83 / 177
83. 開戦
しおりを挟む野営訓練1日目。午前6:30。
ドッカ~ン!
北側にあるDクラスの班が陣地にしてる少し高台の場所から、爆音が聞こえた。
「遂に、始まったな」
「ヨナン様。Sクラスのアスカチームが、早速、Dクラスの陣地を襲ったようです!」
索敵スキルLv.4のスーザンが伝えてくる。
因みに、スーザンの索敵能力は、当たり前のようにヤヤヤム高地全体をカバー出来ている。
同時に、目の前に半透明な地図が映し出され、攻撃が行われてる場所が点滅してる。
これは鑑定スキルLv.3の共有機能。
俺達のチームは、全て鑑定スキルLv.3によってネットワーク共有されていて、スーザンの索敵スキルLv.4まで、鑑定スキルLv.3によってカスタマイズされ組み込まれてるのである。
でもって、俺の班の人間は、好きな時に、または、鑑定スキルLv.3によって取捨選択されたステータス画面やら、敵や味方の位置が表示された地図画面を、自分自身で表示する事も、鑑定スキルLv.3が判断して表示する事も可能になってたりするのだ。
「これは、もう反則よね!」
「スーザンさんの索敵Lv.4だけでもチートなのに、それを班員全員が共有できるって、他の班の人達が聞いたら、多分、ビックリするよ!」
「多分、他の班の子達。昨日の夜から、陣地周囲の見張りとか、大変だったと思うし……」
そう、多分、他の班は大変だろう。
俺は、全ての陣地の周辺に爆竹をたくさん仕掛け、しかも、1時間置きぐらいに爆発させるという嫌がらせをしていたのである。
名づけて、今日は眠らせないよ作戦。
『ご主人様、たかが学生の野営訓練でも容赦無いですよね……』
鑑定スキルが、呆れ気味に話し掛けてくる。
「アホか! 学生のうちから戦争の厳しさを身をもって勉強させてやってるんだよ!
じゃなければ、エドソンみたいに同じ国の仲間に嵌められて殺される場合だってあるんだからな!」
『なんと! これは嫌がらせじゃなくて! ご主人様の優しさだったんですか!』
「いや……ただの嫌がらせだけど……」
『ですよね!』
てな感じで、野営訓練初日は、何もする事なく過ぎたのだった。
ーーー
野営訓練2日目。
『ご主人様。Cクラスの班が、落とし穴やら、地雷に引っかかって自滅しちゃってますよ』
鑑定スキルが、報告してくれる。
昨日の夜、鑑定スキルの危険を知らせるアラームが少し騒がしかったので、鑑定スキルをオフにして寝てたのである。
多分、俺の班の陣地は、見張りも居ないので簡単に落とせると勘違いしてしまったのだろう。
そんな訳ないじゃん。俺だったら見張りが居ない時点で、何か罠があるかもと思って慎重になるけどね。
『ご主人様。今回は、結構、他の所でも夜襲が多かったみたいですよ!』
「まあ、俺が仕掛けた爆竹がうるさくて眠れなかったんじゃないか?」
『ああ! 成程、それで!』
鑑定スキルは納得したようだ。
まあ、夜中の間、1時間置きに爆竹が鳴ったら、流石に眠れないので、それだったら攻撃を仕掛けようと頭を切り替えたのだろう。
「じゃあ、昼間のうちも爆竹鳴らすか!」
『ご主人様、どんだけ鬼畜なんですか……』
鑑定スキルが、呆れ気味。
てな感じで、朝食を食べに行こうと思ったら、スーザン・スパイダーが話し掛けてきた。
「ヨナン様、まだ、こちらから仕掛けないのですか?」
ずっと徹夜で索敵を続けてくれているスーザンがヨナンに質問してくる。
そう、スーザンだけは不眠不休で頑張ってくれていたのだ。
だって、スーザンが寝ちゃうと索敵出来なくなっちゃうからね!
