続 必ずイカせる！異世界性活～二度目の異世界は主役でした

１３２. 修行

　
　それからの半年間、アナ·アナシアは、血反吐が出るような特訓を続けた。

　メリルの特訓は凄まじい。
　何せ、特訓の内容が、大魔王ゴトウ·サイトが、『犬の肉球』のブリトニー·ゴトウ·ロマンチックやアン·ゴトウ·ドラクエルに受けた特訓と同じなのだ。

　二人の特訓は、兎に角、常軌を逸している。
　特訓で、死ぬ事を前提としているのだ。
　幸い、アナ達『鉄血の乙女』は、世界樹のダンジョンを運営しているので、エリクサーだけは どれだけでも手に入る。

　メリルの特訓は、その当時、大魔王ゴトウ·サイトが行っていたのと同様、実践形式である。
　アナは沢山死んだ。
　タコ侍に、沢山切り刻まれた。
　アン·ゴトウ·ドラクエルや『犬の肉球』のシャンティが、こぞってやらせるトレーニングだ。
　タコ侍は、何故か魔物なのに、剣術の基本がしっかりしている。
　剣士を育てるのにうってつけなのだ。

　しかし、タコ侍は強い。
　強すぎる。
　同じAランクの魔物でも、剣術の腕が凄すぎるので、巷では冒険者殺しと言われている。
　何故なら、Aランクのタコ侍でも、実質はSSランクの技量だったりする。
　挙句にタコ侍は、種類が豊富だ。
　色々なランクのタコ侍がいるのだ。
　そして、ランクが上がると、個体によって色々な進化をしている。
　タコ侍は、どうやら独自で剣の修行を行ってるようなのだ。
　タコ侍は、剣士なのだ。
　いつでも強者を求めている。

　そんなタコ侍達と、アナは身を削るような真剣勝負を行い続けた。

　当然、本当に身は削られる。
　削られるというか、切り刻まれて殺される。
　その度に、生き返えさせられて、相手を倒すまでやらされるのだ。

　そして何度も生き返り、アナは、薄皮一枚の間合いを学んだ。
　避ける量を最小にして、最短距離で敵に打ち込む。

　これは、剣鬼ブリトニー·ゴトウ·ロマンチックが得意とする技だ。

　メリルの剣は、ガブリエル·ゴトウ·ツゥペシュの剣と同じ太刀筋である。
　これは、メリルがガブリエルを元にして作られたGデーモン族に由来する。

　ガブリエルは幼少時、大魔王ゴトウ·サイトの修行を間近に見守った、そして、天才だったガブリエルは、見た事をそのまま覚えた。
　当然、ゴトウ·サイトに修行をつけていたブリトニーの技も盗んでいる。
　そして、ガブリエルの真骨頂はカウンターだ。
　剣を覚えだしたのが、3歳の幼少時代なので力が無かったのだ。
　それを補う為に自然と編み出したのが、相手の力を利用するカウンター攻撃だったのだ。
　ガブリエルの基本戦術は、相手の攻撃を紙一重で受け流して、最短距離で攻撃するカウンターと、その当時ゴトウ·サイトが極めたいと思っていたジゲン流をミックスした戦術であり、時に緻密に、時に大胆にがガブリエルの剣術である。

　そして、その剣術が、アナにはとても合っていた。
　アナは、元々、風と雷魔法を得意とする魔法剣士であった。
　魔法の属性で分かる通り、スピード主体で戦う剣士だったのだ。

　しかし、それも限界が来る。
　アナは、女性なので腕力が無かった。
　当時のアナは、まだ闘気が使えなかったので、技術ではどうする事も出来ない壁があったのだ。

　アナは、どうやっても硬い魔物と戦うと、剣が表皮に弾かれて倒す事が出来なかった。
　そんな壁にぶち当たって、自暴自棄になってた時期に、土着の悪魔エーサクと出会った。

　エーサクは変わった悪魔で、前世の記憶を持っていると言う。
　錬金が得意で、当時、手足が欠損していたアナに、義手と義足を作ってくれた。

　その義手と義足が妙に調子良く、尚且つ、自分の弱点だったパワー不足を補い、もうこれ以上は強くなれないと思っていたアナ·アナシアを、もう一段階上の領域に押し上げだ。

　そんな訳で、現在のアナには、パワーとスピードがある。
　メリルの剣術というか、ガブリエルの剣術スタイルは、アナと滅茶苦茶相性が良い。
　アナは益々、剣術の高みを目指せる事となった。

　そして、諦めていた剣神ビクトル·クロムウェルを倒すという目標を、再び掲げる事が出来たのだ。

　そして、ギルドランキング入りをすれば、剣神ビクトル·クロムウェルに会う機会が増える。

　それは同時に、アナが、剣神ビクトル·クロムウェルに挑む機会が増えるという事に他ならないのだ！