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第一章 初まりの出会い
スキカとの出会い
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この作品は、2020年に「小説家になろう」で連載していた 「CONNECT ~異世界と地球をない交ぜにしてやんよ!~」 のリメイク作品です。
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「あぁー授業終わった」
汲広は教科書とノートを閉じ、帰り支度を始めた。
県立駒畑高校。それが汲広の通う学校である。
トコトコと原付で帰る汲広。中学時代には免許を取れる年齢ではなく、仕方がなく自転車で、この高低差の大きな道を通っていたが、高校に入り、16才になり、免許を取って自転車とはおさらば。こうして楽に通学できるのである。
家に帰って宿題を済ませ、風呂に入り、夕食を済ませた汲広。残りの時間で録画していたアニメを見た。
明日の学校の準備も済ませているので、あとは眠くなったら寝て、また、新しい明日を迎えるだけである。
「彼女、欲しいなぁ」
汲広は独り言を言った。
同級生で、友人の、安堂要には、最近、彼女ができたそうで、ちょくちょくとのろけ話を聞かされているためである。正直うらやましいのである。
「どこかに女、落ちてないかなぁー」
暴言である。
人間は物ではない。女性全員に失礼である。暴言ではあるが、周りに人はいないので安心である。(安心って何が?)
今日の学校の事やら、未来の彼女の事などを時間を忘れてぼーっと妄想していたら、時刻は22時ちょっと過ぎ、眠気がやって来た。もう必要な事は片付けた彼は、毛布を被り直し、眠気に逆らわず、自然と意識が闇の中へ沈んでいくのをいつものように受け入れ、一時の休息と安寧を自然と受け入れるのであった。
*
2時間くらい経ったであろうか。起きているのか起きていないのか、まどろみの中、ゆっくりと意識が覚醒していく。縦長の白。何だろう。周りは真っ暗闇。頭が起きてくるにつれ、それが人型だと分かった。20台くらいの男性。見た目は人だが、オーラと言うべきか、何と言うべきか。神々しいというか、自分より位が高いというか、ひれ伏したくなるような。人の形はしているが、とにかくその男からは、この世の者ではなく、明らかに生物としてかなり上位の者であると、汲広は本能で感じ取った。
「うむ。この者なら適任であろう。上等上等」
「この状況って何?あなた様はどちら様?」
普通ならひれ伏して、相手もまともに見ることもできず、言葉も発する事も叶わぬ状況にもかかわらず、半覚醒な頭でおぼろ気なその男を薄ぼんやりと見つめて思わず話しかける汲広であった。
「誰…か。 君等の世界で言うところの… そうさなぁ、神 というのが最も適切であろう」
白を基調とした質素で、清潔そうな衣に身を包み、ほんの少し日に焼けた、いわゆる肌色の肌、暗めの黄緑色の髪。自称”神様”は、そういう印象の出で立ちの人物であった。生物的な威圧感はあるが、人の良さそうな印象を汲広は受けた。
「まぁ、事情を話す前に、もう一人呼ぶ故少し待て」
もう一人客を呼ぶらしい。
「ふむ。丁度良い。自主的なシエスタ中か。ほれ!」
自称”神様”はそう言うと、汲広の左隣2mほど離れた場所に、汲広と同い年くらいの少女が現われた。白を基調とした少しふわっとした感じのドレスに身を包み、少し赤みがかった茶色でポニーテールにした髪、神秘的な青い瞳をした美少女が突如現われた。しかし、汲広は本能的に、少女のある一点に目を奪われてしまった。
(胸、デカッ!)
