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第二百二十二話 草食系ヴァンパイアはどうしていいのか分からない

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「この国には大迷宮の入り口があるそうだ、またそこで少し働いて稼いでいくか」
「そうですね、しばらく旅が続いていましたから、少し体を動かすのもいいでしょう」
「わーい、迷宮だ!!僕は久しぶりに暴れるよ!!」
「私はフィリアさんの護衛をいたします、フィリアさん。いいですか、私についてきてくださいね」
「うーん、そっか。分かった、私はミゼについてくね」

ふらりと立ち寄った国で俺たちは大迷宮に気楽に入っていった、モンスターが出て危険な迷宮の中で戦うのも今では随分と楽になったものだ。フィリアがもっと幼かった頃には俺は彼女を背負って戦ったものだった、そんな時でもフィリアはとても大人しかった。どうしたらファンのような強くて積極的な子になれるのか、密かにディーレやミゼと悩んで話し合ったことが何度もあったものだ。

フィリアはとにかくミゼに言わせればマイペースなのだ、とても自分に合った方法や進度を大切にしていて、仲間から何か言われば素直に大抵は従うが時にはとても頑固になるのだ。ある程度大きくなって俺がフィリアを背負って戦うのを止めようとしたら、だがそれがフィリアにはお気に召さなかったのか、しばらくは俺の背中から離れるまいとしがみつき泣き喚いて大変だった。

しかし今ではミゼと一緒に大人しく見張りをしてくれる、フィリアを背負わなくて戦いやすくはなったが、同時に少しばかり寂しいと思っているのも事実だ。そんなフィリアは最近では見張りだけでなく、ミゼに見守られながら戦いにも参加するようになった、主に魔法での後方からの援護がフィリアの仕事だ。

俺はフィリアがこの先も自由に生きていくのなら、おそらくヴァンパイアたちとの闘いは避けられないと思っている。フェリシアのことも俺が連れ去った後もずっと探していたらしい、彼女が亡くなったということ、それをキリルにだけは世界の根源の力を使って知らせた。キリルはそのことを聞いて自害しようとしたが、慌ててフィリアという子どもがいることも伝えたら、今度は時々会わせろと俺に言ってきた。

キリルはフィリアのことを新しい主だと思っているようだった、だからキリルはヴァンパイアたちには絶対にフィリアのことを伝えなかった。キリル一人だけがフェリシアの子どものことを知っている、そして俺が時々世界の根源の力を使って二人を会わせている、この力は使うたびに血を吐くような目にあうのだが、ほっとくと自害してしまいそうなキリルのことを思うと使わずにはいられなかった。俺はディーレにその度に体の治療をしてもらい、キリルとフィリアの関係のこともとても心配されている。

まだフィリアは子どもだからキリルのことを時々遊んでくれるお姉さんくらいに思っている、いずれ成長したら自分の生い立ちを知ることも大事だろう。その時はキリルがヴァンパイアとは何なのか詳しく教えてくれるはずだ、そしてフィリアが彼らとどう関わっていくのか自分自身で決めたらいい。フェリシアの娘、祝福されし者の娘であるということがどういうことか、よく考えて彼女には生きていって欲しい。

おおっと少し昔のことを思い出していたら、もう仲間たちと一緒に狩り場についていた。主にオーガが出るあたりだ、俺たちの力からしたらオーガは物足りない相手だが、フィリアがいるから安全第一に狩りに行っているのだ。さて、俺の親友であるオーガさんは今日は何匹いるだろうか。おお、いたいた、全部で十匹ほどのオーガが暗い洞窟の中で何かを貪り食っていた。何を食べているのかなんて分かっている、オーガより弱いモンスターかまたは俺たちのような戦いにきた人間だ。

「ディーレ、オーガが何かを食っている。もし、生き残りの人間がいたらそっちを頼む!!」
「はい、お任せください。それでは、『強きストロ太陽の光ングサンシャイン!!』」

俺とディーレは軽く今からのことを打ち合わせた、ファンとミゼそれにフィリアもそれを聞いていた。だからディーレがまず確認の為に威力を弱めた『強きストロ太陽の光ングサンシャイン』の魔法を使うことも分かっていた。俺は目を少し細めて状況を確認した、オーガが食べていたのは人間だった。既に頭を食いちぎられて死んでいたがその足元が問題だった、他にも何人かの人間がまだかすかに動いているのが見えたのだ。

