上 下
26 / 177

26. 不審者

しおりを挟む
 
 ヨナンとコナンとシスは、100キロ入る魔法の鞄を買った後、適当に屋台でご飯を食べる事にする。

「よし! 好きな物を食べていいぞ! 今日は、たくさん働いてくれたから、兄ちゃんが奢ってやる!」

「「わ~い! ヤッター!」」

 まだ、ちびっ子のコナンとシスは、シンクロして大喜び。
 まあ、2人とも、こんな大きな街に来た事ないので、とてもテンション高めである。

「僕、この串焼き欲しい!」

「私は、揚げパン!」

 ヨナンは、2人に串焼きと揚げパンを買ってやり、食べながら馬車まで帰る事にする。

『あの、ご主人様、気付いてます?』

「ん?何だ?」

『ご主人様達、付けられてますよ』

「本当かよ!」

『絶対に振り向かないで下さいよ。右後ろ10メートル先に、男2人組がご主人様の様子を伺ってます』

「どうすればいいんだよ?」

『2人の不審者を鑑定した結果、コナン君とシスちゃんの方が普通に強いですね!』

「何だそれ?大人より、コナンとシスの方が強いって……」

『コナン君と、シスちゃんのステータス見てみますか?』

「え? 見えるのかよ!」

『僕、今、鑑定スキルLv.3ですから、13歳前の子供のスキルも、ユニークスキルが一体何かも分かっちゃうんですよね!』

「何だそれ! チートじゃねーか!」

『チートですよ! だって、僕は鑑定スキルLv.3ですから!』

 鑑定スキルは、鼻高々にコナンとシスのステータスをヨナンに見せる。

 名前: コナン・グラスホッパー
 スキル: 剣術Lv.2、格闘Lv.2
 ユニークスキル: みじん切りLv.3
 力: 85
 HP: 256
 MP: 56

 名前: シス・グラスホッパー
 スキル: 薙刀Lv.2、殴り僧侶Lv.2
 ユニークスキル: 水魔法Lv.2
 力: 81
 HP: 210
 MP: 186

「何だこれ! 2人とも、ジミーのステータスより、スゲーじゃねーか!
 というか、薙刀とか殴り僧侶とか、そんなスキル聞いた事ないんだけど、ていうか、激レアの魔法スキルだと……しかも、Lv.2って!」

 コナンのステータスも化け物級だが、シスのステータスはこの世界でも、レアスキルばかり。しかも、完全に戦闘特化の極振りなんだけど。

「ヨナン兄ちゃん。いつも思ってたけど、一体、誰といつも話してるの?」

 感の鋭いコナンがいきなり、ヨナンに質問してくる。
 まあ、感と言うより、普通にまあまあ大きな声で喋ってるから、誰でも分かっちゃうんだけど。

「ええと……だな……俺は、自分の鑑定スキルと話してるんだ」

 まあ、身内に嘘をついてもしょうがないので、ヨナンは正直に話してみる。
 絶対に信じて貰えないと思うけど。

「ええーー!! 鑑定スキルって、喋れるの!スゲー!」

 しかし、反応は良好。そして、

『ええ。喋れますよ!』

「「ほ……本当だーー!!」」

 突然、コナンとシスが驚く。

「ええ! 何?! どうした!」

 突然、コナンとシスが鑑定スキルに呼応するように反応したので、ヨナンがビックリする。

『あの、僕、鑑定スキルLv.3になって、ご主人様の近くに居る人と、普通に念話で話せるようになってたんですよね!』

 鑑定スキルの突然の告白。

「本当かよ! というか、早く教えろよ!」

『言う機会が無かったので……』

 鑑定スキルは、申し訳なさそうに答える。

「で、鑑定さん、さっき、スキルが何とかって、ヨナンお兄ちゃんが話してたんだけど?」

 コナンが早速、鑑定スキルに質問する。

『はい。コナン君は、剣術スキルLv.2、格闘スキルLv.2、みじん切りスキルLv.3を持っていて、シスちゃんは、薙刀スキルLv.2、殴り僧侶スキルLv.2、水魔法スキルLv.2を持ってます!』

