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戻った愛と目覚める欲4
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「もう一度茉歩と、やり直したい!」
専務と聡が挨拶を交わした数日後。
突然告げられた、復縁要望。
「……は?
え、どーゆう事?彼女はっ?」
「彼女とは別れたよ……
俺が、馬鹿だったんだっ」
「っ、ちょっと待って、意味が解らない。
何で急に?
妊娠が嘘だったから?」
「それだけじゃない!
俺は、騙されてだんだっ……」
……そうゆう事か。
要は、遊ばれて捨てられたって事でしょ?
あんな若くて綺麗なコが、30代の既婚者にハマるなんて、今思えば不自然だもんね。
そっか、だから戻って来たんだ……
待ち望んでた結末は、逆に胸を切り裂いた。
「あっちが駄目だから、こっち?」
「違う!
彼女は、別れたくないって縋って来た。
だけど俺は、それを振り切って茉歩を選んだんだっ」
だとしたら、それは……
喜ぶ事なの?
「気付いたんだ、俺……
俺には茉歩しか居ないって。
離婚を進めながらも、ほんとはずっと迷ってた!
健気な茉歩を見てると、守りたくて堪らなかったし……
茉歩が他の男に取られるかと思うと、居ても立っても居られなかった!」
私の策略と、専務のヤキモチ作戦は、それなりに功を成してた訳か。
なのに……
なんでこんなに不快な気持ちになるんだろう!
「……勝手だよ」
だって1番の決め手は……
私への愛じゃなくて、彼女に騙されてたからでしょっ?
そんなの調子良すぎるよ!
「勝手なのは解ってる!
一生許せなくても当然だよっ。
だけど……
だけど俺は、一生かけて償いたいんだよっ!」
「っ、聡……」
これは、待ち望んでた結末で……
断って離婚を進める程の理由なんて、どこにもなくて……
「……次は、ないからね?」
「茉歩!
っ解ってる、もちろんだよ!
ごめん、本っ当にごめんっ!
ありがとう茉歩っ……」
人は誰でも、過ちを犯す。
大事なのは、その後どうするか。
他人なら簡単に切り捨てても。
家族だから、夫婦だから、愛があるから……
受け止めて、その成長を見守れるんじゃないかと。
頭でそう、言い聞かしてた。
◇
「専務、色々とありがとうございました。
夫が戻って来て、離婚話はなくなりました」
「……そうか、良かったな。
とは思えない程、浮かない顔だけど」
「まだすぐには……
色々と、気持ちの整理がつかなくて」
「まぁ焦るな?
当然の感情だよ。
取り戻したんなら、修復の時間なんていくらでもあるんだし」
ぽんぽん、とまた宥められて。
一時的でも、それだけで心が癒される。
だけど、それからの日々。
頭で言い聞かしてた考えは、綺麗事でしかなくて……
今更のように、許せない感情が募ってく。
きっと今までは、取り戻したい感情に隠れてて。
それが解消されたから、浮き彫りになって来だんだろう。
このままじゃダメだっ……
修復に焦るつもりなんかなくても、日々息苦しくてやり切れない。
聡が戻って来るのを、望んでた筈なのに。
もしかしたら、愛は裏切りと共に消えてて……
私は、許せなくて別れられなかっただけなの?
「おやすみ、聡」
2人で過ごす時間は、苦痛で……
早めの就寝を装って、自分の部屋に向かおうとすると。
「待って、茉歩っ」
不意に腕を掴まれて。
その体温に、不快感が押し寄せる。
「そのっ……
久しぶりに、一緒に寝ない?」
瞬間、鳥肌が立ちそうになった自分を……
必死に抑えた。
「ごめん、離して?
今はまだ、そんな気持ちにはなれないよ」
あのコに触れた手で触られたくない。
あのコを抱いた身体に包まれたくない。
あのコを愛して、私を裏切った聡を……
受け入れられない!
「そう、だよな……
でも別に、何かしようと思った訳じゃなくてさっ。
ただ、茉歩と一緒に眠りたかっただけなんだけど……
それも、嫌?」
悲しそうな姿に、私の胸まで締め付けられるけど……
「……ごめんね、聡。
そんな簡単には切り替えれないし。
そんな簡単には、傷も癒えないよ」
「そんな事わかってる!
だけどこのまま距離を空けてたら、俺は傷を癒す事も出来ないだろっ?」
「そうだけどっ……
もう少し、時間をちょうだい?
今はそれが、1番の傷薬なの」
「っ……
解ったよ。
それで茉歩の傷が癒えるなら、いくらでも待つ。
他にもっ、俺に出来る事があったら何でも言って?
俺、茉歩の心を取り戻す為なら、何でもするから……」
「聡……
うん、ありがとう」
大丈夫、そのうち許せない怒りも薄れて……
聡の優しさに絆されて……
きっと、時間が解決してくれる。
なのに、許せない気持ちは……
時間と共に、募っていく一方だった。
◇
そんな時。
「来週、2日間かけて他県の営業所を回る事になった。
それで、旦那さんと仲直りした所に水を差して悪いけど、茉歩も来れそうか?」
突然な、出張要請。
「もちろんです。ご一緒します」
今の私にとっては、水を差されるどころか有難い。
聡との生活は、日に日に息苦しさを増していて……
どこかで息抜きしなきゃ、自らそれを壊してしまいそうだった。
そんな出張は、私が必要なくらい慌ただしいと思っていたら……
「茉歩、これも食えっ?
今までにない食感で、かなりクセになるからっ」
「はいっ。
でももう、けっこうお腹が苦しいかも」
出張での業務は、動き出した新規プロジェクトの視察と。
不動産情報誌で接客1位等に選ばれた店舗への、表彰と労い。
でもそれらはすぐに終わり。
大半は、専務の我儘で付き合わされた……
その土地の名所とか、美味いもの巡りだった。
専務と聡が挨拶を交わした数日後。
突然告げられた、復縁要望。
「……は?
え、どーゆう事?彼女はっ?」
「彼女とは別れたよ……
俺が、馬鹿だったんだっ」
「っ、ちょっと待って、意味が解らない。
何で急に?
妊娠が嘘だったから?」
「それだけじゃない!
俺は、騙されてだんだっ……」
……そうゆう事か。
要は、遊ばれて捨てられたって事でしょ?
あんな若くて綺麗なコが、30代の既婚者にハマるなんて、今思えば不自然だもんね。
そっか、だから戻って来たんだ……
待ち望んでた結末は、逆に胸を切り裂いた。
「あっちが駄目だから、こっち?」
「違う!
彼女は、別れたくないって縋って来た。
だけど俺は、それを振り切って茉歩を選んだんだっ」
だとしたら、それは……
喜ぶ事なの?
「気付いたんだ、俺……
俺には茉歩しか居ないって。
離婚を進めながらも、ほんとはずっと迷ってた!
健気な茉歩を見てると、守りたくて堪らなかったし……
茉歩が他の男に取られるかと思うと、居ても立っても居られなかった!」
私の策略と、専務のヤキモチ作戦は、それなりに功を成してた訳か。
なのに……
なんでこんなに不快な気持ちになるんだろう!
「……勝手だよ」
だって1番の決め手は……
私への愛じゃなくて、彼女に騙されてたからでしょっ?
そんなの調子良すぎるよ!
「勝手なのは解ってる!
一生許せなくても当然だよっ。
だけど……
だけど俺は、一生かけて償いたいんだよっ!」
「っ、聡……」
これは、待ち望んでた結末で……
断って離婚を進める程の理由なんて、どこにもなくて……
「……次は、ないからね?」
「茉歩!
っ解ってる、もちろんだよ!
ごめん、本っ当にごめんっ!
ありがとう茉歩っ……」
人は誰でも、過ちを犯す。
大事なのは、その後どうするか。
他人なら簡単に切り捨てても。
家族だから、夫婦だから、愛があるから……
受け止めて、その成長を見守れるんじゃないかと。
頭でそう、言い聞かしてた。
◇
「専務、色々とありがとうございました。
夫が戻って来て、離婚話はなくなりました」
「……そうか、良かったな。
とは思えない程、浮かない顔だけど」
「まだすぐには……
色々と、気持ちの整理がつかなくて」
「まぁ焦るな?
当然の感情だよ。
取り戻したんなら、修復の時間なんていくらでもあるんだし」
ぽんぽん、とまた宥められて。
一時的でも、それだけで心が癒される。
だけど、それからの日々。
頭で言い聞かしてた考えは、綺麗事でしかなくて……
今更のように、許せない感情が募ってく。
きっと今までは、取り戻したい感情に隠れてて。
それが解消されたから、浮き彫りになって来だんだろう。
このままじゃダメだっ……
修復に焦るつもりなんかなくても、日々息苦しくてやり切れない。
聡が戻って来るのを、望んでた筈なのに。
もしかしたら、愛は裏切りと共に消えてて……
私は、許せなくて別れられなかっただけなの?
「おやすみ、聡」
2人で過ごす時間は、苦痛で……
早めの就寝を装って、自分の部屋に向かおうとすると。
「待って、茉歩っ」
不意に腕を掴まれて。
その体温に、不快感が押し寄せる。
「そのっ……
久しぶりに、一緒に寝ない?」
瞬間、鳥肌が立ちそうになった自分を……
必死に抑えた。
「ごめん、離して?
今はまだ、そんな気持ちにはなれないよ」
あのコに触れた手で触られたくない。
あのコを抱いた身体に包まれたくない。
あのコを愛して、私を裏切った聡を……
受け入れられない!
「そう、だよな……
でも別に、何かしようと思った訳じゃなくてさっ。
ただ、茉歩と一緒に眠りたかっただけなんだけど……
それも、嫌?」
悲しそうな姿に、私の胸まで締め付けられるけど……
「……ごめんね、聡。
そんな簡単には切り替えれないし。
そんな簡単には、傷も癒えないよ」
「そんな事わかってる!
だけどこのまま距離を空けてたら、俺は傷を癒す事も出来ないだろっ?」
「そうだけどっ……
もう少し、時間をちょうだい?
今はそれが、1番の傷薬なの」
「っ……
解ったよ。
それで茉歩の傷が癒えるなら、いくらでも待つ。
他にもっ、俺に出来る事があったら何でも言って?
俺、茉歩の心を取り戻す為なら、何でもするから……」
「聡……
うん、ありがとう」
大丈夫、そのうち許せない怒りも薄れて……
聡の優しさに絆されて……
きっと、時間が解決してくれる。
なのに、許せない気持ちは……
時間と共に、募っていく一方だった。
◇
そんな時。
「来週、2日間かけて他県の営業所を回る事になった。
それで、旦那さんと仲直りした所に水を差して悪いけど、茉歩も来れそうか?」
突然な、出張要請。
「もちろんです。ご一緒します」
今の私にとっては、水を差されるどころか有難い。
聡との生活は、日に日に息苦しさを増していて……
どこかで息抜きしなきゃ、自らそれを壊してしまいそうだった。
そんな出張は、私が必要なくらい慌ただしいと思っていたら……
「茉歩、これも食えっ?
今までにない食感で、かなりクセになるからっ」
「はいっ。
でももう、けっこうお腹が苦しいかも」
出張での業務は、動き出した新規プロジェクトの視察と。
不動産情報誌で接客1位等に選ばれた店舗への、表彰と労い。
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