少女の胸は、程良い膨らみを持っていた。思春期男子真っ盛りの汲広にとって、その魅力的な胸に視線が移るのを拒否できないのは、致し方ないのである。
「それでは長い付き合いになるであろう。自己紹介を」
「うおあっ。け、県立駒畑高校一年の岡塚汲広です。よろしくお願いします」
「すっ、ステファニア子爵家の三女のステファニア・フォン・カンデラよ。こちらこそよろしく」
状況も分からぬまま、言われるがままに自己紹介をする少年と少女。共に、この男性から放たれる存在感からは、本能的に逆らえぬらしい。
「そして、我のことはスキカと呼ぶがいい。君等の世界での言葉で表すなら、神というのが適切であろう」
ステファニアを呼んだので、改めて”神だ”と説明するスキカ。すると、ステファニアは顔を真っ赤にし、プルプルと震えてこう叫んだ。
「教会の石膏像とは似ても似つかぬ姿!もしや異教徒かッ!」
「まぁ待て。お主の世界に姿を現したのは千年も昔の話だ。我の正しき姿を知らぬのも無理は無かろう。しかも、お主の国の宗教は、ややこしい事に一神教だったな…」
「な!神は一人ではないと仰るのですか!」
勢いでが違うと叫んだものの、姿形に関しては一瞬で納得するステファニアだったが、顔を真っ青にし、神が二人以上いるらしいことのショックはかなりのインパクトであった様だ。
(神が複数人。我々が尊び心の支えとしてきた教えは何だったというのか…)
(ふむ。話が脱線気味だな。まぁ良い。長い付き合いになるのだ。ここでハッキリとしておく方が後々良かろう)
顔を青ざめたまま、プルプルと小刻みに震えてしばらく復帰しそうにもないステファニア。一方、汲広はというと…
(大きな川に神様が。大きな山にも神様が。万物色んな場所に神様がいるから罰が当たらないように自然は大切にしろって婆ちゃんが言ってたっけ)
自分の祖母から昔からの教えを聞かされていた日本人、岡塚汲広にとっては、神様がいっぱいいるというのは知識通り。全く平常運転であった。
「まぁ、立ち話も何だし、座って話の続きをしようか」
と、スキカが言うと、二人とスキカの間に突如、立派なテーブルと、座り心地の良さそうな椅子が3脚出現した。テーブルはどっしりとして彫刻も施されており、汲広にはかなり立派な、高価なテーブルセットに思えた。ちなみにステファニアはまだプルプルしている。
「座って構いませんよ」
「ではお言葉に甘えまして」
先にスキカが椅子に腰掛け、スキカの勧めで椅子に座る汲広。
汲広が着席すると、テーブルの上にティーカップと受け皿が3セット、テープルの中央にはティーポットが現われた。ティーカップには薄く赤みがかった液体が注がれていた。キスカが先にティーカップに口を付け、それを見計らって汲広もティーカップに口を付ける。
(うまい)
その液体は、例えるなら紅茶の様な飲み物であった。余程高級な茶葉を使っているのだろう、今まで汲広が飲んだ飲み物で一番美味かった。その頃にはステファニアも硬直が緩くなり、動きがギクシャクしているものの、席に着き、心を落ち着かせたいのかカップに口を付けた。
(何これ、美味しい)
ステファニアも味に満足しているようである。若干、汲広には緊張が緩んだかの様に見えた。それを見たスキカは動き出す。
「それではまず、そちらに授けたいものがある」
そう言うと、汲広、ステファニア、それぞれの前に赤く揺らぐ丸い玉が出現した。
「そち等は生き物である故、それぞれ1つずつ魂を持っているが、もう1つずつ魂を授けよう」
目の前の赤く揺らぐ丸い玉は魂らしい。
「その魂はそち等の魂と…そち等の言葉ではミラーリングと言ったか、適宜同期が図られる。同じ条件であれば、同じように考え、同じように行動する。記憶も共有する。いわば分身のようなものだ。我らの望み、君等に要求することにとって必要不可欠のものだ。受け取ってくれ」
キスカは汲広たちにお願い事、ないしは命令をする為にこの場に呼んだようだ。
