に巻き込まれた少年柊茜は、1人だけ【勇者】の称号がなかった。
代わりにあったのは【ラグナロク】という【固有exスキル】。
それを見た柊茜は
「あー....このスキルのせいで【勇者】の称号がなかったのかー。まぁ、ス・ラ・イ・厶・に【勇者】って称号とか合わないからなぁ…」
【勇者】の称号が無かった柊茜は、王宮を追放されてしまう。
追放されてしまった柊茜は、特に慌てる事もなくのんびり異世界を謳歌する..........たぶん…....
主人公は男の娘です 基本主人公が自分を表す時は「私」と表現します
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる