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2-01なでなでされるのも悪くない

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「そこの綺麗なお姉さん、このデビルベアの毛皮と魔石、それに肉を買い取って」
「あらら、可愛い狩人さんね。これは重かったでしょう、おつかいかしら」

「むぅ、ぜ~んぶ俺が罠とか、いろいろ使って狩ったんだよ」
「まあぁ、凄いわね。これは高値で買い取りしてあげないとね」

 俺はデビルベアの買い取ってもらえそうな物を商業ギルドに持ち込んだ、そうしたら買い取りする場所にいたまぁまぁ綺麗なお姉さんを素早く観察していたら、俺の髪の毛をふわふわになるまで撫でられてしまった。俺は大人のドラゴンだからこういう時は、素直に撫でられておく方がいいことを学んでいた。そうするとお姉さんの機嫌が良くなって、買い取り額も少しだけ多くなるのだった。

「はい、これなら金貨四枚と銀貨七枚ね。ふふっ、大金だからなくさないでね」
「ありがと、綺麗で優しいお姉さん!!」

 多分だが買い取りをしてくれたお姉さん、彼女は俺が自分でデビルベアを狩ったと信じてない、それでもまぁまぁ良い値段をつけてくれた。デビルベア毛皮や魔石それに肉を全て合わせると、まぁ金貨四枚から七枚くらいが相場だ。でも俺は剥ぎ取りがあまり上手くないから、それでいくらか値引きされてしまった。それでも俺にとっては良い収入だった、デビルベアは俺の懐を温めてくれるいい獲物だった。

 俺はドラゴンのアルカンシエルという、皆はシエルと呼ぶことが多かった。魔物や神獣の頂点であるドラゴンの俺が人間の姿でいるには理由がある、俺は人間の姿でいるという縛りプレイをしているのだ。どういう理屈になっているのかは分からない、分からないが俺がこの姿でいるとすてーたす?とやらが、どんどん上がって俺は強くなっていくらしかった。

 これは俺の大事な家族だった、あかり姉さんが発見した鍛練方法だった。あかり姉さんは迷い人はだったからすてーたす?、そういうものが見える人間だった。実際に最初はスライムにも苦労していた俺だった、だが今はデビルベアの首を素手で圧し折れるくらい強くなったのだ。もうそんなに強くなったならいいだろう、そんなことを言う奴は何を言っているのか分からん、世界にはまだまだ俺が敵わないような敵がいっぱいいるのだ。

「あかり姉さんにちょっと似てたなぁ」

 買い取りのお姉さんは黒髪に黒い瞳をしていた、髪が長くて俺の大好きだったあかり姉さんに少し似ていた。あかり姉さんは俺を庇って死んでしまった、だから今は彼女が好きだと言っていた花畑、その下でもう起きることはなく眠っているのだ。うっ、あかり姉さんのことを考えると少し泣きたくなった。俺はもうあんな辛い別れはしたくない、だから縛りプレイでもっと強くなるのだ。

「うーん、なにか良い依頼はないかなぁ」

 俺は頭をきりかえて商業ギルドの掲示板を見た、そうしたら次の街へ行く護衛依頼があった。だからさっきのお姉さんとは別の商業ギルドのおじさんに、その護衛依頼を引き受けると言いにいった。

「駄目だな」
「え? なんで?」

「お前みたいな小さい子どもに護衛依頼ができるか!?」
「俺は魔法も使えるよ」

「………………それじゃ、ちょっと試してやる」
「いいよ、何をすればいいの?」

 それから俺は冒険者ギルドへ行きな、そう言われて俺は手紙を預かった。俺は素直にそれを預かって冒険者ギルドに行った、どんな試験をしてくれるのか楽しみだった。冒険者ギルドのお姉さんは俺をじろじろと見た後、近くにいた男性を呼びとめて鍛練場につれていってと言った。そうして男性について行ってみたらつまらない試験だった、ただ鍛練場にある十個の的に魔法を当てればいいと言われた。