「君等は生き物である故眠りが必要だ。しかし、その魂を使えば、片一方が眠っている間でももう一方が起きていれば活動出来る。そういう為に使うものだ」
キスカはそう語る。汲広たちはコクリと頷き了承する。さらに
「その魂を得て君等は24時間戦うことのできる心を持つ。そして二人にやってもらいたいことというのは…」
二人はゴクリと喉を鳴らす。
「そのミラーリングというか、心の同居というものを、まずはそちら二人の間でもやって貰いたいと思っている。どうだ?やってはくれぬか?」
お願いの体ではあるが、二人には逆らえなかった。
二人にとってはキスカはバケモノデある。ここへ入ってからというもの、人類より高い能力と知能を持っていると本能が警鐘を鳴らせている。何か気に障る事でもしようものならその高い能力故どんな目に遭わされるか分かったものではない。知能が高いのも、人間と明らかに目線が違う故、同じ物差しが使えるかといえば、答えはノーと言わざるを得ない。
故に二人には断るという選択肢は無かった。二人はこの場所へ入ってからというもの、ちょっとしたパニック状態に陥っており、物事を考える事は到底できない状態であった。そして二人はちょっと考えたふりをした後、
「了解しました。全体像は全く見えませんが、引き受けましょう」
「分かりました。引き受けましょう」
キスカの要求に従う返事をするのであった。
「先ほど授けた魂はすでに同期は済ませてあります。魂の切り替えは自動で行われますが、経験を重ねれば、自分自身で魂の交換時期の選択もできるようになるでしょう。
そち等の魂の同居の時期に関しては明日から毎日1時間、慣れてくれば時間を増やしていくということにしましょう」
二人はコクリと頷いた。
「この空間は殺風景ですねぇ。これからミーティングに使うことも考えれば何か飾り付けでもしたくもなるというものです。3人の落ち着ける雰囲気に模様替え。考えなければなりませんね」
この空間に入ってから、体感で20分くらい経ったであろうか。そもそもこの空間は真っ暗で、3人と椅子、テーブル、ティーセット以外は何も無い闇の中。当然、時計も無いのである。
3人はまたこの空間でミーティングとやらを開くことはキスカにとってはもう決定事項であるらしい。
仕方がないので二人はまたコクリと頷く。
「それでは今日は疲れたでしょうし、睡眠はしっかりと摂ってもらわなければなりません。それでは今日のミーティングはこれでお開きにしましょう。そうそう、何かかっこいい名字と名前を考えておいて下さい。自分が名乗るものです」
キスカがそう言うと、汲広は凄いスピードで今居た位置から遠ざかる。身体に負担はない。そして、また、ゆっくりと意識は闇の中へ沈んでいくのであった。
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「あぁー授業終わった」
汲広は教科書とノートを閉じ、帰り支度を始めた。
県立駒畑高校。それが汲広の通う学校である。
トコトコと原付で帰る汲広。中学時代には免許を取れる年齢ではなく、仕方がなく自転車で、この高低差の大きな道を通っていたが、高校に入り、16才になり、免許を取って自転車とはおさらば。こうして楽に通学できるのである。
家に帰って宿題を済ませ、風呂に入り、夕食を済ませた汲広。残りの時間で録画していたアニメを見た。
明日の学校の準備も済ませているので、あとは眠くなったら寝て、また、新しい明日を迎えるだけである。
「彼女、欲しいなぁ」
汲広は独り言を言った。
同級生で、友人の、安堂要には、最近、彼女ができたそうで、ちょくちょくとのろけ話を聞かされているためである。正直うらやましいのである。
「どこかに女、落ちてないかなぁー」
暴言である。
人間は物ではない。女性全員に失礼である。暴言ではあるが、周りに人はいないので安心である。(安心って何が?)
今日の学校の事やら、未来の彼女の事などを時間を忘れてぼーっと妄想していたら、時刻は22時ちょっと過ぎ、眠気がやって来た。もう必要な事は片付けた彼は、毛布を被り直し、眠気に逆らわず、自然と意識が闇の中へ沈んでいくのをいつものように受け入れ、一時の休息と安寧を自然と受け入れるのであった。
*
2時間くらい経ったであろうか。起きているのか起きていないのか、まどろみの中、ゆっくりと意識が覚醒していく。縦長の白。何だろう。周りは真っ暗闇。頭が起きてくるにつれ、それが人型だと分かった。20台くらいの男性。見た目は人だが、オーラと言うべきか、何と言うべきか。神々しいというか、自分より位が高いというか、ひれ伏したくなるような。人の形はしているが、とにかくその男からは、この世の者ではなく、明らかに生物としてかなり上位の者であると、汲広は本能で感じ取った。
「うむ。この者なら適任であろう。上等上等」
「この状況って何?あなた様はどちら様?」
普通ならひれ伏して、相手もまともに見ることもできず、言葉も発する事も叶わぬ状況にもかかわらず、半覚醒な頭でおぼろ気なその男を薄ぼんやりと見つめて思わず話しかける汲広であった。
「誰…か。 君等の世界で言うところの… そうさなぁ、神 というのが最も適切であろう」
白を基調とした質素で、清潔そうな衣に身を包み、ほんの少し日に焼けた、いわゆる肌色の肌、暗めの黄緑色の髪。自称”神様”は、そういう印象の出で立ちの人物であった。生物的な威圧感はあるが、人の良さそうな印象を汲広は受けた。
「まぁ、事情を話す前に、もう一人呼ぶ故少し待て」
もう一人客を呼ぶらしい。
「ふむ。丁度良い。自主的なシエスタ中か。ほれ!」
自称”神様”はそう言うと、汲広の左隣2mほど離れた場所に、汲広と同い年くらいの少女が現われた。白を基調とした少しふわっとした感じのドレスに身を包み、少し赤みがかった茶色でポニーテールにした髪、神秘的な青い瞳をした美少女が突如現われた。しかし、汲広は本能的に、少女のある一点に目を奪われてしまった。
(胸、デカッ!)
少女の胸は、程良い膨らみを持っていた。思春期男子真っ盛りの汲広にとって、その魅力的な胸に視線が移るのを拒否できないのは、致し方ないのである。
「それでは長い付き合いになるであろう。自己紹介を」
「うおあっ。け、県立駒畑高校一年の岡塚汲広です。よろしくお願いします」
「すっ、ステファニア子爵家の三女のステファニア・フォン・カンデラよ。こちらこそよろしく」
状況も分からぬまま、言われるがままに自己紹介をする少年と少女。共に、この男性から放たれる存在感からは、本能的に逆らえぬらしい。
「そして、我のことはスキカと呼ぶがいい。君等の世界での言葉で表すなら、神というのが適切であろう」
ステファニアを呼んだので、改めて”神だ”と説明するスキカ。すると、ステファニアは顔を真っ赤にし、プルプルと震えてこう叫んだ。
「教会の石膏像とは似ても似つかぬ姿!もしや異教徒かッ!」
「まぁ待て。お主の世界に姿を現したのは千年も昔の話だ。我の正しき姿を知らぬのも無理は無かろう。しかも、お主の国の宗教は、ややこしい事に一神教だったな…」
「な!神は一人ではないと仰るのですか!」
勢いでが違うと叫んだものの、姿形に関しては一瞬で納得するステファニアだったが、顔を真っ青にし、神が二人以上いるらしいことのショックはかなりのインパクトであった様だ。
(神が複数人。我々が尊び心の支えとしてきた教えは何だったというのか…)
(ふむ。話が脱線気味だな。まぁ良い。長い付き合いになるのだ。ここでハッキリとしておく方が後々良かろう)
顔を青ざめたまま、プルプルと小刻みに震えてしばらく復帰しそうにもないステファニア。一方、汲広はというと…
(大きな川に神様が。大きな山にも神様が。万物色んな場所に神様がいるから罰が当たらないように自然は大切にしろって婆ちゃんが言ってたっけ)
自分の祖母から昔からの教えを聞かされていた日本人、岡塚汲広にとっては、神様がいっぱいいるというのは知識通り。全く平常運転であった。
「まぁ、立ち話も何だし、座って話の続きをしようか」
と、スキカが言うと、二人とスキカの間に突如、立派なテーブルと、座り心地の良さそうな椅子が3脚出現した。テーブルはどっしりとして彫刻も施されており、汲広にはかなり立派な、高価なテーブルセットに思えた。ちなみにステファニアはまだプルプルしている。
