86 / 177
86. ザマー
しおりを挟む鷹の目Lv.3と射撃Lv.3を持つアイ・ホークと、瞬足Lv.3を持つマリン・チーターがチームで生徒狩りに出掛けた。
その他の班員は、陣地の作戦会議室で待機。
俺が作った大型ビジョンには、鑑定スキルLv.3の共有機能によって、アイさんの目線が映し出されている。
その他にも、たくさんのモニターが設置されており、スーザンによる索敵画面。色々な場所の画像。ハッキリ言うと、陣地に居ながらにして、どこのどの班よりもカララム高原を把握してるのである。
「最初は、今の時点から1番近くにいるC班のゲリラ3人組を倒してくれ!」
鑑定スキルの念話機能を使って、アイさんと、アイさんをおんぶして担いでるマリンに命令を下す。
「「ラジャ!」」
マリンは、アイが敵を狙いやすい位置まで、物凄いスピードで移動する。
そして、射的するのに理想的な位置に到着すると、
ヒュン!
モニターに映し出されていた索敵のマークが1つ消える。
続け様に、マリンはアイさんを担いで移動する。わざわざ1度弓矢を放ってから移動するのは、敵に位置を割りざさせないようにする為。
そして、
ヒュン! ヒュン!
今度は、1度に2人倒した。
完全に敵は、矢が放たれた方向を意識してたので、背後はガラ空き。
まさか、数秒後にマリン達が、矢が放たれた場所から移動して、真逆に居るとは誰も思わないだろう。
本当にヤバい。鑑定スキルLv.3の念話と共有機能と、スーザンの索敵Lv.4。そして、アイさんの鷹の目Lv.3と射撃Lv.3。そんでもって、マリンの瞬足Lv.3が有れば、完璧な暗殺チームが出来上がってしてしまうのだ。
『アイさんと、マリンさんだけで、勝てちゃうんじゃないですか?』
鑑定スキルが、話し掛けてくる。
「だな」
そもそも、敵はどこから矢が飛んでくるか分からないのだ。だって、普通の人の目じゃ視認できない位置から弓矢を放ってるから。
しかも、短時間で移動して放ってくるので、敵は何人で襲撃されてるのかも全く分からなくなる。
『敵からしたら悪夢ですよね。何がなんだか分かんないうちに殺られちゃうんですから』
「まあ、それもお前の念話と共有機能。それからスーザンの索敵Lv.4が有るから為せる技だな!
結局、敵の位置が全く分からなかったら、アイさんの射撃スキルも鷹の目も、宝の持ち腐れになっちゃうし」
『ですよね! やっぱり、僕が一番、ご主人様の役にたっちゃってますよね!
なにせ、僕が居なければ、女の子達のユニークスキルも分からなかった訳ですし!
もっと、僕を褒めちゃっていいですよ!
僕って、褒められると伸びるタイプなんで!』
「ああ。みんのお前のお陰。鑑定スキルLv.3様々!」
俺は、鑑定スキルも褒め殺しにしておく。
どれだけ褒めても、減るもんじゃないし。
『フフフフフ。ヤッパリご主人様は、僕が一番なんですよね!
僕とご主人様の絆は、誰にも壊す事なんか出来ないんです!』
鑑定スキルは、どんだけ俺の事が好きなんだろう。
本当に、鑑定スキルが人間じゃなくて良かった。
人間だったら重すぎるし。
てな感じで、陣地の作戦会議室から指示を送りつつ、野営訓練の攻略を進めてく。
「ヨナン君! 取り敢えず、BクラスとCクラスの生徒達は、アイちゃんが殲滅したよ!」
2時間後、マリン・チーターから念話で連絡が入る。
「じゃあ、次はアスカを狙おう」
「Aクラスの班じゃなくて?」
マリンが尋ねてくる。
「今じゃないと意味ない。今なら、誰もSクラスの女子が離脱してないからな」
そう。アスカを陥れる為には、アスカがSクラスの女子の中で一番最初の離脱者にしなければならないのだ。
多分、これから本格的な戦闘が始まってしまうかもしれないので、何かの拍子で他のSクラスの女子が戦線離脱してしまったら、元も子も無くなってしまう。
俺的には、アスカへのザマーの次に、野営訓練の勝利なのである。
「アスカをSクラスの女子の中で、一番最初の離脱者にするという事?」
「ああ。まだ、Sクラスの女子は誰も戦線離脱してない、今じゃないと駄目だ!
奴なら、同じSクラスの女子を盾にしてでも最後まで生き残ろうとする鬼畜だからな」
「言えてる!」
マリンも同意する。まあ、アスカ以外のSクラスの女子を倒してしまうと、後でしこりが出来るかもしれないので、作戦としてはアスカ以外のSクラスの女子達を最後まで殺さないで、野営訓練を終わらせるのだ。
だって、勝敗は、最後にどれだけ陣地を確保するかによって決まるので、別に人を戦線離脱に追い込まなくも良いのである。
まあ、敵を倒せば成績に加点されるかもしれないけどね。
早速、マリンとアイは、アスカが立てこもる陣地に移動する。
アスカの班は、5つの陣地を確保してるので、どの陣地も2人づつしか人が居ないのである。
まあ、Sクラスの人間が持つチートスキルを持ってすれば、Sクラス以外の生徒を相手にするなら2人で十分なのだ。
『アスカは、陣地に立てこもってますけど、余裕ですね!』
「ああ。イケメン君に守ってもらってるな!」
ヨナンは、全ての陣地に小型カメラを何台も設置してるので、アスカの動きが手に取るように分かってるのだ。
でもって、勿論、鑑定スキルの共有機能によって、マリンもアイさんもしっかり共有してる。
陣地の外に居る見張りが居る逆側から300メートルの距離から、アイさんはアスカに狙いを定める。
ん? アスカは、陣地の屋内に居るのに大丈夫なのかって?
