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決定打1
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それから10日ほどが経ち、大魔導師の来訪を翌日に控えた晩のこと。
ヴィオラが部屋で、遅くまでニケと打ち合わせをしていると……
コンコンと扉がノックされ、「少しいいか?」と声掛けられる。
ーーええっ、サイフォス様!?
どうしてここにっ?
その声に驚くも、すぐさま扉を開けると。
「突然すまない」
そう言ったサイフォスも。
ペコリと会釈するニケを捉えて、まだ一緒にいたのかと驚いていた。
「どうされたのですか?」
「ああ、今夜は……
仕事が長引きそうだから、添い寝はしなくていい」
言いにくい思いで告げると。
耳にしたニケは、添い寝をしてたのか!?とショックを露わにし、傷付いた顔を覗かせた。
一方ヴィオラも、ニケに隠していた手前。
「わ、わかりました」と動揺し。
そんな2人を目にしたサイフォスは……
ヴィオラは好意がなくとも、ニケにはあるのだろうと。
そしてヴィオラの様子から、既に告白されたか、異性として意識はしているのだろうと。
今は恋人でなくとも、いつそうなってもおかしくないと。
焦燥感に苛まれ、胸を痛めていた。
そこで、心配になったヴィオラが言い添える。
「ですが私の方は、遅くなっても大丈夫ですので。
お眠りになれない時は、何時でもお声掛けください」
「……まさか、起きて待っているつもりじゃないだろうな?」
ファラの言動から、そうしかねないと懸念するサイフォス。
「いえただ、殿下が心配でなかなか眠れないとは思いますが……」
そう言えば、サイフォスが無理をしないと踏んだのだ。
「まったくお前は……
わかった。
ならば予定の時間を、1時間下げて頼めるか?」
「もちろんですっ」
本当は、眠れなくても今夜は必要ないと断る事も出来たのだが……
サイフォスは焦燥感から、ファラに甘えてしまったのだった。
そうして、王太子が立ち去ると。
「ちゃっかり上手くやってるし、大したもんだね」
そう皮肉をこぼすニケ。
「そんなんじゃないわ。
けど、添い寝の事を隠しててごめんなさい。
私の口から言うわけにはいかないと思って……」
「別にいいよ」
ニケはそう冷笑したあと。
「……僕なんかどうせ、邪魔者でしかないんだから」
と意味深に呟いた。
「ニケ!
邪魔者なわけないでしょうっ?
そんなに怒らないでよ……」
「別に怒ってないよ。
それより、さっさと打ち合わせ終わらせるよ?
あんたと違ってこっちは眠いから」
そう言われては、すぐに本題に戻るしかなく。
ニケの冷めた態度や、どことなく悲しげな表情が気になりながらも……
ヴィオラはそれ以上追求する事が出来なかった。
しかしニケが帰った後。
「邪魔者」という、その人らしくないネガティブな発言が、心配でたまらなくなり……
「……どうした?
浮かない顔だな」
添い寝時に、サイフォスに指摘されてしまう。
「いえっ、大丈夫です。
お気遣いありがとうございます」
だがサイフォスは、先程と打って変わった様子から……
嫉妬したニケと揉めて、落ち込んでいるのではないかと察する。
「……そんなにあの庭係の事が気になるか?」
「ええっ!どうしてそれをっ?」
正確に言えば、落ち込んでいたのではなく心配していたのだが……
ニケの事だと言い当てられて、驚くヴィオラ。
それによりサイフォスは、「状況的にそれしかないだろう」と答えながら。
やはりそうかと、激しく胸を痛める。
そのため、添い寝を遠慮する気にはなれず……
「ですが、殿下はお気になさらないでください」
という申し出に「わかった」と返し、いつものように寝たふりをしたのだった。
ヴィオラが部屋で、遅くまでニケと打ち合わせをしていると……
コンコンと扉がノックされ、「少しいいか?」と声掛けられる。
ーーええっ、サイフォス様!?
どうしてここにっ?
その声に驚くも、すぐさま扉を開けると。
「突然すまない」
そう言ったサイフォスも。
ペコリと会釈するニケを捉えて、まだ一緒にいたのかと驚いていた。
「どうされたのですか?」
「ああ、今夜は……
仕事が長引きそうだから、添い寝はしなくていい」
言いにくい思いで告げると。
耳にしたニケは、添い寝をしてたのか!?とショックを露わにし、傷付いた顔を覗かせた。
一方ヴィオラも、ニケに隠していた手前。
「わ、わかりました」と動揺し。
そんな2人を目にしたサイフォスは……
ヴィオラは好意がなくとも、ニケにはあるのだろうと。
そしてヴィオラの様子から、既に告白されたか、異性として意識はしているのだろうと。
今は恋人でなくとも、いつそうなってもおかしくないと。
焦燥感に苛まれ、胸を痛めていた。
そこで、心配になったヴィオラが言い添える。
「ですが私の方は、遅くなっても大丈夫ですので。
お眠りになれない時は、何時でもお声掛けください」
「……まさか、起きて待っているつもりじゃないだろうな?」
ファラの言動から、そうしかねないと懸念するサイフォス。
「いえただ、殿下が心配でなかなか眠れないとは思いますが……」
そう言えば、サイフォスが無理をしないと踏んだのだ。
「まったくお前は……
わかった。
ならば予定の時間を、1時間下げて頼めるか?」
「もちろんですっ」
本当は、眠れなくても今夜は必要ないと断る事も出来たのだが……
サイフォスは焦燥感から、ファラに甘えてしまったのだった。
そうして、王太子が立ち去ると。
「ちゃっかり上手くやってるし、大したもんだね」
そう皮肉をこぼすニケ。
「そんなんじゃないわ。
けど、添い寝の事を隠しててごめんなさい。
私の口から言うわけにはいかないと思って……」
「別にいいよ」
ニケはそう冷笑したあと。
「……僕なんかどうせ、邪魔者でしかないんだから」
と意味深に呟いた。
「ニケ!
邪魔者なわけないでしょうっ?
そんなに怒らないでよ……」
「別に怒ってないよ。
それより、さっさと打ち合わせ終わらせるよ?
あんたと違ってこっちは眠いから」
そう言われては、すぐに本題に戻るしかなく。
ニケの冷めた態度や、どことなく悲しげな表情が気になりながらも……
ヴィオラはそれ以上追求する事が出来なかった。
しかしニケが帰った後。
「邪魔者」という、その人らしくないネガティブな発言が、心配でたまらなくなり……
「……どうした?
浮かない顔だな」
添い寝時に、サイフォスに指摘されてしまう。
「いえっ、大丈夫です。
お気遣いありがとうございます」
だがサイフォスは、先程と打って変わった様子から……
嫉妬したニケと揉めて、落ち込んでいるのではないかと察する。
「……そんなにあの庭係の事が気になるか?」
「ええっ!どうしてそれをっ?」
正確に言えば、落ち込んでいたのではなく心配していたのだが……
ニケの事だと言い当てられて、驚くヴィオラ。
それによりサイフォスは、「状況的にそれしかないだろう」と答えながら。
やはりそうかと、激しく胸を痛める。
そのため、添い寝を遠慮する気にはなれず……
「ですが、殿下はお気になさらないでください」
という申し出に「わかった」と返し、いつものように寝たふりをしたのだった。
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