「ファン、俺と一緒にあの群れに突っ込むぞ!!まだ生きている者もいる、だから分かってるな!!」
「もちろん!!無理をしない程度に救助でしょ、さーてとそれじゃ行きますか!!」

俺とファンはオーガの群れに突っ込んでいった、人間たちがいるから全力では走れない。だが人間たちに怪しまれない程度の速さで、俺がまず一匹のオーガの足をメイスで圧し折った。そのままファンがそのオーガにかぎ爪で首をかき切って止めを刺す、そして素早く二匹目のオーガへと走っていった。

「フィリアさん、分かっていますね。私の後ろにいてください、そして魔法を使う時にはお気をつけて」
「分かった、ええと、『風斬撃ウインドスラッシュ』」

ミゼが常に俺の大事なフィリアを守っていた、ミゼとフィリアはいつでも防御魔法が使えるように後方にいた。だがフィリアもただ大人しくはしていない、最近では積極的に戦闘に参加するのだ。その潜在魔力の高さは俺以上かもしれない、中級魔法の『風斬撃ウインドスラッシュ』で見事に二匹のオーガを両断した。フィリアはうんっと頷いて、自分の力を確かめていた。それから周囲への警戒もおこたらず、きょろきょろと周りを見回していた。

「ひぃぃぃ、オーガなんてやっぱり無理だったんだ」
「いてぇ、体がいてぇよ」
「そのまま少し動かないでいてください、このくらいの傷でしたら『大治癒グレイトヒール』それに『治癒ヒール』です。さぁこれで大丈夫です、今すぐに逃げてください」

生存者は二人だけだった、まだ身なりからして若い少年のような冒険者たちだ。ディーレが魔法銃のライト&ダークでオーガを牽制しながら、倒れていた二人に回復魔法を使っていた。傷が治ったその二人は仲間であったはずの死体には目もくれず、ディーレが確保した安全な逃げ道から迷宮の外へと走り去っていった。フィリアはその様子を見てちょっとむっとしていた、ミゼがそんなフィリアに気づいてその足元にすり寄って宥めていた、フィリアはディーレに似たのか仲間想いで少し優し過ぎるところもあった。

「ファン、余計な奴らはいなくなった。さっさと残りを片付けて、この都の美味いものでも食べよう」
「えへへへっ、そうだね。やったぁ、美味しいステーキがあるといいな」
「レクスさん、ファンさん、ダーク&ライトで援護します。でもそうですね、卵のスープが久しぶりに飲みたいです」
「私はやはりご飯でございます、米は私のソウルフード。フィリアさんはどうします、何をお飲みになりますか」
「そうるふーど?ううん、えっとね。何がいいかなぁ、いっつも美味しそうなジュースやスープがあって迷っちゃうんだよねぇ」

俺たちが本気になったら残っていたオーガ数匹なんて敵ではなかった、俺がメイスでファンがかぎ爪で数を減らしていく、ディーレの魔法銃での援護もいつもどおりの精密射撃だった。ミゼとフィリアは見張りをしながら、のんびりとこれからの食事のことを考えていた。全てのオーガを倒して剥ぎ取りをし、それから俺たちは飯屋で思う存分に飲み食いをした。俺とフィリアは飲むだけだが品数が豊富で十分に楽しめた。

「そういえばこの国には有名な庭園があるそうですよ、レクスさん。僕はぜひ見てみたいです、皆さんで行ってみませんか」
「へぇ、そうなのか。話の種に行ってみるとするか、ファンとミゼそれにフィリアも一緒に行くか」
「僕は行くよ、花は食べられないけどいい匂いがするもんね!!」
「私はフィリアさんに従います、さてどうなさいますか。ああ、そうやって悩んでいる幼女もとっても尊い」

仲間たちから意見を聞かれてフィリアは少し考えていた、こうしてのんびりしているのがフィリアの性格だ。だが戦闘中の行動などは迷わず即決するのだから、意外なようだが決断力も十分に持っている。俺としては伸びしろのある子どもだと思う、フィリアなりにゆっくりと大人に育てばいいと最近では思うようになっていた。