索敵スキルと監視カメラが有るから問題ない。アイさんなら、建物の中に居ても撃ち抜けるのである。
俺が作った、アダマンタイトミスリル合金の矢もあるからね。
木造の陣地なら、まるで豆腐に爪楊枝を突き刺すくらいにスカッ!と、矢が突き刺さるのだ。
でもって、
ヒュン!
『アッ! アスカの腿に矢が突き刺ささりましたね!』
鑑定スキルが、モニターを見てる俺に話し掛けくる。
「ああ。何が起こったの?て、顔してんな。イキナリ過ぎて、痛みも分かってないんじゃないのか?」
『アイさん! ご主人様が、まだ足りないと言ってますよ!』
鑑定スキルが気を利かせて、念話で、アイさんに矢のオカワリを要求する。
「了解」
ヒュン!
グサッ!
次は、反対の足の腿に矢が突き刺さる。
「ぎゃあーーーー!」
やっと自分の置かれた状況が分かったのか、アスカは悲鳴を上げる。
『アッ! イケメン君が気付いて、アスカが居る陣地の中に戻ってきますよ!』
ヒュン! ヒュン! ヒュン!
アイさんは、鑑定スキルに言われてもないのに、手や足の至る所に、矢を撃ち抜き、アスカを完全に戦線離脱へと追いやったのだった。
「アッ! アスカ! 誰に殺られた!」
イケメン君が到着した時には、もう既にアスカは失禁して失神。あまりに衝撃過ぎて脱糞までしてるし。
まあ、しっかり監視カメラから録画してるから、この野営訓練が終わったら、アスカに高額料金で売り付けるのも面白いかもしれない。
『撮れ高稼げましたね!』
鑑定スキルが、ヨナンにだけ聞こえるように念話で話し掛けてくる。
「だな」
ヨナンは口元を手で隠しつつ、女子達に分からないように、密かにほくそ笑んだ。
18
お気に入りに追加
2,893
あなたにおすすめの小説
骨から始まる異世界転生~裸の勇者はスケルトンから成り上がる。
飼猫タマ
ファンタジー
トラックに轢かれて異世界転生したのに、骨になるまで前世の記憶を思い出せなかった男が、最弱スケルトンから成り上がってハーレム勇者?魔王?を目指す。
『小説家になろう』のR18ミッドナイトノベルズで、日間1位、週間1位、月間1位、四半期1位、年間3位。
完了済では日間、週間、月間、四半期、年間1位をとった作品のR15版です。
辺境の契約魔法師~スキルと知識で異世界改革~
有雲相三
ファンタジー
前世の知識を保持したまま転生した主人公。彼はアルフォンス=テイルフィラーと名付けられ、辺境伯の孫として生まれる。彼の父フィリップは辺境伯家の長男ではあるものの、魔法の才に恵まれず、弟ガリウスに家督を奪われようとしていた。そんな時、アルフォンスに多彩なスキルが宿っていることが発覚し、事態が大きく揺れ動く。己の利権保守の為にガリウスを推す貴族達。逆境の中、果たして主人公は父を当主に押し上げることは出来るのか。
主人公、アルフォンス=テイルフィラー。この世界で唯一の契約魔法師として、後に世界に名を馳せる一人の男の物語である。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
死んだのに異世界に転生しました!
drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。
この物語は異世界テンプレ要素が多いです。
主人公最強&チートですね
主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください!
初めて書くので
読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。
それでもいいという方はどうぞ!
(本編は完結しました)
僕のギフトは規格外!?〜大好きなもふもふたちと異世界で品質開拓を始めます〜
犬社護
ファンタジー
5歳の誕生日、アキトは不思議な夢を見た。舞台は日本、自分は小学生6年生の子供、様々なシーンが走馬灯のように進んでいき、突然の交通事故で終幕となり、そこでの経験と知識の一部を引き継いだまま目を覚ます。それが前世の記憶で、自分が異世界へと転生していることに気付かないまま日常生活を送るある日、父親の職場見学のため、街中にある遺跡へと出かけ、そこで出会った貴族の幼女と話し合っている時に誘拐されてしまい、大ピンチ! 目隠しされ不安の中でどうしようかと思案していると、小さなもふもふ精霊-白虎が救いの手を差し伸べて、アキトの秘めたる力が解放される。
この小さき白虎との出会いにより、アキトの運命が思わぬ方向へと動き出す。
これは、アキトと訳ありモフモフたちの起こす品質開拓物語。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる