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真相2

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「っとにかく、無事で本当に良かったけど……
どうしてこんな危険な事を?
バレたらお父様が黙ってないし、罪にも問われるのよっ?」

「だから、バレないように魔法で姿を変えてもらったんだろ?」

「そんな事がほんとに出来るなんて……
聞いた事はあったけど、単なる伝説だと思ってた」

「うん。
その魔法を使える魔術士が希少なのと、そのせいで高額な事から。
王族や旧来貴族にしか広まってなかったんだ。
けどリスクや色んな制限がある事から、その貴族たちにすらだんだん利用されなくなったみたいで。
いつのまにか伝説化したんだろうな」

「……じゃあラピズはどうして、それを知ってるの?」

 新興貴族とはいえ、ヴィオラですら知らなかった事を。
下級騎士だったラピズが、どうしてそんな経緯まで知っているのかと、不思議に思う。

「今の話は、この魔法を施してくれた魔術士から聞いたんだ。
元々は俺も、伝説程度にしか思ってなかったんだけど……
そんな伝説にすら、縋り付きたくなったんだ」
ラピズは、そう切なげに顔を歪めた。

「……どうして?」
その様子に胸を痛めながらも……
当初の疑問とも重なる、その理由を尋ねると。

「ヴィオラの側に居たかったからだよっ!」

 感情的に告げられた、その理由に。
ヴィオラは激しく胸を衝かれる。

「っっ、待ってラピズ……
私はもう、王太子妃なのよっ?」

「わかってるよ!
けど俺は、ヴィオラを一生愛してるしっ。
ヴィオラを守るために、騎士になったから。
守れない人生なんて、意味ないんだよ」

「そんなっ……」
ラピズのために、この結婚に踏み切ったも同然なのに。
逆にその人生を狂わせてしまったと、さらなるショックに襲われる。

「……そんな時、剣術大会の知らせを耳にして。
優勝者は望みを聞いてもらえる事と、優勝出来そうな可能性から、絶対参加したいと思ったんだ。
けどシュトラント公爵にバレたら、絶対阻止されるだろうし。
俺たちの関係がバレたら、ヴィオラにまで迷惑をかけるだろうから。
バレない手段を考えて、この伝説魔法にたどり着いたんだ」

「っ、どうやって?
伝説なのに、そんな簡単にたどり着けるものなのっ?」

「簡単じゃなかったよっ。
だから俺は、下人出身だからこそ。
アンダーグラウンドの伝手つてを使って、無登録の魔術士を探す事にしたんだ」

 そう、剣士が剣がないと剣術を使えないように。
魔術士も魔烙印がないと魔法を使えない。
その魔烙印は、大魔導師の洗礼によって与えられ、そこで魔術士として登録される。

 ところが親の魔力が大きい場合、稀に遺伝で魔烙印を得る場合がある。
その子はサラブレッドとして、登録すれば優遇を受けられるが……
なんらかの理由で登録されなかった場合、無登録の魔術士となる。
言わば、闇魔術士だ。

 ラピズがその闇魔術士に目を付けた理由は、他にもあった。
魔法の申し子のようなサラブレッドなら、伝説と化した魔法も使えるんじゃないかと思ったからだ。

「何日も何日も、その魔術士探しに明け暮れて……
ようやく見つけて、その見極めテストに合格して、やっとこの魔法をかけてもらったんだ」

「っ、もしかして。
シュトラント家の騎士を辞めたのは、その魔術士を探すためっ?」

「うん、それと。
ヴィオラを守れないなら、騎士でいる意味ないからさ……」

「ラピズ……」
ーーだからって。
他の男の妻となった恋人の、護衛騎士でいるのも辛いはず。
なのに、そんな苦労をしてまで……

「まぁシュトラント公爵には、恩知らずだってドヤされたけど」

 というのも、ラピズを騎士に叙任したのは、その人だからだ。

「むしろ俺からしたら、公爵が嘘をついたせいでこうなったわけだから、」

 そこでヴィオラは、その言葉が引っかかる。

「っ、ちょっと待って。
嘘をついたって、私たちの関係を隠した事よね?」

「……そうだけど、それだけじゃないんだ」
ヴィオラの父親を悪く言った事に、躊躇うラピズ。

「どういう事?
私なら気にしないから、ちゃんと本当の事を話してっ?」

「……わかった。
ヴィオラの結婚式のあと、浮かれて酔っ払ってた公爵が、部屋で口を滑らせたんだ」

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