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第百十七話 友達と仲が良くてもいい
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ファンの奴が迷宮の入口付近で買い食いをしながら、他の冒険者と話をしていた。三人とも成人したてといった年齢で、冒険者らしく皮鎧や剣などを身につけていた。
「それでね、この前はダンジョングレイトスパイダーを退治したんだよ」
「ええ!?それ本当、本当だったら凄いよね。キセナ!!」
「本当ならダンジョングレイトスパイダーって、そんなに強くないのかな?」
「クレアとミレナ何言ってるの?あんな化け物倒せるわけないじゃん」
「むうぅ、ホントだもん。ディーレは銀の冒険者だし、レクスはもっと強いんだからね!!」
「ああ、仲間の人がそんなに強いんだ。それならできるんじゃない?」
「そうだね、パーティの皆が強いと良いよね」
「銀の冒険者がいるならちょっと信じてもいいかも、でも三人だけなんて」
女の子同士っていうのはあっという間に仲良くなることがある、ファンにも普通の友人が居た方がいいだろう。
「あれだけ楽しそうに話していると、声をかけ辛いな」
「同性の友人とは気楽にお話ができますから、それに女の子はお喋りが好きです」
「微笑ましい光景でございますね」
ファンは朝から元気で迷宮に先に行っておくというから、朝食後に一番に迷宮に走っていった。
ちゃんとお小遣いも渡してあるから、迷宮の前に並ぶ屋台の買い食いが目的だろうと思っていた。それだけじゃなかったんだな、いつの間にか同性の友人ができていたらしい。
「あっ、レクスだー!!こっち、こっち!!」
「え!?嘘、凄い美形のお兄さんじゃん、ファンはいいな」
「あ~、もう一人もカッコいいよ」
「二人とも落ち着いて、美形だからって強いとは限らないのよ」
女の子は男の対する評価がなかなかに厳しい、こっそりと話しているつもりだろうが草食系ヴァンパイアの耳は彼女達の会話を拾ってしまう。
「そろそろ準備が出来ているなら行くぞ、ファン」
「うん、頑張るー!!じゃあまたね、皆」
「ファンさんのお友達ですか、どうかまた仲良くしてあげてください」
「私はミゼと申します、ファンさん同様仲良くしてくださいね」
俺達はファンを連れて迷宮へと入っていった、この国では迷宮は混みあっているので、まずは人が少なくなる三十階層を目指さなくてはならない。
「はぁ~、美形っているところにはいるもんだね」
「育てのお兄さんって言ってたよ」
「二人とも浮ついてないで、私達もコボルト退治にいきましょう!!」
ファンの友人達は自分達の力に合わせて戦っているようだ、冒険者は冒険はしない。必ず自分の実力を考えて行動しなければならない、ファンは良い友人と知り合っているようだな。
「さて、俺達の今日の獲物は何が出るか」
「ジャイアントが出るかな、楽しみ~!!どんな味なんだろう」
「ファンさんは食べることが本当に好きですね」
「女の子が沢山食べるのは良いことです、可愛いければなおのこと良いことです!!」
そんな会話をしながら俺達は階層を下りていった、最近は仲が良かったオーガさんとも戦えていない。この都の冒険者達が数にものをいわせて、オーガを倒してしまうからちょっと残念だ。
「おお、今日の獲物はジャイアント、巨人が二体だな。気を引き締めろ!!」
「うん、わかった。ファンも気をつける!!」
「それではいきます閃光弾!!石撃弾!!」
「『風斬撃』でございます」
ディーレが素早く二体の巨人の目に閃光弾を撃ち込んだ、続けて石弾を打ちこんでいるようだが効果が少ない、ミゼは『風斬撃』を巨人の足元にはなった。
「そいつは任せたぞ、無理はするなよ。ファン!!」
「わかった!!」
ミゼの攻撃とディーレに視界を奪われて一体の巨人が転んだ、ファンがその隙を逃すはずもなくドラゴンの牙が変化したかぎ爪でまず左手を切り落とした。その痛みに暴れる巨人の攻撃をファンは余裕をもってかわした。
「火炎弾!!」
「再度『風斬撃!!』でございます!!」
ディーレ達がファンが戦っている巨人の注意をひいてくれる、起き上がろうとした巨人がディーレ達を見た瞬間に、ファンは恐ろしい速度で踏み込み巨人の首を両手の爪で斬り飛ばしてしまった。
「さて、俺の相手はお前だな、『重なりし小盾!!』」
俺と巨人では3倍近い身長の差がある、俺はいつものように小盾の足場を生み出し、それを蹴って巨人に向かって跳躍してメイスを首を狙って叩きつけた!!
