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第百十三話 世界でたった一人でもいい
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「あっ、忘れてた。お母さんの魔石、レクスにあげなさいって言われてたの」
ファンは一体どこにしまっていたのか、無色透明の大きく綺麗な魔石を俺に向かって差し出した。
「それはお前が持っていろ、母親の大事な形見だろう」
「……いいの?」
「俺達のパーティは稼ぎがいいから大丈夫だ、その魔石はお前が大事にしてろ」
「……えへへ、ありがとう!!」
ファンは嬉しそうに母親の魔石を何もない空間にしまいこんだ、俺はそっちの魔法に驚いた。
「ファン、今のはどうやったんだ、何という魔法なんだ」
「『無限空間収納』のこと?無属性の空間魔法でこれが使えると便利。自分の魔力の高さで、収納できる量が増えるの」
試しに俺も『無限空間収納』で今剥ぎ取ったオーガの魔石を入れてみた、暫くたってから『無限空間収納』で取り出したが問題なくこの魔法を使えることができた。ただし、俺とはあまり魔法の相性がよくない、魔力の消費量を考えると多用はできない。
「ディーレも覚えておくといい、この魔法は凄いぞ。『魔法の鞄』もきっとこの魔法を固定化しているんだな、……本当に魔法とは奥が深い」
「あっ、『無限空間収納』僕にも使えました。使う魔力が大きいですが、何かあった時に便利な魔法ですね」
「ファンが役にたてた?たてた?」
おう、役に立てたぞと俺はファンの頭を撫でまわした。ディーレからもお礼の言葉を貰って、ファンはとても嬉しそうだった。
「この幼女強い、でも幼女だからしかたがない。……守りたいこの笑顔!!え!?――うにゃあぁぁぁ、ごろごろごろごろ」
ミゼだけが相変わらず、妙なことを言っていたがファンはそんなミゼが珍しいらしく、仰向けにして撫でまわしたりしていた。
新しい魔法を手に入れたし、オーガを二体狩ったので今日はもう戻ることにした。ファンは荷物持ちをするといって、剥ぎ取ったオーガの皮を袋に入れて運んでいた。ギルドまで平気な顔で結構重いオーガの皮を運びきった、見た目は少女だが中身はドラゴンだから力も強いわけだ。
「まぁ、とりあえず基本的な武術からファンには教えておくか」
「武術?」
「戦う時に人間の体を上手く使う方法だ、手加減をする練習にもなる」
「わかった、頑張る!!」
ファンが人の姿でも戦えるように、俺は武術の基本を教え込んだ。ディーレとも組み手をして貰って、ファンは面白そうに武術を学んでいた。
基本的な武術は俺達が教えればいいとして、ファンに何の武器を持たせるか様々な武器を試してみた。最終的にファンは両手剣を覚えることにした、その剣はファン自身が持っている竜の牙を剣に変えたものだった。
「練習では普通の剣をつかってくれ、これじゃ練習にならない」
「えー……、わかった」
ギルドに依頼して両手剣を使える銀の冒険者に基本を教えてもらったのだが、ファン自身の剣を使うとあっさりと普通の剣を叩き切ってしまう。だから、練習では普通の剣を使わせることにした、そうしないと練習にすらならないからな。
「私を仲間にしないのに、どうしてそんな幼い女の子を仲間にするのよ!!」
「彼女は親を亡くして俺を頼ってきたんだ、仲間として扱うのは当然だろう」
ファンを仲間にしたことで俺はまた金の冒険者であるエスロにうるさく付きまとわれた、この嘘泣き女は何が楽しいのか俺に嫌がらせのようなことばかりする。
「お前は一体何がしたいんだ」
「…………私はただ、貴方のように恵まれた男が嫌いなだけよ」
一度だけエスロが無表情で本音を零したことがあった、あれだけ周囲に男を侍らせているのに、この女は男のことが嫌いらしい。呼吸や心音、発汗の様子から見てもその時だけはエスロは嘘をついていなかった。
「男に生まれただけで跡取りになれるのが嫌い、金の冒険者になっても女じゃダメだって陰口をたたく男が嫌い。私を上手く利用しようとする男も大っ嫌い、だから私も彼らを上手く利用してやるのよ」
エスロは相変わらず男を破滅に導くのが好きなようだ、女の恨みは恐ろしいが正直に言って俺は彼女の本音が聞けて何故かほっとした。エスロにもエスロなりに行動に理由があるのだ、得たいが知れない生き物じゃなくただの人間だった。
