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第百七十八話 訳あり少女には近づけない
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「おや、旅の人。見物かい、あの少女が噂の白金の冒険者レクスだってさ」
短く切った白い髪と珍しい金色の瞳をしている少女が剣を携えて冒険者たちを率いていた、そのまま彼らはどこか街の外に出かけていった。俺はというと足元をちょろちょろとミゼが煩くしていたが、偽の白金の冒険者レクスに関わる気は無いので放っておいた。案の定、宿屋をとって4人部屋に入った途端にミゼは俺に文句を言ってきた。
「レクス様、あんなに綺麗なお嬢さんをなぜ放っておくのですか、今からでも遅くはありません。さぁ、追いかけましょう!!」
「……何を考えて白金の冒険者レクスを名乗っているのか分からない、そんな女をどうして追いかけなければならないんだ」
「そんな小さなことは後で考えればいいのです、大切なのは訳あり美少女がドラゴン退治という危険な任務に行くということです」
「ああ、あいつらはそんな理由で街の外に出ていったのか、それを聞くとますます追いかけたくない。ドラゴンは大抵は理性的で話せば分かる生き物だ、そんなドラゴンを退治するなんて嫌な話だ」
「嫌な話だからこそ止めるべきではありませんか、さぁ可愛いお嬢さんの元へ参りましょう!!」
「結局、何が理由でもお前は美少女を追いかけたいんだな」
ミゼに皮のブーツを引っかかれたりしたが、俺は動くつもりは無かった。ファンを見れば分かるようにドラゴンは話せば理性的な生物だ、それを一方的に退治するなんて関わりたくない。しかし、当のファンはミゼの言ったことにきょとんとした顔をして、それからとても不思議そうにミゼに言った。
「この近くにはドラゴンはいないと思うよ、僕たちみたいに魔力まで隠してたら位置を感じ取るのは無理だけど、そんなことを普通のドラゴンは面倒だからしないと思うな」
「ほらっ、ミゼ。ファンもこう言っている、大方ドラゴンじゃなくてワイバーンか何かじゃないか」
「ワイバーンだって空を飛びますし、退治するのはあの美少女には大変なことじゃないですか!?」
「確かにワイバーン退治も大変ですが、そう言っていたら新人の冒険者さん全ての面倒をみないといけなくなりますよ。ミゼさん、新人の冒険者さんのほぼ半分は女性ですから」
でも、だってとミゼは煩かったが、俺たちにはあの白金の冒険者レクスを名乗っている少女を見に行く気は無かった。ディーレの言う通りだ、無理そうなことをしている冒険者をいちいち相手にしていたら、一体何人の面倒をみないといけないだろうか、俺たちはいくつ体があっても足りやしない。しばらくするとミゼも諦めて、ファンにまとわりついていた。その日はそれだけですんだ、翌日になってからのことだ。
「白金の冒険者レクスがドラゴンを退治したんだって」
「もうすぐ行列がくるよ」
「すごく大きなドラゴンを運んでくるらしい」
「倒されたドラゴンは領主様に献上するってさ」
「さすがは白金の冒険者レクスだね」
宿屋の前が煩くなったらので下に降りてみたら、泊り客たちがいろんな噂話をしていた。一応は聞きながしながら、身支度を整えて飯屋に行って飯を食った。
「ほうれんそうのポタージュスープをくれ、それに果物のジュースを二杯」
「ええと鳥の串焼きにパン、卵スープをください」
「きっとワイバーンだ、ドラゴンじゃないのに。ほえっ!?ええっと、ここからここまで全部!!」
「………………(ファンさん、私のこと忘れないでください~)」
今度はミゼではなくファンが不満そうにしていた、ドラゴンはワイバーンと間違われるのが嫌いらしい。全然違う種族なのにと文句を言いたげだった、以前にもそんなことを言っていたがこのくらいの田舎ではワイバーンでも十分な脅威だ。ドラゴンに間違われるのも仕方ないのかもしれないが、本物のドラゴンにとっては随分と違いがあるのだろう。ファンはミゼの注文を忘れていて、後から追加していた。
やがて飯屋の前にある大通りをワイバーンを乗せた荷車を引く馬たちが通っていった、それと一緒にあの白金の冒険者レクスを名乗っている少女もいた。ドラゴンを倒したというわりには嬉しくなさそうだった、どこか緊張した面持ちで彼女は周囲を見つめていた。俺はワイバーンの死体を見て、ドラゴンでは無かったことにほっとした。言うまでなく俺のパーティにはドラゴンのファンがいるし、それに以前はチェチェというドラゴンに世話になったから、あまりドラゴンとは敵対したくないのだ。
「さすがは白金の冒険者レクスだな」
「パーティの仲間を募集しているんだって」
「止まり木亭にいるそうだ」
「腕に自信のある奴は行ってみるといい」
「凄い魔法の使い手なんだと」
「へぇ、あんなに可愛いお嬢さんがね」
またカリカリとミゼがおれのブーツを足元でひっかいていた、大通りを通り過ぎていった偽物の白金の冒険者レクスを追いかけろということらしい。すごく面倒な話だ、追いかけていったところで得になることが無い。でも美少女がからむとミゼはこうしてしつこい、それを無視して街を出ようかと思ったが、どうして白金の冒険者レクスを名乗っているのかという理由は少し興味深い。それにこの街にはまだいるつもりだ、ひやかしでミゼが会いに行ってみるくらいならいいかもしれない。だから宿屋に戻ってちょっと皆で話し合った。
「それでミゼはどうしてもあの少女が気になるんだな、なら自分で行ってこい。言葉さえ喋らなければお前はただの猫だ、あの少女に近づいても何も言われないだろう」
「なるほど、レクス様。それはそうでございます、ではさっそく私は行ってまいります」
「あっ、ミゼ。僕も行くから止まり木亭の近くまで抱いていってあげる、全くもうミゼは本当に別種族の女の子が大好きなんだから、でもドラゴンとワイバーンを一緒にしてもらうのも嫌だしね」
「ファンさん、ミゼさん、お気をつけてください。白金の冒険者は普通なら貴族扱いもされるそうです、偽物とはいえこの街では本物と見られていますから」
そうしてファンとミゼは出かけていった、俺も一人と一匹を送り出したが、さほど危険なことだとは思わなかった。それが間違っていたと気がつくのは夕方になってからだ、ファンとミゼが宿屋に戻ってこなかった。俺は『従う魔への供する感覚』でミゼに手短に連絡をとってみた、するとミゼから思わぬ応答があった。
「あっ、レクス様。私たちは役人に捕まってしまったのです。お願いです、どうか迎えに来てください~!!」
俺はミゼの率直な返答に頭を抱えた、このフリートの街は小さいが役人を敵にまわすと面倒だ。仕方がなくディーレと一緒に迎えに行くことにした、正攻法でファンとミゼを取り戻せるなら良い。それができないなら、ちょっと強引にでも取り戻してこの街を速やかに出なければならない。俺たちは荷物を全て持って仲間たちを迎えにいった、フリートの役人がいる建物に行きファンとミゼのことを尋ねた。
「白い髪に蒼い瞳をした女の子と黒猫を知らないか、俺たちは仲間なんだが宿屋に戻ってこないんだ」
「ああ、あの無礼な女の子の仲間なのか。ドラゴンとワイバーンを間違えるなんてどうかしている、仲間ならしっかりと教育しておいてくれよ」
「ここにいるのか、いやまだ十歳と少しなんでな。いろいろと物を知らないんだ、それで解放してもらえるのか」
「白金の冒険者レクスのところで騒ぎたてるんで捕まえたんだ、だから保釈金は金貨で一枚だが大丈夫か?」
「金貨1枚か、懐に痛いが仕方がない。これでいいか、彼女たちを出して貰いたい」
「確かに保釈金を貰った、牢から連れてくるとしよう」
それから俺たちはファンとミゼにすぐ再会できた、ファンが凄く不満そうな顔をしていた。ミゼもなんだか納得がいかなそうだったが、ここで再度騒ぎたてて捕まるのは遠慮したい。だから宿屋につくまでは何が遭ったか聞かなかった、宿屋に着いて部屋にはいるとすぐに二人からいろんな話が聞けた。
