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第七十二話 押し付けられたが素直でよい

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俺達は拠点をラジヌ国から変えようとしていた、この国には大迷宮に繋がっていないので稼ぎ辛いというのが主な理由だった。

それとこの国の貴族や商人からの指名依頼を全て断ってしまい、少々居づらくなるかもしれないという理由もあった。貴族からの指名依頼なんてきっと碌なもんじゃない、権力者とはできるだけ関わりあいになりたくない。それで俺のランクが金から銀に落ちたとしても問題はない。さて、次はどんな国に行ってみようか。

「それじゃ、まずは次の拠点を決めるか。どこか良い国はあるか?」
「マアレ国はどうでしょう、そこには海という巨大な湖があると聞きます」
「ああ、お二人は海を見たことがないのでした。湖とは比べものになりません、それほど大量の海水がございます。また、塩湖ほどではありませんが、それらは全てが塩水なのです」

マアレ国、俺達は冒険者ギルドで情報を集めた。その国は大迷宮への入り口があり、大森林とも一部接している。なによりも今まで俺達が見たこともない水の塊、海と言うものがあるらしい。

自分がまだ知らないこと、見たこともないものを見るのが俺の楽しみだ。最終的に話し合って俺達はそのマアレという国に行くことにした。

海に繋がっていて交易都市でもあるらしい、一体どんな場所なんだろうか。草食系ヴァンパイアの俺の心が躍る、体がうずうずと早く出掛けようと言っている。

「それじゃ、行くぞ。次の目標はマアレ国だ」
「レクスさん、神よ。道に迷いし我らをどうかお導きください、あなたの慰めと励ましを得ることができますように」
「猫生、いえ人生は長いのです。レクス様といろいろ見て回るのもきっと楽しいことでしょう」

俺達は武器と防具それに食料の点検をしてマアレ国を目指すことになった、次は一体なにが待ち受けているのだろうか。

未知のものをみるというのが楽しみで堪らない、俺は自由をこよなく愛する草食系ヴァンパイアだ。だからまた仲間と一緒に、次の国へと自由に旅立つのだった。

………………そう旅立とうした矢先に問題が襲ってきた。

「わぁ、レクスだ。久し振りだね、これからよろしくお願いします」
「よぉ、というわけで頼むわ」

そうラジヌ国の冒険者ギルドで声をかけてきたのはファイスとサクルトだった、俺たちはこれから訪れる予定のマアレ国の情報を集めにギルドに来ていたのだった。ファイスはにこにこと笑って俺たちを見つめたが、サクルトは短い言葉だけ残して俺たちから逃げ出そうした。

「……なにがというわけでだ、再会していきなり逃げるんじゃない」
「ファイスさんお久しぶりです、お元気そうでなによりです」
「これは何か嫌な予感が、私のまわりがむさ苦しい男子ばかりになってしまう」

ワンダリングという部族に少し前に関わった俺達だったが、なんと向こうの方から俺達を探してラジヌ国にある冒険者ギルドへ現れた。

そして、サクルトは宝石の入った皮袋一つとファイスを置いて逃げようとした。だから、咄嗟にサクルトが着ている服をひっつかんで止めたのである。それからギルドの職員に断って小さな応接室を借りて、そこで俺たちは話をすることにした。

「ファイスが一族をもっと外から見たいと言いだした、この国に来る途中あんたら森を通っただろう。別の部族がそれを偶々遠くから見つけたから、こうして追って来たんだ。俺はこの国には長居はできん、そういうことで後はよろしく」
「うん、よろしくお願いします」

「勝手によろしくすんな!?ファイスをしれっと押し付けて、そのまま消えようとするんじゃない」

俺はギルドから借りた応接室の窓から、またも逃げようをしているサクルトをひっ捕まえて元通りに椅子に座らせた。それから聞きたかったことを聞いていく。

「あれから族長は変わったのか、少しは考えるようになったのか」
「族長は変わったが、神の教えは根深い問題だ。だから、ファイスを一族に置いておきたくない。それに本人も冒険者というものになってもいいと言っている」
「うん、私はレクスのように強くなりたい。本当に神に戦士と認められたい」

サクルトとファイスを見比べて俺は眉間を押さえた、サクルトの言った通り神様の教えはそう簡単になくならないようだ。一旦根付いた価値観というものは強い。

「俺からもう一度聞くぞ、あんたらの名も無き神ってのは何なんだ。外に出てファイスを冒険者にしてしまっていいのか?」

サクルトは黒髪に同じ瞳の髭をはやした小男だ、ファイスは逆に白い髪に灰色の目をした青年だ。そんな二人はしばらく目線で話し合っていたが、何かを観念したのか自分達の神について話し始めた

「ワンダリングという部族は、最初はいろんな国から逃げてきた人間が集まってできた部族だと言われている。まぁ、子どもにはもっと立派な物語を聞かせるが、あんたらが聞きたいのはそうじゃないんだろう」
「名も無き神は以前は私達の部族をよく訪れてくれていたという、その神が訪れる度に豊かな実りがもたらされたと言われる。だが、ある時から神は人になった。私達ワンダリングの一員になった」
「……神様を止めてしまって、人間になったのか?」

「言い伝えではそうだな、それに神から人になった後も奇跡の実りはもたらされたが、神から人になった者は普通の人間よりも短い一生を過ごして消えたと言われている」
「あの祠はその神が降りてくる場所の一つだった、ワンダリングという部族に来る為の目印だったんだ。今ではそこにいつからか供物を捧げるようになった、再び神が私達の一族に来てくれるようにと願ってそうしている」
「なるほど、神様の方から何かくれっと要求したわけじゃないんだな」