それからエスロのことも避けるのは変わらないが、一人のただの人間として見れるようになった。
俺は相変わらず冒険者ギルドや国立の図書館を利用していたが、ファンがディーレでも難しい古語の本を読んでいることがあった、詳しく聞いてみると彼女は文字として読んでいるわけではなかった。
「この文字読めるよ、こっちも、これも」
「凄いな、どうやって読んでるんだ」
ファンは『残留思念』という魔法で手書きの本に残された、筆者の記憶の残滓を読んでいるのだった。
「この本の読み方は面白いな、写本をした者によって全然違う思いが読める」
「あはははっ、こっちの本はお腹が空いた、仕事が辛いって考えてるよ」
「写本は根気のいる仕事ですからね、僕も昔は嫌になるほどした記憶があります」
「便利なようで、不便な魔法ですね」
そういえばと思ってファンに祝福されし者についてある日の寝る前に宿屋で聞いてみた、彼女はドラゴンだから何か知っているかもしれないと思ったのだ。
「祝福されし者とは昔からこの世界にいた種族、彼らがいるところは緑が溢れ、人のように働くこともなく、息をするように魔法を簡単に使って生きていた。そうやって祝福されし者は生きることに飽きれば、次世代を生み出してその者自身は消えるの」
「なんともまぁ、随分と恵まれた生き物だな」
「祝福されし者は仲間を入れ替えながらずっと存在し続けていたの、でもある時から人間に関わるようになった。猿のように醜かった人間が祝福されし者と同じような姿をとるようになったの。そして、悲劇が始まった」
「…………悲劇?」
「僕たちドラゴンは祝福されし者と同じく太古からの生き物で、自分達の生殖数を考えて調節しながら生きている。でも、人間は違う。食べれるものさえあれば、増えれるだけ増えて、そのことを喜びさえする。人が増え過ぎれば、次に待っているのは飢えなのに」
「ああ、人間はそういうところがあるな」
「そんな人間が祝福されし者と出会って恋をしたの、祝福されし者はとても美しい種族だった。だから、魔法の力では敵わない人間は愛情という武器を使って、祝福されし者の力を奪っていったの。知ってる?魔法が少しでも使える人間には祝福されし者の血が僅かにでも流れているのよ」
「時々、全く魔法が使えない者がいるのは、そいつにはその血が流れてないのか」
「悲劇はそれからも終らなかった、祝福されし者は力を段々と失っていった。それに人間との間に子どもが産まれると、その中には歪な子どもが含まれていた。他人を襲ってその血を飲んで力に変えてしまう、そんな新しい種族が産まれたの」
「…………それがヴァンパイアの始まりか」
ファンとの会話で俺は疑問を持った、祝福されし者の血はどんどん薄められていったはずだ。俺の父さんも母さんもごく普通の人間だった、なのにどうして俺がその祝福されし者に近いのだろうか。
「なぁ、お前の母親のドラゴンも俺を祝福されし者に近いと言った。俺の両親は普通の人間だった、どうして俺が祝福されし者に近いと言われるんだ?」
ファンは少し考えた後に母親の魔石を取り出して額に当てていた、そうして考えおわると静かにこう言った。
「レクスは多分、隔世遺伝をおこした祝福されし者だと思う。永い間その血の中に力が眠っていたけど、それが偶々引き合わされて生まれたんだと思う。そして、何か力が覚醒する切っ掛けがあったはず」
「……隔世遺伝、つまり偶然組み合わされた血が起こしたっていうことなのか」
なるほど納得がいく、俺は偶然に生まれた祝福されし者だったわけだ。それが、あのローズとかいうヴァンパイアに襲われたことで覚醒した。
しかし、フェリシアを見ていると俺は弱い。まだ不完全な祝福されし者だというわけだ、会うたびに私に近くなってと言われるわけだ、俺はまだまだ弱い不完全体だ。
「………………レクスは祝福されし者になれないかもしれない」
「そうなのか、だが俺はただのヴァンパイアでもない。俺は一体、何者なんだ」
ファンはまたしばらく考えていた、母親の魔石を額に当ててそこから知識を得ているようだ。やがてファンは答えた。
「レクスはレクスだよ、たった一人の新種族。ファンの勘がそういっている」
「ははははっ、本当か。……それは凄いな」
そう言って眠ろうと目をつぶった俺の脳裏にフェリシアの姿が思い浮かぶ、一体あいつは何百年、何千年の孤独に耐えて、一人で生き残っているのだろう。
その気持ちを考えると俺の胸の奥で、どこかがとても寂しいと思い傷んだ。一人でいるのは寂しいことだ、世界の中でただ一人だけ違うというのはとても孤独だ。だが、それが俺という存在なのかもしれないと知ってしまった。
ファンは一体どこにしまっていたのか、無色透明の大きく綺麗な魔石を俺に向かって差し出した。
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「……いいの?」
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試しに俺も『無限空間収納』で今剥ぎ取ったオーガの魔石を入れてみた、暫くたってから『無限空間収納』で取り出したが問題なくこの魔法を使えることができた。ただし、俺とはあまり魔法の相性がよくない、魔力の消費量を考えると多用はできない。
「ディーレも覚えておくといい、この魔法は凄いぞ。『魔法の鞄』もきっとこの魔法を固定化しているんだな、……本当に魔法とは奥が深い」
「あっ、『無限空間収納』僕にも使えました。使う魔力が大きいですが、何かあった時に便利な魔法ですね」
「ファンが役にたてた?たてた?」
おう、役に立てたぞと俺はファンの頭を撫でまわした。ディーレからもお礼の言葉を貰って、ファンはとても嬉しそうだった。
「この幼女強い、でも幼女だからしかたがない。……守りたいこの笑顔!!え!?――うにゃあぁぁぁ、ごろごろごろごろ」
ミゼだけが相変わらず、妙なことを言っていたがファンはそんなミゼが珍しいらしく、仰向けにして撫でまわしたりしていた。
新しい魔法を手に入れたし、オーガを二体狩ったので今日はもう戻ることにした。ファンは荷物持ちをするといって、剥ぎ取ったオーガの皮を袋に入れて運んでいた。ギルドまで平気な顔で結構重いオーガの皮を運びきった、見た目は少女だが中身はドラゴンだから力も強いわけだ。
「まぁ、とりあえず基本的な武術からファンには教えておくか」
「武術?」
「戦う時に人間の体を上手く使う方法だ、手加減をする練習にもなる」
「わかった、頑張る!!」
ファンが人の姿でも戦えるように、俺は武術の基本を教え込んだ。ディーレとも組み手をして貰って、ファンは面白そうに武術を学んでいた。
基本的な武術は俺達が教えればいいとして、ファンに何の武器を持たせるか様々な武器を試してみた。最終的にファンは両手剣を覚えることにした、その剣はファン自身が持っている竜の牙を剣に変えたものだった。
「練習では普通の剣をつかってくれ、これじゃ練習にならない」
「えー……、わかった」
ギルドに依頼して両手剣を使える銀の冒険者に基本を教えてもらったのだが、ファン自身の剣を使うとあっさりと普通の剣を叩き切ってしまう。だから、練習では普通の剣を使わせることにした、そうしないと練習にすらならないからな。
「私を仲間にしないのに、どうしてそんな幼い女の子を仲間にするのよ!!」
「彼女は親を亡くして俺を頼ってきたんだ、仲間として扱うのは当然だろう」
ファンを仲間にしたことで俺はまた金の冒険者であるエスロにうるさく付きまとわれた、この嘘泣き女は何が楽しいのか俺に嫌がらせのようなことばかりする。
「お前は一体何がしたいんだ」
「…………私はただ、貴方のように恵まれた男が嫌いなだけよ」
一度だけエスロが無表情で本音を零したことがあった、あれだけ周囲に男を侍らせているのに、この女は男のことが嫌いらしい。呼吸や心音、発汗の様子から見てもその時だけはエスロは嘘をついていなかった。
「男に生まれただけで跡取りになれるのが嫌い、金の冒険者になっても女じゃダメだって陰口をたたく男が嫌い。私を上手く利用しようとする男も大っ嫌い、だから私も彼らを上手く利用してやるのよ」
エスロは相変わらず男を破滅に導くのが好きなようだ、女の恨みは恐ろしいが正直に言って俺は彼女の本音が聞けて何故かほっとした。エスロにもエスロなりに行動に理由があるのだ、得たいが知れない生き物じゃなくただの人間だった。
それからエスロのことも避けるのは変わらないが、一人のただの人間として見れるようになった。
俺は相変わらず冒険者ギルドや国立の図書館を利用していたが、ファンがディーレでも難しい古語の本を読んでいることがあった、詳しく聞いてみると彼女は文字として読んでいるわけではなかった。
「この文字読めるよ、こっちも、これも」
「凄いな、どうやって読んでるんだ」
ファンは『残留思念』という魔法で手書きの本に残された、筆者の記憶の残滓を読んでいるのだった。
「この本の読み方は面白いな、写本をした者によって全然違う思いが読める」
「あはははっ、こっちの本はお腹が空いた、仕事が辛いって考えてるよ」
「写本は根気のいる仕事ですからね、僕も昔は嫌になるほどした記憶があります」
「便利なようで、不便な魔法ですね」
そういえばと思ってファンに祝福されし者についてある日の寝る前に宿屋で聞いてみた、彼女はドラゴンだから何か知っているかもしれないと思ったのだ。
「祝福されし者とは昔からこの世界にいた種族、彼らがいるところは緑が溢れ、人のように働くこともなく、息をするように魔法を簡単に使って生きていた。そうやって祝福されし者は生きることに飽きれば、次世代を生み出してその者自身は消えるの」
「なんともまぁ、随分と恵まれた生き物だな」
「祝福されし者は仲間を入れ替えながらずっと存在し続けていたの、でもある時から人間に関わるようになった。猿のように醜かった人間が祝福されし者と同じような姿をとるようになったの。そして、悲劇が始まった」
「…………悲劇?」
「僕たちドラゴンは祝福されし者と同じく太古からの生き物で、自分達の生殖数を考えて調節しながら生きている。でも、人間は違う。食べれるものさえあれば、増えれるだけ増えて、そのことを喜びさえする。人が増え過ぎれば、次に待っているのは飢えなのに」
「ああ、人間はそういうところがあるな」
「そんな人間が祝福されし者と出会って恋をしたの、祝福されし者はとても美しい種族だった。だから、魔法の力では敵わない人間は愛情という武器を使って、祝福されし者の力を奪っていったの。知ってる?魔法が少しでも使える人間には祝福されし者の血が僅かにでも流れているのよ」
「時々、全く魔法が使えない者がいるのは、そいつにはその血が流れてないのか」
「悲劇はそれからも終らなかった、祝福されし者は力を段々と失っていった。それに人間との間に子どもが産まれると、その中には歪な子どもが含まれていた。他人を襲ってその血を飲んで力に変えてしまう、そんな新しい種族が産まれたの」
「…………それがヴァンパイアの始まりか」
ファンとの会話で俺は疑問を持った、祝福されし者の血はどんどん薄められていったはずだ。俺の父さんも母さんもごく普通の人間だった、なのにどうして俺がその祝福されし者に近いのだろうか。
「なぁ、お前の母親のドラゴンも俺を祝福されし者に近いと言った。俺の両親は普通の人間だった、どうして俺が祝福されし者に近いと言われるんだ?」
ファンは少し考えた後に母親の魔石を取り出して額に当てていた、そうして考えおわると静かにこう言った。
「レクスは多分、隔世遺伝をおこした祝福されし者だと思う。永い間その血の中に力が眠っていたけど、それが偶々引き合わされて生まれたんだと思う。そして、何か力が覚醒する切っ掛けがあったはず」
「……隔世遺伝、つまり偶然組み合わされた血が起こしたっていうことなのか」
なるほど納得がいく、俺は偶然に生まれた祝福されし者だったわけだ。それが、あのローズとかいうヴァンパイアに襲われたことで覚醒した。
しかし、フェリシアを見ていると俺は弱い。まだ不完全な祝福されし者だというわけだ、会うたびに私に近くなってと言われるわけだ、俺はまだまだ弱い不完全体だ。
「………………レクスは祝福されし者になれないかもしれない」
「そうなのか、だが俺はただのヴァンパイアでもない。俺は一体、何者なんだ」
ファンはまたしばらく考えていた、母親の魔石を額に当ててそこから知識を得ているようだ。やがてファンは答えた。
「レクスはレクスだよ、たった一人の新種族。ファンの勘がそういっている」
「ははははっ、本当か。……それは凄いな」
そう言って眠ろうと目をつぶった俺の脳裏にフェリシアの姿が思い浮かぶ、一体あいつは何百年、何千年の孤独に耐えて、一人で生き残っているのだろう。
その気持ちを考えると俺の胸の奥で、どこかがとても寂しいと思い傷んだ。一人でいるのは寂しいことだ、世界の中でただ一人だけ違うというのはとても孤独だ。だが、それが俺という存在なのかもしれないと知ってしまった。
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