一応、近くに敵チームが居ない時とか仮眠を取るように言ってるのだが、3徹ぐらい平気ですと拒否されてしまった。
多分、スーザンは睡眠を殆ど取らなくても大丈夫な体質なのだろう。
だって、スーザンが索敵スキルの練習を始めてからというもの殆ど寝ずに、ひたすら索敵し続けたし、そんぐらい常軌を逸した修行をしなければ、索敵Lv.4なんかにならないしね!
「ヨナン様の為、ヨナン様の為、ヨナン様の為……ヨナン様の為なら、いくらでも頑張れる!」
なんか、最近、スーザンがブツブツ言ってる気がするが、女の子に『何ブツブツ言ってるの?』とか、聞くのは失礼だから止めておこう。俺は、紳士的な男なのである。
でもって、朝食を食べながらのミーティング。
俺は、野営訓練初日の昨日、メチャクチャ暇だったので、陣地の要塞の内装を魔改造してたりする。
だって、戦争ってストレスが掛かるもの。それを軽減するのが、指揮官の役目なのだ。
俺は、本気を出して、物凄い内装を作り出してたのである。
まずは、食事と取る円卓。やはり中世の騎士と言ったら、アーサー王の円卓の騎士だよね!
そう。俺と同じ円卓に座る部下達は、俺と同等の権利を有してるのだ。
なので、女子達には、俺と同等に贅沢させなければならない!
円卓は、ケバいゴールド製。しかも、大森林で取れた宝石が散りばめられている。
椅子は、引いたり持ったりしないといけないから、軽さ重視で金箔を貼り、勿論無駄過ぎる装飾も施されている。
食事は、シェフを連れて来る訳には行かなかったので、ロードグラスホッパーホテルの料理人が作ってくれた食事を、魔法の鞄の中に入れて持ってきている。
ベットも、最高級のものを製作し、勿論、結束を高める為、1つのベットで全員が寝れる大きさだ!
でもって、少しでもリラックスさせる為に、孫の手やら、ツボ押し、美顔ローラー、はたまた岩盤浴から、サウナまで作ってやった。
勿論、温泉を掘り当て、ジャクジー風呂から、寝湯、足湯まで。
リクリエーション施設も忘れない。卓球場に、ビリヤード、ボーリング場。トランプにスロットマシン、それからパチンコといたせり尽くせり。
「これって、本当に野外訓練なの?」
マリン・チーターが、フカフカのソファーに腰を掛け、優雅に紅茶を飲みながら、他の女子達と喋っている。
「そうよね……私達、まだ何もしてないし、やった事といえば、少し遠出して、優雅な休日を過ごしてる感じよね……」
「ヨナン君は、明日から頑張ればいいって言うし……本当に、他の班の人達はどうなってるんだろうね?」
女子達は、今更ながら他の班の様子が気になるのであった。
30
お気に入りに追加
2,940
あなたにおすすめの小説
魔晶石ハンター ~ 転生チート少女の数奇な職業活動の軌跡
サクラ近衛将監
ファンタジー
女神様のミスで事故死したOLの大滝留美は、地球世界での転生が難しいために、神々の伝手により異世界アスレオールに転生し、シルヴィ・デルトンとして生を受けるが、前世の記憶は11歳の成人の儀まで封印され、その儀式の最中に前世の記憶ととともに職業を神から告げられた。
シルヴィの与えられた職業は魔晶石採掘師と魔晶石加工師の二つだったが、シルヴィはその職業を知らなかった。
シルヴィの将来や如何に?
毎週木曜日午後10時に投稿予定です。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです
yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~
旧タイトルに、もどしました。
日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。
まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。
劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。
日々の衣食住にも困る。
幸せ?生まれてこのかた一度もない。
ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・
目覚めると、真っ白な世界。
目の前には神々しい人。
地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・
短編→長編に変更しました。
R4.6.20 完結しました。
長らくお読みいただき、ありがとうございました。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる