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第11話 4日目午後 下着の嗅ぎ比べ!?
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宿屋と冒険者ギルドの中間くらいの道中で、ガチャリと胸当てが嫌な音を立てた。
ずり落ちてくるところを慌てて手で押さえる。
肩紐が緩んで調整ができない。
困ったぞ。
内容は不明だけど今から訓練があるのにこれは不味い。
修理をしてくれそうなお店を今から探すには時間が心許ない。
仕方がない、直しに行くか。
購入したお店の若妻店員さんとのやりとりを思い出すとあまり気は進まないんだけどね。
「あら、いらっしゃいませ、新人くん。毎日来るって約束だったのに、嘘つきね」
ぱぁっと顔を輝かせた後、若妻店員さんは可愛らしく唇を尖らせて金髪のポニーテールを機嫌の悪い猫の尻尾みたいに揺らしながら、清楚でけしからんおっぱいをぶつけるように抱きついてお出迎えしてくれた。
そういえば、そんなことも言いました!
不倫は良くないことだと言い聞かせてすっかり忘却の彼方でした。
「ごめんなさい」
「いいのよ、だって来てくれたんだもん」
若妻店員さんは僕に抱きついたまま破顔一笑。束縛するけど程度は調整。
相変わらず男心をくすぐる距離感。
本日も足首まで隠れている清楚なスカートで清潔感が溢れんばかりのお姿だった。
「それで、今日はどのような物をお買い上げなのかしら?」
若妻店員さんは、目を細めると三日月を横にしたみたいな赤い唇で妖艶に笑う。ギャップにゾクゾクします。女に騙される男の気持ちがわかります!
「購入した胸当てなんですけど、肩紐が止まらなくなっちゃって、少し調整をお願いしたいんですけど」
「あらあらまあまあ」
でもそんな男を食い尽くすような女豹の雰囲気は一瞬だけ。すぐに清楚でしっとりと落ち着いた若妻店員さんの顔に戻る。
手にした皮の胸当てを確認してから扉を開けて別室に持っていく。奥に旦那さんがいる作業場があるらしい。
「15分程で直るみたいだから、少し待っててね」
「お願いします」
若妻店員さんは戻ってくると優しく微笑みながら告げてきた。
「こんな短期間で不具合が出て申し訳ないです。調整のお代は結構ってあの人から言伝よ」
初期不良扱いにしてくれたみたい。お金は大事だからそれは良かった。
「それはそうと……今回みたいな事が起こらないように、しっかりサイズを測り直しますね」
「はい?」
若妻店員さんは、嬉しそうに言いながら抱きついてきて豊満でいやらしい身体を使ってサイズを測り始めた。
またですか!?
抱きしめて腕を回して頬ずりをする特殊な測り方が幸せだった。
旦那さんは作業中だから突然現れたりしないだろうけど、ちょっぴり緊張する距離感だ。
「んー、なんだか新人くんを抱きしめているとぴったりで気持ちが良くなってくるのよね、ちょっと口の中のサイズも測らせてね? 測るだけだから料金は頂かないから」
「はい? 口の中って!?」
口の中のサイズって測ってなんの役にたつの!?
「……んちゅう」
キスなんて大人しい言葉では言い表せられない、ぶちゅっと音までする深い深い接吻だった。人工呼吸みたいな唇の接合だった。
甘く蕩けそうなやわらかい舌が侵入してきて、縦横無尽に暴れ回る。
トロリとした唾液が注ぎ込まれる。
本当に舌と口の中のサイズが測られてる!?
身動きが取れないくらいに抱きしめられて、息苦しい程の熱い口づけはニュルニュル続く。
ちょっと待って、手はどこに回せばいいの!?
このまま気をつけの姿勢でいいの?
誰かに見られたら間抜けな格好になってない? いやいや、そもそも誰かに見られたら大変なことになる。
だめだ、混乱して思考が定まらない。
「ん……やっぱり、口の中もそう……おちん○んもそうだったし……ねぇ、新人くん、ちょっと舌をいれてみてくれる? 私の舌も測ってほしいの」
すみません、舌を測るとか特殊な経験がない素人ですから勘弁してほしいです。
「旦那さんに、見つかっちゃいます!」
「ふふ、あの人には内緒よ? それにいま作業中」
男を虜にするウインクにノックアウト。
咽るような若妻店員さんの香水の甘い匂いにやられてしまう。
ああ、ぞくぞくする。これが寝取るという感覚。異世界ってなんて素敵なんだろう。
据え膳上等! 不倫上等! 善悪なんて些細なことはもうどうでもいいや!