「座って構いませんよ」
「ではお言葉に甘えまして」
先にスキカが椅子に腰掛け、スキカの勧めで椅子に座る汲広。
汲広が着席すると、テーブルの上にティーカップと受け皿が3セット、テープルの中央にはティーポットが現われた。ティーカップには薄く赤みがかった液体が注がれていた。キスカが先にティーカップに口を付け、それを見計らって汲広もティーカップに口を付ける。
(うまい)
その液体は、例えるなら紅茶の様な飲み物であった。余程高級な茶葉を使っているのだろう、今まで汲広が飲んだ飲み物で一番美味かった。その頃にはステファニアも硬直が緩くなり、動きがギクシャクしているものの、席に着き、心を落ち着かせたいのかカップに口を付けた。
(何これ、美味しい)
ステファニアも味に満足しているようである。若干、汲広には緊張が緩んだかの様に見えた。それを見たスキカは動き出す。
「それではまず、そちらに授けたいものがある」
そう言うと、汲広、ステファニア、それぞれの前に赤く揺らぐ丸い玉が出現した。
「そち等は生き物である故、それぞれ1つずつ魂を持っているが、もう1つずつ魂を授けよう」
目の前の赤く揺らぐ丸い玉は魂らしい。
「その魂はそち等の魂と…そち等の言葉ではミラーリングと言ったか、適宜同期が図られる。同じ条件であれば、同じように考え、同じように行動する。記憶も共有する。いわば分身のようなものだ。我らの望み、君等に要求することにとって必要不可欠のものだ。受け取ってくれ」
キスカは汲広たちにお願い事、ないしは命令をする為にこの場に呼んだようだ。
「君等は生き物である故眠りが必要だ。しかし、その魂を使えば、片一方が眠っている間でももう一方が起きていれば活動出来る。そういう為に使うものだ」
キスカはそう語る。汲広たちはコクリと頷き了承する。さらに
「その魂を得て君等は24時間戦うことのできる心を持つ。そして二人にやってもらいたいことというのは…」
二人はゴクリと喉を鳴らす。
「そのミラーリングというか、心の同居というものを、まずはそちら二人の間でもやって貰いたいと思っている。どうだ?やってはくれぬか?」
お願いの体ではあるが、二人には逆らえなかった。
二人にとってはキスカはバケモノデある。ここへ入ってからというもの、人類より高い能力と知能を持っていると本能が警鐘を鳴らせている。何か気に障る事でもしようものならその高い能力故どんな目に遭わされるか分かったものではない。知能が高いのも、人間と明らかに目線が違う故、同じ物差しが使えるかといえば、答えはノーと言わざるを得ない。
故に二人には断るという選択肢は無かった。二人はこの場所へ入ってからというもの、ちょっとしたパニック状態に陥っており、物事を考える事は到底できない状態であった。そして二人はちょっと考えたふりをした後、
「了解しました。全体像は全く見えませんが、引き受けましょう」
「分かりました。引き受けましょう」
キスカの要求に従う返事をするのであった。
「先ほど授けた魂はすでに同期は済ませてあります。魂の切り替えは自動で行われますが、経験を重ねれば、自分自身で魂の交換時期の選択もできるようになるでしょう。
そち等の魂の同居の時期に関しては明日から毎日1時間、慣れてくれば時間を増やしていくということにしましょう」
二人はコクリと頷いた。
「この空間は殺風景ですねぇ。これからミーティングに使うことも考えれば何か飾り付けでもしたくもなるというものです。3人の落ち着ける雰囲気に模様替え。考えなければなりませんね」
この空間に入ってから、体感で20分くらい経ったであろうか。そもそもこの空間は真っ暗で、3人と椅子、テーブル、ティーセット以外は何も無い闇の中。当然、時計も無いのである。
3人はまたこの空間でミーティングとやらを開くことはキスカにとってはもう決定事項であるらしい。
仕方がないので二人はまたコクリと頷く。
「それでは今日は疲れたでしょうし、睡眠はしっかりと摂ってもらわなければなりません。それでは今日のミーティングはこれでお開きにしましょう。そうそう、何かかっこいい名字と名前を考えておいて下さい。自分が名乗るものです」
キスカがそう言うと、汲広は凄いスピードで今居た位置から遠ざかる。身体に負担はない。そして、また、ゆっくりと意識は闇の中へ沈んでいくのであった。
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