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第1部

第10話 姉王女ズとお清めプレイ 前編

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「せまーい、ぎゅうぎゅう」

 性格は正反対でも、身体だけは若かりし時代の王妃様を連想してしまう、熟成前の瑞々しい果実のようなララ姉様からは、果実のような匂いがする。

「だから、そう言った」

 見たことはないけれど、きっとツバァイ母様の少女時代を彷彿とさせるパティ姉様からは、清々しい檜の匂い。

 全裸状態だから姉様たちの体臭がダイレクトに脳に来た。

 ララ姉様のきれいな弧を描く王妃様によく似たおっぱいを見ていると胸が苦しくなってくる。
 湯気にさらされた王族特有の磨かれた白い肌がしっとりと湿って光沢を出していた。
 下腹部の陰毛も丸出しなのに、健康的に感じてしまう天真爛漫満点のにこにこ顔。

 ララ姉様の背中に隠れてこちらを不機嫌そうに窺うパティ姉様も真珠みたいな白い肌だ。

 えーと、何故、全裸でお風呂に乱入?

 腹違いとはいえ姉様ズに対してどこか抑制がかかるのは、異世界人として前世の記憶に引っ張られるから。

 見てはいけない禁断の白い肌。
 見たくなる胸のふくらみ。
 目が離せない細い腰。

「どうして姉様たちは裸なの?」

 心から出た純粋な疑問だった。

 姉様ズは互いに顔を見合わせてから、無表情なアンを見る。

「クロくんはお風呂に服を着たまま入るのかな? ダメだよ、お洋服がいたんじゃうしお湯が汚れちゃうから。お洗濯は別々にした方がいいよぉ」
「お風呂は服を脱いではいるもの」
「……若様、服をお召しになったままですとお身体を冷やしますのでお控えください」

 然もこちら側が非常識みたいな言われ方をしてしまった。
 釈然としないけど聞き方が悪かった。
 反省しよう。

 言いたかったのはそれじゃない。
 男の娘でも男子です。立派にメイドに性欲処理をしてもらう健康になった男子です。

 そう、性欲処理だ。
 姉様ズは契約に縛られたメイドとは立場が違う。王族だし。
 赤裸々に肌を晒す立場でもない。

 弟ラブなのは察しがついていたけど、羞恥心を凌駕するほどの溺愛だっけ?
 女子の矜持をなくさないで。裸の付き合いをできる年齢はとっくに昔のお話です。

「男子で、弟がいる前だよ?」

 姉様ズは互いにお顔を……。
 また、同じパターンだった。

「クロくんも裸んぼだよ? そっかお姉ちゃんに見られて恥ずかしいんだね! クロくんが可愛い!」

 ララ姉様、微妙に答えになっていません。恥ずかしがるのは女子である姉様の方です。
 僕の周りの女子は全裸耐性が高すぎる。

 湯船の外で屈みこみ、ふわとろ美乳を僕の顔にピタピタあてながら、ララ姉様は朗らかに笑う。
 なにこの吸い付いてくるもちもち肌。気持ちよすぎる。

 弾力がある触ると溶けそうなおっぱいの感触でとっても幸せ。
 王妃様よりおっぱいの乳輪が少し大きくて、処女ピンクの乳首が目立たない。

 じゃなくて。
 腹違いでも血縁だから!

「愚弟が男……ぷっ」

 パティ姉様、毒舌は健在ですけど態度は明らかに裏切っています。
 片手で微乳を隠して片手で脚の付け根を隠し、明らかに赤いお顔で目を泳がせて、僕の視線から逃れるように離れてしまったララ姉様を追いかけて盾にする、その動きはさながらシューティング系のゲーの主人公みたい。

「母様もクロくんと一緒にお風呂にはいたって聞いたから、いいのかなって?」
「その歳で母親と入浴。愚弟キモすぎ」

 昨日の今日で恐るべし女子の情報収集能力だった。
 出所は間違いなくメイドだ。
 壁にメイドの目があり障子にメイドの耳があるのが王族の邸宅らしい。

 この世界では家族風呂が当たり前なのかもと、少ない可能性を考えたけど違うみたい。

「お嬢様、こちらへ」

 アンが湯船から出てお嬢様を壁の方に誘う。
 秘密の作戦会議のように3人で顔を寄せる。

「……恐れながら、汗臭いままでは若様に嫌われてしまいます」

 ビクンと二人の体が跳ねる。

「お身体を清潔にされるところを若様にお見せするのは、乙女としてはいかがなものかと愚考いたします」

 さらに2人の身体がビクリと跳ねる。

 確かに。汚れているところを洗う姿は余り他人には見せたくないよね。ましてや年頃の女子ならさもありなん。

 姉様ズは、くるりとこちらに振り返った。

「クロくん、お姉ちゃんたちの入浴だよ?」
「姉のお風呂を覗くなんて非常識」

 なんか理不尽だった。

「気づかなくて、ごめんね姉様」

 内心はともかく爽やかに弟スマイル。

「今度、きれいなお姉ちゃんの時に一緒に入ろうね?」

 お風呂の存在意義を否定するような誘い方だった。

 お風呂を出て脱衣所に来ると、決められた作業のようにシーラとビビィに身体を拭かれる。
 順番待ちをしていたのに待ちぼうけだ。おつかれさま。

「ご入浴中でお寛ぎのところを申し訳ございませんでした」
「お嬢様方に押し切られてしまいました」

 仕方がないよね。相手は国家的な権力者だし。

「あ。ビビィはアンのお手伝いをしてあげて。僕は部屋に戻るから、シーラは引き続きここで待機で」
「「かしこまりました」」

 無表情で2人は頭を下げる。
 一応、聞いておこう。

「声、聞こえてた?」
「………」

 アンの甘い声は残念ながらメイドの耳に入ったらしい。
 シーラもビビィも感情が良くわからない、本物の無表情だった。

 *

 広いベッドに寝転がり、ウトウトとしていると扉が軽くノックされた。

「失礼いたします、若様」

 アンが扉を開いて軽く頭を下げる。

「ララお嬢様と、パティお嬢様をご案内いたしました」

 どういうこと!?

「クロくん、もうおねむかな?」
「愚弟、大きくなりたいなら寝たほうがいい」

 どうして姉様たちが? という疑問はすぐに解消される。
 この家の造りだと、王族が使用する寝室は1つだけ。複数での来訪という状況に対応していない。

 僕が横になっている大きなキングサイズのベッドを見る。
 つまり、ここに案内された。そういうことだ。

 動揺なんてもちろん外に出さない。姉様たちが気を使ってしまうから。

「姉様! 添い寝の約束だったよね?」
「あは」
「姉と同衾、王族の未来のために監禁されたほうがいい」

 ララ姉様はピンク色でわずかに肌が透ける大胆で色っぽいネグリジュ姿。
 パティ姉様は、細い足が露出したロングTシャツ姿。

 そんな装備で大丈夫なの?
 弟だって狼なんだよ?

 姉という立場の女子の艶姿に、ドキドキと禁忌が刺激される。
 でも、大丈夫。
 寝るだけだから。健全な夜だから。添い寝程度で動揺しないだけの経験をつんだ第3王子だ。

「おやまに入る前はお清め? っていうのが必要なんだよね?」
「愚弟、身の程を弁えた方が身のため」

 2秒でエッチな展開。

 にこにこと朗らかに笑ってララ姉様がベッドに登り、ボクの横にコテンと転がる。

「ほら、クロくん、恥ずかしがっていないで身体をキレイキレイしましょうね」

 ララ姉様は僕をベッドに寝かしつけるとぎゅうと抱き着いてきて、肩とか腕とか撫ではじめる。
 というか、お清めの内容を知っているの?
 アンに目で訴える。無表情で首肯する。
 知っているのにお清めなんて言葉を口にして男子の部屋に入ったの?

「愚弟、何様?」

 もじもじとシャツの裾を手で掴んで、赤いお顔のパティ姉様もご存じなのですね。

 一応、古文書にも記された正式な儀式だから、性的な意味はないと言えばそうだけど、やっていることは本番NGなヘルスもどき。

 たとえ相手が肉親でも、ドキドキするなという方が無理がある。
 ララ姉様の良い匂いとフレッシュなボディタッチで、男の部分がむくむくと蛇のようにペニスがもたげる。

 鎮まれ! 僕の愚息!

「あら? あらあらあら」
「勃起……」

 姉様ズの前で、姉様に女を感じた興奮が隠せなかった。
 腹違いの姉でも身体は立派で格好がエロい女子。
 寝る前の薄物では元気なペニスが立ち上がる様を隠すことは出来なかった。

 めっちゃ恥ずかしい。でも態度にはギリギリ出さない。

 姉という存在に対してエロい気持ちを持つという禁忌が強い。だけど逆にクロの記憶が少ないから姉様たちを女子として見てしまう抵抗感は薄い。

「これは失礼を。すぐにアンがお鎮め致しますので」

 未婚王族女子に男の醜い欲望の化身を見せては毒だと、待機していたアンが慌てて身を乗り出す。
 無表情だけど、どうして姉君に対して興奮の証を? そんなふうに目は責めていた。

 仕方ないよ、添い寝をしている姉様の胸は腕に押し付けられて、パティ姉様は萌え全開のロンTシャツで目を奪うんだから。

 っていやいや、考察している場合か!
 姉様の前で性欲処理!? なにその羞恥プレイ? 王族はそれくらい当たり前なの?

「まってアン、私も勉強したの。クロくん、お姉ちゃんがお清めをして悪いものを出してあげるからね」

 出すのはララ姉様を汚してしまう生命の神秘の素です。
 ララ姉様の体内に入りこんだら、半分くらい禁断の子供が出来ちゃう代物です。

 想像したら胸が熱くなってきちゃった。
 ララ姉様があらあらと赤くなったお顔を手で撫でてくれる。

 だけど、そう諭すということは姉様ズの前でアンの手かお口に精液発射という羞恥地獄。

 後門の狼前門の虎。
 こんな諺をエロい場面で使う日が本当にやってくるとは想像もしなかった!
 異世界ってエロすごい。

「いけませんお嬢様、王族であるお嬢様が殿方のモノに軽々しくお触れになっては、アンが後で叱られてしまいます、ご容赦ください」
「でも、お清めだから問題ないと思う」

 アンもしたよね? そんな風に甘く睨まれてアンも言葉を失っている。
 正確にはお清めをしたのはシーラだけど、アンも共犯。

「しかしララお嬢様、若様は、弟君でございますよ?」

 アンは伝家の宝刀を持ち出した。

「あは。王国の法では種違いの姉弟は近親婚で結婚ダメだけど、腹違いの姉弟は結婚できるんだよ? とおっても興味があったから確かめたんだぁ、ね、パティちゃん?」
「そ、そこで私に振るのは禁止」

 だけどカウンターを食らわせられた。

 え? そうなの?
 初耳だけど。いやいや、考えたこともなかったから。

 郷に入っては郷に従え?
 文化の違いはともかく、一線を越えるわけじゃないなら、幼い姉弟の児戯だと見逃してもらえるのかな?

「学術的興味、それだけ」
「そうよ、これはお勉強。クロくんと結婚した時の予行練習だよ?」

 ララ姉様は僕と結婚してくれるらしい。なるほど。だからそんなニッチな法なんかを調べたんですね。

 ヒタヒタと可愛らしい足音を立てて近づくと、パティ姉様もベッドに上がる。

 天秤にのせる。虎と狼を。
 虎が姉様、狼がおつきのメイド。
 さあ、どっち?

「悩むくらいなら、小さくすればいい」

 ご高説ごもっともです、パティ姉様。

「男子ってすごいのね。下着がはち切れちゃいそう。アン、クロくんのってサイズはどうなの? おっきいの? それとも……可愛いの?」

 浮世離れをした奔放で無邪気なララ姉様でも、言葉を飾ってくれるデリケートな問題だった。

「申し訳ございません、若様以外の殿方の裸を見たことがありません。ですから推測ですが、標準サイズでございます」

 今日ほど無表情を定めたしきたりが憎かったことはないね!
 真顔でモノは標準ですね、とか言われるとなんかキツイ。

 いいんです。男の娘だし。標準だし。成長期だから、これからドンドン大きくなるんです!

「ですが、毎日見ていますが」
「えー。どうしてアンが毎日見ているのか気になっちゃうなぁ」

 アンは無表情で黙り込む。性欲処理は公然の秘密扱い。

「……時々入浴時に拝見いたしますが、この1月で随分と逞しくなられましたので、将来はとても立派な男子として名を轟かせると考察いたします」

 デカチンで存在を世に知らしめるのも、ちょっと嫌です。

「御託は物を確かめてから」

 パティ姉様が、するりと下着を脱がせてくる。
 うぎゃぁぁぁ。

「……」
「……」

 姉様ズの前でペニスは元気に上を向いた。
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