「一個だけに、銀貨一枚だ」
「俺は二個だけに、銀貨一枚」
「私は一個に、銀貨一枚かな」
「俺は三個、大穴ねらいで銀貨一枚だ」
「私も一個で、銀貨一枚ね」

 なんだか暇そうなそこにいた冒険者たちは賭けまではじめた、賭ける金額は増えてどんどん上がっていった、俺はだから冒険者ギルドの男性にちょっと待ってと言った。試験をやめますかと聞かれたが首を振ってそれを否定して、ちょっとだけ時間が欲しいと言って待ってもらった。そして賭けをしている胴元の冒険者のところにいった。そうしてから、にっこりと笑顔で俺はこう言った。

「それじゃ、俺は十個全部に金貨一枚だよ」

 ドッと冒険ギルドの鍛練場に笑いが起こった、皆そろってゲラゲラと下品な笑い方をしていた。俺はここの冒険者ギルドは質が悪いなと思った、そうしてから試験官である冒険者ギルドの男性のところに戻った。十個の的もちゃんと用意されていた、俺はどの魔法を使おうか少しだけ迷ったが、使い慣れているものにすることにした。

「それじゃ、『電撃槍ライトニングストライクスピア』」

 それでドカーンと大きな音が鍛練場全体に響き渡った、そうして十個あった的は全部そろって炎を上げて燃えあがった。冒険者ギルドの男性はポカーンとした顔をしていた、他の冒険者たちもほとんど全員がポカーンとした顔をしていた。俺はその間にまるで夢を見ているような様子の、賭けの胴元の冒険者のところにいった。

「じゃあ、ここの銀貨はぜ~んぶ俺が貰っていくね、駄目だっていったらを次はあんたを的にするよ」
「ひぃ!! あっ、ああ、分かった!!」

 俺は冒険者ギルドの男性のところにまた戻った、臨時収入だこれは銀貨をいっぱい貰ってしまった。そんなほくほく顔をした俺と違って、ギルドの男性はなぜか真っ青な顔をしていた。彼は何が起きたのかを理解すると、すぐに商業ギルドの手紙に返事を書いてくれた。俺はそれを貰ってほくほく顔で冒険者ギルドを出ていって、また商業ギルドに戻って正式に護衛依頼を受けた。

「これは本物か、本物だよな。なんで本物なんだ、冒険者ギルドの連中は夢でも見てるのか?」

 商業ギルドのおじさんは首をひねっていたが、俺の護衛依頼への参加を拒否したりはしなかった。次の日に出発だったので、それまで俺は市場で好きな物を買って、こっそりと『魔法マジックの箱ボックス』に入れておいた。こうすると中に入れた物が腐らないのでいいのだ、俺の『魔法マジックの箱ボックス』にはいざという非常時のために、お金以外にもいろんな物が入っていた。

「あら、可愛い魔法使いの坊やね。私はジェニ」
「君でしょ、昨日鍛練場を燃やした人!!あたしはレリ」
「私はヘンナよ、あたしたちのパーティに入らない」
「あたいはメニーだよ、うわぁ可愛い子。頭をなでなでしてもいいよね?」

 俺は女性の冒険者のパーティ、彼女たちと一緒に護衛をすることになった。俺はいつものように迷い人の特徴である黒髪に黒い瞳の人間がいないか、それと俺の前の何もない空間を見ている者はいないかを素早く確認した。そうしたら、あとは勧誘は丁寧に残念だけどとお断りしておいた、でも彼女たちから頭をなでなでされても放っておいた。

 迷い人でなければ俺がドラゴンだと分からないから攻撃はしてこない、そしてオスはメスに逆らないほうがいいという本能からそうしていた。荷馬車はゆっくりと隣街まで進んでいった、その途中のことだった。

「あっ、盗賊かな?」
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