うーん、と俺は考えてみる。ワンダリングという部族は極端に魔法を嫌がる傾向がある、それを誰かが押し付けた価値観だったとしたらどうだろう。魔法も何も知らない者から見たら、魔法が使える種族を神と崇めようをするかもしれない。

だが、全部が推測の話だけどな。

「そういえば前に生まれてきた子どもの話をしただろう、おかしな子が生まれた時には一族の決まりに従う。神が人と交わって生まれた子どもはおかしな子どもが多くて、結局神の子は部族にはほとんど残らなかった」
「それを何より神自身が悲しんだと聞いている、悲しくて、悲しくて、そのままワンダリングにやってきた神は消えてしまったという。僅かに人間の子が産まれて育った、私もその末裔の一人だと聞いている」
「……お前が神の末裔?」

俺は改めてファイスの方を見た、こいつもなかなか整った顔つきをしている。入れ墨が入っているのが勿体ないくらいだ、いやその入れ墨も含めていい男に見える。

服装の方は民族独特の麻で作られた、動きやすいが露出が多い服で後で着替えさせるしかないな。とそこまで考えてもうファイスを預かるつもりでいる自分に驚く、ディーレといい俺には拾い者の才能があるのだろうか。

「ファイスを預かると言っても、永久には無理だぞ。一体どのくらいの間、預かっていればいいんだ?」
「レクスから見て一人前だ、そして神の戦士という制度に疑問を持てるようになったらでいい」

ファイスはサクルトの言葉に不思議そうに首を傾げている、外の世界を見ていない彼にとっては名も無き神に疑問を持てと言われるのが理解できないのだろう。

「……神の戦士という生贄はもっと穏やかに失くしていこうと話し合ってはいる、それに反対派から狙われてるのがこいつだ。とにかくもっと広く世の中を見せてやって、あんたが一人前だと判断したらにそこで自由にさせてやってくれ」

ファイスが広い世の中を知って一人前になったら、貰った宝石じゃわりに合わない仕事だぞ。しかし、知りたかった一族の隠された神様とやらの話を聞いてしまったことだし、少しの間だったが弟のように懐かれた相手だ。……これは断り辛い。

「ディーレ、ミゼはどう思う」
「いいのではないでしょうか、……ファイスさんを見ているとどうも少し心配で」
「ひとまず引き受けてみて、無理そうだったらお返しするということで。キャッチ&リリースでございます」

俺は仲間たちの同意を得て、最終的に気持ちを決めた。ファイスを俺から見て一人でも生きていける、そう思えるまで面倒をみよう。

「わかった、ファイス暫くの間だけお前の面倒を見てやる」
「うん、よろしくお願いします」

にこにこと笑顔でファイスは俺達の仲間になった、なったからには一人前になるまでどうにか鍛えねばなるまい。……どうしようもなかったら、返品するがな。

「どうして服を脱がなくてはならない、戦うのは服ではなく私だ」
「その服が俺達の来ているデビルグレイトスパイダーくらいの強度があれば別だが、それはどう見てもただの麻で織った布だろう。それでは戦闘には不向きだ」

とりあえず民族衣装の方を取り上げて、俺達のような防御服を着せることにした。ディーレと同じくらいの身長なので彼の予備の防御服を裁縫でつめてから、ファイスに着せておくことにした。

「うーん!?凄い!!レクス、この服破れない!!」
「それは魔物の糸で織った服だから頑丈なんだよ、他にもオーガの皮鎧を着ておけ、それから得意武器は槍と剣だったな?」

「うん、私が得意なのは槍と剣!!」
「その槍は少し長すぎる、迷宮に潜る時は貸してやるからこっちの槍を使え。剣は自分のを使ってもいい、このくらいの長さなら大丈夫だろう」

ファイスの使う槍は迷宮の上層では狭いので使いにくかった、30階層より下になれば長めの槍を使ってもいいくらいの空間があるが、初心者をいきなりそこには連れていけない。だから、『魔法の鞄マジックバッグ』から短めの槍を貸しておいた。

うぎゃぎゃ!!
ぎゃ!?
ぐぎゃ!!

ファイスにもギルドで冒険者証を作らせて、初めての迷宮に挑んだ。ファイスがどれくらい戦えるのをみておきたかったからだ、そこで分かったファイスは敵に大して恐れるということを知らなかった。

ゴブリンやコボルト程度なら、狭い通路に誘いこんで殺すなど意外と頭を使った闘い方をしていた。元々がデビルベアに単騎で挑もうとするような奴だ、戦闘や体力の面では今はまだ心配するようなことは無かった。

「この文字は鳥だ、と・り。森の中でも何度も仕留めたことがあるだろう」
「うん、でもどうして文字なんて使う、口伝えに覚える方がよほど速いのに」
「ファイスさん、文字はまだ見ていない物、知らない物を調べるのに便利なものですよ。覚えれば薬草などもっと沢山の世界のことが知ることができるんです」
「ああああ、イケメンばかりが増えていく今日この頃。いやファイスさんは十五歳、中身はショタっ子!!……………‥いやいや無理、まず男だし、それに三次元という壁が厚い」

ファイスの欠点は文字が全く読めないというところにあった、年を聞いてみれば十五だというから俺達は驚いた、その年のわりに身長は高めでディーレと同じくらいである。俺は勝手にファイスはもっと幼いのかと思っていた、言葉や行動が子どもっぽいのでそう見える。

年を聞いたらファイスがもう青年ではなく少年に見えてきた、完全に気分は手のかかる弟を持った兄の気持ちである。

とにかく、早く独り立ちをしてくれるのを祈るしかなった。
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