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対決2
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「そしてその接触の後、大魔導師がミスを連発するほど動揺していた事や。
激しく後悔していた状況から、お前がそれほどの存在だという事が窺え。
お前の"見つけて欲しい"という切な言動からも、その相手と特別な関係である事が読み取れたのだ」
サイフォスの一連の考察に、すごい!と驚嘆してばかりのヴィオラだったが……
ニケが反作用の魔法をかけた事は、バレてなくて良かったと。
ほっと胸を撫で下ろしたところで、考察の続きが語られる。
「また、大魔導師のミスを挽回するかのように、国王の病気が治されていた事から、天才的な魔術の使い手である事が分かり。
その際に大魔導師すら眠らされていた事からも、最強の魔力の持ち主である事がわかったが……
お前の他にそれをやってのけるほどの闇魔術士が、突然何の脈絡もなく現れるとは考え難く。
お前の仕業だと判断したのだ。
しかも大魔導師を凌ぐ魔術士となると、その両親も最高レベルの魔術士である事が導き出され……
これら全ての状況から、さらにはお前の容貌からも、大魔導師とギフテッドサファイアの息子だと推測したわけだ」
「ははっ!
そこまで分かってるなら話が早いよ」
というのも、推測した結果から……
2人が不倫関係であった事や、だからニケは闇魔術士になるしかなかったという事や、それゆえ身を潜めて生きて来た事なども読み取れ。
ニケが発言した内容と合わさって、その原因である大魔導師から邪魔にされた事も、今しがた分かったはずだからだ。
「ただ、間違ってる事が2つあるけどね。
1つ目は、大魔導師は動揺してミスを連発したんじゃないって事」
ニケがそう切り出したところで。
ーー待って、何を言う気なのっ?
焦ったヴィオラは……
「僕が、」と続いた言葉を、とっさに「ニケ!」と遮った。
「……なに?
交渉決裂していいの?」
「だって!」
それはつまり、王太子の記憶を消してもいいのか?という意味で。
ヴィオラもそれを分かっていたため。
ーー本当の事を言ったら処刑されるかもしれないのよっ?
と、首を横に振りながら必死に目で訴えた。
状況的にその気持ちを察したニケは。
ーー僕が処刑された方が自由になれるクセに……
と、こんな自分を心配してくれるヴィオラに、ぎゅっと胸を締め付けられ。
サイフォスはそんな2人に、ズキリと胸を痛めていた。
「……大丈夫だから黙ってなよ。
次に口挟んだら、ほんとに消すから」
ニケはそう言って仕切り直すと。
「1つ目の続きだけど。
僕があいつへの復讐で、反作用の魔法をかけたから。
あいつはミスする羽目になって、王様は危篤になったんだよ」
と自ら罪を暴露した。
「……それが本当なら、見過ごす訳にはいかないが……」
そう、たとえヴィオラの友人であろうと。
国王を故意に命の危険に晒したとあらば、国家反逆に値するからだ。
「だがその代償として国王の命を救ったのならば、今回に限り不問に処しても構わない」
というのも、国王は魔法で延命治療をしていたに過ぎず。
どのみち長くは持たない状態で、ニケもそれを知っていた。
しかも故意とはいえ、国王を狙った行為ではなく。
巻き込まれはしたものの、それが逆に救いの足がかりとなったのならば。
なにより、決して助かる見込みのない命を救ってくれたのならば。
情状酌量の余地があるからだ。
ところがニケは、「いいや、違うよ」とさらに暴露を続けた。
「それが2つ目の間違いで、僕の本題でもあるんだけど……
僕はあいつのミスを挽回するために王様を助けた訳でも、自分の罪を償うために助けた訳でもないよ。
王様を助ける代価として、彼女の人生をもらったから助けたんだよ」
その事実にサイフォスは目を見張り。
「っっ、そういう事か……」と片手で顔を覆い。
同じくヴィオラも。
ーー何で言っちゃうのっ!?
と片手で顔を覆っていた。
「……悪いが、その代価は了承出来ない」
「本人が了承してるのに、何の権利があって言ってんの?」
「国王に関する事は国の問題であり、俺の家族の問題だ。
にもかかわらず、第三者が勝手に取引するのは違うだろう」
「でももう助けた後だし、その代価をもらうのは当然だよね?」
「ならば、他の代価で対応する」
「他の代価なんていらないよっ」
ニケはそう笑ったあと。
「彼女以外いらない」
と、切なげに真剣な眼差しで訴えた。
その言動に、ヴィオラは胸を締め付けられ……
サイフォスは遣る瀬無い思いを抱いていた。
激しく後悔していた状況から、お前がそれほどの存在だという事が窺え。
お前の"見つけて欲しい"という切な言動からも、その相手と特別な関係である事が読み取れたのだ」
サイフォスの一連の考察に、すごい!と驚嘆してばかりのヴィオラだったが……
ニケが反作用の魔法をかけた事は、バレてなくて良かったと。
ほっと胸を撫で下ろしたところで、考察の続きが語られる。
「また、大魔導師のミスを挽回するかのように、国王の病気が治されていた事から、天才的な魔術の使い手である事が分かり。
その際に大魔導師すら眠らされていた事からも、最強の魔力の持ち主である事がわかったが……
お前の他にそれをやってのけるほどの闇魔術士が、突然何の脈絡もなく現れるとは考え難く。
お前の仕業だと判断したのだ。
しかも大魔導師を凌ぐ魔術士となると、その両親も最高レベルの魔術士である事が導き出され……
これら全ての状況から、さらにはお前の容貌からも、大魔導師とギフテッドサファイアの息子だと推測したわけだ」
「ははっ!
そこまで分かってるなら話が早いよ」
というのも、推測した結果から……
2人が不倫関係であった事や、だからニケは闇魔術士になるしかなかったという事や、それゆえ身を潜めて生きて来た事なども読み取れ。
ニケが発言した内容と合わさって、その原因である大魔導師から邪魔にされた事も、今しがた分かったはずだからだ。
「ただ、間違ってる事が2つあるけどね。
1つ目は、大魔導師は動揺してミスを連発したんじゃないって事」
ニケがそう切り出したところで。
ーー待って、何を言う気なのっ?
焦ったヴィオラは……
「僕が、」と続いた言葉を、とっさに「ニケ!」と遮った。
「……なに?
交渉決裂していいの?」
「だって!」
それはつまり、王太子の記憶を消してもいいのか?という意味で。
ヴィオラもそれを分かっていたため。
ーー本当の事を言ったら処刑されるかもしれないのよっ?
と、首を横に振りながら必死に目で訴えた。
状況的にその気持ちを察したニケは。
ーー僕が処刑された方が自由になれるクセに……
と、こんな自分を心配してくれるヴィオラに、ぎゅっと胸を締め付けられ。
サイフォスはそんな2人に、ズキリと胸を痛めていた。
「……大丈夫だから黙ってなよ。
次に口挟んだら、ほんとに消すから」
ニケはそう言って仕切り直すと。
「1つ目の続きだけど。
僕があいつへの復讐で、反作用の魔法をかけたから。
あいつはミスする羽目になって、王様は危篤になったんだよ」
と自ら罪を暴露した。
「……それが本当なら、見過ごす訳にはいかないが……」
そう、たとえヴィオラの友人であろうと。
国王を故意に命の危険に晒したとあらば、国家反逆に値するからだ。
「だがその代償として国王の命を救ったのならば、今回に限り不問に処しても構わない」
というのも、国王は魔法で延命治療をしていたに過ぎず。
どのみち長くは持たない状態で、ニケもそれを知っていた。
しかも故意とはいえ、国王を狙った行為ではなく。
巻き込まれはしたものの、それが逆に救いの足がかりとなったのならば。
なにより、決して助かる見込みのない命を救ってくれたのならば。
情状酌量の余地があるからだ。
ところがニケは、「いいや、違うよ」とさらに暴露を続けた。
「それが2つ目の間違いで、僕の本題でもあるんだけど……
僕はあいつのミスを挽回するために王様を助けた訳でも、自分の罪を償うために助けた訳でもないよ。
王様を助ける代価として、彼女の人生をもらったから助けたんだよ」
その事実にサイフォスは目を見張り。
「っっ、そういう事か……」と片手で顔を覆い。
同じくヴィオラも。
ーー何で言っちゃうのっ!?
と片手で顔を覆っていた。
「……悪いが、その代価は了承出来ない」
「本人が了承してるのに、何の権利があって言ってんの?」
「国王に関する事は国の問題であり、俺の家族の問題だ。
にもかかわらず、第三者が勝手に取引するのは違うだろう」
「でももう助けた後だし、その代価をもらうのは当然だよね?」
「ならば、他の代価で対応する」
「他の代価なんていらないよっ」
ニケはそう笑ったあと。
「彼女以外いらない」
と、切なげに真剣な眼差しで訴えた。
その言動に、ヴィオラは胸を締め付けられ……
サイフォスは遣る瀬無い思いを抱いていた。
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