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155. 自己紹介
しおりを挟む「みんな、席につきなさい!」
生徒達がガヤガヤやっていると、シズカ先生が教室にやってきた。
生徒達は、適当な席に座る。
勿論、ブリトニーと左目眼帯お姉さんは、窓側の1番奥の席を陣取る。
あいうえお順に忠実なアリスは、廊下側の一番先頭の席に座っている。
優等生のアンちゃんは、ど真ん中。俺はアンちゃんの後ろに陣取り、その左右に姫とジュリ。
背の高いネム王子は、遠慮して廊下側の一番後ろに座り、多分、学級委員長の座を狙っているカリンは一番前のど真ん中の席だ。
シズカ先生は、生徒が全員席につくのを確認すると、黒板にサラサラと字を書き始める。
そして、パッ!と振り返ると、勢い余ってよろけてしまい、同時にトレイドマークの瓶底メガネが床に落ちてしまった。
暫く、ゴキブリのようにカサカサしながら瓶底メガネを探していのだか、いつまで経っても眼鏡を見つける事ができないので、見かねた先頭の席に座っていたカリンが眼鏡を拾って、シズカ先生に渡す。
「ハイ! ガヤガヤしない!」
シズカ先生は、生徒を注意する。
というか、生徒ガヤガヤしてたのはアンタのせいだろ! とは、緊張しているのか誰も突っ込まない。
シズカ先生は静かになったのを確認して、一呼吸置いてから、
「私が一組を担当する、ツチミカド·シズカです!
急遽、このクラスの担任になる事になりました!
クラスの担任になるのは、初めてですが頑張りますので宜しくお願いしますね!」
と、瓶底メガネを人差し指で、クイッと持ち上げながら自己紹介した。
土御門?
シズカ先生も日本人なのか?
確か、土御門家も陰陽師の一族だった筈である。
というか、土御門家も安倍氏の系譜ではないのか?
ならば、シズカ先生がモッコリーナの弟子であるというのは、十分考えられる。
しかし、シズカ先生の髪の色はピンク色だ。
とすると、祖先が日本人だったと考えられる。日本人にピンクな髪の奴なんていないからね。
俺が一人で色々妄想している間も、シズカ先生は話を進めている。
「それでは今日は初日だから、皆の自己紹介をしてもらおうかな?
うん、そうしよう!
それじゃあ、廊下の右端から順に自己紹介お願いね!」
シズカ先生は、新米先生らしく、一人で自問自答しながら自己紹介をするように指示を出した。
シズカ先生の指示に従い、廊下側の一番先頭のアリスが立ち上がり、そのまま机の上に立った。
「こら! 土足で机の上に立ってはいけません!」
シズカ先生のチョークが飛ぶ。
というか、これはヤバい。
チョークに有り得ない程の高速回転が掛かり、風と硬化の闘気まで付与されている。
アリスは眉間に当たるギリギリのところで、人差し指と親指でチョークを受け止めた。
シズカ先生、いきなり生徒を殺す気か。
アリスじゃなかったら死んでるぞ。
多分、新米先生なので、加減が分からないのかもしれない。
「分かったのじゃ! 土足で机に乗らなければよいのじゃな」
アリスは、何事もなかったように納得して、空中浮遊した。
そういう事ではないような気がするが、シズカ先生も何も言わないので、空中浮遊はOKなのだろう。
「ワッハッハッハッハッ! 妾は西の大陸モコ村出身のアリス様なのじゃ!
この学校に入学した目的は、世界一の強さを手に入れる為と、友達100人作る為なのじゃ!
それから……。」
「ハイ! アリスさんの自己紹介は以上ですね!
皆さん、拍手しましょう!」
「えっ……」
パチパチパチパチパチパチ
アリスは もっと話したい事があったようだが、シズカ先生に、バッサリと打ち切られてしまった。
多分、進行をスムーズに進める為に、一人の持ち時間をシズカ先生が勝手に決めているのだろう。
新米教師なので、融通が効かないのかもしれない。
「それでは、次の人!」
シズカ先生は、淡々と進行する。
「僕は東の大陸、南ドラキア王国出身のアイザック·ドラキアです。
一応、南ドラキア王国の王子です」
アリスの後ろの席に座っていた、気の弱そうな12、3歳の男子は、どうやら南ドラキア王国の王子様だったようだ。
東の大陸の南ドラキア王国と黒龍王国は、元々ドラキア王国という一つの国だったのだが、400年前に起こった『黒龍戦争』で、分裂してしまったそうだ。
その当時、ドラキア王国が黒龍を異界から召喚すると同時に、召喚された事に腹を立てた黒龍が、そのままドラキア王国の王都を王族ごと燃やしてしまったらしい。
たまたまドラキア王国の南地域を視察していた王弟が生き残り、『黒龍戦争』が終結すると、黒龍と協議し国を分割してもらったのだとか。
次々に、自己紹介を終えていき、凄くアピールしたそうなカリンの番がきた。
「私は『静寂の森』エルフの国の正統王位継承者のカリン·ホワイトです!
クラスの学級委員長に立候補します!
是非、私に清き一票を宜しくお願いします!」
カリンは自己紹介が終わると、俺と姫をキッ! と睨んできた。
どうやら、カリンは学級委員長の座を、俺と姫と争うと思っているらしい。
というか、このクラスには、王族が俺以外にもたくさんいる。
先程のアイザックもいるし、ネム王子、それからアンちゃんだって、ドワーフ王国のお姫様だ。
どうして、俺と姫だけが睨まれるか分からない。
俺的には、人望もあるネム王子が学級委員長を務めるのが一番だと思うのだが……。
「アッ! 学級委員長は、身体能力テストで学年一位だったガブリエルさんに決まってますので!」
シズカ先生が無常にも、カリンの野望をバッサリと斬りさいた。
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