111 / 177
111. カララムダンジョン攻略
しおりを挟む70階層で、でっかいゴキブリを倒した後は、サクサク攻略が進む。
というか、頂上の88階層まで、何故か一本道で、尚且つ、全く魔物も出なかった。
多分、カララムダンジョンが、これ以上、聖剣ムラサメでダンジョンを破壊されるのを恐れたのであろう。
だって、最後のラスボスまで居なかったし。
どんだけ、俺というか、聖剣ムラサメを恐れているのだろう。
ヤッパリ、70階層を風通しを良くしたのが問題だったかもしれない。ダンジョンの外壁の70パーセントを破壊して、普通に空が見えてたしね。
とか、考えてると、
『ご主人様、なんか宝の山がありますよ!』
鑑定スキルが、話し掛けてきた。
「これって、とっとと、お宝持って帰ってくれという事か?」
『じゃないですかね?』
「だけどな……こんなガラクタいくら貰っても嬉しくないんだけど……」
そうなのだ。伝説の大工スキルを持つヨナンにとって、自分が作る物以外は、全てガラクタ。
何でも、自分で作った方が、良い物できちゃうし。
実際に、聖剣ムラサメを越える武器なんか、この世は疎か、全宇宙を見渡しても存在しないと思うし。
『ですね。鑑定してみると、どれも国宝級なんですけど、ご主人様が製作したものに比べたら、ゴミクズですね!
きっと、ご主人様が逆立ちした状態で、逆だった髪の毛で作った場合と、同じぐらいのお宝だと思います!』
鑑定スキルが、カララムダンジョンのお宝のレベルを鑑定する。
「流石に、髪の毛じゃ、大工道具を握れる訳ないだろうが!」
ヨナンは、猛烈にツッコミを入れる。
「じゃあ、試して下さいよ! きっと出来ますんで! 僕の鑑定結果が正しい事が、すぐに証明できますから!」
嘘が言えない鑑定スキルが、いつになくプンプンである。だけども、流石に、そんな訳ないだろ?髪の毛だよ。髪の毛。
「じゃあ! やってやんよ! 髪の毛じゃ絶対に握れないと決まってんだよ! ほらな!」
ヨナンは、手に持った金槌を、自分の髪の毛まで持って行くと、なんと!
「うっそ~ん! 金槌が、髪の毛でしっかり握れてるじゃないか~い!」
ヨナンは、目を玉飛び出すほど、驚いてみせる。
『最早、お約束のノリツッコミでしたね! 流石、ご主人様!』
ヨナンの事が大好きな鑑定スキルが、褒め殺しにしてくれる。
「まあ、俺も実際、お前が嘘付けないこと知ってるからな! 本当は、髪の毛で金槌持てるだろうと思ってたんだよね!」
とか、鑑定スキルとわちゃわちゃやってると、
「ならば、このお宝は、全て、ワシが貰ってもいいという事じゃな!」
ずっと、カララムダンジョンのお宝を物色してたアレクサンダー君が、ヨナンに聞いてくる。
「どうぞ! どうぞ!」
ヨナンにとっては、全くのガラクタなので、アレクサンダー君が貰ってくれるなら有難い。素材としての価値も、大森林産の素材の方が、遥かに価値があるしね。
「良き良き。全て国宝級のお宝じゃ! これを持ち帰れば、ワシがカララムダンジョンを攻略したと証明出来るじゃろう!」
アレクサンダー君は、ホクホク顔。
だがしかし、アレクサンダー君は、手ぶらでカララムダンジョンに来てたので、自分の魔法の鞄など持ってきていなかった。
なので、ヨナンは気を利かせて、その場で無限に入る魔法の鞄を作ってやる。
昔は、一々、買ってたのだが、ある日、自分自身で魔法の鞄を作れる事に気付いちゃったのだ。
でもって、最近では、自分で魔法の鞄を作ったりするのだが、ヨナンが作る魔法の鞄は、一味違ったりする。
普通は、物が大量に入って、鞄の中の時間が止まるくらいだが、ヨナンの魔法の鞄は、時を進めたり、時を後退させたり出来るのだ。
だから、あら不思議。
刃こぼれした剣なんかを魔法の鞄に入れておくと、新品同様に産まれ変わったり、下手すると素材に戻ってたりする。
まあ、その調整は、魔法の鞄の持ち主のさじ加減。
魔法の鞄が、勝手に、持ち主の考えを読み取り、適切な環境で持ち物を管理してくれるのである。
そんな魔法の鞄を、ヨナンは、アレクサンダー君にあげたのだ。
まだ、自分の家族にしかあげてない奴をね。
だって、相手は王様だし、変な物あげられないじゃん!
勿論、ジミーにはあげてない。
奴の事は、兄貴と認めてないし、普通に血も繋がってないしね!
てな訳で、結局、アレクサンダー君が、今回のカララムダンジョン攻略でゲットしたお宝で、1番高価な物は、この魔法の鞄だったというオチで収まった。
2番目は、ヨナンが作ってやった剣で、3番目は、ヨナンが作ってやった鎧だったりする。
まあ、カララムダンジョンを攻略しなくても、全て手に入れる事ができるものだが、そこの所は、しょうがない話だろう。
だって、カララムダンジョンを、アレクサンダー君が攻略しようと言わなかったら、実際、アレクサンダー君は、ヨナンが作った、魔法の鞄も、剣も、鎧もゲット出来なかった訳だし。
45
お気に入りに追加
3,050
あなたにおすすめの小説

土属性を極めて辺境を開拓します~愛する嫁と超速スローライフ~
にゃーにゃ
ファンタジー
「土属性だから追放だ!」理不尽な理由で追放されるも「はいはい。おっけー」主人公は特にパーティーに恨みも、未練もなく、世界が危機的な状況、というわけでもなかったので、ササッと王都を去り、辺境の地にたどり着く。
「助けなきゃ!」そんな感じで、世界樹の少女を襲っていた四天王の一人を瞬殺。 少女にほれられて、即座に結婚する。「ここを開拓してスローライフでもしてみようか」 主人公は土属性パワーで一瞬で辺境を開拓。ついでに魔王を超える存在を土属性で作ったゴーレムの物量で圧殺。
主人公は、世界樹の少女が生成したタネを、育てたり、のんびりしながら辺境で平和にすごす。そんな主人公のもとに、ドワーフ、魚人、雪女、魔王四天王、魔王、といった亜人のなかでも一際キワモノの種族が次から次へと集まり、彼らがもたらす特産品によってドンドン村は発展し豊かに、にぎやかになっていく。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
異世界をスキルブックと共に生きていく
大森 万丈
ファンタジー
神様に頼まれてユニークスキル「スキルブック」と「神の幸運」を持ち異世界に転移したのだが転移した先は海辺だった。見渡しても海と森しかない。「最初からサバイバルなんて難易度高すぎだろ・・今着てる服以外何も持ってないし絶対幸運働いてないよこれ、これからどうしよう・・・」これは地球で平凡に暮らしていた佐藤 健吾が死後神様の依頼により異世界に転生し神より授かったユニークスキル「スキルブック」を駆使し、仲間を増やしながら気ままに異世界で暮らしていく話です。神様に貰った幸運は相変わらず仕事をしません。のんびり書いていきます。読んで頂けると幸いです。

転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~
そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」
「何てことなの……」
「全く期待はずれだ」
私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。
このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。
そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。
だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。
そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。
そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど?
私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。
私は最高の仲間と最強を目指すから。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる