33 / 177
33. ヤバい人妻
しおりを挟む「あの、一体、何ですか?」
ヨナンは、エリザベスに質問する。
「私は、ただ、息子と娘が寝てるか確認しに来ただけよ?」
「あの、コナンとシスを連れてっていいですか?」
「駄目よ!」
「えっ?何で?」
「普通、子供を夜中に外に連れ出すなんて許されない事ですからね!」
「だけど、コナンとシスは、俺の弟と妹だし!」
「私は、アナタのお母さんよ! お母さんの言う事が聞けないのかしら?」
「そんな事言ったら、グラスホッパー領の公爵芋が売れないですよ!
また、グラスホッパー領の財政が火のクルマになっていいんですか!」
「そうね! そしたら、コナンとシスをグラスホッパー商会で雇って頂戴!
そうね。1日1人、1万マーブルでいいわよ!」
「それは別にいいですけど……」
「それと、もう1つ条件があるわ!」
「何ですか?」
「私も、グラスホッパー商会に雇いなさい!」
エリザベスが、突然、訳の分からない事を言ってくる。
「えっ?何でですか?」
「アナタを見ていられないのよ。これから貴族との折衝も多くなると思うし、騙されちゃうかもしれないわ!
今日の私との契約の時も、少し目が泳いでたしね」
『ご主人様、どうするんですか……』
鑑定スキルが、心配して話し掛けてくる。
「いいですよ。僕も、これからカナワン伯爵や、イーグル辺境伯と折衝しなけゃいけないと思ってて、少しばかり心配してましたから……」
『ええーー! ご主人様ーー!本当にいいんですか!』
鑑定スキルが、絶叫している。
「お前五月蝿いぞ! 俺がいいっていったらいいんだよ!
俺みたいな13歳の子供が、イーグル辺境伯と折衝したって、いいようにされるのが目に見えてるじゃねーかよ!
それに、エドソンじゃ、正直、貴族との化かしあいなんて、到底出来ねーと思うし!」
「あの……ヨナン君……」
エリザベスが、ヨナンのデッカイ声の独り言を聞いてビックリしている。
「おい! 鑑定スキル、エリザベスにも話し掛けてやれよ!」
『いいんですか?ご主人様……エリザベスさんも信用して……』
「いいんだよ!エドソンが選んで結婚した女なんだから! エドソンが選んだ女を嫌いになれるかよ!」
『本当に、ご主人様はお人好しですね!
分かりましたよ……』
鑑定スキルは、エリザベスと念話のチャンネルを繋げる。
『エリザベスさん! 初めまして! 僕はご主人様のスキルの、鑑定スキルLv.3です! 以後、お見知り置きを!』
鑑定スキルは、エリザベスに挨拶する。
「あら、本当に鑑定スキルちゃんと話せるのね! コナンとシスに聞いてはいたんだけど、本当だったなんて!」
どうやら、コナンとシスは、鑑定スキルの事をエリザベスに話していたようだった。
まあ、口止めしてた訳じゃないので、誰も責める事など出来ないのだけど。
「じゃあ、今回は、私もグラスホッパー商会の社員として、ヨナン君について行くわね!」
「ああ。勝手にしてくれよ!」
ヨナンは、投げやりに返事をしたのだったが、しっかりと、キャンピングキッチントレーラーは改造して、エリザベスのベットも取り付けたのであった。
ーーー
早速、カナワン城塞都市に着くと、店の開店準備をして、石焼き芋を売り始める。
「エリザベス。石焼き芋の販売方法は、コナンと、シスと、鑑定スキルに聞いてくれ! 俺はもう限界だから、もう寝る!」
「ヨナン君! 了解よ! どんと大船に乗った気持ちで任しといて!」
ヨナンは、全て丸投げして、そのまま眠りにつく。もう、一々、エリザベスの面倒など見ていられないのである。
だって、散々引っ掻き回されて、急遽キャンピングキッチントレーラーの改造までして、疲れに疲れているのである。
そして、
「ヨナン君、朝ですよ」
「う~ん。まだ眠いよ、お母さん……」
「あらあら、ヨナン君は、まだまだお子ちゃまですね。お母さんがギュッ!としてあげますよ」
ヨナンは、何かフワフワなまんまるな2つの物体に顔を埋められる。
「ん? て! えぇぇぇぇーー!」
ヨナンは、なんと、人妻であるエリザベスのたわわな胸に、顔を挟まれて眠っていた。
「アンタ! 一体、何してんだよ! アンタ、人妻だろ!」
ヨナンは、飛び起きて、ネグリジェ姿のエリザベスに注意する。
「え? 私はヨナン君のお母さんだから、添い寝するのは当然でしょ?」
「そんな訳、あるかい! 俺は、エドソンにどう説明すればいいんだよ!」
「別に普通に話せばいいんじゃない?」
「言えるかよ!というか、コナンとシスに教育上良くないだろうがよ!」
「あら? これは教育よ? シスに、ヨナン君の落とし方を実践して教えてたのよ!」
「ね! シスちゃん!」
「うん。勉強になった。胸にお兄ちゃんの頭を擦り付ければいいんだね!」
「アホか! そんな性教育は、もっと大きくなってからやれよ!」
「あら? 貴族の結婚は以外と早いのよ! どこの家でも、シスちゃんぐらいの年齢になると始めるものよ」
「嘘つけ!」
クッ! エリザベス……今まで、あまり関わり無かったが、ヤバイ女であるようだ……ある意味、アスカよりヤバイ女かもしれない……。
と、ヨナンは、心底思ったのだった。
26
お気に入りに追加
2,899
あなたにおすすめの小説
職種がら目立つの自重してた幕末の人斬りが、異世界行ったらとんでもない事となりました
飼猫タマ
ファンタジー
幕末最強の人斬りが、異世界転移。
令和日本人なら、誰しも知ってる異世界お約束を何も知らなくて、毎度、悪戦苦闘。
しかし、並々ならぬ人斬りスキルで、逆境を力技で捩じ伏せちゃう物語。
『骨から始まる異世界転生』の続き。
ReBirth 上位世界から下位世界へ
小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは――
※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。
1~4巻発売中です。
秘宝を集めし領主~異世界から始める領地再建~
りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とした平凡なサラリーマン・タカミが目を覚ますと、そこは荒廃した異世界リューザリアの小さな領地「アルテリア領」だった。突然、底辺貴族アルテリア家の跡取りとして転生した彼は、何もかもが荒れ果てた領地と困窮する領民たちを目の当たりにし、彼らのために立ち上がることを決意する。
頼れるのは前世で得た知識と、伝説の秘宝の力。仲間と共に試練を乗り越え、秘宝を集めながら荒廃した領地を再建していくタカミ。やがて貴族社会の権力争いにも巻き込まれ、孤立無援となりながらも、領主として成長し、リューザリアで成り上がりを目指す。新しい世界で、タカミは仲間と共に領地を守り抜き、繁栄を築けるのか?
異世界での冒険と成長が交錯するファンタジーストーリー、ここに開幕!
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
異世界転生!俺はここで生きていく
おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。
同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。
今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。
だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。
意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった!
魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。
俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。
それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ!
小説家になろうでも投稿しています。
メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。
宜しくお願いします。
暇つぶし転生~お使いしながらぶらり旅~
暇人太一
ファンタジー
仲良し3人組の高校生とともに勇者召喚に巻き込まれた、30歳の病人。
ラノベの召喚もののテンプレのごとく、おっさんで病人はお呼びでない。
結局雑魚スキルを渡され、3人組のパシリとして扱われ、最後は儀式の生贄として3人組に殺されることに……。
そんなおっさんの前に厳ついおっさんが登場。果たして病人のおっさんはどうなる!?
この作品は「小説家になろう」にも掲載しています。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる