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繋ぐリンゴ
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お姉ちゃんと彼が結婚する。
幸せな結婚。
みんなが祝福する。たった一人だけを除いて。
「……なのに、どうしてあたしが……」
『式のケーキは貴女の作るリンゴのケーキにして欲しいの』
それは無いよ、お姉ちゃん……
そりゃ、あたしがマックスの事を好きだった事は誰にも言ってなかったけどさ。
たった二人っきりの家族じゃない。そのくらい察してよ……
お姉ちゃんは、苦労してあたしを育ててくれた。
朝から晩まで、学校にも行けないで働いて、働いて、あたしを製菓の専門学校に行かせてくれた大好きなお姉ちゃん。
……あのクリスマスに、家族も呼べるからって言われたパーティーで、恋に落ちた。
憧れのマックスと。
お似合いで、嬉しそうにマックスとのデートに出掛けていくお姉ちゃん。
一生懸命着飾って、それはとっても幸せそうで。
言い出せないよ……
だから、せめてリクエストには応えよう。
あたしが一番得意なリンゴを使ったケーキ。
マックスへの想いは、心の底に永遠に仕舞って、お姉ちゃんへのありったけの感謝と祝福を込めて作ろう。
「リンゴが入荷しない!?どうして!」
普通なら商店でもリンゴは買える。
だけど……
「この間の嵐で、船が遅れてるんだ。次の入荷まで1週間は掛かるぞ」
「……間に合わない……」
お姉ちゃん……
項垂れるエミー
その肩を抱きたくて手を伸ばしかけて、伸ばせずに下ろす。
ちっちゃい頃から、ずっと側に居ても、俺の気持ちなんかちっとも分かってない鈍感女。
菓子の学校で講師の野郎に熱を上げた時には、どうなるかと思った。
「まさか、マリエル姉がくっつくとは思わなかったけどな…」
助かった。そう思っても、口には出せない。
俺も臆病だな。
「……待ってろ」
「ロブ?」
「俺に任せろ!絶対リンゴ持って来てやる!いいか!諦めんなよ!?」
「お兄さん、どうしたの?」
街中駆け回り、知り合い全員にリンゴが無いか聞いて回ったが、萎びたゴミの様なものしか無かった……
途方に暮れた時、声を掛けてきたのは見知らぬ三人。
エプロンドレスにクマ耳カチューシャ?
連れているのはフワフワ髪の男の子と、快活そうな女の子?
いや、それより!
「その、そのリンゴを譲ってくれないか!」
カチューシャの女性が持っている駕籠に、真っ赤なリンゴが!
リンゴを抱えて駆け込む青年
頬を染めて喜び、笑顔になる女性
【Conditions!】
幸せな結婚。
みんなが祝福する。たった一人だけを除いて。
「……なのに、どうしてあたしが……」
『式のケーキは貴女の作るリンゴのケーキにして欲しいの』
それは無いよ、お姉ちゃん……
そりゃ、あたしがマックスの事を好きだった事は誰にも言ってなかったけどさ。
たった二人っきりの家族じゃない。そのくらい察してよ……
お姉ちゃんは、苦労してあたしを育ててくれた。
朝から晩まで、学校にも行けないで働いて、働いて、あたしを製菓の専門学校に行かせてくれた大好きなお姉ちゃん。
……あのクリスマスに、家族も呼べるからって言われたパーティーで、恋に落ちた。
憧れのマックスと。
お似合いで、嬉しそうにマックスとのデートに出掛けていくお姉ちゃん。
一生懸命着飾って、それはとっても幸せそうで。
言い出せないよ……
だから、せめてリクエストには応えよう。
あたしが一番得意なリンゴを使ったケーキ。
マックスへの想いは、心の底に永遠に仕舞って、お姉ちゃんへのありったけの感謝と祝福を込めて作ろう。
「リンゴが入荷しない!?どうして!」
普通なら商店でもリンゴは買える。
だけど……
「この間の嵐で、船が遅れてるんだ。次の入荷まで1週間は掛かるぞ」
「……間に合わない……」
お姉ちゃん……
項垂れるエミー
その肩を抱きたくて手を伸ばしかけて、伸ばせずに下ろす。
ちっちゃい頃から、ずっと側に居ても、俺の気持ちなんかちっとも分かってない鈍感女。
菓子の学校で講師の野郎に熱を上げた時には、どうなるかと思った。
「まさか、マリエル姉がくっつくとは思わなかったけどな…」
助かった。そう思っても、口には出せない。
俺も臆病だな。
「……待ってろ」
「ロブ?」
「俺に任せろ!絶対リンゴ持って来てやる!いいか!諦めんなよ!?」
「お兄さん、どうしたの?」
街中駆け回り、知り合い全員にリンゴが無いか聞いて回ったが、萎びたゴミの様なものしか無かった……
途方に暮れた時、声を掛けてきたのは見知らぬ三人。
エプロンドレスにクマ耳カチューシャ?
連れているのはフワフワ髪の男の子と、快活そうな女の子?
いや、それより!
「その、そのリンゴを譲ってくれないか!」
カチューシャの女性が持っている駕籠に、真っ赤なリンゴが!
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