「スゲー!僕、ジミー兄ちゃんと同じ剣術スキルLv.2持ってるの!」

「薙刀と殴り僧侶?」

 コナンは興奮してるが、シスは薙刀と殴り僧侶の意味がよく分かってないようだ。

「兎に角、2人とも強いって事だ!
 でもって、今、現在、2人組の男が俺達をつけてきている」

 ヨナンは、興奮気味のコナンと、困惑気味のシスに、今一番重要な事を伝える。

「うん。知ってるよ! さっきからずっとつけて来てるよね!」

「私も知ってた!」

「え? そうなの?」

『知らなかったのは、ご主人様だけみたいですね!』

「どうする?ヨナン兄ちゃん、僕が倒しちゃっていい?」

 なんか、コナンはヤル気満々なようだ。

「いや、ここはお前らの兄貴である俺がやる!」

「いやいやいや、ヨナン兄ちゃん、戦闘訓練何もやってないじゃん!」

「私も、止めた方がいいと思う!」

 コナンとシスは、全力でヨナンを止めに入る。

「いや!俺なら出来る筈だ!」

「いや、無理だって、ヨナン兄ちゃん!」

「鑑定スキル、俺が持てば何でも大工道具になるんだったよな!」

『なりますね。だけど、戦闘出来るかは未知数です』

「お前の鑑定を持ってしても、分かんねーのかよ!」

『だから、何度も言いますけど、僕の知識はデータベースに乗ってる事だけですから!』

「使えんな!」

『使えんって言うなら、試してみたらいいじゃないですか!その懐に隠し持ってる包丁で!それ、完全に大工道具じゃなくて、料理道具ですけどね!』

「アホか! これは護身用として持ってきてたんだよ!可愛らしいコナンとシスが、もしかして悪い奴に襲われるかもしれんだろ!」

「多分、僕、その辺の奴には負けないと思うけど……」

「私も、多分、大丈夫。お父さん以上の強い人、そうそう居ないと思うし」

 なんかよくわからんが、コナンとシスは、相当エドソンに、戦闘の英才教育を受けてるらしい。

『あの……コナン君、シスちゃん。ご主人様、そうと決めると絶対譲らない所があるんで、危なくなったら助けてあげて下さいね』

「お前、俺が負ける前提で話すなよ!」

『僕は、もしもの事を思って言ってるだけです! 今度死んだら、また、もう一度やり直す事なんか出来ないんですからね!』

「わかってんよ!」

 ヨナンは、懐から包丁を取り出し振り向く。

「オイ! お前ら、つけてきてる事は分かってんだよ!」

 ヨナンは、包丁を両手で持ち、まるでヤクザの鉄砲玉のようにブルブル震えながら、2人の不審者に言い放つ。

「まさか、気付かれてるとは……」

「流石は、グラスホッパーの血筋か……」

 なんか、よく分からんが、2人の不審者は、ヨナンに感心してる。
 ヨナンは、全くグラスホッパーの血筋じゃないんだけど……。

「オイ! どうしたよ! 子供だからって舐めてんのか!」

 ヨナンは、プルプル震えながらも啖呵切る。

「いやいや、やらないよ。というか、後ろの2人を抑えてくれないか?」

「子供なのに、そんな大人でも出せないような鋭い殺気を放たれたら、こちらも手も足も出せないよ!」

 どうやら、2人の不審者は攻撃する気はないようだ。というか、後ろの2人?

 ヨナンは、言われて後ろを振り替えると、木刀を持ったコナンとシスが臨戦態勢で構えていたのであった。

 どうやら、相手は、ヨナンじゃなくて、まだ10歳のコナンと、9歳のシスを警戒してたようだった。
しおりを挟む
感想 191

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

幼女と執事が異世界で

天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。 当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった! 謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!? おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。 オレの人生はまだ始まったばかりだ!

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

処理中です...