「うーん、私も行ってみたい。まだ見たことがないものを見るのは好きだから、きっとその庭園も好きになれると思う」

フィリアも最終的には合意したので俺たちはその庭園に行ってみることにした、そこはとても広い庭園だった。国の十分の一が庭園なのだそうだ、観光地として有名で本にも何冊も載っている、それで読書家なディーレが知っていたのだ。特に花畑が見事だった、一見して野生のように花々が咲き誇っているが、よく見れば計算されて世話を欠かしていないことが分かる。実はフィリアとは花からもらった名前だ、加えて意味は愛、友情それに親愛。この子にはぴったりの名前だと思う、いやそうなって欲しいと思ったから、フィリアは仲間想いで優しい子なのかもしれない。

俺たちは見事な美しい花々にしばらく言葉を失って見入っていた、そうしていた俺の服をフィリアがぐいっと引っ張った。俺はすぐにしゃがんでそんなフィリアに視線を合わせてやる、すると彼女はとても難しいことを言いだした。だが、それはいつかは話してくれると思っていたことでもあった。

「レクス、私はこれからどうしたらいいのかな。キリルが言ってた偉大なお母さんのように、優しくて強い大人になればいいのかなぁ」

そういって小首を傾げる仕草がフェリシアそっくりだった、俺は今でも愛している妻を思い出してフィリアに思ったままに返事をする。生まれがどうだからって決められた運命なんてない、フィリアの未来はまだ何も書かれていない白紙と同じようなものだった。

「そうだな、俺にも分からない。分からないから考えようと思う、どうしていいのか分からないから面白い、そう考えながら生きていくのが面白くて仕方がないんだ」
「そっか、そうだね。レクスにも分からないの、それじゃいっぱい一緒に考えようね」

俺はフィリアの浮かべた無邪気な笑顔に笑い返した、昔フェリシアの笑顔に同じように笑い返したことがあった。俺は今でも何も変わらない、これからどうしていいのかは分からないが、これだけは知っている。

「フィリア、どうせならみんなと一緒に考えよう。きっと面白くて、一人で考えているより楽しいぞ」
「分かった、そうだね。そうしよう、ディーレ!!ファン!!それにミゼ!!ねぇ、ねぇ、聞いて、聞いて」

フィリアは楽しいことを知ったとばかりに仲間たちのところに走っていった、俺はそんな可愛い娘を見ながらゆっくりと後を追いかける。この世界で草食系ヴァンパイアは俺とフィリアだけだ、でも未来はどうなっていくか分からない。だからこそ、これからのことを考え続けよう、今ここにある幸せを大事にしながらずっと考え続けるんだ。

ファリシア、いつかまた大好きな君に会えるまで、俺はこのまま変わらずに仲間たちと生き続けていく。
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みんなの感想(3件)

スパークノークス

おもしろい!
お気に入りに登録しました~

アキナヌカ
2021.08.21 アキナヌカ

お気に入り登録ありがとうございます、楽しんでいただけて嬉しいです。これからもよろしくお願いします。

解除
花雨
2021.08.09 花雨

お気に入り登録しました(^^)

アキナヌカ
2021.08.12 アキナヌカ

お気に入り登録ありがとうございます、これからよろしくお願いします。物語をどうか楽しんでくださいね。

解除
ちゅる
2021.07.05 ちゅる

ごめんなさい🙇‍♂️九州弁で入れさせていただきます😅金の冒険者で良かっちゃないと?領主にしかり王族にしかりなんでも思い道理になるのはどうかと思うっちゃけど😤読んでたらミゼ君は明らかにだよねー🤭🤭🤭いつの日かミゼ君のレベルアップで変化で人間の身体を維持出来たらいいね?顔はフツメンだろうけど🤣🤣🤣イケメン爆発💥しろっていいそう😭コレからも応援📣してます

アキナヌカ
2021.07.14 アキナヌカ

感想ありがとうございます。ミゼのこと気にかけてもらっているようで嬉しいです。

解除

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