「レクス、酷いんだ。あればワイバーンだって言ったら侮辱罪だって、それで牢に入れられたんだよ!!ワイバーンとドラゴンを間違えてる方が凄い侮辱だよ!!」
「レクス様、とりまきの人間が多くて全然近づけませんでした。凄く可愛い女の子なのに残念です、そして理不尽です。ファンさんが言っていることは間違ってないのに!!」
「ここは田舎だからな、ドラゴンとワイバーンの区別もつかないんだろう。それに冒険者ギルドも無い、だから余計に間違いが分からないだろうな」
「お二方ともご無事で何よりです、でも大変な目に遭われましたね。ちょっと違いを指摘しただけなのに投獄されるなんて、白金の冒険者って実は結構な発言力があるんですね」
「そうなの、周りに大人が何人もいたけど、全然こっちの話を聞かないんだよ!!」
「可愛い美少女が冒険者を何人も侍らせていました、同じ侍らせるならむさ苦しい冒険者じゃなくて、私のような愛らしい猫でもいいと思いませんか!!」
「分かった、分かったから落ち着け。ファン、それにミゼ。たとえお前たちが何を言っても、このフリートの街じゃあっちの方が偉いんだ」
「いろいろと間違えている方ですね、もう関わり合いにならない方がいいでしょう。神よ、御心が天に行われるとおり地にも行われますように。僕らの同胞の罪をお許しくださり、そして正しき心へとお導き下さい」
俺たちはもう偽物の白金の冒険者レクスとは関わらないつもりだった、だがその夜になったら何と一人で向こうからこっちの宿屋に訪ねてきた。白金の冒険者レクスとは名乗らずに、アムという女の子の名前を使ってやってきた。窓越しにフードを被ったその姿を確認したが、何が目的なのか分からないので、宿屋に人間に少し金を渡して面会は断って貰った。
その翌朝のことだった、俺は少し早く起きて宿屋の裏にある井戸の傍でフレイルの練習をしていた。そうしていたらアムと名乗った、偽の白金の冒険者レクスが来ていた。そうして、いきなり俺に剣を抜いて襲いかかってきた。
「お前が本物か、この殺人鬼!!白金の冒険者レクス、覚悟しろ!!」
短く切った白い髪と珍しい金色の瞳をしている少女が剣を携えて冒険者たちを率いていた、そのまま彼らはどこか街の外に出かけていった。俺はというと足元をちょろちょろとミゼが煩くしていたが、偽の白金の冒険者レクスに関わる気は無いので放っておいた。案の定、宿屋をとって4人部屋に入った途端にミゼは俺に文句を言ってきた。
「レクス様、あんなに綺麗なお嬢さんをなぜ放っておくのですか、今からでも遅くはありません。さぁ、追いかけましょう!!」
「……何を考えて白金の冒険者レクスを名乗っているのか分からない、そんな女をどうして追いかけなければならないんだ」
「そんな小さなことは後で考えればいいのです、大切なのは訳あり美少女がドラゴン退治という危険な任務に行くということです」
「ああ、あいつらはそんな理由で街の外に出ていったのか、それを聞くとますます追いかけたくない。ドラゴンは大抵は理性的で話せば分かる生き物だ、そんなドラゴンを退治するなんて嫌な話だ」
「嫌な話だからこそ止めるべきではありませんか、さぁ可愛いお嬢さんの元へ参りましょう!!」
「結局、何が理由でもお前は美少女を追いかけたいんだな」
ミゼに皮のブーツを引っかかれたりしたが、俺は動くつもりは無かった。ファンを見れば分かるようにドラゴンは話せば理性的な生物だ、それを一方的に退治するなんて関わりたくない。しかし、当のファンはミゼの言ったことにきょとんとした顔をして、それからとても不思議そうにミゼに言った。
「この近くにはドラゴンはいないと思うよ、僕たちみたいに魔力まで隠してたら位置を感じ取るのは無理だけど、そんなことを普通のドラゴンは面倒だからしないと思うな」
「ほらっ、ミゼ。ファンもこう言っている、大方ドラゴンじゃなくてワイバーンか何かじゃないか」
「ワイバーンだって空を飛びますし、退治するのはあの美少女には大変なことじゃないですか!?」