このエッチな若妻店員さんと旦那さんの近くで不埒な背徳感を味わえるなら!
これも漢の進む道!
舌を測らせてもらいます!
ピチャピチャという唾液を啄み合うようないやらしい音が店の中に響き渡る。
甘い舌で口中を調べられて、甘い口の中を存分に調べ上げる。
若妻店員さんのすぼめた魅惑の唇に突き刺すように舌を挿入。
出し入れするとちゅうと吸い付かれてゾクゾク背筋に甘い電気が走る。
もうこんなの粘膜の接触を繰り返すセックスみたいなものだった。
気持ち良くて身体は痺れる。
舌を吸われるってこんなに愉悦だったなんて。舌が射精できたら大変なことになっていたよ!
「やっぱり、舌もぴったり……新人くんと私の舌って相性抜群なのね……」
舌に相性があるなんて初めて知ったよ!
店頭で旦那さんの目を盗んで抱きしめ合って唾液がこぼれて染みになっても止められない、大人のキスに翻弄されて骨抜きにされていく。
「サイズを測るだけなんて、我慢できなくなりそう……下着が汚れちゃう。もっと時間の掛かる修理だったら良かったのに……」
悩殺されてしまって腰が砕けそうなひと時だった。
*
調整済みの革鎧を装備してもらう。
「ふふふ、お似合いですよ」
舌の計測でベトベトに濡れてしまったので、シャツを一着購入して5万円なり。
なんて商売上手で良く出来た店員さんなんだ。
とても高性能で衝撃をある程度吸収してくれて、汚れもつきにくい優れものらしい。
若妻店員さんのお勧めだった。
昨日の内に滞在料も2日分チャージしているから残金は370万円。
「でも……それだけだと申し訳ないから、サービスでこれもつけておくね?」
目の前で長いスカートをたくしあげるのであわあわしてしまう。
しっとりとした白い人妻の脚からするりと下着が抜かれていく。
「はい、脱ぎたて」
生暖かい体温が残るクシュっと丸められた下着が手の中に。
「おう、ボウズ、なんかいい成績を上げたらしいな!」
奥から旦那さんが登場して、息が止まりそうになる。ぎゅうっと手を握りしめる。
「まぐれです」
「謙遜しやがって!」
バシバシ背中を叩かれる。
手の中にはあなたの奥さんのいい匂いがして少し湿った下着が握られてます。
「まあ、そうなのね! 今度お祝いしないとね!」
慈しむように顔をほころばせている若妻店員さんはノーパンです。
ギリギリのプレイが心臓に悪い。
「……変なことに使っちゃだめよ?」
顔を寄せて若妻店員さんはニコニコ笑う。
じゃあ、どうして渡したの!?
いや、女性の使用済み下着に執着する性癖はないですけど、変じゃない使い方なんてそんなにないよ?
「急ぎますので!」
熱くなった顔を隠すようにお店を出る。
「ははっ、誉められて照れやがった」
「ほんと、照れて可愛いわね」
絶対共通の感想じゃないから、それ!
あなた達は、とってもお似合いの夫婦だよ!
こんな危険物を持たせて僕を陥れるつもりなんだろうか?
とはいえ、これは正規に購入したシャツのおまけに貰った僕のもの。何に使っても文句は言われない。
好奇心は抑えきれない。漢だからね!
人目に隠れてそっと握りしめた下着の匂いを嗅いでみる。
甘い香水の匂いに混じってチーズのようなまろやかな匂いがしてくらくらする。
女の人ってこんなに美味しい匂いをさせているのか……。
またひとつ、漢になれた。
*
冒険者ギルドに向かいながら考える。
この世界を一体何から守ればいいんだろう?
世界の異変は感知できない。
もしかすると、街は関係ないとか?
さっさと街を出て魔王軍とか見付けて、戦いの旅に出るのが正解なのかな?
外部の情報も集めないと判断できない。でも、街の外の様子は分からない。
街の中で真面目に情報収集をしないと先に進めない手詰まり状態。何かと物価の高い街だから油断していたらすぐにお金なんて吹き飛びそうだし。探偵とか情報屋とか存在しているのか誰かに聞いてみるか。素人だと限界を感じる。
それに今日もあったけど、度重なるぴったり発言。
これ、もうギフトの影響だよね?
フィットするという意味不明のギフトは今の所エロ方面で大活躍だけど、世界を救う事に何の役に立つんだろう?
役に立つという前提は怪しんだ方がいいかもしれないけどね。
色々と複雑な心境で冒険者ギルドに到着すると、何故か拍手喝采で迎えられた。
「英雄狭間の登場だ!」
「なに、あれが! ばんざーい、ばんざーい!」
やめてやめて! いちいち歓声とかあげなくていいから!
「ふふ、狭間様がいらしゃると分かりやすくなりましたね」
ああ、愛しのエリー様がいつもの白い肌もあらわな格好で近付いてくる。
それだけで芳香が空気を漂う。
エリーさんはいつものように僕の腕を取って豊満なおっぱいを当ててくる。
「訓練を受けに来ました」
「ええ、予約入れておりますから、今から向かってくださいな……あら?」
あれれ? なんだろう? エリーさんの表情が不意に曇る。ちょっぴりだけど眉の角度が上がったような?
エッチなお嬢の残り香に気付いたのかな? 抱きついて一晩一緒に寝たわけだし。それとも若妻店員さんの口紅がついているとか? 言葉にするのも憚られるエロチックな口付けだったから舌まで紅に染まっていそう。
違うんです。誤解です。不可抗力の強制イベントだったんです!
「狭間様、少しこちらに」
やわらかい手で握られる。ちょっとドキドキ。
結構力強くてグイグイ引っ張られるとそのまま個室の中まで連行された。
うわうわ、エリーさんとの初めての場所に連れ込まれちゃったんだけど!
扉を閉じるとエリーさんは、甘く睨みつけてきた。
視線を外さずにマイクロミニなスカートの下に手を入れると、すべすべのふとももを滑らせて黒い下着をゆっくりと脱いでいく。
なんという色気を醸し出すんだろう。
瞬時に室内がエリーさんの匂いで一杯になったので息が苦しくて胸が苦しい。
頭の中がピンク色の照明に照らされたみたい。ムーディな音楽の幻聴まで聞こえそう。
長い脚に改めて見惚れてしまう。
大胆すぎるよ!
真っ昼間から、個別授業なの!?
「さあ狭間様、その汚物は処分しておきますのでこちらに渡しください。代わりといってはなんですが、こちらをお持ちくださいな?」
エリーさんは恥ずかしそうに目を逸らせて、脱ぎたての下着を差し出してきた。
どういうこと!?
エリーさんは唇の形を笑みにして、でも笑っていない瞳で握りしめたままの僕の手を睨みつけていた。
し、しまったああぁ!
色っぽい柄の布がはみ出している。
仕舞い忘れて、若妻店員さんの下着を持ったままでした!
「こ、これは、その、買ったものですので……」
「……まあ」
使用済みっぽい下着を買った漢に認定される。エリーさんの瞳はどう答えればいいのかと迷う色だ。
でもね、貰ったという方がダメージが大きい気がしたから、この汚名は甘んじて受け入れる。
慌ててカードをかざして下着を中に収納する。
エリーさんは大変不満そうなお顔だった。
『若妻店員の脱ぎたての下着 ✕ 1 』
カードに文字が浮かび上がる。
わざとか! 何その悪意のある表示!
「あら……」
しかも、見られて確認されていた!
これは唇を尖らせているエリーさん風のヤキモチと対抗心!?
そうだったら嬉しいけど、心臓は激しく早鐘を打ち続ける。
もう、受け取るしかない。修羅場。そう、修羅場だった。
「ちょ、頂戴いたします」
「もう……狭間様は浮気者です。でもあの、変なことに使わないでくださいましね?」
エリーさんの拗ねて恥ずかしそうなお顔がベリーベリーキュートですけど、だから、どう使えと!?
訓練の場所を聞いて冒険者ギルドから逃げるように退散する。
だから、拍手も指笛もいらないから!
手に握りしめたあったかいエリーさんの下着は、芳しくも甘酸っぱい果実の匂いがした。
幸せって簡単に手に入るものです。
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