「これでどうだ、『重力!!』
ビキビキッ骨が折れる感触がメイスを通して伝わるが、俺は更に同じく『重力』をかけて止めの一撃を叩き込んだ。
「念には念をってな、『重力!!』」
今度こそバキッと首の骨が完全に折れたようで、巨人は膝をつきその体は前へと倒れこんだ。今回は仲間達の場所は把握している、下敷きにするようなことはない。さて、次は剥ぎ取りだな。
「皆、怪我はしてないか?無ければファンは食事を始めていいぞ」
「平気なの、やったぁお肉、お肉」
「僕はほとんど援護だけでしたから大丈夫です」
「これから剥ぎ取りでございますね、見張りをしておきます」
俺とディーレで巨人の柔らかい部分の皮を剥いでいく、逆に固い部分も皮鎧の材料になるのでできるだけ剥ぎ取っていく。他の敵がくる前に終わらせなければならない、迷宮での剥ぎ取りは時間との闘いでもあるんだ。
『もぐもぐ、このお肉美味しい!!あっ、一個目の魔石を見つけたよ』
「そうか、続けてもう一体も頼む。ディーレは剥ぎ取りが上手いな、羨ましい」
「僕にだって少しは活躍させてください、戦闘ではあまりお役に立てなくて」
「そうでしょうか、ディーレさんは充分な戦力だと思います」
ファンはドラゴンの形態に戻ってディーレが剥ぎ取った部分から、巨人の体を食べながら魔石を探してくれていた。
俺はミゼの意見に頷きながら作業を進めていく、ディーレの剥ぎ取りは丁寧で上手い、俺も数をこなしてはいるがディーレの奴には敵わない。
『あっ、二個めの魔石見つけたよー』
「そのまま食っていていいぞ、成長期なんだからしっかり食べておけ」
「食事代も浮きますしね、もっとも人間の料理は別腹だとか」
「まるでデザートでございますねぇ」
ファンが満足するまで食べきった頃には良い部位の剥ぎ取りは終わっていた、それを三つの荷物にまとめる。ファンがきたおかげで剥ぎ取って持っていける部分が増えている、自分の食費分をしっかりとファンは稼いでいるのだ。
ファンは巨人の血まみれになっていたので『水』と『乾燥』で体を洗って綺麗にしていた。
「それじゃ帰るか、忘れ物はないか」
「大丈夫ー!!」
「はい、売れそうな部分は全てとれました」
「今日のは良い稼ぎになりそうですね!!」
なかなかジャイアント、巨人まで倒すパーティはいない。そして俺も使っているが、このジャイアントの皮鎧はなかなかいい、表面は固いが弾力性があって動きやすいのだ。
柔らかい皮は硬い皮を組み合わせると良いブーツができる、手袋などにしても柔らかいのに頑丈で使いやすい。
冒険者ギルドで其々の買い取りをして貰った、良いジャイアントの皮が沢山とれたので金貨三十枚ほどの稼ぎになった。こういった皮の価格は上下する、需要と供給のバランスによって変わってくるのだ。
「あっ、ミレナ、クレア、キセナ。買い取り終わったの?」
「まあね、コボルトを十匹も仕留めたのよ」
「おかげで銅貨20枚も貰えました、今日も大部屋で眠れます」
「なるべくお金は貯めて、良い装備を揃えないと大物が狩れないわ」
「そうなんだ、あっファンは今日仲間と一緒にジャイアントを仕留めたよ」
「へー、そうなの。どのくらい大きかった?」
「いいなぁ、それなら凄く儲かったでしょ」
「剥ぎ取れたかどうかで儲けは変わるわ、ジャイアントとは凄い獲物ね」
「うーんとレクスの三倍くらい大きかったー!!」
「そんなの仕留めるなんてさすがだね」
「羨ましいよ、良い仲間がいるんだ」
「あら私達だって良い仲間でしょう、違うの?」
ファンはどうやら女友達とのお喋りで忙しいようだ、小遣いはまだ充分にあったはずだが念の為に金貨一枚を追加し、彼女たちと遊んでくるように促した。
「ありがとう、レクス!!いっぱい、お喋りしてくるね」
友人も出来てファンは嬉しそうにしている、子どもは元気なのが一番いいな。
「それでね、この前はダンジョングレイトスパイダーを退治したんだよ」
「ええ!?それ本当、本当だったら凄いよね。キセナ!!」
「本当ならダンジョングレイトスパイダーって、そんなに強くないのかな?」
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「むうぅ、ホントだもん。ディーレは銀の冒険者だし、レクスはもっと強いんだからね!!」
「ああ、仲間の人がそんなに強いんだ。それならできるんじゃない?」
「そうだね、パーティの皆が強いと良いよね」
「銀の冒険者がいるならちょっと信じてもいいかも、でも三人だけなんて」
女の子同士っていうのはあっという間に仲良くなることがある、ファンにも普通の友人が居た方がいいだろう。
「あれだけ楽しそうに話していると、声をかけ辛いな」
「同性の友人とは気楽にお話ができますから、それに女の子はお喋りが好きです」
「微笑ましい光景でございますね」
ファンは朝から元気で迷宮に先に行っておくというから、朝食後に一番に迷宮に走っていった。
ちゃんとお小遣いも渡してあるから、迷宮の前に並ぶ屋台の買い食いが目的だろうと思っていた。それだけじゃなかったんだな、いつの間にか同性の友人ができていたらしい。
「あっ、レクスだー!!こっち、こっち!!」
「え!?嘘、凄い美形のお兄さんじゃん、ファンはいいな」
「あ~、もう一人もカッコいいよ」
「二人とも落ち着いて、美形だからって強いとは限らないのよ」
女の子は男の対する評価がなかなかに厳しい、こっそりと話しているつもりだろうが草食系ヴァンパイアの耳は彼女達の会話を拾ってしまう。
「そろそろ準備が出来ているなら行くぞ、ファン」
「うん、頑張るー!!じゃあまたね、皆」
「ファンさんのお友達ですか、どうかまた仲良くしてあげてください」
「私はミゼと申します、ファンさん同様仲良くしてくださいね」
俺達はファンを連れて迷宮へと入っていった、この国では迷宮は混みあっているので、まずは人が少なくなる三十階層を目指さなくてはならない。
「はぁ~、美形っているところにはいるもんだね」
「育てのお兄さんって言ってたよ」
「二人とも浮ついてないで、私達もコボルト退治にいきましょう!!」
ファンの友人達は自分達の力に合わせて戦っているようだ、冒険者は冒険はしない。必ず自分の実力を考えて行動しなければならない、ファンは良い友人と知り合っているようだな。
「さて、俺達の今日の獲物は何が出るか」
「ジャイアントが出るかな、楽しみ~!!どんな味なんだろう」
「ファンさんは食べることが本当に好きですね」
「女の子が沢山食べるのは良いことです、可愛いければなおのこと良いことです!!」
そんな会話をしながら俺達は階層を下りていった、最近は仲が良かったオーガさんとも戦えていない。この都の冒険者達が数にものをいわせて、オーガを倒してしまうからちょっと残念だ。
「おお、今日の獲物はジャイアント、巨人が二体だな。気を引き締めろ!!」
「うん、わかった。ファンも気をつける!!」
「それではいきます閃光弾!!石撃弾!!」
「『風斬撃』でございます」
ディーレが素早く二体の巨人の目に閃光弾を撃ち込んだ、続けて石弾を打ちこんでいるようだが効果が少ない、ミゼは『風斬撃』を巨人の足元にはなった。
「そいつは任せたぞ、無理はするなよ。ファン!!」
「わかった!!」
ミゼの攻撃とディーレに視界を奪われて一体の巨人が転んだ、ファンがその隙を逃すはずもなくドラゴンの牙が変化したかぎ爪でまず左手を切り落とした。その痛みに暴れる巨人の攻撃をファンは余裕をもってかわした。
「火炎弾!!」
「再度『風斬撃!!』でございます!!」
ディーレ達がファンが戦っている巨人の注意をひいてくれる、起き上がろうとした巨人がディーレ達を見た瞬間に、ファンは恐ろしい速度で踏み込み巨人の首を両手の爪で斬り飛ばしてしまった。
「さて、俺の相手はお前だな、『重なりし小盾!!』」
俺と巨人では3倍近い身長の差がある、俺はいつものように小盾の足場を生み出し、それを蹴って巨人に向かって跳躍してメイスを首を狙って叩きつけた!!
「これでどうだ、『重力!!』
ビキビキッ骨が折れる感触がメイスを通して伝わるが、俺は更に同じく『重力』をかけて止めの一撃を叩き込んだ。
「念には念をってな、『重力!!』」
今度こそバキッと首の骨が完全に折れたようで、巨人は膝をつきその体は前へと倒れこんだ。今回は仲間達の場所は把握している、下敷きにするようなことはない。さて、次は剥ぎ取りだな。
「皆、怪我はしてないか?無ければファンは食事を始めていいぞ」
「平気なの、やったぁお肉、お肉」
「僕はほとんど援護だけでしたから大丈夫です」
「これから剥ぎ取りでございますね、見張りをしておきます」
俺とディーレで巨人の柔らかい部分の皮を剥いでいく、逆に固い部分も皮鎧の材料になるのでできるだけ剥ぎ取っていく。他の敵がくる前に終わらせなければならない、迷宮での剥ぎ取りは時間との闘いでもあるんだ。
『もぐもぐ、このお肉美味しい!!あっ、一個目の魔石を見つけたよ』
「そうか、続けてもう一体も頼む。ディーレは剥ぎ取りが上手いな、羨ましい」
「僕にだって少しは活躍させてください、戦闘ではあまりお役に立てなくて」
「そうでしょうか、ディーレさんは充分な戦力だと思います」
ファンはドラゴンの形態に戻ってディーレが剥ぎ取った部分から、巨人の体を食べながら魔石を探してくれていた。
俺はミゼの意見に頷きながら作業を進めていく、ディーレの剥ぎ取りは丁寧で上手い、俺も数をこなしてはいるがディーレの奴には敵わない。
『あっ、二個めの魔石見つけたよー』
「そのまま食っていていいぞ、成長期なんだからしっかり食べておけ」
「食事代も浮きますしね、もっとも人間の料理は別腹だとか」
「まるでデザートでございますねぇ」
ファンが満足するまで食べきった頃には良い部位の剥ぎ取りは終わっていた、それを三つの荷物にまとめる。ファンがきたおかげで剥ぎ取って持っていける部分が増えている、自分の食費分をしっかりとファンは稼いでいるのだ。
ファンは巨人の血まみれになっていたので『水』と『乾燥』で体を洗って綺麗にしていた。
「それじゃ帰るか、忘れ物はないか」
「大丈夫ー!!」
「はい、売れそうな部分は全てとれました」
「今日のは良い稼ぎになりそうですね!!」
なかなかジャイアント、巨人まで倒すパーティはいない。そして俺も使っているが、このジャイアントの皮鎧はなかなかいい、表面は固いが弾力性があって動きやすいのだ。
柔らかい皮は硬い皮を組み合わせると良いブーツができる、手袋などにしても柔らかいのに頑丈で使いやすい。
冒険者ギルドで其々の買い取りをして貰った、良いジャイアントの皮が沢山とれたので金貨三十枚ほどの稼ぎになった。こういった皮の価格は上下する、需要と供給のバランスによって変わってくるのだ。
「あっ、ミレナ、クレア、キセナ。買い取り終わったの?」
「まあね、コボルトを十匹も仕留めたのよ」
「おかげで銅貨20枚も貰えました、今日も大部屋で眠れます」
「なるべくお金は貯めて、良い装備を揃えないと大物が狩れないわ」
「そうなんだ、あっファンは今日仲間と一緒にジャイアントを仕留めたよ」
「へー、そうなの。どのくらい大きかった?」
「いいなぁ、それなら凄く儲かったでしょ」
「剥ぎ取れたかどうかで儲けは変わるわ、ジャイアントとは凄い獲物ね」
「うーんとレクスの三倍くらい大きかったー!!」
「そんなの仕留めるなんてさすがだね」
「羨ましいよ、良い仲間がいるんだ」
「あら私達だって良い仲間でしょう、違うの?」
ファンはどうやら女友達とのお喋りで忙しいようだ、小遣いはまだ充分にあったはずだが念の為に金貨一枚を追加し、彼女たちと遊んでくるように促した。
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