「確かにワイバーン退治も大変ですが、そう言っていたら新人の冒険者さん全ての面倒をみないといけなくなりますよ。ミゼさん、新人の冒険者さんのほぼ半分は女性ですから」
でも、だってとミゼは煩かったが、俺たちにはあの白金の冒険者レクスを名乗っている少女を見に行く気は無かった。ディーレの言う通りだ、無理そうなことをしている冒険者をいちいち相手にしていたら、一体何人の面倒をみないといけないだろうか、俺たちはいくつ体があっても足りやしない。しばらくするとミゼも諦めて、ファンにまとわりついていた。その日はそれだけですんだ、翌日になってからのことだ。
「白金の冒険者レクスがドラゴンを退治したんだって」
「もうすぐ行列がくるよ」
「すごく大きなドラゴンを運んでくるらしい」
「倒されたドラゴンは領主様に献上するってさ」
「さすがは白金の冒険者レクスだね」
宿屋の前が煩くなったらので下に降りてみたら、泊り客たちがいろんな噂話をしていた。一応は聞きながしながら、身支度を整えて飯屋に行って飯を食った。
「ほうれんそうのポタージュスープをくれ、それに果物のジュースを二杯」
「ええと鳥の串焼きにパン、卵スープをください」
「きっとワイバーンだ、ドラゴンじゃないのに。ほえっ!?ええっと、ここからここまで全部!!」
「………………(ファンさん、私のこと忘れないでください~)」
今度はミゼではなくファンが不満そうにしていた、ドラゴンはワイバーンと間違われるのが嫌いらしい。全然違う種族なのにと文句を言いたげだった、以前にもそんなことを言っていたがこのくらいの田舎ではワイバーンでも十分な脅威だ。ドラゴンに間違われるのも仕方ないのかもしれないが、本物のドラゴンにとっては随分と違いがあるのだろう。ファンはミゼの注文を忘れていて、後から追加していた。
やがて飯屋の前にある大通りをワイバーンを乗せた荷車を引く馬たちが通っていった、それと一緒にあの白金の冒険者レクスを名乗っている少女もいた。ドラゴンを倒したというわりには嬉しくなさそうだった、どこか緊張した面持ちで彼女は周囲を見つめていた。俺はワイバーンの死体を見て、ドラゴンでは無かったことにほっとした。言うまでなく俺のパーティにはドラゴンのファンがいるし、それに以前はチェチェというドラゴンに世話になったから、あまりドラゴンとは敵対したくないのだ。
「さすがは白金の冒険者レクスだな」
「パーティの仲間を募集しているんだって」
「止まり木亭にいるそうだ」
「腕に自信のある奴は行ってみるといい」
「凄い魔法の使い手なんだと」
「へぇ、あんなに可愛いお嬢さんがね」
またカリカリとミゼがおれのブーツを足元でひっかいていた、大通りを通り過ぎていった偽物の白金の冒険者レクスを追いかけろということらしい。すごく面倒な話だ、追いかけていったところで得になることが無い。でも美少女がからむとミゼはこうしてしつこい、それを無視して街を出ようかと思ったが、どうして白金の冒険者レクスを名乗っているのかという理由は少し興味深い。それにこの街にはまだいるつもりだ、ひやかしでミゼが会いに行ってみるくらいならいいかもしれない。だから宿屋に戻ってちょっと皆で話し合った。
「それでミゼはどうしてもあの少女が気になるんだな、なら自分で行ってこい。言葉さえ喋らなければお前はただの猫だ、あの少女に近づいても何も言われないだろう」
「なるほど、レクス様。それはそうでございます、ではさっそく私は行ってまいります」
「あっ、ミゼ。僕も行くから止まり木亭の近くまで抱いていってあげる、全くもうミゼは本当に別種族の女の子が大好きなんだから、でもドラゴンとワイバーンを一緒にしてもらうのも嫌だしね」
「ファンさん、ミゼさん、お気をつけてください。白金の冒険者は普通なら貴族扱いもされるそうです、偽物とはいえこの街では本物と見られていますから」
そうしてファンとミゼは出かけていった、俺も一人と一匹を送り出したが、さほど危険なことだとは思わなかった。それが間違っていたと気がつくのは夕方になってからだ、ファンとミゼが宿屋に戻ってこなかった。俺は『従う魔への供する感覚』でミゼに手短に連絡をとってみた、するとミゼから思わぬ応答があった。
「あっ、レクス様。私たちは役人に捕まってしまったのです。お願いです、どうか迎えに来てください~!!」
俺はミゼの率直な返答に頭を抱えた、このフリートの街は小さいが役人を敵にまわすと面倒だ。仕方がなくディーレと一緒に迎えに行くことにした、正攻法でファンとミゼを取り戻せるなら良い。それができないなら、ちょっと強引にでも取り戻してこの街を速やかに出なければならない。俺たちは荷物を全て持って仲間たちを迎えにいった、フリートの役人がいる建物に行きファンとミゼのことを尋ねた。
「白い髪に蒼い瞳をした女の子と黒猫を知らないか、俺たちは仲間なんだが宿屋に戻ってこないんだ」
「ああ、あの無礼な女の子の仲間なのか。ドラゴンとワイバーンを間違えるなんてどうかしている、仲間ならしっかりと教育しておいてくれよ」
「ここにいるのか、いやまだ十歳と少しなんでな。いろいろと物を知らないんだ、それで解放してもらえるのか」
「白金の冒険者レクスのところで騒ぎたてるんで捕まえたんだ、だから保釈金は金貨で一枚だが大丈夫か?」
「金貨1枚か、懐に痛いが仕方がない。これでいいか、彼女たちを出して貰いたい」
「確かに保釈金を貰った、牢から連れてくるとしよう」
それから俺たちはファンとミゼにすぐ再会できた、ファンが凄く不満そうな顔をしていた。ミゼもなんだか納得がいかなそうだったが、ここで再度騒ぎたてて捕まるのは遠慮したい。だから宿屋につくまでは何が遭ったか聞かなかった、宿屋に着いて部屋にはいるとすぐに二人からいろんな話が聞けた。
「レクス、酷いんだ。あればワイバーンだって言ったら侮辱罪だって、それで牢に入れられたんだよ!!ワイバーンとドラゴンを間違えてる方が凄い侮辱だよ!!」
「レクス様、とりまきの人間が多くて全然近づけませんでした。凄く可愛い女の子なのに残念です、そして理不尽です。ファンさんが言っていることは間違ってないのに!!」
「ここは田舎だからな、ドラゴンとワイバーンの区別もつかないんだろう。それに冒険者ギルドも無い、だから余計に間違いが分からないだろうな」
「お二方ともご無事で何よりです、でも大変な目に遭われましたね。ちょっと違いを指摘しただけなのに投獄されるなんて、白金の冒険者って実は結構な発言力があるんですね」
「そうなの、周りに大人が何人もいたけど、全然こっちの話を聞かないんだよ!!」
「可愛い美少女が冒険者を何人も侍らせていました、同じ侍らせるならむさ苦しい冒険者じゃなくて、私のような愛らしい猫でもいいと思いませんか!!」
「分かった、分かったから落ち着け。ファン、それにミゼ。たとえお前たちが何を言っても、このフリートの街じゃあっちの方が偉いんだ」
「いろいろと間違えている方ですね、もう関わり合いにならない方がいいでしょう。神よ、御心が天に行われるとおり地にも行われますように。僕らの同胞の罪をお許しくださり、そして正しき心へとお導き下さい」
俺たちはもう偽物の白金の冒険者レクスとは関わらないつもりだった、だがその夜になったら何と一人で向こうからこっちの宿屋に訪ねてきた。白金の冒険者レクスとは名乗らずに、アムという女の子の名前を使ってやってきた。窓越しにフードを被ったその姿を確認したが、何が目的なのか分からないので、宿屋に人間に少し金を渡して面会は断って貰った。
その翌朝のことだった、俺は少し早く起きて宿屋の裏にある井戸の傍でフレイルの練習をしていた。そうしていたらアムと名乗った、偽の白金の冒険者レクスが来ていた。そうして、いきなり俺に剣を抜いて襲いかかってきた。
「お前が本物か、この殺人鬼!!白金の冒険者レクス、覚悟しろ!!」
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