3 / 17
003手加減
しおりを挟む
こちらに向かってくる人影はよくみると汚い服を着た子どもだと分かった、そしてローラが先にその子どもを捕まえようとした時だった。
「ばーかっ!? 捕まるかよ、ブス!!」
「あらあらっ」
その次の瞬間には俺がそのガキを捕まえて壁に首元を押し付けていた、そうしてそのガキにこの世の理を学ばせるためによーく話した。
「いいか、くそガキ。この世にローラほど綺麗で美しくて可愛い女はいないんだ、これは世界の常識というやつでそれを守らん貴様は万死に値する」
「――――――ひぃ!?」
俺は第三王子だった頃もこうだった、ローラが何か馬鹿にされたら誰が相手だろうと復讐をした。だからローラの父親なんで密かに毛をむしってやってまるハゲだし、俺の近くに勤めていた無礼な使用人は、誰しもボコられ木に吊るされて一晩を迎えたなんてことがあった。俺の父親や兄弟だって例外じゃなくて、こっそり二、三日気持ち悪くなって寝込む毒を盛ってやったこともあるのだ。そんな俺のやることだから、こんなくそガキの一人くらい捕まえるのは簡単だった。
「分かったよ!! だから逃がしてくれ!! 三回目は腕の切断なんだ!?」
「ローラがいかに綺麗で美しくて可愛いのかがこんな短い時間で分かるか!? お前は街の警備隊に引き渡すぞ。ほらっ、ちょうどやってきた!!」
お金をスラれた男性はよほど走り回ったのだろう、何事かと街の警備隊がついて来ていた。俺はそのくそガキを引き渡し、財布の持ち主からお礼に銀貨一枚を貰ってしまった。その間、ローラは捕まったくそガキを可哀そうに見ていた。俺達の国でもスリへの刑罰は厳しかった、二回までは焼き印を入れられて、三回目は利き腕の切断となっていた。
「ぎゃああぁぁ――――!?」
この国もどうやらさほど法律は変わらないらしかった、くそガキの右手がその場で切断されて、くそガキは悲鳴を上げてのたうちまわった。その間、遠巻きに見物をしている街の人間もいた。俺はこのくそガキはどうでも良かったが、ローラが俺の背中にしがみついてくるので、仕方なく切られた右手の方を包帯で止血してやった。
「…………畜生!?」
利き腕がなくなってかなり失血もしたのにそのガキは、街の警備隊から解放されると元気良く逃げていった。ローラがそれを心配そうに見ていたが、街の掟だから仕方がないことだった。こっそりと俺が光の精霊に頼んで、切断された右手の切り口が早く治るようにしていたのは秘密だ。
「スリはとっても怖いですけど、スリをする側にも生活があるのですね」
「俺達だって金が無くなったらスラム行きだ、あのガキに再会するかもしれないな」
「腕の切り口から腐って死んでしまったりしませんか?」
「大丈夫、ダチに頼んでおいた。三日もしないうちに綺麗に治るよ」
「ラウルは優しいですね、良かった」
「いや、この場合。俺が優しいのはローラの為だ」
俺はローラが喜ぶんだったら父親や兄弟を殺して王になっても良かった、そしてローラを妃に迎え入れて安全な後宮で贅沢三昧させても良かった。そんな話を床を共にした時にしたことがあるが、ローラは笑ってそんな生活つまりませんよと言っていた。だから俺も親兄弟を殺したりしなかった、ローラの言うように国に影響を与えないように、レオパール王国の第三王子は焼死したことにした。俺はローラと一緒にいて幸せに暮らせるなら、その環境はどこでも良かったんだ。
「私の為ですか?」
なんて言ってローラは小首を傾げていたが、その意味が分かっていない所作もとても可愛らしかった。そうして俺達は夕食に露店でまた串焼きを食べていた、とにかく生活が安定するまでは節約しておかなくてはならなかった。そうして宿探しをすることになったのだが、俺は絶対に命令じゃないぞとローラに言って話をした。
「ローラが嫌じゃないのなら、ローラのことが抱けるような宿がいい」
「あらっ、それは嬉しいお申し出ですが、今はまだ駄目です」
「今はっていうと、いつかは良いのか?」
「そうですね、一軒家を借りて住めるようになったら、私は良いですよ」
「俺、明日からじゃかじゃか稼いでくる」
「それなら冒険者ギルドの身分証もとったほうがいいですね、魔物退治はとってもお金になるそうですよ」
それで今日のところは普通の二人部屋を借りた、とりあえず一週間分は借りたので銀貨三枚と銅貨五枚とられた。そして俺は冒険者に明日からなって、魔物退治をバリバリやるぞっと決心していた。だから公衆浴場でお風呂に入ると、ローラと一緒に手をつないで宿屋に帰った。そうしておやすみのあいさつをして早めに寝た。翌朝起きて朝食を食べたら、すぐに冒険者ギルドに行くことにした。
「俺は冒険者になるぞ、一軒家を借りて住めるように絶対する!!」
「あんまり目立ったら駄目ですよ、王子の顔を知る者がこの国にいるかもしれません」
「そうだな、今のところ派遣されてないようだけど、王家の影とか俺を知ってるな」
「ここは隣国ですし、あんまり目立たずに稼いで行きましょう。いざとなれば、また一緒に逃げましょうね」
俺はローラがまた俺と一緒に逃げてくれると言ったのが嬉しかった、ローラ自体は俺と一緒にいなかったら安全なのに、それでも一緒に逃げましょうと言われたのが本当に嬉しかった。そうしてローラと一緒に冒険者ギルドに行った、俺の冒険者の身分証をとるためだ。身分証をもらうには試験があって、体力試験、剣術試験、魔法試験の三つだった。
「なんだ、体力試験とは走るだけか」
俺は体を鍛えていたので走る試験でも負けなかったが、ローラから『手を抜いて』という合図がきたので真ん中くらいでゴールした。
「剣術試験はわら束を切るだけか」
これはどうも手加減のしようがなく、全力で真っ二つにしておいた。ふと横を見ると皆、上手く切れていなかったのでちょっと汗が出た、ローラからも『やりすぎ』と合図がきていた。
「魔法試験を受けるのは俺だけか?」
魔法は精霊と契約をしないと使えない、全く使えない無能ということにしても良かったが、それでは強い魔物を魔法で倒した時に言い訳ができなかった。世間のほとんどは無能と呼ばれる人々で、精霊と契約をして魔法が使える者は二割くらいしかいなかった。だから俺は七つの中から一つだけ選ぶことにした、散々悩んだが水の精霊に力を借りることにしたのだ。試験は十個の的を射抜くことだった、ローラからは『手加減』という合図がきていた。本当ならば十個の的を全部同時に射抜けるが、それはしてはいけないということだろう、俺は一個ずつ的を当てていって三、四個は外すつもりだった。
「それじゃ、一個ずつ当ててくか。”氷の槍”」
そうやって俺は氷の槍を六本当てて、四本は外した。思いっきり手を抜いたと思ったのに、ローラが頭を抱えて『やっちゃいましたね』と合図がきた。俺は思いっきり手加減したと思ったのに、どうやら他の人達にとっては違うようだった。俺は問題なく冒険者ギルドの身分証を手に入れた、それと同時に俺に複数のパーティの勧誘がきた。
「なっ、なんで!?」
「氷の槍を使ったからです」
とりあえずそれら勧誘を断った俺だったが、まだ何故氷の槍を使ったことの、一体どこが問題なのか分からなかった。ローラの説明によるとこうだった、水の精霊と契約している普通の魔法使いは水を使う、俺のように水を氷に変えれることを知らないのだった。俺はそれには気がつかなかったとうっかりミスを認めた、この世界にはまだ分子とかそういう科学の知識がないのだ。水の槍なんて水を高速で回し続けないと威力がでない、だから氷の槍を使ったのだが、その魔法を使ったのは俺が初めてというわけだった。
「王家の影に目をつけられるかな?」
「ばーかっ!? 捕まるかよ、ブス!!」
「あらあらっ」
その次の瞬間には俺がそのガキを捕まえて壁に首元を押し付けていた、そうしてそのガキにこの世の理を学ばせるためによーく話した。
「いいか、くそガキ。この世にローラほど綺麗で美しくて可愛い女はいないんだ、これは世界の常識というやつでそれを守らん貴様は万死に値する」
「――――――ひぃ!?」
俺は第三王子だった頃もこうだった、ローラが何か馬鹿にされたら誰が相手だろうと復讐をした。だからローラの父親なんで密かに毛をむしってやってまるハゲだし、俺の近くに勤めていた無礼な使用人は、誰しもボコられ木に吊るされて一晩を迎えたなんてことがあった。俺の父親や兄弟だって例外じゃなくて、こっそり二、三日気持ち悪くなって寝込む毒を盛ってやったこともあるのだ。そんな俺のやることだから、こんなくそガキの一人くらい捕まえるのは簡単だった。
