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仕返し2
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「きゃあああっ!
誰かっ、誰か助けて!」
するとニケは、「危ないので、2人は下がってください」と言って、ヴィオラとモエを遠ざけると。
「助けてあげてもいいけど、その代わり。
2度と王宮魔術士様に、失礼な真似をしないって約束してくれますか?」
そうフラワベルに問いかけた。
「わかったわっ、わかったから早く!」
「じゃなくて。
約束するのかしないのか、どっちですか?」
「するわっ、約束するからお願い!」
「かしこまりました。
あと破ったら、王太子様に告げ口するって覚えててくださいね?」
そうしてニケは、カラスを追い払うと。
「では僕は、頼まれ事があるので」と立ち去ろうとした。
そこですかさずモエが、「待ってニケ!」と引き留める。
そして「さっきは、守ってくれてありがとう」と、心を震わせる思いで感謝を告げると。
「いえ。相談にのっていただいたお礼がしたかったので、お役に立てて何よりです」
そう言ってニケは、にこりと美しすぎる笑みを浮かべたのだった。
♢
「今日は、モエを守ってくれてありがとう」
その日の報告会で、ヴィオラも心からの感謝を告げるも。
ある事に複雑な思いを抱いており、それを続けた。
「けど……
あのカラス、ニケの仕業なんでしょう?」
「あはっ、バレてた?
あの女、髪もドレスもめちゃくちゃで、いい気味だったよねっ」
「笑い事じゃないわ!
さすがにあれはやりすぎよ?」
「……なにいい子ぶってんの?
あの女から、下女の仕事がマシなくらい嫌がらせされたんだよね?
なのになんで庇うワケ?」
「別に庇ってるわけでも、いい子ぶってるわけでもないわ。
それに怪我をさせたわけじゃないんだし。
ニケが私たちのために、仕返ししてくれたって分かってるから。
だから、その気持ちはありがとう。
だけど彼女は、サイフォス様の大事な人だから……
彼女が嫌な思いをすれば、サイフォス様まで嫌な思いをするだろうから。
愛する人に、そんな思いをさせたくないだけ」
「……ふぅん。
そんなに愛してるんだ……」
わかっていながらも、胸が切り裂かれるニケ。
「それにしても、どうしてタイミング良くあの場にいたの?」
「ああ、庭師の野郎たちが、『フラワベル様がいらっしゃった!』って騒いでたから。
専属侍女いびりに来たんじゃないかと思って、魔術士様に呼び出されたフリして尾行したからだよ」
「えっ、それじゃあ……
私のために、わざわざ仕事中に来てくれたって事っ?」
「っ、まぁ一応、友人だし?
いつもご馳走をもらってるからね」
と、照れくさそうに答えるニケ。
そして。
「そんなの気にしなくいいのに!
でも、すごく嬉しい……ありがとう」
そう感激するヴィオラに。
先程の胸の痛みもどこへやら、今度は嬉しくてたまらなくなる。
「だけど、仕事を抜けて大丈夫だったの?」
「大丈夫だって。
それに、ちゃんと挽回したから問題ないよ」
「なら、良かったけど……
私のために無理したり、仕事を犠牲にしたりはしないでね?」
「……するよ。
あんたのが大事だし」
思わぬ返しに、ドキリとして面食らうヴィオラ。
「あ、りがとう……」
そして思わず口走ってしまった本人も、何言ってんだ!と、慌てて話を切り替える。
「それよりっ、本気で専属侍女やめんの?」
「あぁ、聞いてたのね。
うん、2人の邪魔はしたくないから。
でもその代わりに、生活エリアの掃除担当にしてもらえないか、掛け合ってみるつもりよ?
ただ問題は、辞退の理由を何にすればいいかって事だけど」
「は?
事実をありのまま言えばよくない?」
「そんな事言ったら、告げ口したって恨まれるに決まってるわ。
それにサイフォス様だって、婚約者のせいされたら嫌だろうし」
「ああもっ、サイフォス様サイフォス様ってうるさいな!」
「ええっ、そんなにっ?」
確かに、何でそんな事で苛立ってるんだ?と我にかえるニケ。
誰かっ、誰か助けて!」
するとニケは、「危ないので、2人は下がってください」と言って、ヴィオラとモエを遠ざけると。
「助けてあげてもいいけど、その代わり。
2度と王宮魔術士様に、失礼な真似をしないって約束してくれますか?」
そうフラワベルに問いかけた。
「わかったわっ、わかったから早く!」
「じゃなくて。
約束するのかしないのか、どっちですか?」
「するわっ、約束するからお願い!」
「かしこまりました。
あと破ったら、王太子様に告げ口するって覚えててくださいね?」
そうしてニケは、カラスを追い払うと。
「では僕は、頼まれ事があるので」と立ち去ろうとした。
そこですかさずモエが、「待ってニケ!」と引き留める。
そして「さっきは、守ってくれてありがとう」と、心を震わせる思いで感謝を告げると。
「いえ。相談にのっていただいたお礼がしたかったので、お役に立てて何よりです」
そう言ってニケは、にこりと美しすぎる笑みを浮かべたのだった。
♢
「今日は、モエを守ってくれてありがとう」
その日の報告会で、ヴィオラも心からの感謝を告げるも。
ある事に複雑な思いを抱いており、それを続けた。
「けど……
あのカラス、ニケの仕業なんでしょう?」
「あはっ、バレてた?
あの女、髪もドレスもめちゃくちゃで、いい気味だったよねっ」
「笑い事じゃないわ!
さすがにあれはやりすぎよ?」
「……なにいい子ぶってんの?
あの女から、下女の仕事がマシなくらい嫌がらせされたんだよね?
なのになんで庇うワケ?」
「別に庇ってるわけでも、いい子ぶってるわけでもないわ。
それに怪我をさせたわけじゃないんだし。
ニケが私たちのために、仕返ししてくれたって分かってるから。
だから、その気持ちはありがとう。
だけど彼女は、サイフォス様の大事な人だから……
彼女が嫌な思いをすれば、サイフォス様まで嫌な思いをするだろうから。
愛する人に、そんな思いをさせたくないだけ」
「……ふぅん。
そんなに愛してるんだ……」
わかっていながらも、胸が切り裂かれるニケ。
「それにしても、どうしてタイミング良くあの場にいたの?」
「ああ、庭師の野郎たちが、『フラワベル様がいらっしゃった!』って騒いでたから。
専属侍女いびりに来たんじゃないかと思って、魔術士様に呼び出されたフリして尾行したからだよ」
「えっ、それじゃあ……
私のために、わざわざ仕事中に来てくれたって事っ?」
「っ、まぁ一応、友人だし?
いつもご馳走をもらってるからね」
と、照れくさそうに答えるニケ。
そして。
「そんなの気にしなくいいのに!
でも、すごく嬉しい……ありがとう」
そう感激するヴィオラに。
先程の胸の痛みもどこへやら、今度は嬉しくてたまらなくなる。
「だけど、仕事を抜けて大丈夫だったの?」
「大丈夫だって。
それに、ちゃんと挽回したから問題ないよ」
「なら、良かったけど……
私のために無理したり、仕事を犠牲にしたりはしないでね?」
「……するよ。
あんたのが大事だし」
思わぬ返しに、ドキリとして面食らうヴィオラ。
「あ、りがとう……」
そして思わず口走ってしまった本人も、何言ってんだ!と、慌てて話を切り替える。
「それよりっ、本気で専属侍女やめんの?」
「あぁ、聞いてたのね。
うん、2人の邪魔はしたくないから。
でもその代わりに、生活エリアの掃除担当にしてもらえないか、掛け合ってみるつもりよ?
ただ問題は、辞退の理由を何にすればいいかって事だけど」
「は?
事実をありのまま言えばよくない?」
「そんな事言ったら、告げ口したって恨まれるに決まってるわ。
それにサイフォス様だって、婚約者のせいされたら嫌だろうし」
「ああもっ、サイフォス様サイフォス様ってうるさいな!」
「ええっ、そんなにっ?」
確かに、何でそんな事で苛立ってるんだ?と我にかえるニケ。
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