「分かったよ!! だから逃がしてくれ!! 三回目は腕の切断なんだ!?」
「ローラがいかに綺麗で美しくて可愛いのかがこんな短い時間で分かるか!? お前は街の警備隊に引き渡すぞ。ほらっ、ちょうどやってきた!!」
お金をスラれた男性はよほど走り回ったのだろう、何事かと街の警備隊がついて来ていた。俺はそのくそガキを引き渡し、財布の持ち主からお礼に銀貨一枚を貰ってしまった。その間、ローラは捕まったくそガキを可哀そうに見ていた。俺達の国でもスリへの刑罰は厳しかった、二回までは焼き印を入れられて、三回目は利き腕の切断となっていた。
「ぎゃああぁぁ――――!?」
この国もどうやらさほど法律は変わらないらしかった、くそガキの右手がその場で切断されて、くそガキは悲鳴を上げてのたうちまわった。その間、遠巻きに見物をしている街の人間もいた。俺はこのくそガキはどうでも良かったが、ローラが俺の背中にしがみついてくるので、仕方なく切られた右手の方を包帯で止血してやった。
「…………畜生!?」
利き腕がなくなってかなり失血もしたのにそのガキは、街の警備隊から解放されると元気良く逃げていった。ローラがそれを心配そうに見ていたが、街の掟だから仕方がないことだった。こっそりと俺が光の精霊に頼んで、切断された右手の切り口が早く治るようにしていたのは秘密だ。
「スリはとっても怖いですけど、スリをする側にも生活があるのですね」
「俺達だって金が無くなったらスラム行きだ、あのガキに再会するかもしれないな」
「腕の切り口から腐って死んでしまったりしませんか?」
「大丈夫、ダチに頼んでおいた。三日もしないうちに綺麗に治るよ」
「ラウルは優しいですね、良かった」
「いや、この場合。俺が優しいのはローラの為だ」
俺はローラが喜ぶんだったら父親や兄弟を殺して王になっても良かった、そしてローラを妃に迎え入れて安全な後宮で贅沢三昧させても良かった。そんな話を床を共にした時にしたことがあるが、ローラは笑ってそんな生活つまりませんよと言っていた。だから俺も親兄弟を殺したりしなかった、ローラの言うように国に影響を与えないように、レオパール王国の第三王子は焼死したことにした。俺はローラと一緒にいて幸せに暮らせるなら、その環境はどこでも良かったんだ。
「私の為ですか?」
なんて言ってローラは小首を傾げていたが、その意味が分かっていない所作もとても可愛らしかった。そうして俺達は夕食に露店でまた串焼きを食べていた、とにかく生活が安定するまでは節約しておかなくてはならなかった。そうして宿探しをすることになったのだが、俺は絶対に命令じゃないぞとローラに言って話をした。
「ローラが嫌じゃないのなら、ローラのことが抱けるような宿がいい」
「あらっ、それは嬉しいお申し出ですが、今はまだ駄目です」
「今はっていうと、いつかは良いのか?」
「そうですね、一軒家を借りて住めるようになったら、私は良いですよ」
「俺、明日からじゃかじゃか稼いでくる」
「それなら冒険者ギルドの身分証もとったほうがいいですね、魔物退治はとってもお金になるそうですよ」
それで今日のところは普通の二人部屋を借りた、とりあえず一週間分は借りたので銀貨三枚と銅貨五枚とられた。そして俺は冒険者に明日からなって、魔物退治をバリバリやるぞっと決心していた。だから公衆浴場でお風呂に入ると、ローラと一緒に手をつないで宿屋に帰った。そうしておやすみのあいさつをして早めに寝た。翌朝起きて朝食を食べたら、すぐに冒険者ギルドに行くことにした。
「俺は冒険者になるぞ、一軒家を借りて住めるように絶対する!!」
「あんまり目立ったら駄目ですよ、王子の顔を知る者がこの国にいるかもしれません」
「そうだな、今のところ派遣されてないようだけど、王家の影とか俺を知ってるな」
「ここは隣国ですし、あんまり目立たずに稼いで行きましょう。いざとなれば、また一緒に逃げましょうね」
俺はローラがまた俺と一緒に逃げてくれると言ったのが嬉しかった、ローラ自体は俺と一緒にいなかったら安全なのに、それでも一緒に逃げましょうと言われたのが本当に嬉しかった。そうしてローラと一緒に冒険者ギルドに行った、俺の冒険者の身分証をとるためだ。身分証をもらうには試験があって、体力試験、剣術試験、魔法試験の三つだった。
「なんだ、体力試験とは走るだけか」
俺は体を鍛えていたので走る試験でも負けなかったが、ローラから『手を抜いて』という合図がきたので真ん中くらいでゴールした。
「剣術試験はわら束を切るだけか」
これはどうも手加減のしようがなく、全力で真っ二つにしておいた。ふと横を見ると皆、上手く切れていなかったのでちょっと汗が出た、ローラからも『やりすぎ』と合図がきていた。
「魔法試験を受けるのは俺だけか?」
魔法は精霊と契約をしないと使えない、全く使えない無能ということにしても良かったが、それでは強い魔物を魔法で倒した時に言い訳ができなかった。世間のほとんどは無能と呼ばれる人々で、精霊と契約をして魔法が使える者は二割くらいしかいなかった。だから俺は七つの中から一つだけ選ぶことにした、散々悩んだが水の精霊に力を借りることにしたのだ。試験は十個の的を射抜くことだった、ローラからは『手加減』という合図がきていた。本当ならば十個の的を全部同時に射抜けるが、それはしてはいけないということだろう、俺は一個ずつ的を当てていって三、四個は外すつもりだった。
「それじゃ、一個ずつ当ててくか。”氷の槍”」
そうやって俺は氷の槍を六本当てて、四本は外した。思いっきり手を抜いたと思ったのに、ローラが頭を抱えて『やっちゃいましたね』と合図がきた。俺は思いっきり手加減したと思ったのに、どうやら他の人達にとっては違うようだった。俺は問題なく冒険者ギルドの身分証を手に入れた、それと同時に俺に複数のパーティの勧誘がきた。
「なっ、なんで!?」
「氷の槍を使ったからです」
とりあえずそれら勧誘を断った俺だったが、まだ何故氷の槍を使ったことの、一体どこが問題なのか分からなかった。ローラの説明によるとこうだった、水の精霊と契約している普通の魔法使いは水を使う、俺のように水を氷に変えれることを知らないのだった。俺はそれには気がつかなかったとうっかりミスを認めた、この世界にはまだ分子とかそういう科学の知識がないのだ。水の槍なんて水を高速で回し続けないと威力がでない、だから氷の槍を使ったのだが、その魔法を使ったのは俺が初めてというわけだった。
「王家の影に目をつけられるかな?」
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
無限の精霊コンダクター
アキナヌカ
ファンタジー
リードは兄たちから虐げられていた、それはリードが無能だったからだ。ここでいう無能とは精霊との契約が出来ない者のことをいった、リードは無能でもいいと思って十五歳になったら貴族の家を出て行くつもりだった。だがそれよりも早くリードを良く思っていないウィスタム家の人間たちは、彼を深い山の中の穴の中に突き落として捨てた。捨てられたリードにはそのおかげで前世を思い出し、また彼には信じられないことが起こっていくのだった。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
公爵夫人アリアの華麗なるダブルワーク〜秘密の隠し部屋からお届けいたします〜
白猫
恋愛
主人公アリアとディカルト公爵家の当主であるルドルフは、政略結婚により結ばれた典型的な貴族の夫婦だった。 がしかし、5年ぶりに戦地から戻ったルドルフは敗戦国である隣国の平民イザベラを連れ帰る。城に戻ったルドルフからは目すら合わせてもらえないまま、本邸と別邸にわかれた別居生活が始まる。愛人なのかすら教えてもらえない女性の存在、そのイザベラから無駄に意識されるうちに、アリアは面倒臭さに頭を抱えるようになる。ある日、侍女から語られたイザベラに関する「推測」をきっかけに物語は大きく動き出す。 暗闇しかないトンネルのような現状から抜け出すには、ルドルフと離婚し公爵令嬢に戻るしかないと思っていたアリアだが、その「推測」にひと握りの可能性を見出したのだ。そして公爵邸にいながら自分を磨き、リスキリングに挑戦する。とにかく今あるものを使って、できるだけ抵抗しよう!そんなアリアを待っていたのは、思わぬ新しい人生と想像を上回る幸福であった。公爵夫人の反撃と挑戦の狼煙、いまここに高く打ち上げます!
➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる